一般的に、老後資金として2,000万円の貯金が必要といわれています。「みんな老後資金をいくら貯めているの?」「いつから貯金すればいいの?」と疑問を抱えている人もいることでしょう。

そこでこの記事ではファイナンシャルプランナーの頼藤太希さん監修のもと、2024年時点の最新データからみんなの平均貯金額や老後資金の目安を紹介します。さらに、夫婦、独身などの家族構成別に資金を上手に貯めるコツも解説。最後まで読めば、自分に合った老後資金の貯め方がわかるはずです。

※この記事は2023年12月19日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

頼藤太希(よりふじ たいき)

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用』(宝島社)など著書累計150万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。

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老後資金は結局いくら必要? 2,000万円or4,000万円といわれる理由を解説

画像: 画像:iStock.com/kokouu

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老後に必要な金額の目安として、よく知られているのが「2,000万円」です。この金額の根拠は、どこにあるのでしょうか。まずは、話題となった「2,000万円問題」について解説しましょう。

「2,000万円」という金額は、2017年に総務省が公表したアンケート調査「家計調査報告」1)のデータをもとにしています。具体的には、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)が30年間「平均的」な生活をするために必要と考えられる金額の試算結果から生まれたものです。

2017年の「家計調査報告」1)に記載された「高齢夫婦無職世帯の家計収支」によると、年金が中心となる毎月の実収入は20万9,198円です。一方、支出の合計(消費支出+非消費支出)は26万3,717円となっており、毎月5万4,519円の赤字となります。

仮に「老後」を65〜95歳とした場合、毎月5万4,519円の赤字が30年間続くわけですから、夫婦2人で「平均的」な老後の生活を送るためには、年金とは別に30年間で約2,000万円が必要になる、というわけなのです。

ただし、この金額はあくまでも2017年の「家計調査報告」の調査結果をもとにしたものです。

特にここ数年はインフレの影響で「老後資金4,000万円問題」といわれることもあります。多くの人が「平均的」だと考える生活に必要な資金は、その時の社会情勢によって変化するので、この結果が現在の生活にマッチしているとは限りません。

最新データから、必要な老後資金を試算してみよう

画像1: 画像:iStock.com/kazuma seki

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それでは2024年時点の老後資金は、どれくらいを目安と考えればいいのでしょうか。総務省が公表しているアンケート調査「家計調査報告」2)などを参考に老後に必要な資金を試算してみます。なお、老後資金の目安の詳しい計算方法は後述します。

【夫婦(高齢夫婦無職世帯)の老後資金】(※)
・生活費(夫婦2人):約1,364万円
・介護費(夫婦2人):約1,162万円
・葬儀費(夫婦2人):約196万円
合計:約2,722万円

【独身(高齢単身無職世帯)】(※)
・生活費:約1,107万円
・介護費:約581万円
・葬儀費:約98万円
合計:約1,786万円

※:65~95歳の「老後」30年間を暮らすために必要と考えられる、年金収入以外の資金を試算。持ち家で住宅ローンの返済が完了後の場合。

夫婦の場合は約2,722万円、独身の場合は約1,786万円が必要ということになります。

以下では、生活費と介護費用、そして葬儀費用について詳しく見ていきましょう。

【夫婦・独身別】老後に必要な生活費の目安

画像: 画像:iStock.com/Chaay_Tee

画像:iStock.com/Chaay_Tee

まずは、夫婦の老後資金の目安を試算してみましょう。

〈図〉夫婦高齢者無職世帯の家計収支(2023年)

画像1: 【夫婦・独身別】老後に必要な生活費の目安

2023年の「家計調査報告」の調査結果を見ると、高齢夫婦無職世帯の実収入の平均額が24万4,580円となっているのに対し、非消費支出と消費支出を合わせた金額は28万2,497円、よって毎月の不足額は3万7,916円となっています。

老後を65~95歳とした場合には、毎月3万7,916円の赤字が30年間続くわけですから、2023年の基準における「平均的」な生活を送るためには、約1,364万円の資金が必要と考えることができます。

