転職、結婚、子育て、マイホームの購入…これからやりたいことや思い描いている計画はあるものの、具体的な時期や予算まで落とし込めていない人は多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのが「将来設計」を行う(ライフプランを立てる)ことです。

将来設計を行うと、20年後、30年後の未来を具体的に計画でき、それを具体化するために今何をすべきかが見えてきます。この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、4ステップでできる将来設計の立て方を教えてもらいます。

この記事の監修者

画像: 【最短15分でできる将来設計】FP直伝!今後の生き方が見えるライフプランの立て方

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。
ウェブサイト

「将来設計」を行うってどういうこと?

そもそも「将来設計」を行うとはどういうことなのでしょうか。まずは、基本的な部分から解説していきましょう。

将来設計とは、自分や家族の「予定」と「夢」を書き出し、計画を立てていくこと

画像1: 画像:iStock.com/monzenmachi

画像:iStock.com/monzenmachi

どのような人にも「3年後に子どもが小学校入学」「30年後に自宅のローン完済」などの既に決まっている予定や、「年1回は旅行したい」「20代のうちに転職したい」といった夢や目標が何かしらあるでしょう。

将来設計とは、そういった予定や夢を書き出して一覧にまとめ、それを計画に落とし込んでいくことです。計画に落とし込むことで、現在の生活を見直したり、目標を達成するための行動を起こしたりしやすくなります。

将来設計が必要な理由は人によって異なる

画像2: 画像:iStock.com/monzenmachi

画像:iStock.com/monzenmachi

将来設計がなぜ必要なのかは、人によって異なります。

「キャリアアップもしたいし、結婚や住宅購入、移住もしてみたい」というようにやりたいことがいくつもある人は、これから先の人生を俯瞰して、お金や時間のことを総合的に考える必要があります。一方、「フリーランスになりたい」というような明確な目標が一つ決まっている人なら、その目標に向けた資格取得の時期や独立資金の準備、独立後の生活について計画する必要がでてきます。

将来設計というとお金のことばかり考えてしまいがちですが、お金だけに囚われず、自分や家族の価値観に合う生き方を総合的に考えていく方法として捉えるといいでしょう。

また、将来設計を立てたからといって、そのとおりに生きなければいけないわけではありません。あくまでも紙に書いたプランの1つなので、何度書き直してもいいですし、将来設計にない予定が生じたら改めて立て直せばいいのです。

将来設計を行うメリットは?

将来設計を行うことで得られるメリットは、大きく2つ。それぞれについて詳しく見てみましょう。

メリット1:将来を俯瞰できる

画像: 画像:iStock.com/chee gin tan

画像:iStock.com/chee gin tan

将来の予定や夢について「7年に1回は車を買い替えたいな」「3年後には息子も小学生か」など、個々に考えることはあっても、それぞれの起こりうる時期を含めて総合的に考えることは少ないものです。上記の場合なら、車の買い替えと子どもの入学の時期が重なったら、その年の出費が大きくなってしまいますよね。

将来設計を立てておくと、そういった将来の予定や夢をまとめて把握することができます。車の買い替えや子どもの進学、退職などのイベントを書き出して年表の形でまとめることで、イベントが重なり忙しくなる時期や、お金がかかる時期、貯めやすい時期などが見えてきます

メリット2:「今」何をするべきか判断できる

画像: 画像:iStock.com/AzmanJaka

画像:iStock.com/AzmanJaka

予定や目標を整理し、将来を俯瞰することで、今何をするべきなのかを判断できるようになります。

例えば、「15年後は子どもが大学生になるタイミング。学費がかかるけれど住宅ローンも残っていて、親の介護もあるかもしれない…」という将来が見えたら、「今は支出が少ないから余裕があるように感じても、無駄遣いしないで貯めておいた方がいい」と考えられます。

将来の状況を想定することで、そこから逆算してこれからの行動を決めやすくなります。将来設計は、月々の貯蓄額の目標やキャリアアップのための資格取得、転職を検討する材料になるでしょう。

【基本編】4ステップで行う将来設計

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

画像:iStock.com/kazuma seki

では、実際に将来設計を立ててみましょう。

前述したように何度書き直してもいいので、肩ひじを張らずに、4つのステップで進めてみてください。

ステップ1:未来年表を準備する

〈図〉未来年表の例

画像1: ステップ1:未来年表を準備する

未来年表とは、現在を起点に、将来に向けて進んでいく年表のこと。紙に書いても、エクセルなどで作成してもOKです。

横軸には、ライフプランを行う年から順番に年数を振りましょう。縦軸には自分や家族の名前を書き、横軸に振った年の12月31日時点の年齢を書き込んでいきます。12月31日時点に統一することで、子どもの学年や自分の定年のタイミングなどがわかりやすくなります。

また、縦軸には自分や家族それぞれの夢や予定、家族全員共通の予定を書き込む欄を設けておきましょう。

年表の長さとしては、最低でも「30年分」以上を用意しましょう。遠く感じる未来のことまで書き込むことで、人生をトータルで考えることができます。前半15年、後半15年などに分けて2段で書くと、見やすくなりますよ。

