子どもが大学進学を希望している場合、「学費はいくらかかるの?」「学費以外に、大学生活でかかる費用はある?」など、気になっている人は多いでしょう。

大学の学費は、1年間で約100万円以上かかることがあります。また大学へ通学する数年間は、学費のほか、仕送りなどで家計への負担が大きく増えることになります。

この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さん監修のもと、大学の学費の平均額を解説します。大学の学費や在学中にかかる費用の相場を知って、早いうちから計画的に積み立てましょう。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

ウェブサイト

4年間でかかる学費の平均は?

画像: 画像:iStock.com/Koji_Ishii

画像:iStock.com/Koji_Ishii

大学の学費の平均は、国立と公立、私立で異なります。それぞれの学費の平均を解説します。

国立大学:4年間の学費の平均

国立大学(4年間)でかかる学費の平均は、約242万円です。また、初年度にかかる授業料は、約53万5,000円です。授業料と入学金の平均を以下の表にまとめました1)

〈表〉国立大学の初年度における学費ならびに入学金(令和3年度)1)

授業料53万5,800円
入学金28万2,000円
合計81万7,800円

国立大学の学費は、文部科学省の方針によって基準が決まっています。基本的には、どの大学でも学費はほぼ同じ金額です。学部の系統によって多少の差はありますが、4年間の授業料は240万円程度となります2)

公立大学:4年間の学費の平均

公立大学(4年間)でかかる学費の平均は、約251万円です1)。また、初年度にかかる授業料と入学金の平均は、以下のとおりです。

〈表〉公立大学の初年度における学費ならびに入学金(令和3年度)1)

授業料53万6,363円
入学金39万1,305円
合計92万7,668円

入学金は国立大学よりも多くかかりますが、授業料の差はほとんどありません。

私立大学:4年間の学費の平均

私立大学は、大学や学部ごとによって大きく学費が異なります。

私立大学(4年間)でかかる学費の平均は、約469万円です3)。国公立大学と比較すると、1.5倍以上の金額がかかります。

以下に、文系、理系、医歯系、その他(家政、保健、体育、芸術系)と、学部ごとの学費の平均をまとめました。

〈表〉私立大学の初年度における学費と入学金(令和3年度)3)

区分授業料入学金施設設備費合計
文系81万5,069円22万5,651円14万8,272円118万8,991円
理系113万6,074円25万1,029円17万9,159円156万6,262円
医歯系288万2,894円107万6,278円93万1,367円489万539円
その他96万9,074円25万4,836円23万5,702円145万9,612円

上の表を見ると、文系よりも理系の入学金が高く、特に医歯系は突出して高いことがわかります。なお、大学によってはこのほかに、後援会費や同窓会費なども任意で納付することがあります。

大学の学費や入学金を支払うタイミング

画像: 画像:iStock.com/SB

画像:iStock.com/SB

大学の学費や入学金をいつ支払うか、気になっている人もいることでしょう。それぞれの費用を支払うタイミングを解説します。

学費は前期と後期に分けて支払うのが一般的

大学の学費の支払いタイミングは、以下の2つから選べます。

  • 前期、後期の2回に分けて支払う
  • 年間の学費を一括で支払う

一般的には、前期と後期の2回に分けて支払うことが多く、一括で支払うことは少ないです。学費は大きな出費であるため、大学側も分割払いを推奨しているケースが多く、2回払いが厳しい場合には、3回以上の分割払いも選択できる場合もあります。詳しくは、進学予定の大学に問い合わせてみましょう。

入学金は合格発表から約2週間後に支払う

合格とわかったら、入学手続きの締め切り日を確認しましょう。入学金を期日までに振り込まないと、入学できる権利を手放すことになります。

また、入学金について注意しなければならないのが、いわゆる“滑り止めの大学”に合格している場合です。滑り止め校の入学金の納付期限が、志望校の合格発表よりも早く来てしまう場合には、入学金を期限内に納付できないと、合格が取り消されてしまいます。第一志望に合格できなかった際の保険として、滑り止め校の入学金を支払うかどうかは判断が分かれるところです。

