そこでこの記事では、ファイナンシャルプランナーの高山一恵さん監修のもと、人生設計ノートの書き方や人生設計を立てるメリットを紹介します。
この記事の監修者
高山 一恵(たかやま かずえ)
株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
人生設計の意味とは
そもそも人生設計とは、誰しもが持っている将来の夢や目標、そして理想の生活のために、自分の人生の計画を立てることです。
人生設計で考えるテーマは、「30歳までに結婚したい」「将来はマイホームが欲しい」「早期退職をしたい」など、家庭や仕事、趣味まで多岐にわたります。
人生設計を立てるメリット
では、人生設計を立てることでどのようなメリットがあるのでしょうか。代表的なものとしては、以下のような点が挙げられます。
- 現状を確認、把握できる
- 目標を具体的に考えることで計画が立てられる
- お金の考え方が身につく
- 人生全体を考えられ、リスクに備えられる
人生設計を立てる際に、自分自身の現状を把握することができるほか、漠然と考えていた夢を具体的な目標として考えるきっかけにもなります。また、計画を立てる過程でお金の流れも把握することになるので、「何にいくらかかるのか」「いつまでにいくら貯めるにはどうしたらいいのか」といったお金の考え方も身につきます。そして、数十年という長期間の計画を立てることで、人生全体を俯瞰して見ることができ、家計が変わるタイミングなどリスクのある時期に気づくこともできるでしょう。
人生設計を立てるメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
人生設計を立てる3つの方法
人生設計を立てる際には、以下のような方法で実際にアウトプットし、「見える化」することが大切です。自分のやりやすい方法を見つけましょう。なお、人生設計の書き方は後述します。
手書きでノートにまとめる
手書きでノートにまとめる方法は自由度が高く、自分好みの人生設計表を作りやすいでしょう。また、実際に書き込む作業が発生するため、1つ1つの内容を意識しやすいかもしれません。
ただし、人生設計を変更したい時に修正がしづらいほか、お金の計算などは自分で行う必要があります。
エクセルで作成する
エクセルなどの表計算ソフトでは、修正を行いやすいほか、お金を計算する手間が省けます。いちから自作する場合には最初にベースをつくる手間が少々ありますが、ウェブサイトなどで無料ダウンロードできるテンプレートを利用すれば、スムーズに作成することができるでしょう。
ただし、エクセルを使用するためのデバイスが必要なほか、ある程度の使用スキルも必要になります。
ウェブサイトやアプリのシミュレーションツールを活用する
ウェブサイトやアプリのシミュレーションツールでは、必要な項目をいくつか入力するだけで大まかな人生設計を立ててくれます。自分で行う作業が少ないため、初めて人生設計を立てる際には利用してみるといいでしょう。
ただし、こうしたシミュレーションツールでは1人1人の事情に沿った細かな内容を反映することができません。より自分に合った人生設計を立てたい場合には、ノートやエクセルなど自分の手で調整できる方法を選びましょう。
以下の記事では、人生設計に役立つおすすめのアプリについて紹介しています。併せてご覧ください。
人生設計を立てる時のポイント3つ
人生設計を立てる時には、以下のポイントを意識するといいでしょう。
ポイント①最初はざっくりと考えてみる
いざ人生設計を立ててみようと考えても、最初から細かな目標や計画を考えられる人は少ないでしょう。初めにつまずいてしまうとせっかくのやる気もなくなってしまうかもしれません。
まずは、思い描くままに自分がやりたいことや理想を書き出すことを意識しましょう。この段階では、実現できるかどうかなどは考えなくて大丈夫です。書き出してみた結果、もし難しい場合には、人生設計を修正していけばいいのです。自分の理想と現実に差があると理解することにも、人生設計を立てる意味があります。
ポイント②将来の目標から逆算して考える
結婚・出産、マイホームの購入、移住など、将来の目標を考えたあとは、そこから逆算して計画を立てるようにしましょう。これは現状から順に考え達成できる時期を決めてしまうと、どの目標も先延ばしになってしまうためです。
