水道代が高くなってしまう原因は、日々の水の使い方のほかに、そもそも水道代が高い地域に住んでいたり、水漏れトラブルが発生していたりするケースがあります。
そこでこの記事では、節約アドバイザー・和田由貴さん監修のもと、水道代が高くなる原因と、すぐにできる節約方法をご紹介します。最近水道代が高くなったと感じている人や、もっと生活費を節約したいと考えている人は、参考にしてみてください。
なお、世の中の水道代の平均に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。地域別での相場もご紹介しているので、「ウチの水道代は高いのかな?」と思った人は、併せて読んでみましょう。
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※この記事では、「上下水道料金」を「水道代」と表現しています。
この記事の監修者
和田 由貴(わだ ゆうき)
節約アドバイザー・消費生活アドバイザー・家電製品アドバイザー・食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」をモットーに、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。
水道代が突然高くなってしまう原因とは?
まずは、水道代が急に高くなった場合に考えられる原因を見ていきましょう。
水道代がずっと高いわけではなく、前月から突然高くなったり、なんらかのきっかけがあって以前よりも高いと感じるようになった場合は、水の使い方よりも「住環境の変化や水漏れ」が原因として考えられます。
ここでは、突然水道代が高くなった場合に考えられる主な3つの原因をご紹介します。
【原因1】水道代が高い市区町村に引っ越した
あまり一般に認識されていませんが、水道代は住んでいる市区町村によってかなりの差があります。
そのため、引っ越しによって市区町村が変わった場合は、使っている水の量が変わらなくても、水道代が高くなったり安くなったりする可能性があります。
また、水道代は市区町村の方針で引き上げられたり、料金体系の見直しが行われたりすることもあります。もし、急に水道代が上がった場合には、住んでいる市区町村の水道代の料金体系に変更がなかったかどうかも確認してみましょう。
なお、地域別の水道代の平均については、以下の記事でご紹介しています。併せてチェックしてみてください。
【原因2】水道代の基本料金が高い物件に引っ越した
水道代の基本料金は、水道の口径サイズによって異なります。口径サイズとは水道管の太さのことで、「呼び径」や「メーター口径」とも呼ばれます。水道管が太ければ太いほど流れる水の量も多くなるため、水道代もかかります。
つまり、水道の口径サイズが大きい物件ほど、水道代の基本料金も高くなるということです。引っ越しなどで市区町村が変わっていないにもかかわらず、水道代が急に高くなった場合には、物件に応じて基本料金がそれまでよりも上がった可能性があります。
たとえば、東京都の口径の太さ別の水道代の基本料金を見てみましょう。
〈表〉水道の口径サイズによる水道代の基本料金
水道の口径サイズ (メーター口径) | 基本料金 |
---|---|
13mm | 860円 |
20mm | 1,170円 |
25mm | 1,460円 |
30mm | 3,435円 |
水道の口径サイズは物件によって異なりますが、一般家庭は13mmや20mmのものが多いです。マンションの場合は25mmの口径を採用しているところもあります。
上記の表からもわかるように、13mmと25mmとでは基本料金に大きな差があるため、口径の大きい水道を採用している物件に引っ越した場合も水道代が突然高くなる可能性があるのです。
【原因3】水漏れが発生した
引っ越しなどの住環境の変化がないにもかかわらず突然水道代が高くなった場合や、使用している水量に対して明らかに水道代が高い時は、住居のどこかで水漏れが発生している可能性があります。
特に冬場は水道管が凍結によって破損し、水漏れを起こす可能性があります。水道管が完全に破裂していると水が出てこなくなるため気づきやすいのですが、小さな亀裂程度の破損では気づきにくく、水漏れを起こしたまま放置してしまうこともあります。
なお、家の中で水漏れが起こりやすい場所と、それに伴う現象は、次のとおりです。
〈表〉水漏れが起こりやすい場所と現象
水漏れが起こりやすい場所 | 水漏れに付随して起こる現象 |
---|---|
洗面所やキッチンなどの蛇口全般 | しっかり蛇口を閉めても常に蛇口周りが濡れている |
トイレ | タンクが緩み、ずっと水が流れている |
お風呂 | パッキンやホース、パイプ、ボルト、ナット周辺が濡れている |
洗濯機 | パッキンの劣化、給水ホースなどのネジの緩み |
【コラム】自宅で水漏れを起こしていないか確認する方法
「水漏れかもしれない」と思ったら、つぎの3つのステップで水漏れかどうかを確認してみましょう。
1.すべての水栓を止める
2.その状態で半日以上過ごし、メーターの動きを確認する
3.メーターが動いている場合、家の中のどこかで水漏れが起きていると判断できる
なお、マンションなどの集合住宅の場合は、水道メーターがほかの住戸のものも含めて複数同じ場所に並んでいることがあります。その場合は、水道代の明細に記載されている「メーター番号」と同じ番号の水道メーターを確認しましょう。
日常生活の中で水道代が高くなってしまう原因とは?