大学受験の際は、このような想定外の出費が発生する可能性があることも覚えておきましょう。

大学の学費以外でかかる3つの費用

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

画像:iStock.com/kazuma seki

大学受験や入学後の大学生活では、学費以外にも様々な費用がかかります。学費以外にかかる主な費用は、以下の3つです。

それぞれ詳しく解説します。

①大学の受験料

大学入試を受けるためには、受験料がかかります。国公立大学の受験料は1万7,000円ですが、私立大学は3万~3万5,000円程度が多いです。大学や学部によってはさらに高額な場合もあります。

私立大学の場合、複数大学、複数学部を受験することが多いです。6校以上受験することも珍しくないので、受験料だけで20万円以上かかると思っておいたほうがいいでしょう。

②授業に必要な教材や機材費

大学の授業を受けるには、授業料以外にも教材や機材の購入が必要です。必要な教材は、入学時に渡される資料に記載されていたり、初回の授業で伝えられたりすることが一般的です。

また、大学生にとってパソコンは必須アイテムになりつつあります。授業の履修登録やレポート、卒業論文をはじめ、就職活動では選考書類の作成などでも使用します。ただし、大学や学部によっては、推奨されているパソコンがある場合があります。手持ちのパソコンがない場合は、大学からの指示を待ち購入するといいでしょう。

③生活準備費用

画像: 画像:iStock.com/recep-bg

画像:iStock.com/recep-bg

人によっては、進学にあたり大学近くのアパートに引っ越しをして通学するかもしれません。大学生の1人暮らしで想定される生活準備費用は、以下のとおりです。

①引っ越し料金
②家賃
③水道光熱費
④通信費
⑤家具や家電の購入費
⑥生活用品費

上記以外にも、借りる物件によっては敷金や礼金がかかります。大学近くに引っ越しを予定している場合は、生活準備費用も工面しておく必要があります。

▼▽教育費はいくら必要? 子どもの進路先で総額がわかるツールはコチラ▼▽
教育資金シミュレーション
老後資金シミュレーション

大学進学までに学費を積み立てておくことが大切

ここまででご紹介したように、大学進学には、授業料や入学金のほかにも、様々なお金がかかります。そのため大学進学に備えて、計画的に資金を積み立てておくことが重要です。積み立ての方法はいろいろありますが、たとえば以下が挙げられます。

①学資保険に加入する
②児童手当を貯金する
③つみたてNISAを行う

もし大学進学までに時間の余裕がある場合は、上記の方法を検討してみましょう。

大学の学費が払えない時の対処法や、起こる問題については、以下の記事で詳しく解説しています。併せて確認してみてください。

【関連記事】大学の学費が払えない時の対処法について、詳しくはコチラ

大学の学費の負担を抑える4つの方法

画像: 画像:iStock.com/William_Potter

画像:iStock.com/William_Potter

前述したとおり、大学の進学にはまとまったお金がかかるため、家計にとって大きな負担となります。できるだけ早い段階から、計画的に準備をしておく必要があります。

それでも学費が足りない場合に、学費負担を抑える方法を4つご紹介します。

①奨学金を利用する

奨学金を利用することは、学費の負担を抑える代表的な方法です。奨学金は大学生活にかかる費用の工面が難しい学生に向け、お金を貸与したり給付したりする制度です。奨学金には、「貸与型」と「給付型」の2種類があります。

貸与型は融資なので、原則返済しなければなりません。一方、給付型は、返済が不要です。それだけ聞くと魅力的ではありますが、給付型は家計の経済状況と学生自身の成績について厳しい審査があります。とはいえ、要件に該当する場合は申請してみる価値はあるでしょう。

