「どんなことが生活習慣病の原因になる?」
などの疑問を抱えている人は少なくないでしょう。近年、生活習慣病は大人だけでなく子どもの発症も問題視されています。身近な上に、生命に関わる恐ろしい疾患を引き起こすこともあるだけに、予防したいと考えている人も多いはずです。
この記事では、産業医の井上智介さん監修のもと、生活習慣病の予防方法を徹底解説。記事を読めば予防方法のほか、予防のために受けられる健康診断の内容がわかります。
生活習慣病の保障に特化した保険も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
生活習慣病とは
生活習慣病とは、以下のような生活習慣が関与し、発症・進行する病気の総称です。
- 食事
- 運動
- 睡眠
- 喫煙
- 飲酒
生活習慣病の主な疾患としては、具体的に以下のものが挙げられます。
- 糖尿病
- がん
- 脂質異常症
- 高血圧症
- 心筋梗塞、狭心症などの心疾患
- 脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患(脳卒中)
- 肝疾患
- 腎疾患
中でも、がん、心疾患、脳血管疾患は、三大疾病と呼ばれ、日本人の死亡原因の約3分の2を占める危険な病気です1)。
生活習慣病は、かつて成人病と呼ばれていました。しかし、現在では中学生・高校生などの未成年でも発症リスクがあるため、生活習慣病と呼ばれています。どんな人でもかかるリスクがあるため、後述する予防方法をぜひ実践してみましょう。
また、生活習慣病の症状について詳しくは以下の記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
生活習慣病の予防方法
生活習慣病の予防方法は、主に以下の5つです。
- 栄養バランスのよい食事をする
- 運動を十分に行う
- 睡眠を7~8時間取る
- 禁煙する
- 飲酒量を控え休肝日を設ける
具体的な予防方法を詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
生活習慣病の予防方法①食事について
生活習慣病を予防するには、栄養バランスを考えた食事を摂りましょう。栄養の不足や特定の栄養素の過剰摂取は、以下のような病気につながります。
〈表〉栄養素の不足・過剰摂取で起こり得る疾患一覧
栄養素 | 不足で起こる病気・症状 | 過剰で起こる病気・症状 |
---|---|---|
タンパク質 | サルコペニア | ― |
脂質 | やせ | 肥満・脂質異常症 |
糖質 | 低血糖症状 | 肥満・脂質異常症・脂肪肝・糖尿病 |
ビタミンB1 | 脚気 | ― |
ビタミンB2 | 口角炎、舌炎 | ― |
ビタミンB6 | 皮膚炎、口内炎 | ― |
ビタミンB12 | 貧血 | ― |
ナトリウム | ― | 高血圧 |
カルシウム | 骨粗しょう症 | 尿管結石 |
鉄 | 貧血 | ― |
亜鉛 | 味覚障害 | ― |
特に、脂質や糖質の過剰摂取は、肥満の原因になるので注意が必要です。肥満は糖尿病、高血圧などの原因になります。
肥満の改善・予防は、食物繊維やビタミンを補う食事が効果的です。不足しやすい野菜を副菜や汁物で摂り、血液をサラサラにする魚料理などを主食に取り入れましょう。
また、カロリー過多を防ぐため、自身の体型やBMIに合ったカロリー量を知ることは大切です。最適なカロリー量はウェブ上に無料で調べられるサイトがあるので、一度チェックしてみてください。
生活習慣病の予防方法②運動について
適度な運動は、生活習慣病の予防に欠かせません。運動不足は肥満をはじめとした生活習慣病を引き起こす原因の1つです。厚生労働省の「運動基準・運動指針の改定に関する検討会 報告書」によると、18~64歳が必要な運動量は、1日あたり60分のウォーキング程度です2)。
運動不足になると、以下のような生活習慣病のリスクが高まります。
- 内臓脂肪型肥満
- 高血圧
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 筋力低下(サルコペニア)
- ロコモティブシンドローム
上記の疾患にかかるリスクを減らすには、1日あたり30~60分、息が少し弾む程度の運動をしましょう。スクワットや片足立ちなど、筋力アップの運動を取り入れると、予防効果はさらに上がります。いきなり激しい運動をすると、続かなかったりケガをしたりといったリスクがあります。最初は1日数分でもよいので、毎日続けることを目標にしましょう。
生活習慣病の予防方法③睡眠について
睡眠は、体の疲労を回復するための大切な行為です。睡眠不足は記憶力・集中力の低下や、生活習慣病の発症リスクを高めます。メタボリックシンドロームをはじめ、高血圧や糖尿病、うつ病や眼精疲労などの原因には睡眠不足も挙げられます。
生活習慣病を防ぐには、1日7~8時間の質のよい睡眠が必要です。睡眠をしっかり取るためには、以下を習慣付けることが大切です3)。
- 適度な運動をする
- 栄養バランスのよい食事をする
- 睡眠と目覚めの時間にメリハリをつける
- 肉体と心の目覚めのため朝食を摂る
