社会人歴の長くない20代の方の中には、給料の多い・少ないに敏感になる方が多いものです。同年代はどのくらいの給料をもらっているのか、自分の給料は平均と比べて高いのか・低いのか気になる人は少なくないでしょう。

そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの中村賢司さん監修のもと、最新の統計情報をもとに、男女別・業種別・雇用形態別などのカテゴリ別に20代の年収について解説。そして、年収を上げたいと考えている20代に向けて、年収を上げる方法やアドバイスもあわせて紹介します。

この記事の監修者

中村 賢司(なかむら けんじ)

ライフプランニングゆめたまご代表。住友生命保険相互会社勤務を経て独立。2008年7月に独立系FP事務所を設立し、ファイナンシャルプランナーとして、個人のコンサルティングを行ないながら、テレビ・ラジオ番組への出演、雑誌の執筆などを行う。さまざまなメディアを通じて、家計管理やライフプランの重要性、投資の啓蒙を説いている。
ウェブサイト
YouTube

自分の年収は高い?低い? 20代の平均年収

画像1: 画像:iStock.com/chachamal

画像:iStock.com/chachamal

一般的に20代の年収の基準として語られることが多いのが、「300万円」という金額です。この記事を読んでいる方の中には、「年収300万円だと少ないのでは?」と思っている方もいるでしょう。

しかし、最初に結論を述べると、20代で300万円という年収は低すぎるわけではありません。

20代の平均年収は、国税庁が毎年発表しているデータから算出できます。令和2年9月に公表された「令和元年分 民間給与実態統計調査」1)の調査結果報告書から世代別の平均年収を導き出したところ、下記のようになりました。

〈表〉年代別の平均年収

年代平均年収
20代330万円
30代428万円
40代488万円
50代521万円

※「令和元年分 民間給与実態統計調査」の「事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」の数値に基づき監修者が試算、千円未満切り捨て

20代の平均年収は330万円ということが分かります。つまり「年収300万円は低すぎる」ということはありません。平均より少し低い程度なのです。

ただ、20代とはいえ年齢の幅はあります。20代前半(20~24歳)なのか、後半(25~29歳)なのかによって、事情が変わります。先ほど紹介した調査データでは、5歳刻みでの平均年収が示されています。その数値は下記のようになります。

〈表〉年齢別の平均年収

年齢平均年収
20~24歳263万9,000円
25~29歳369万4,000円
30~34歳409万9,000円
35~39歳444万8,000円
40~44歳476万1,000円
45~49歳499万3,000円
50~54歳524万5,000円
55~59歳518万4,000円
60~64歳410万7,000円

※事業者規模及び年齢階層別の給与所得者数の平均給与(1年を通じて勤務した給与所得者)

20代前半の平均年収は263万9,000円、20代後半は369万4,000円となるのです。つまり、300万円を基準とした場合、20代前半なら平均より多少高く、20代後半だと多少低めだと言えるでしょう。

ただし、この後紹介する性別や業種、企業規模、雇用形態といったカテゴリによっても平均年収は異なります。

また、一概に平均年収より低いか高いかだけを見て、落胆したり・喜んだりしないようにしてください。あくまでも平均年収は仕事の満足度を測るひとつの基準としてみるようにしましょう。それでは、次の項目からより細分化した項目を見ていきましょう。

〈男女別〉20代の平均年収

画像2: 画像:iStock.com/chachamal

画像:iStock.com/chachamal

まずは、男女別のデータです。

〈表〉20代の男女別の平均年収1)

20~24歳25~29歳
男性278万1,000円402万7,000円
女性248万4,000円328万3,000円
男女平均263万9,000円369万4,000円

上記の通り、男性の年収は、20代前半で278万円・20代後半で402万円、女性の年収は20代前半で248万円・20代後半で328万円です。20代前半から後半にかけて、男性はおよそ4割増、女性は3割増の年収になっています。

20代に限らず、男女では年収に差があり、30代・40代と年齢を重ねるとさらにその差は大きくなります。

男女によって年収に差がある理由のひとつとして、総合職と一般職で年収に違いがあることが考えられます。中小・零細企業であれば総合職・一般職の区別があまりありませんが、大企業であればその待遇と給与に差がある傾向にあります。昨今は女性管理職が増加してきてはいますが、総計としてはまだ一般職は女性が多く、総合職には男性が多いという傾向にあり、総合職はのちのち管理職になることも多いことから、どの規模の企業にいても、男性の方が給料は高くなっているのです。

