「国立大学は学費が安い」といわれる傾向がありますが、実際にどれくらいの費用がかかるのかを正確に把握できている保護者は少ないでしょう。また、授業料だけを見て安心してしまうと、入学料や生活費、進学先によって発生する追加費用を見落としてしまう懸念もあります。
大学進学は人生の中でも大きな支出を伴うイベントのひとつです。年間でいくら必要なのか、4年間ではどれほどの金額になるのかを早めに把握しておくことで、教育費に対する不安を軽減し、計画的な準備につなげられます。
この記事では、国立大学の学費について具体的な数字をもとに整理するとともに、私立大学や公立大学との違い、注意すべきポイントまでわかりやすく解説します。
この記事の監修者

馬場愛梨(ばばえり)
AFP
証券外務員一種貸
金業務取扱主任者(資格試験合格)
ばばえりFP事務所代表。関西学院大学商学部を卒業後、銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。自身がかつて金銭面で苦労した経験から、むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えするべく活動中。
これまでに1,000本以上の金融・マネー関連記事や解説コンテンツを執筆・監修。
国立大学の学費はいくら?

国立大学の学費は標準額と呼ばれる一定の基準に基づいて設定されているため、どの国立大学に進学しても、基本的な学費水準はほぼ共通です。まずは、国立大学の学費のしくみや具体的な標準額、また近年の動向、今後の見通しについても紹介します。
国立大学の学費の平均額(年間・4年間)
国立大学にかかる主な学費は、入学時に支払う入学料と毎年支払う授業料の2つです。
文部科学省令で定められている国立大学の授業料の標準額は、年間53万5,800円とされています。大学の判断により、この金額から最大20%まで増額することが認められていますが、多くの国立大学では標準額が採用されています。
また、入学料は標準額で28万2,000円で、これは入学時に一度だけ支払う費用です。これらを踏まえると、国立大学に4年間通った場合の学費総額は、授業料約214万円(53万5,800円×4年)に入学料を加え、おおよそ240万円前後が目安です。
国立大学の学費は安いと考えている方は多くいますが、決して小さな金額ではないことがわかります。
国立大学における文系・理系や学部による学費の差
国立大学では、私立大学のように学部によって授業料が大きく異なることはありません。文系・理系を問わず、基本的な授業料や入学料は共通です。ただし、医学部や薬学部、歯学部などは6年制となるため在学期間が長くなり、総額としての学費は高くなります。
また、理系学部を中心に、実験実習費や教材費が別途必要になる場合もあります。授業料が同じでも、学部によって実際の負担額に差が生じる可能性があることは理解しておきましょう。
国立大学の学費の推移と今後の値上げの可能性
国立大学の学費は、長年にわたって標準額として据え置かれてきました。しかし近年、大学の財政状況や物価上昇の影響を背景に、学費の見直しが議論されるケースも増えています。
2025年には、東京大学が授業料の値上げを実施したことが話題となりました。ほかの国立大学においても同時期に値上げを行った大学が見られることから、今後授業料を引き上げる大学がますます増えることは否定できません。
現在の学費水準が将来も維持されるとは限らないため、現在の金額を前提に安心しすぎず、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。
国立大学と私立大学、公立大学の学費を比較