3万7,916円×12カ月×30年
=1,364万9,760円

つぎに、独身の場合の老後資金の目安を試算してみましょう。

〈図〉高齢者単身無職世帯の家計収支(2023年)

画像2: 【夫婦・独身別】老後に必要な生活費の目安

同じく2023年の「家計調査報告」の調査結果を見ると、高齢単身無職世帯の平均実収入が12万6,905円なのに対し、非消費支出と消費支出を合わせた金額は15万7,673円、よって毎月の不足額は3万768円となります。65~95歳の30年間を「老後」とすれば、2023年基準の「平均的」な生活を送るためには、約1,107万円の資金が必要と考えることができます。

3万768円×12カ月×30年
=1,107万6,480 円

ただし、この試算は、あくまでも2023年の「家計調査報告」をもとにした「平均的」な生活を送る場合の計算結果である点には、注意したほうがいいでしょう。

もしもに備える介護費と葬儀費の目安

画像: 画像:iStock.com/byryo

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ここでは、「家計調査報告」の支出に含まれてない、介護にかかる費用を見ていきましょう

子どもがいない人の場合はもちろん、子どもがいる場合でも介護の費用は自分たちで用意しておきたいと考える人は多いでしょう。つまり「平均的」な生活を送りつつ、「もしも」に備えるためには、プラスアルファの貯えが必要となるわけです。

生命保険文化センターが公表した「生命保険に関する全国実態調査(2021年度)」3)をもとに試算すると、介護費用の月額平均は8万3,000円、介護が必要な期間は平均で61.1カ月(約5年1カ月)です。つまり、介護費用の平均は、8万3,000円×61.1(カ月)=507万1,300円と計算できます。

さらに、住宅改修や介護用ベッドの購入などの一時費用の合計額は同調査によると平均74万円です。これを加えると1人あたり約581万円の備えが必要になると考えることができます。

また、遺される家族に負担をかけないためには、葬儀費用も用意しておくほうがいいでしょう。安心葬儀の調査によると、飲食費や返礼品代も含めて平均97万5,000円です4)

老後資金は、介護費費用や葬儀費用なども考慮した上で貯めるようにするとより安心です。

【関連記事】葬儀費用について詳しくはコチラ

老後に必要な生活費や介護費用の平均額やその内訳について、以下の記事で夫婦・独身別により詳しく解説しています。併せてご覧ください。

【関連記事】FP監修!独身の男女がそれぞれ貯めるべき金額は?

【関連記事】夫婦の老後資金はいくらあれば安心?目安と内訳を徹底解説

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老後資金シミュレーション
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老後資金はいつから貯めればいい? 月々貯めるべき金額は?

それでは、夫婦の場合は約2,722万円を、独身の場合は約1,786万円を目安として、65歳までに老後資金を用意するためには、どうすればいいのでしょう。

貯金だけで老後資金を準備する場合

画像2: 画像:iStock.com/kazuma seki

画像:iStock.com/kazuma seki

それでは、65歳までに老後資金を準備するためには、毎月どれくらいの貯蓄が必要になるのかをシミュレーションしてみましょう。単純計算で現在の年齢から毎月、同額の貯金をした場合の目標額のシミュレーションは以下のようになります。

〈表〉夫婦の場合(65歳までに約2,722万円を貯める場合)

現在の年齢65歳までの年数毎年の目標額毎月の目標額
25歳40年68万1,000円5万7,000円
30歳35年77万8,000円6万5,000円
35歳30年90万7,000円7万6,000円
40歳25年108万8,000円9万1,000円
50歳15年182万4,000円15万2,000円
60歳5年544万4,000円45万4,000円
※1,000円未満は四捨五入

〈表〉独身の場合(65歳までに約1,786万円を貯める場合)