〈業種別〉20代の平均年収

画像1: 画像:iStock.com/Koji_Ishii

画像:iStock.com/Koji_Ishii

(1)民間企業の場合

年収の高低には、業種も深く関係しています。業種別の平均年収についても、「民間給与実態統計調査結果」をもとに見ていきましょう。

〈表〉20代の業種別の平均年収1)

20~24歳25~29歳
建設業341万5,000円413万7,000円
製造業321万8,000円401万2,000円
卸売業・小売業195万5,000円331万9,000円
宿泊業・飲食サービス業142万6,000円262万2,000円
金融業・保険業366万8,000円459万2,000円
不動産業・物品賃貸業257万8,000円419万5,000円
運輸業・郵便業335万8,000円404万9,000円
電気・ガス・熱供給・水道業 411万3,000円513万7,000円
情報通信業342万7,000円418万5,000円
学術研究・専門・技術サービス業・教育・学習支援業288万5,000円379万2,000円
医療・福祉315万3,000円358万5,000円
複合サービス事業288万9,000円349万6,000円
サービス業234万9,000円323万円
農林水産・鉱業237万2,000円323万2,000円

この調査によると、20代で給与水準が最も高いのは、電気・ガスなどのインフラ系です。続いて金融業・保険業、情報技術系業種の年収が高くなっています。インフラ系の年収が高い理由としては、年収水準が高めに設定されているのに加え、大企業が多いことも影響していると考えられます。

一方、年収が低めなのは、宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業などです。これらの業種はもともと年収水準が低いのに加え、年収の上がり幅も少なく、さらには景気にも左右されやすいからです。

上記のデータは2020年9月のデータです。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、宿泊業・飲食サービス業、卸売業・小売業は打撃を受けました。これにより、年収が低くなってしまっていると考えられます。

記事冒頭のデータで、20代の平均年収は330万円と算出されましたが、このように業種によってかなり大きな差があることが分かります。こちらのデータの方がリアルな数字に感じられるかもしれません。

(2)公務員の場合

なお、国家公務員のデータについては、人事院給与局の「平成31年国家公務員給与等実態調査の結果」2)にて公表されています。

〈表〉公務員の平均月収

大学卒/平均俸給額
20代前半1年未満19万3,650円
1年以上2年未満20万1,216円
2年以上3年未満20万7,552円
20代後半3年以上5年未満22万1,127円
5年以上7年未満23万7,905円

大学卒で考えると、1年以上2年未満・2年以上3年未満までが20代前半、3年以上5年未満・5年以上7年未満が20代後半に該当します。

上記の結果と、国家公務員の賞与(ボーナス)は4.45ヶ月分と言われていることを考慮して年収を計算すると、大学卒で20代前半の年収は平均335万円、20代後半で平均375万円です。

公務員の年収は民間の企業ほど、20代前半から後半にかけての昇給幅は大きくありませんが、20代前半の時点で300万円を超えているため、どちらかというと年収は高い部類に該当します

【関連記事】20代のボーナスの使い道、ベストな決め方は? FPおすすめの配分はコチラ

〈企業規模別〉20代の平均年収

画像: 画像:iStock.com/recep-bg

画像:iStock.com/recep-bg

ここまで性別・業種別に年収の違いを見てきましたが、ここからは企業規模(社員数)別のデータも見ていきましょう。

〈表〉20代の企業規模別の平均年収1)

企業規模20~24歳25~29歳
1~4人200万1,000円286万6,000円
5~9人234万1,000円293万9,000円
10人以上30人未満241万5,000円324万9,000円
30人以上100人未満264万9,000円335万3,000円
100人以上500人未満288万8,000円364万8,000円
500人以上1,000人未満292万円383万5,000円
1,000人以上5,000人未満272万9,000円411万6,000円
5,000人以上232万7,000円417万5,000円