この段階では、できるだけ具体的に考えてみることが大切です。前述のように、マイホームの購入という目標であれば、何年後、どこに、どんな家が欲しいのかというところまで目標を具体的にすることで、やるべきことが見えやすくなるでしょう。
ポイント③定期的に見直す
人生設計は一度立てて終わりではありません。自分の暮らしの変化に合わせて、定期的に見直しをすることが重要です。
見直しをするタイミングとしては、可能であれば1年に1回、年末など時期を決めて行うことがおすすめです。家族がいる場合には、家族みんなで行いましょう。毎年見直しの機会を設けることで、その年の目標も意識しやすく、家族間の意識の擦り合わせも行えます。
毎年が難しい場合には、結婚・出産、転職などライフイベントのタイミングでは見直しをするようにしましょう。こうしたタイミングは、生活が変わり収支の変化も大きくなりがちです。予定していた人生設計に問題が生じる場合もあるため、必ず見直しましょう。
人生設計の立て方
人生設計は、以下の5ステップで立てることができます。
ステップ①将来やってみたいことを書き出す
ステップ②やりたいことのカテゴリ分けをする
ステップ③お金に関する情報収集をする
ステップ④達成する期限を決め、人生設計表を作成する
ステップ⑤キャッシュフロー表を作成し、具体的な数字を出す
まずは将来やってみたいと考えている夢や目標を書き出し、整理します。そして、「それらにいくらかかるのか」「いつまでに達成したいのか」の計画を順に立て、人生設計に落とし込みましょう。最後に達成するまでのお金の流れを考えるため、人生設計に収支や貯蓄などをプラスしたキャッシュフロー表を作成し、具体的な資金計画まで立てれば、より充実した人生設計が完成します。
なお、人生設計の立て方については以下の記事で解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
人生設計ノートの書き方
人生設計の書き方の手順は以下のとおりです。前述のとおりアウトプットすることが大切なので、ノートでもエクセルでも、自分のやりやすい方法で実践してみてください。
①横軸に人生設計を立てる年(西暦)の欄を作る
まずは、横軸に人生設計を立てる年(西暦)の欄を作りましょう。現在をスタートの年とし、人生全体を考えるために老後の時期も含む数十年分を含めるのがおすすめです。
ただ、いきなり数十年分一気に考えることが難しいと感じる場合には、まず5年、10年とできるところから始めてみてもいいでしょう。「人生設計を立てる」という作業に慣れることで、人生を計画する感覚をつかんでいきましょう。
②縦軸に家族構成と、ライフイベント、ライフイベントにかかるお金の欄を作る
つぎに、縦軸を記入しましょう。家族構成は、現在独身の場合でも結婚願望があるならば配偶者の欄を、子どもが欲しいと考えているならば子どもの欄を作成しておきましょう。
ライフイベントは結婚・出産、住宅購入など将来予定している予定や目標を記入する欄です。そして、それらのイベントに必要な費用を記入する欄がかかるお金の欄になります。
③西暦に対応した家族の年齢を記入する
縦軸ができたら、西暦に対応した家族それぞれの年齢を記入していきましょう。現在独身の場合には、結婚する予定の年から配偶者の年齢を記入し、出産したいと考えている予定の年から子どもの年齢を記入します。
なお、それぞれの年齢はその年の12月31日時点で統一しましょう。日付を定めることで、子どもの学年や自分の定年のタイミングを把握しやすくなります。
④ライフイベントの欄と、かかるお金の欄を記入する
最後に、ライフイベントの欄に予定や目標を記入し、それらにかかるお金を一緒に記入しましょう。
人生設計に悩んだら、お金のプロに相談してみよう
人生設計を立てることで、将来のために自分が今何をするべきか整理でき、計画的に夢や目標を達成することができるでしょう。この記事で紹介したような人生設計の書き方を参考に、ぜひ実践してみてください。
自分1人で考えることが難しいと感じた際には、FP(ファイナンシャルプランナー)などお金のプロに相談して、アドバイスをもらうこともおすすめです。検討・修正を繰り返して、理想の未来に近づけるための人生設計を立てていきましょう。