なお、奨学金については以下の記事で詳しくご紹介しています。興味がある人は併せて確認してみてください。

【関連記事】奨学金について、詳しくはコチラ

②修学支援新制度を利用する

奨学金のほかに利用できる制度に、「修学支援新制度」があります。こちらは給付型奨学金の一種で、住民税非課税世帯(※)やそれに準ずる世帯の学生が支援の対象となります。具体的な支援対象は、世帯年収が約270万〜460万円前後である場合です4)

大学学費の免除・減額ができる修学支援新制度については、以下の記事で解説しています。気になる人は確認してみてください。

【関連記事】大学の学費は免除になる? 詳しくはコチラ

※:住民税が非課税となる人のこと。対象者は、生活保護を受給している人や、障がい者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で前年中の合計所得が135万円以下の人、前年中の収入から様々な控除を行い計算した結果、合計所得金額が一定額以下になる人。

③企業返済支援制度を利用する

画像: 画像:iStock.com/Yumi mini

画像:iStock.com/Yumi mini

返済義務がある奨学金は、卒業後に返済をしなければなりません。そこで2021年4月から始まったのが、「企業返済支援制度」です

企業返済支援制度とは、奨学金の一部または全部の返済を、社員に代わって企業が行う制度です。奨学金の返済負担が軽減されるので、未来のためにお金を使ったり貯めたりしやすくなります。

また、企業にとっては奨学金の返済支援によって、応募数の上昇や離職率の低下が見込めるでしょう。正社員雇用時の不安点を払拭できるため、企業側も採用するケースが増えています。

ただし、企業の中には奨学金の返済支援制度を利用する従業員に、勤続年数の縛りを設けているケースがあります。企業返済支援制度を利用する場合は、注意点を把握した上で活用しましょう。

④新聞奨学生として働く

学費以外にも、生活費が心配な学生には、「新聞奨学生」という方法もあります。新聞奨学生とは、新聞の朝・夕刊の配達、集金、チラシ折り込みなどの業務に就きながら、大学や専門学校などに通う学生のための奨学金制度を利用する学生を指します。学費を全額立て替え払いしてもらい、毎月の給与から天引きで返済していきます。

在学中に返済するしくみのため、卒業後に奨学金を返す必要がない点がメリットです。また、新聞社が学費から生活費まで面倒を見てくれるのがポイントです。

ただし、新聞配達の仕事は朝2〜3時頃に起床し、6時半頃まで業務を行います。その後は大学に通い、夕刊があるならその配達もしなければなりません。学業と両立させるには、体力や忍耐力がいるでしょう。

大学の学費を把握して費用を準備しよう

画像: 画像:iStock.com/kokouu

画像:iStock.com/kokouu

大学生活における学費や生活費を解説しました。大学の学費は、主に国公立か私立かで異なります。ただし、国立大学はいくつも受けることができない上に難易度も高いため、私立大学への進学を前提に費用を用意しておくのがベストです。

学費は子どもが小さいうちから計画的に準備をしていく必要がありますが、不足しそうな場合には、高校生のうちに、給付型奨学金や貸与型奨学金、授業料減免なども探しておきましょう。

学費のほかにも、1人暮らしをする場合は生活費もかかります。安心して学生生活を送るために、早いうちから計画的にお金を貯めることが大切です。

将来のお金を増やしたい…と思ったら、「お金のプロ」に相談してみませんか?

将来の子どもの学費に備えて、家計を見直し貯蓄を増やしたいと考えている人は、自分にぴったりの「お金のプロ」に相談してみませんか?

「お金のプロ」とのマッチングサイトでは、あなたの性別や年齢、住んでいるエリア、相談したい事項を選択することで、あなたにぴったりの「お金のプロ」を選ぶことができます。

対面だけでなく、オンラインでの相談も行っているので、ぜひ以下をクリックして詳しい情報を見てみてください。

お金のプロとのマッチングサイト
お金のプロとのマッチングサイト

This article is a sponsored article by
''.