こちらも「民間給与実態統計調査結果」で発表されているデータです。これによると、20代前半ではどの規模の企業であっても平均年収は300万円を切っています。しかし20代後半からは、10人以上の企業規模になると、年収300万円以上になるということが分かります。つまり企業規模における年収の差は、20代後半から大きく現れるということです。

また、企業規模が大きくなればなるほど、20代後半にかけての昇給幅が大きい傾向にあります。ある程度の規模の企業なのに自分の年収が低いと感じている20代前半の方でも、企業の業績がよほど悪くならない限りは、上記のように20代後半から上がっていきますので、極端に悲観する必要はないでしょう。

〈雇用形態別〉20代の平均年収

画像: 画像:iStock.com/metamorworks

画像:iStock.com/metamorworks

続いて、雇用形態別のデータです。雇用形態別のデータは、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」3)にて公表されています。こちらの調査では、年収ではなく賃金(月給)を表しています。

〈表〉20代の雇用形態別の平均賃金

20~24歳25~29歳
正社員・正職員21万4,600円24万9,500円
正社員・正職員以外16万8,000円18万800円
雇用形態間賃金格差93.284.2

※雇用形態間賃金格差は、「正社員・正職員=100」とした場合の割合

雇用形態間賃金格差は、正社員・正職員を100とした時に、非正規がどれだけの割合になるかを示しています。

20代前半では正社員・正職員が21万円、正社員・正職員以外が16万円なので、非正規の方が22%ほど低いことになります。さらに、その差は20代後半になるとより広がっていることが、表を見ていただければ分かると思います。

上記結果に踏まえ、正規雇用の場合は賞与が平均4.5ヶ月分出ること、非正規は賞与がないことを踏まえ年収を算出すると、下記のようになります。

〈表〉20代の雇用形態別の平均年収

20~24歳25~29歳
正社員・正職員354万900円411万6,750円
正社員・正職員以外201万6.000円216万6,960円

※厚生労働省「賃金構造基本統計調査」の「第6-1表 雇用形態、性、年齢階級別賃金、対前年増減率及び雇用形態間賃金格差」の数値に基づき監修者・中村が試算

正社員・正職員であれば、20代前半でも300万円を超えていますが、正社員・正職員以外は20代後半でも300万円以下です。

また、20代前半と20代後半での平均昇給幅も、正社員・正職員以外は正社員・正職員(約57万円アップ)のおよそ1/4程度(約15万円アップ)に止まっています。

近年、国を挙げて同一労働同一賃金(同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指す改革)4)の導入が進められていますが、実際のところ待遇差はまだまだあると言えるでしょう。

番外編:〈地域別〉平均年収

画像: 画像:iStock.com/Nikada

画像:iStock.com/Nikada

最後に、地域別のデータも見ておきましょう。こちらは20代に限らず、全世代のデータを含んでいます。

〈表〉地域別の平均年収1)

平均年収
東京501万6,000円
名古屋439万8,000円
大阪438万1,000円
福岡384万7,000円

今回は、東京・名古屋・大阪・福岡を抜き出してみました。すると、企業規模の大小にかかわらず、東京と他の大都市圏では平均年収にかなり差があることが分かりました。

東京と地方だと100万円以上年収が変わることもあり、生活費を考慮しても相対的に東京の方が残るお金のほうが高いと言われています。20代だけの平均年収データはありませんでしたが、20代でも地域ごとに年収が異なる可能性は高そうです。

現在の年収に不満あり。収入を上げたいなら?

画像: 画像:iStock.com/ Drazen_

画像:iStock.com/ Drazen_

ここまで、20代の年収について様々なカテゴリに分類して紹介をしてきましたが、リアルな実態をある程度把握できたのではないでしょうか。

「自分の年収は、同じ業種で見れば平均水準だった」「むしろ、高い方かもしれない」と思った人もいるでしょう。ただ、平均より高かったからといって、現在の年収に満足していない人も多いことでしょう。

そこで、20代が収入を上げるにはどんなことをすればいいのか。いくつか方法を紹介します。

(方法1)副業をして副収入を得る

画像: 画像:iStock.com/DragonImages

画像:iStock.com/DragonImages

最近は大企業でも、副業ができるようにしくみが変わりつつあります。リクルートキャリアの調査5)によれば、副業を許容・容認している企業は3割を超えており、少しずつですが年々増えているようです。もし副業ができる環境なのであれば、取り組むことで年収アップにつながります。

