そこで和文化研究家・三浦康子さん監修のもと、お年玉の正しい包み方を図解とともにご紹介。紙幣の折り方やお年玉袋の選び方についても解説します。
この記事の監修者
三浦 康子(みうら やすこ)
和文化研究家。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ウェブ、講演などで活躍中。「行事育」提唱者としても知られる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ366日』(朝日新聞出版)など。
お年玉をあげる時の正しいマナーとは?
売買以外のお金を手渡す場合、基本的に何かに包むのがマナーです。決して“裸の状態”で渡してはいけません。
お年玉の場合は、ポチ袋や祝儀袋に入れるのが定番ですが、懐紙などのきれいな白い紙に包んでもいいでしょう。
では、具体的にどのように包むのが正しい方法なのか、つぎの項目から確認していきましょう。
なお、お年玉に関するマナーについて、詳しくは以下をご覧ください。
【関連記事】お年玉の由来は? 金額やあげる相手はどうする? 基本マナーについて詳しくはこちら
「ポチ袋」にお年玉を正しく入れる方法
まずは、ポチ袋について、正しく紙幣を入れるための手順をご紹介します。
①ポチ袋に「相手の名前」「自分の名前」を書き込む
まずは、「お年玉を贈る相手の名前」をポチ袋のオモテ面の左上に、「自分の名前」をウラ面に書きます。なお、オモテ側に「お年玉」と印刷されていないポチ袋の場合、自分で書き込みましょう。
②紙幣のオモテ面が内側になるように三つ折りにする
ポチ袋に紙幣を入れる時は、紙幣のオモテ面(肖像が描かれた面)が内側になるように、左→右の順でゆるやかに三等分に折ります。
日本文化の基本として、ポチ袋に限らず、風呂敷やご祝儀袋などは、右利きの方が開けやすいように包みます。左→右の順で折ることで、贈られた相手が開く時には右→左の順で開けることができるのです。
袋の大きさによっては、2つ折りや4つ折りにすることがありますが、「縁起が悪い」と感じる方も少なくありません。特に、4つ折りは「死(し)」を連想してしまうので、ポチ袋に4つ折りで入れるのはやめましょう。
③紙幣の向きに気をつけて、ポチ袋に紙幣を入れる
最後に、三つ折りにした紙幣をポチ袋に入れますが、ポチ袋をオモテ面にして、天地が逆さまにならないように折った紙幣(右側がかぶさった状態)を入れます。この場合も、贈られた方が開けた時の状態を意識することがポイントです。
【番外1】硬貨を入れる場合の注意点は?
幼い子どもにお年玉をあげる場合、紙幣ではなく、硬貨を入れることもあるでしょう。この場合にも、硬貨の向きに気をつけ、ポチ袋のオモテ面と硬貨のオモテ面の向きを一致させて入れましょう。
【番外2】複数の紙幣を入れる時の正しい折り方は?