進学先の学費について考える際は、国立大学だけでなく私立大学や公立大学と比較することで、より現実的な判断がしやすくなります。それぞれの大学区分で必要となる費用の違いを整理します。
国立大学と私立大学の学費差(年間・4年間)
以下は文部科学省の令和7年度の調査をもとに作成した、国立・私立の学費差を示した表です。
| 授業料 | 入学料 | 施設設備費 | 初年度合計 | 総額(概算) | |
| 国立大学 | 53万5,800円 | 28万2,000円 | 0 | 81万7,800円 | 242万5,200円 |
| 私立大学文系 | 85万0,392円 | 21万9,951円 | 14万1,892円 | 121万2,235円 | 418万9,087円 |
| 私立大学理系 | 119万5,313円 | 24万5,362円 | 16万1,378円 | 160万2,053円 | 567万2,126円 |
| 私立大学医歯系学部 | 282万5,359円 | 108万8,248円 | 86万5,535円 | 477万9,143円 | 2,323万3,682円 |
参考:文部科学省「令和7年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
参考:文部科学省「国公私立大学の授業料等の推移」
これによると、国立大学の初年度納付金等平均額は約81万円。私立大学文科系(文系)が約121万円であり、単純に計算すると4年間で150万円以上の差があることがわかります。理科系(理系)ではさらに150万円程度高くなり、医歯系学部ではその差はいっそう拡大します。
私立大学の学費について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
関連記事:私立大学の学費|4年間の平均総額と備え方、国立との違いを解説
国立大学でも費用がかさむケース
「国立大学だから金銭的に安心」と考えるのは注意が必要です。学費が比較的抑えられていても、通学形態や進学先によっては、実際の負担額が大きくなるケースがあります。
たとえば、自宅外通学の場合は家賃や光熱費、食費などの生活費が発生します。地域によって生活費や交通費に差があり、通学に車が必要になるケースもあるでしょう。
また、医学部などの6年制学部や大学院に進学する場合は在学期間が延び、その分学費も増加します。法科大学院に進む場合も、2〜3年分の学費が追加で必要になる点を念頭に置きましょう。
公立大学との学費の差
公立大学の学費は、国立大学と大きな差はないのが一般的です。授業料は県や市町村ごとに多少の違いはありますが、国立大学の標準額に近い金額が設定されており、極端に高くなることはほとんどありません。
一方で、公立大学の入学料は、入学者や保護者の居住地が大学の指定する地域内である場合、安くなるケースが多く見られます。地元志向が強い場合は、公立大学も選択肢として検討する価値があるでしょう。
参考:文部科学省「令和7年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
国立大学進学で見落としがちな学費以外の費用

大学に進学する場合は、授業料や入学料以外にかかる費用も考慮しなければなりません。実際には、入学前から卒業までの間に様々な支出が発生し、想定よりも家計の負担が大きくなるケースが多く見られます。
ここでは、国立大学進学の際に覚えておきたい学費以外の費用について見てみましょう。
教材費・実験実習費・設備利用費
一般的に大学では、授業料とは別に教材費や実験実習費が必要です。教科書や専門書は適宜購入する必要があり、内容によっては1冊数千円から1万円以上になることもあります。理系学部では、実験や実習にかかる費用が発生するケースも念頭に置きましょう。
一部の大学では設備利用費や施設設備費といった名目で費用が徴収される場合もあります。私立大学では授業料と別に施設費が設定されている傾向にありますが、国立大学では不要な場合がほとんどです。
学部や履修内容によっては、上記以外にも追加費用が発生する可能性がある点は把握しておく必要があります。
一人暮らしの場合の生活費
自宅外通学となり一人暮らしや下宿を始める場合は、学費以上に生活費が家計を圧迫するケースがあります。全国大学生協連の調査によると、下宿生の1カ月あたりの生活費は平均で約13万円とのことでした。これには家賃、食費、光熱費、通信費などが含まれます。
また、政策金融公庫の調査では、仕送り額の年間平均は約95.8万円(月額約7.9万円)とされており、家庭の経済状況によっては大きな負担となるでしょう。これを4年間で考えると、生活費だけで400万円近い規模になります。
学費だけを見て進学先を判断すると、あとから生活費の重さに直面しかねません。進学を検討する際は、4年間分の生活費を学費と合算して考えることが重要です。
参考:全国大学生協連「第60回学生生活実態調査 概要報告」
参考:株式会社日本政策金融公庫「子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~」
留学・研究活動で追加発生する費用
国立大学では留学や研究活動を積極的に行う学生も多く、進路や学部によっては追加費用が発生します。国際系・外国語系の学部では、短期・長期を問わず留学がカリキュラムに含まれることがあり、その場合は渡航費や滞在費、語学学校の費用などが必要です。
理系学部では、研究やフィールドワークにかかる交通費や宿泊費、調査費用が自己負担となるケースもあります。研究テーマや活動内容によって費用は大きく異なるため、希望進路に応じて想定しておくことが大切です。
入学までにかかる費用
大学進学は在学中の学費だけでなく、受験料など出願にかかった費用や教科書・教材・パソコン費用・スーツ代、入学しなかった大学への納付金など、入学までの短期間にもまとまった費用が発生します。
全国大学生協連の調査によると、受験から入学までにかかった費用は国公立の場合でも、自宅生で約129万円、下宿生は約192万円とのことでした。
特に、入学料や初年度の前期授業料は合格後すぐに支払う必要があるため、十分な備えが必要です。自宅外通学の場合は、引越し費用や敷金・礼金などの住居初期費用も発生し、数十万円単位の出費になることもあるでしょう。
さらに、受験前に塾や予備校、夏期講習などに通っていた場合は、前年度からすでに支出が発生します。これらを含めて考えると、入学前に必要な費用は想像以上に大きくなるため、具体的な金額を把握した上で準備しておくことが重要です。
参考:全国大学生協連「新入生の保護者29,473名から回答「2025年度保護者に聞く新入生調査」概要報告」
国立大学の学費免除・無償化・奨学金制度について