ただ、副業も分野によっては専門的知識や能力が必要であるため、本業と同じ業界の仕事をしている人が多いです。確実に稼ぎたいのであれば、そのような方向がいいでしょう。

また、年間収入が20万円を超える場合、確定申告による納税義務が発生しますし、副業が認められていない会社で副業を行った場合、罰則として解雇もあり得ます(上記で示した現業と同種の副業を制限している企業もあります)。納税ルールに加えて、社内ルールも守り、正しく副業するようにしましょう。

【関連記事】副業した時に注意したい「確定申告」の注意点。詳しい内容はコチラ

(方法2)転職をする

転職も、年収アップのきっかけになる可能性があります。これまで業種別や雇用業態別、地域別に年収データを見てきましたが、それらを踏まえると、より年収が高い条件のもとへ転職をするのも手です。

例えば、以下のような方針で転職するのもありでしょう。

〈表〉年収アップを目指した転職の方針

  • 今より平均年収が高い異業種へ転職する
  • (現在非正規雇用なら)正規雇用の会社に転職する
  • 平均年収が高い東京エリアの会社に転職する

20代は何事にも挑戦できる年代です。今の仕事では今もこれからも自分が理想とする年収を得られないと感じているのであれば、転職活動してみることを考えてみてもいいでしょう。

【関連記事】転職の第一歩は、「理想の働き方」を考えるところから。キャリアデザインの重要性についてはコチラ

(方法3)資格を取得して資格手当をもらう

画像2: 画像:iStock.com/Koji_Ishii

画像:iStock.com/Koji_Ishii

会社によっては、指定された資格を取得すれば、基本給に資格手当が上乗せして支給されたり、昇給に繋がったりすることがあります。

資格手当が支給されるパターンとしては、仕事に関係がある資格を取得した場合です。また、資格手当ではなくとも、資格取得時にお祝い金や奨励金を支給する会社もあります。

勤務先によって対応は異なりますが、会社がどのような手当や援助を行ってくれるのか、一度調べてみてはいかがでしょうか。もし手当が支給されるのであれば、仕事でも役に立つので、資格取得に励むことをおすすめします。

(方法4)将来的に昇進・昇給するための自己投資をする

すぐに収入アップにつながるわけではありませんが、長い目で見て自己投資にお金を使うというのも選択肢のひとつです。

このお金を使って仕事の知識を身につけたり人脈を作ったりしたほうが、仕事の成果につながり、人によっては30代になって年収が100万円単位で上がる可能性もあるのです。

自己投資の一例とすると、下記のようなことになります。

〈表〉効果的な自己投資の例

  • 仕事に関する本を読んで知識を身につける
  • 人脈を広げるために異業種交流会に出かける

20代後半〜30代は年収に大きく変化が現れます。今後の年収アップを考えて自己投資、という道を選ぶのも賢いと思います。

【関連記事】20代から始めたい自己投資8選と失敗パターンとは? 詳細はコチラ

(方法5)残業をして残業代を稼ぐ

画像: (方法5)残業をして残業代を稼ぐ

正攻法とは言い難い方法ではありますが、一番手っ取り早いのが「残業」です。最近は残業を減らす取り組みが各社で行われていますが、残業などで1カ月の就業時間の限度を超えた時には割増賃金率が適用されるため、特に基本給が少ない人は残業代も貴重な収入源と考えている人が多いです。

ただし、残業は原則的に会社の命令に基づいて行うものであり、それぞれの会社でルールがあります。また、法律上、会社員の労働時間には上限が定められているため、無制限に、そして自分勝手に行うことはできないことは認識しておく必要があります。

様々な観点から積極的に推奨はできませんが、年収を上げる確実な方法ではあります。

今の年収は気にせず、それぞれが収入アップのためにできることを

20代だと、目の前の年収に悩むこともあるかもしれません。しかし、20代はまだ社会人のキャリアは始まったばかり。現在の収入について悲観することはありません。

しかし、すぐに収入を上げたいのであれば副業などを行うのもいいですし、長い目で見て将来の収入アップにつながるよう自己投資期間としてもいいでしょう。20代はスタート地点、まだまだこれからです!

This article is a sponsored article by
''.