ここまでは、引っ越しや水漏れなど、不可抗力で水道代が高くなってしまったケースについて、原因をご紹介しました。しかし、ほとんどの人は「そんなに使っている気はないけれど、水道代が抑えられない…」という状況ではないでしょうか。
そこで、ここからは日常生活で何気ない水の使い方で高くなってしまう原因について、場面ごとにご紹介します。毎日の入浴やトイレ、料理など、水を使うシーンは日常生活の至るところにあり、節水を心がけることで水道代を大きく節約できる可能性もあります。
水道代が高くなる原因を確認した上で、すぐにできる節水方法としてはどのようなものがあるのか見ていきましょう。
【原因1】お風呂での水の無駄遣い
お風呂は家庭の水の使用量のうち、約4割を占めます2)。家庭の中では最も多く水を使う場面だけに、水道代が高くなる原因が隠れている可能性が高いです。原因となる行動を挙げてみましょう。
参考資料
①シャワーや蛇口を開けたまま髪や体を洗っている
湯船にお湯を溜めずにシャワーだけで済ませる場合や、常にシャワーを出していないと寒い冬場などは、シャワーを出したまま髪や体を洗ってしまいがちです。洗い流さない間も水やお湯が流れ続けることになるため、水道代も高くなってしまいます。
節水するためには、小まめにシャワーや水道の水を止めながら使うように心がけましょう。
②大人数の住む世帯で、入浴をシャワーのみにしている
大人数が住む世帯で、湯船にお湯を張らずにシャワーだけで入浴を済ませている場合も、シャワーで出す水の量が多くなるため水道代が高くなりがちです。
一人暮らしの場合は、湯船にお湯を溜めずにシャワーだけで済ませたほうが節水できる可能性があります。しかし、二人以上の世帯の場合は、髪や体を洗う際に湯船のお湯も使い、シャワーで出す水の量を抑えたほうが、水道代を抑えられる可能性が高いです。
ちなみに、一般的な浴槽の容量は200Lとされており、シャワーを全開にして約16分間経つと、200Lに達することになります。約16分間をひとつの基準として、家族全員を合わせて16分間以上シャワーを使う場合は、浴槽にお湯を溜めて入浴したほうが節水になるでしょう。
③シャワーヘッドを節水タイプに切り替えていない
シャワーをよく使う家庭では、シャワーヘッドの付け替えも検討してみましょう。穴の数が少ない節水用のシャワーヘッドに変えるだけでも、通常のシャワーヘッドと比べて水道代を抑えることができます。
交換するシャワーヘッドを選ぶポイントは、水圧を高くできるものを選ぶことです。穴が少なくても、水圧が高ければより少ない水の量で髪や体を洗い流せるようになります。
【原因2】トイレでの水の無駄遣い
トイレも家の中でたくさんの水を使う場所のひとつです。トイレの洗浄レバーやボタンには「大」と「小」がありますが、これらを使い分けていないと、水道代が高くなってしまいがちです。
洗浄レバーの「大」を使う回数が多い
最もよくあるトイレでの水の無駄遣いは、洗浄レバーの「大」を頻回に使用してしまうことです。「大」を使うと、1回に15~16Lもの水が流れてしまいます。
ただし、洗浄レバーは正しく使い分ける必要があります。「大」「小」のどちらを使うかという判断基準は、「液体以外を流すかどうか」です。つまり、トイレットペーパーを流す際は基本的には「大」を使う必要があります。
このような基準になっているのは、詰まりのリスクを抑えながら節水するためです。「大」を使うと、1回に15~16Lもの水が流れるのですが、それは下水管の先までトイレットペーパーを流す必要があるからです。節約を意識するあまり、使い分けを間違え、修理代がかかるようなことがあっては意味がありません。その点は十分に注意しましょう。
【原因3】キッチンでの水の無駄遣い