現在の年齢65歳までの年数毎年の目標額毎月の目標額
25歳40年44万7,000円3万7,000円
30歳35年51万円4万3,000円
35歳30年59万5,000円5万円
40歳25年71万4,000円6万円
50歳15年119万円9万9,000円
60歳5年357万円29万8,000円
※1,000円未満は四捨五入

ただし、これは単純に貯金した場合の計算です。実際には、銀行や郵便局に預けた場合には利息が付くことになります。とはいえ現在の金利で考えると、利息はほとんど期待できません。

投資で老後資金を準備する場合

画像: 画像:iStock.com/miya227

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老後資金の目標額を達成するために必要な毎月の費用は、準備を始める年齢によって異なります。そこで年齢別で貯金と積立投資を比較した場合のシミュレーションをしてみました。

〈表〉夫婦:65歳までに約2,722万円の老後資金をつくる場合

すべて貯金に充てた場合に必要な金額(円/月)すべて積立投資に充てた場合に必要な金額(円/月)(※)
25歳からスタート5万7,000円3万円
30歳からスタート6万5,000円3万7,000円
35歳からスタート7万6,000円4万7,000円
40歳からスタート9万1,000円6万2,000円
50歳からスタート15万2,000円12万円
60歳からスタート45万4,000円42万2,000円
※利回り年3%・複利を想定。税金・手数料は考慮しないものとする
※1,000円未満は切り上げ
※積立投資に充てた場合に必要な金額は監修者算出

〈表〉独身:65歳までに約1,786万円の老後資金をつくる場合

すべて貯金に充てた場合に必要な金額(円/月)すべて積立投資に充てた場合に必要な金額(円/月)(※)
25歳からスタート3万8,000円2万円
30歳からスタート4万3,000円2万5,000円
35歳からスタート5万円3万1,000円
40歳からスタート6万円4万1,000円
50歳からスタート10万円7万9,000円
60歳からスタート29万8,000円27万7,000円
※利回り年3%・複利を想定。税金・手数料は考慮しないものとする
※1,000円未満は切り上げ
※積立投資に充てた場合に必要な金額は監修者算出

このように、貯金と比較した場合には積立投資のほうが、毎月の負担を少なくしながら、老後資金の準備をすることができる可能性があるでしょう。

さらに、早いうちから長期運用の積立投資を始めれば、負担額はより軽減されます。老後資金の準備を考える際には、ぜひ投資も併せて検討してみてください。ただし、投資商品は元本保証がされないものがほとんどです。一定のリスクはあることを理解して、利用するようにしましょう。

退職金は減少傾向に。なるべく貯蓄や資産運用をしよう

画像: 画像:iStock.com/Nastco

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老後資金の準備を考える際、退職金をあてにしている人も多いと思います。2023年の総務省統計局「就労条件総合調査」5)によれば、大学・大学院卒の場合、退職金の平均額は1,896万円(定年)となっています。この金額だけを見れば、確かに老後資金の多くを退職金でまかなうことができそうです。

しかし、過去の「就労条件総合調査」を参照すると、大学・大学院卒の場合で2008年は2,323万円、2013年は1,941万円というように、退職金の平均額は減少傾向にあります。この傾向が続けば「退職金があるから老後資金は安心」とも、いい切れないわけです。

また、ここで紹介している退職金は、勤続20年以上かつ45歳以上で退職した場合の平均額で、そのうち6割以上が定年退職です。働き方が多様化している現在では、この条件に合致しない人も増えてきているのではないでしょうか。

さらに、りそな年金研究所が公表しているアンケート調査6)によると、特に中小企業では退職金の制度を廃止する企業の数が増加傾向にあります

〈表〉退職給付制度の実施状況割合の推移(中小企業)

2014年78.9%
2016年69.8%
2018年71.3%
2020年65.9%
2022年71.5%

このことからも、退職金だけを老後資金のあてにすることには、リスクが伴うと考えることができます。ある程度余裕のある老後を過ごしたいなら、そのための準備を自分でしておく必要があるでしょう。

ちなみに年金はいくらもらえる?