ポチ袋に紙幣を複数枚入れると、「袋が膨らみ不恰好になってしまう」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、お年玉はふんわりと“福々しく”したほうが、「福がたくさん詰まりますように」という想いが込められ、縁起がいいと考えられています。
そのため、ポチ袋が膨らんでも問題ありませんし、むしろ、紙幣はゆるやかに折ることで、意図的に福々しくしてもいいのです。たとえば、5,000円を入れる場合は、あえて1,000円札5枚を入れて膨らみを持たせてもいいでしょう。
ただし、きっちりと綺麗に紙幣を折ることで「折り目正しく」という意味を込める方もいます。どちらが正しいというわけではないので、覚えておきましょう。
「長封筒サイズの祝儀袋」にお年玉を正しく入れる方法
近年、お年玉を包む袋はバリエーション豊かになっています。定番サイズのポチ袋(70mm×100mm程度)のほかに、長封筒サイズの祝儀袋(お年玉袋)も登場しています。
そこで、この項目では長封筒サイズの祝儀袋に正しく紙幣を入れる手順をご紹介します。基本は、結婚式などのお祝いでご祝儀を包む場合と同じです。
①祝儀袋に「相手の名前」「自分の名前」を書き込む
「お年玉を贈る相手の名前」を祝儀袋のオモテ面の左上に、「自分の名前」をウラ面に書きます(水引がついている祝儀袋の場合、「自分の名前」をオモテ面の水引の下に書きます)。なお、祝儀袋に「お年玉」と印刷されていない場合、自分で祝儀袋のオモテ面に書き込みましょう。
②紙幣の向きに気をつけて、祝儀袋に紙幣を入れる
長封筒サイズの祝儀袋(お年玉袋)の場合、紙幣を折る必要はありませんが、紙幣を入れる向きに気をつけましょう。祝儀袋のオモテ面と紙幣のオモテ面(肖像が描かれた面)の向きを一致させた上で、肖像画が天(上)、金額(壱万円、五千円など)が地(下)になるように入れましょう。
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【コラム】紙幣・硬貨のオモテとウラの見分け方
お年玉に限らず、お金を包む場合には、紙幣や硬貨のオモテ・ウラを意識することになります。ただ、「どっちがオモテで、どっちがウラ?」と迷う方もいるでしょう。そこで、ここでは紙幣や硬貨のオモテ・ウラについてまとめました。
紙幣のオモテ面は「肖像画が描かれている」
2,000円札という例外はありますが、紙幣のオモテ面には歴史上の人物などの肖像画が描かれています。ウラ面は「NIPPON GINKO」とローマ字が印字されています。
硬貨のオモテ面は「絵柄が描かれている」
基本的には、絵柄(100円玉の場合は桜花)が描かれているほうがオモテ面。発行年が刻印されているほうがウラ面です。
「ポチ袋」と「長封筒サイズの祝儀袋」は、金額で使い分けよう
ここまで「定番サイズのポチ袋」と「長封筒サイズの祝儀袋(お年玉袋)」の紙幣の入れ方を確認しましたが、これらの袋は基本的に金額によって使い分けましょう。
そもそもポチ袋とは、小さな祝儀袋の総称です。少しばかりの心遣いをしたためた「これっぽっち」という控えめな気持ちが、“ポチ”袋の語源になったといわれています。そのため、定番サイズのポチ袋の場合、少額のお年玉(目安は1万円未満)を包むのに適しています。
一方、高額のお金(目安は1万円以上)のお金を入れる場合、長封筒サイズの祝儀袋(お年玉袋)を選ぶといいでしょう。
ポチ袋や祝儀袋がない時、お年玉は何に入れればいい?
お正月に外出先で友人家族に偶然出会った場合など、相手の子どもに急にお年玉をあげることもあるでしょう。ただ、その場合にはポチ袋や祝儀袋がないことが多いと思います。
前述どおり、お年玉のお金を“裸の状態”で渡すのはマナー的にNGです。ちょうどいいタイミングでコンビニなどで購入できればいいのですが、難しい場合には、ティッシュペーパーでもいいので、何か手持ちの紙に包むようにします。そして、ひと言、ポチ袋がない無礼を詫びて渡しましょう。
お年玉が新札じゃない場合はどうする?
お年玉は、ご祝儀と同様に新札を使用するのが基本です。しかし、銀行や郵便窓口での両替が必要な新札は、用意するのが難しいこともあるでしょう。そんな時は、できるだけきれいな紙幣を選びましょう。
また、新札が用意できなかった場合は、手渡す時に、新札が用意できなかったことについて、ひと言お詫びを添えると、相手を想う心を伝えることができます。
なお、お年玉の新札に関するマナーや入手方法については、以下の記事でより詳しく紹介しています。併せて読んでみてください。
【関連記事】お年玉に新札を準備できない場合どうすればいい? 詳しくはコチラ
お年玉以外にも役立つ! お金の包み方にはマナーがある
これまで、ポチ袋に無造作にお金を入れてしまっていた、という方も多いでしょう。しかし、ご紹介したように紙幣の折り方やお金の入れ方にはマナーがあります。
お年玉以外にも、お金を包む時に応用できる作法なので、様々なシーンで役に立つはずです。ぜひ、この機会に覚えておきましょう。
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