- 就寝前の喫煙・カフェイン摂取・飲酒は避ける
質のよい睡眠を毎日しっかり取れば、生活習慣病にかかりにくい体がつくれるでしょう。
生活習慣病の予防方法④喫煙について
喫煙が生活習慣病の原因となることは想像に難くないでしょう。年間12〜13万人が能動喫煙、1万5,000人が受動喫煙で死亡しているといわれています4)5)。喫煙により誘発される主な生活習慣病は、以下のとおりです。
- がん(肺がん・咽頭がん・口腔がんなど)
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- くも膜下出血
- 肺気腫
- 慢性気管支炎
いきなり禁煙をしても、長続きしなかった人は多いのではないでしょうか。そのため、まずは1日に吸う本数を減らすことから始めてみるとよいかもしれません。自分ひとりで禁煙ができずに困っている人は、禁煙外来を受診するのもおすすめです。
生活習慣病の予防方法⑤飲酒について
過度の飲酒によって生じる生活習慣病は、以下のとおりです。
- 心筋症
- 不整脈
- がん
- 胃潰瘍
- 肝機能障害
- 脂肪肝
- 慢性・急性の膵炎
- 糖尿病
- 脂質異常症
- 高血圧
- 痛風
- 神経障害
- 生殖機能の異常
純アルコールの適正摂取量は、1日あたり20g程度とされます。具体的には、日本酒なら1合、ビールなら500ml程度です6)。加えて、毎日飲酒するのは避け、週1〜2日は休肝日を設けると生活習慣病のリスクを減らせます。
参考資料
生活習慣病にならないために「予防健診」を受けよう
生活習慣病を予防・早期発見するためには、予防健診を受けることが効果的です。以下では、予防健診の概要や受け方を解説します。
自分でできる予防方法に加え、定期的な健診を受ければ、生活習慣病を防止しやすくなります。ぜひ参考にしてください。
生活習慣病予防健診とは
生活習慣病予防健診は、生活習慣病の予防・発見を目的とした健康診断です。全般的な病気の発見を目的とした全年齢対象の通常健診とは違い、生活習慣病の早期発見・生活習慣改善を目的として行われます。
生活習慣病予防健診の内容・種類は以下のとおりです7)。
〈表〉生活習慣病予防のために受けられる健診一覧
健診名 | 検査内容 | 対象者 |
---|---|---|
一般健診 | 一般診察 尿や血液の検査 胸部や胃部のレントゲン撮影 | 35~74歳の人 |
付加健診 | 一般健診と同等の検査内容 病気の早期発見や生活習慣改善のために追加項目を設定 | 40または50歳の人 |
特定健康診査 | 問診 身体計測 血圧測定 血中脂質検査 肝機能検査 血糖検査 尿検査 | 40歳~74歳の協会けんぽ加入者(被扶養者) |
生活習慣病予防に特化した付加健診は、40歳または50歳の人のみが受けられます。それ以外の人は簡易的な一般健診か特定健康診査を受け、結果を生活習慣病予防に役立てましょう。
参考資料
生活習慣病予防健診の受け方
生活習慣病予防健診は、全国健康保険協会と契約している全国の健診機関で受健できます8)。受健までのステップは、以下のとおりです。
- 健診の案内が届く
- 事業所または被保険者から医療機関に対し予約申し込みをする
- 保険証や健診機関からの案内などを持参し、予約した日付に受健する
令和5年度の生活習慣病予防健診の料金は、一般健診で最高で5,300円程度です。付加健診を受診する場合には、最高で2,700円程度の追加料金がかかります9)。なお、1年に受健できる回数は1人につき1回までです。
参考資料
もしもの時のために、生活習慣病には保険で備えよう
日頃からどれだけ気をつけていても、生活習慣病にかかってしまう可能性はあります。万が一生活習慣病にかかった時の備えとして、保険に加入することも検討しましょう。近年では生活習慣病を含む三大疾病・七大生活習慣病に備えた保険もあるので、内容をよく確認した上で、自分に合った保険選びをすることが大切です。
東京海上日動あんしん生命では、生活習慣病や働けない時の保障に重点を置いた「メディカルKit NEO」や、条件を満たせば病歴がある人でも加入できる「メディカルKitエール」など、もしもの時に備えられる医療保険が豊富です。
三大疾病の支払日数無制限保障など、保障内容も充実しているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
また、生活習慣病の保険については以下の記事でも紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
日頃から生活習慣病の予防をしよう
大人だけではなく、中学生・高校生にも発症リスクがある生活習慣病。中には、がんや脳卒中、心筋梗塞など命に関わる病気を引き起こす場合もあります。ほかにも、肥満や動脈硬化など様々な病気につながる症状があらわれることもあるため、早めの予防・改善が大切です。
食事や運動を見直し、飲酒・喫煙を控えればリスクを減らせます。健康状態に不安があるなら、本記事を参考にし、生活習慣病の予防方法を試しましょう。協会けんぽが主催する生活習慣病健診や、保険などを利用し、生活習慣病に備えるのもおすすめです。