日常的に料理や洗い物をする家庭では、キッチンでの水道の使い方も見直してみましょう。
①食器洗いの際に水を流しっぱなしにしている
食器などを洗う際に、水を流しっぱなしにしていると水道代は高くなってしまいます。節水するためにも、食器洗い用の桶に水を溜めて使ったり、まずは水を出さずに洗剤で汚れを落とした上でまとめてすすぎ洗いをしたりと、水の使い方を工夫してみましょう。
また、食器を洗う前に油汚れや食べ残しをキッチンペーパーなどで拭き取ったり、茶碗を水に浸けておいたりすると汚れが取れやすくなり、使う水の量も抑えられます。
②キッチンの蛇口を節水用のシャワータイプに付け替えていない
お風呂のシャワーの使い方で、シャワーヘッドを付け替えると節水効果が得られるとご紹介しましたが、キッチンの蛇口も同じ効果が期待できます。
蛇口を節水用のシャワータイプに付け替えれば、少量の水でも水圧を高めて使えるようになります。水圧が高ければ、少ない水の量でも効率よく食器の汚れを落としやすくなるためです。
節水用の蛇口は数百円程度で買えるものもあれば1,000円以上するものもあります。購入するものによっては初期費用が多少かかりますが、長い目で見ると水道代の大きな節約につながります。
③シンクの汚れを水で洗い流している
食器を洗ったあとに、シンクの汚れを水で洗い流している家庭は多いでしょう。しかし、このような掃除方法はたくさんの水を使うこととなるため、節水には不向きです。
水で洗い流さなくても、シンクの汚れはキッチンスクレーパーを使ったり、新聞紙や不要な布などで拭いたりすることで十分にきれいにすることができます。水を使う以外の掃除方法も実践して、節水につなげましょう。
【原因4】洗濯機での水の無駄遣い
洗濯機もまとまった量の水を使う家電のひとつです。洗濯する頻度や洗濯機の設定を見直すことで、節水効果が期待できます。
①小まめに洗濯をしてしまっている
洗濯する回数が多いと、その分たくさんの水を使うこととなります。洗濯物はできるだけまとめ洗いすることを意識して、ある程度の量の洗濯物が溜まったら洗濯機を回すようにしましょう。目安としては、洗濯機の容量の8割程度を基準としてみましょう。
②洗濯機を初期設定のまま使用している
洗濯機の機種によっては、設定を変えることで水の使用量を調節し、節水効果が得られることがあります。
たとえば、すすぎの回数が必ず1回となる「すすぎ1回コース」を設定できる洗濯機なら、水の量を抑えて洗濯することが可能です。
なお、すすぎを1回で済ませるには、すすぎ1回用のコンパクト(濃縮)洗剤を使用する必要がある点や、衣類の量や汚れの度合いによってはすすぎが足りない可能性がある点には注意しましょう。衣類の量や汚れに応じて、洗い方を調整することがポイントです。
また、洗濯の際にお風呂の残り湯を使うのも、節水方法のひとつです。お風呂の残り湯を洗濯機の排水に再利用できれば、洗濯機内で新しい水を使う必要がなくなります。
ポイントは、残り湯は「洗い」の段階で使うことです。「すすぎ」の際にきれいな水道水を使うようにすれば、衣類に雑菌やにおいが残る心配もありません。
水道代が高くなる原因を明確にした上で節約方法を実践しよう
自分の水道代が高いのかどうか知りたい人は、以下の記事で水道代の平均を確認するほか、お住まいの自治体の水道局に問い合わせてみましょう。
【関連記事】水道代の平均はいくら? 地域・人数別の目安はコチラ
世帯人数に応じた水道代の目安も踏まえて、毎日の生活を振り返りながら、水道代を抑えられそうか検討することが大切です。水道代が高い原因を特定できれば、自分が実践すべき節水方法も明確になります。
今回ご紹介した節水方法はすぐに実践できるものばかりです。より水道代を節約したい場合は、無理なくトライできるものから始めてみましょう。