大学進学に伴う経済的負担を軽減するため、国立大学には様々な支援制度が用意されています。代表的なものが、学費免除・減額制度や国の修学支援制度、奨学金制度です。
学費免除・減額制度は家計や学修の状況など、条件を満たした場合に授業料の全額または一部が免除されるしくみです。ただし、申請すれば必ず認められるわけではなく、大学ごとの基準や審査があります。
また、一定の条件を満たす世帯を対象に、授業料減免と給付型奨学金を併用できる修学支援制度もあります。無償化と呼ばれることもありますが、すべての学生が対象になるわけではない点には注意が必要です。
奨学金には、返済不要の給付型と、卒業後に返済が必要な貸与型があります。貸与型奨学金は将来の返済負担を伴うため、安易に利用せず、家計や将来設計を踏まえて慎重に検討することが大切です。
これらの制度は、家計の助けになる一方で「必ず使えるものではない」ことを前提に考える必要があります。制度に頼り切るのではなく、あくまで補助的な手段として捉え、計画的な教育費準備を進めることが安心につながります。
参考:文部科学省「令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!( 「高等教育の修学支援新制度」の拡充)」
国立大学進学に向けた教育費の準備方法

国立大学は私立大学と比べて学費が抑えられているものの、進学にかかる費用は決して小さくありません。授業料や入学料に加え、生活費や入学準備費用なども含めると、まとまった教育資金が必要です。そのため、国立大学進学を想定している場合も、計画的な教育費準備が家計の安心につながります。
いつから教育費準備を始めるべきか
教育費は、準備期間が長いほど将来の負担を抑えやすくなります。これは、積立期間が長くなることで毎月の積立額を少なくでき、家計への影響を分散しやすくなるためです。また、入学時にまとまった資金を一度に用意する必要がなくなり、教育ローンや奨学金の利用額を減らせる可能性もあります。
理想的なのは、子どもができるだけ小さい頃から準備を始めることです。小学校に入学する前から始めても、早すぎることはありません。学資保険などを活用すれば、計画的に資金を積み立てられます。
現状、国立大学を志望していても、受験結果や進路変更によって私立大学へ進学するケースもあるでしょう。早期から教育費を準備しておくことで、進路の選択肢を狭めずに済むメリットもあります。結果として、保護者・子ども双方の安心感につながるはずです。
教育費はいくら準備すれば安心?
目安となる金額を把握しておくと、現実的な教育費計画を立てやすくなります。国立大学進学を想定する場合でも、入学料、初年度の学費、1年分の生活費、入学までにかかる費用などを合算して考える必要があります。
授業料や入学料だけに目を向けるのではなく、入学準備から在学中の生活費まで含めて総額で考えることが重要です。ただし、無理に高額な目標を設定すると、日常生活を圧迫しかねません。家庭の収入や支出状況に応じて、無理のない範囲で調整しながら準備することが大切です。
貯蓄だけで備える場合の注意点
教育費準備として貯蓄は基本的な方法ですが、それだけに頼る場合はいくつか注意点があります。将来的な収入減少や、病気・ケガなどによる予期せぬ支出が発生することも考慮する必要があります。
また、進学費用をほかの貯蓄と混同せず、目的別に分けて管理することも重要です。さらに、単純な預貯金だけでなく、状況に応じて資産運用など複数の選択肢を組み合わせる視点を持つことで、教育費準備の柔軟性が高まります。
国立大学でも学費の把握と早めの準備が重要
国立大学の学費は私立大学より抑えられるものの、4年間で見ると決して安い金額ではありません。さらに、在学中には生活費や学費以外の支出も発生します。こうした現実を踏まえると、国立大学進学であっても早い段階から学費の全体像を把握し、準備を始めることが重要です。
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