年金の受給額は、国民年金のみか厚生年金にも加入しているかで大きく異なります7)

国民年金は、20~60歳の40年加入していると満額がもらえ、令和6年の場合は81万6,000円です8)。未納や免除していない期間があると、その分の受給額は少なくなるので注意が必要です。

一方、厚生年金の受給額は、厚生年金の加入期間と収入や賞与の総額で決まります。厚生年金の加入期間が長く、基本的に収入が多いほど、厚生年金は多くもらうことができます

受給額について詳しく知りたい人は、以下の記事を併せてご覧ください。

【関連記事】厚生年金はいくらもらえる? 詳しくはコチラ

【関連記事】ねんきん定期便で受給額を確かめる方法は? 詳しくはコチラ

老後資金、みんないくら貯めているの?

いつから老後資金を貯めればいいのかを把握したら、つぎに気になるのが、実際にほかの人がどれだけの老後資金を貯めているかでしょう。まずは、年代別の貯蓄額を解説しつつ、その中でも60代の2人以上世帯と単身世帯を詳しく解説します。

年代別の貯蓄額

「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年版)9)10)では、年代別の貯蓄額(金融資産保有額)が公開されています。以下にまとめました。

〈表〉2人以上世帯の金融資産保有額(金融資産保有世帯)9)

20歳代30歳代40歳代50歳代60歳代70歳代
平均403万円856万円1,236万円1,611万円2,588万円2,188万円
中央値171万円337万円500万円745万円1,200万円1,100万円

〈表〉単身世帯の金融資産保有額(金融資産保有世帯)10)

20歳代30歳代40歳代50歳代60歳代70歳代
平均219万円912万円964万円2,288万円2,240万円2,104万円
中央値103万円300万円500万円555万円1,100万円1,100万円

単身世帯、2人以上世帯ともに年齢を重ねるごとに貯蓄額が増えている傾向がありました。

夫婦の場合

画像: 画像:iStock.com/recep-bg

画像:iStock.com/recep-bg

まずは、夫婦の場合です。金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2023年版)9)によれば、60代(世帯)の金融資産保有額の平均値は2,588万円となります。

さらに、この数値は平均値ですから、資産保有額がかなり高い人も含まれています。実態に近い金額の目安を把握したいなら、中央値のほうが適していると考えられます。

中央値を参照すると、60代(世帯)の金融資産保有額は1,200万円となっています。前述のように最新データから導き出した夫婦の老後資金は約2,722万円であることを考えると、多くの世帯は、必要な老後資金が足りていないということになります。

独身の場合

画像: 画像:iStock.com/visualspace

画像:iStock.com/visualspace

続いて、独身の場合です。同じく金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)10)によれば、60代(世帯)の金融資産保有額の平均値は2,240万円となり、中央値は1,100万円となっています。

前述のように最新データから導き出した独身の老後資金は約1,786万円であることを考えると、夫婦の場合と同様、老後資金を十分に準備できていないことになります。

この結果をどう考えるかは人によって異なるでしょう。しかし、老後の不安をなるべく少なくしておきたいなら、前述の試算した金額(夫婦の場合は約2,722万円、独身の場合は約1,786万円)を目安に、老後資金を準備するためのプランを立てることをおすすめします。

老後資金を上手に貯める6つのポイント

最後に、老後資金をしっかり準備するために心得ておきたいポイントについて紹介します。

(ポイント1)老後資金の準備は早くから始めよう

画像1: 画像:iStock.com/takasuu

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当然のことですが、貯金の場合でも投資の場合でも、早く始めるほど毎月の負担額が少なくなります。特に投資の場合は、運用期間が長いほど複利効果のメリットが得られます。最低限の生活を維持するための生活防衛資金を貯金した上で、すぐに準備を始めるようにしましょう。

(ポイント2)「貯め時」を逃さず準備をしよう

画像: 画像:iStock.com/kyonntra

画像:iStock.com/kyonntra

一般的に、貯金や投資に充てるお金をつくるタイミングは「結婚するまで」「子どもが中学生(または高校生)になるまで」「子どもが独立してから自分がリタイアするまでの3回といわれています。この「貯め時」には、しっかりと老後資金の準備をしましょう。

(ポイント3)自分が利用できる制度をフル活用しよう

画像: 画像:iStock.com/JunichiYamada

画像:iStock.com/JunichiYamada

自営業の場合なら小規模企業共済、シングルマザー・シングルファザーの場合なら児童扶養手当などの補助制度、といったように、働き方や家族構成ごとに、老後資金の準備に役立つ制度が異なります。これらの制度は、自分で申請や手続きをしないと活用できないので、情報収集を欠かさずに行いましょう。

(ポイント4)「働き方」についても考えておこう

画像: 画像:iStock.com/metamorworks

画像:iStock.com/metamorworks

今回の記事で試算した老後資金は、65〜95歳の30年間を無職で過ごすことを前提にしたものです。しかし、最近では65歳以上でも現役で働いている人が多くいます。たとえば70歳まで働くと考えれば、「老後の期間は25年間となりますから、必要な老後資金も5年分少なくなるわけです。

高齢化社会に対応し、長く働くためのしくみも整備されている現在であれば、自分が何歳まで働くかということも予定に入れて、老後資金の金額を考えるといいでしょう。

その際に大切なのは、元気に働き続けることができる健康維持です。そのための自己投資も、老後の準備のひとつとして考えておきましょう。

(ポイント5)年金の「繰下げ受給」も検討してみよう

画像2: 画像:iStock.com/takasuu

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長く働くことを前提に老後の期間を見直すなら、併せて検討してほしいのが年金の繰下げ受給」です。

年金受給の開始年齢は原則65歳からですが、60歳から75歳までの間なら、自分で受け取り開始のタイミングを選ぶことができます。年金の受給開始を遅らせることを「繰下げ受給」、逆に早めることを「繰上げ受給」といいます11)

年金の受給開始を1カ月遅らせるごとに、受け取れる年金額は0.7%ずつ増加します。65歳ではなく70歳から年金を受け取ることにすれば、70歳時点で受け取れる金額は、42%も増やすことができるのです。2022年4月からは75歳まで受け取りを遅らせることができるようになり、この場合受け取れる金額は84%増加します。

逆に、年金の受給開始を早めると、受け取れる金額は減少していきます。これまでは受給開始を1カ月早めるごとに0.5%ずつの減少でしたが、2022年4月から法改正により0.4%の減額率に緩和されるようになりました。

【関連記事】年金の繰上げ・繰下げ受給について、詳しくはコチラ

一度年金受給を開始すると、年金額は生涯変更できなくなる点には注意が必要ですが、健康寿命が長くなる傾向にあることを考えれば、もらえる年金額を増やす「繰下げ受給」は、魅力的な選択肢になるかもしれません。

(ポイント6)定期的にライフプランの見直しをしよう

画像: 画像:iStock.com/scyther5

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老後に必要な資金のイメージは、その人の暮らし方や老後にしたいことによって異なります。また、生活スタイルも時代によって変化しますから、今回シミュレーションした老後資金の金額が、必ずしも絶対に必要ということにはなりません。

もちろん、早いうちから老後資金を準備することは大切ですが、それと併せて必要な老後資金の目安については、定期的に見直しすることをおすすめします。

先が読めない時代だからこそ、老後資金の準備はしっかりしておこう

ひとつの会社に長年勤め、退職金と年金で余裕のある老後を過ごすというライフスタイルは、残念ながら過去のものとなりつつあります。老後の生活設計に応じて必要な金額が変わるとはいえ、現在少しでも不安を感じているのなら、なるべく早いうちから老後資金の準備を始めておくべきでしょう。

とはいえ、老後の心配ばかり優先させて、今の暮らしで我慢をしすぎるのも考えものです。長い人生ですから、トータルのバランスを考えて、老後の準備プランを立ててください

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