〈図〉2段組みにした未来年表

画像2: ステップ1:未来年表を準備する

ステップ2:未来年表に既に決まっている予定を書き込む

未来年表ができたら、「小学校入学」「住宅ローン完済」「定年退職」など現時点で決まっている予定を、当てはまる年齢の欄に書き込みましょう。

〈図〉既に決まっている予定を書き込む

画像: ステップ2:未来年表に既に決まっている予定を書き込む

既に決まっている予定は書きやすいですし、ほかの予定やかつて思い描いていた夢を思い出すきっかけになることもあります。

ステップ3:将来やりたい夢や目標を書き込む

予定を書き込んだら、「年1回は旅行したい」「7年に一度車を買い替えたい」「定年後は地方に移住したい」など、今後やりたいことを書き込んでいきます。実現性などは考えず、やりたいことを妄想しましょう。

〈図〉夢や目標を書き込む

画像1: ステップ3:将来やりたい夢や目標を書き込む

家族がいる場合は、自分だけではなく、家族全員でそれぞれの夢や目標を書き込みます。それによって、「実は夫は早期退職を考えていた」「妻は子どもが小学生になったら復職するつもりだった」「子どもの目標は大学院に行くことだった」など、それまで知らなかった家族の考えを知ることができます。その夢や目標に向けてどう動けばいいか、家族で話し合いができることも、未来年表を作成するメリットと言えます。

「住宅ローンの頭金」や「旅行1回分の費用」など、費用感や希望額がわかるものは、その金額を書いておくといいでしょう。

〈図〉予定や夢の実現にかかる費用を書き込む

画像2: ステップ3:将来やりたい夢や目標を書き込む

ここまでの工程で、早ければ10分程度、じっくり考えても1時間あれば終わるはずです。

ステップ4:完成した将来設計を振り返る

もっとも大事な工程です。年表を作成した後は、必ず振り返りの時間を設けましょう。

「夢を全部叶えようと思うと、これだけお金がかかるのか」「年1回の旅行は厳しいから、3年に1回にしよう」「この年は支出が少ないから、ちょっと贅沢できそう」など、気づきがあるはずです。

〈図〉将来設計の振り返り

画像: ステップ4:完成した将来設計を振り返る

家族みんなで見返すことで、それぞれがどの夢や予定に重きを置いているかが見え、一家全体での優先順位を考える材料にもなります。

応用編:シミュレーションツールを活用して「お金」の動きを見る

インターネット上には、家族の年齢やまとまった出費があるタイミングを入力することで生涯のお金の動きをシミュレーションしてくれるツールもあります。

例えば、金融庁は「ライフプランシミュレーション」というツールを公開しています。年収や退職金、日々の生活費、住宅ローンの返済額などが細かく記入できるので、現実的な数字を出すことが可能です。

結果が出たら、注目すべきは「金融資産残高」の項目です。ここがマイナスになっていたら家計が赤字ということなので、支出を見直す必要があります。また、「収入-支出」がマイナスの場合、その年は赤字ということ。マイナスの年が続くと金融資産残高が減っていきます。まとまった出費が続く期間には注意が必要です。

将来設計は、定期的に見直すことで効果を発揮する

画像: 画像:iStock.com/JGalione

画像:iStock.com/JGalione

現在の状況や将来の予定は、収入や支出の変化の影響も受けて、時が経てば変わっていくものです。「子どもが進路を大学から専門学校に変えた」ということもあれば、「家族でキャンプをする機会が増え、より荷物が積める車に買い替えた」ということもあるでしょう。

そのため、年1回くらいの頻度で将来設計を見直し、修正していくことをおすすめします。変化を反映することで、違った未来が見えてくるでしょう。

ここからは、「独身」「結婚」「子持ち」それぞれの将来設計について、例を用いて具体的に意識しておきたいポイントを解説していきます。

【独身編】おひとりさまの将来設計の立て方

画像1: 画像:iStock.com/byryo

画像:iStock.com/byryo

まずは独身から。独身の方は自分1人の夢や予定を踏まえればいいので、ライフプランはそこまで複雑にならないでしょう。

ただし、独身を貫くと考えている人の場合、結婚資金や子どもの教育費などの大きな出費がない分、老後も何とかなると高をくくってしまっていることも。40代あたりからリアルに老後のことを考えて準備を始める人がいる一方で、いつまでも目先のことしか考えられない人が多いのも事実です。

独身の方以外も同様ではありますが、賃貸住宅の場合には老後も家賃の支払いが必要になったり、頼れる人がいない分老後資金を多めに確保する必要があったりすることを忘れてはいけません。「将来設計」を行うことは、そういったことに意識を向けるきっかけになるでしょう。

ポイント1:「家」と「仕事」に注目しよう

画像: 画像:iStock.com/whyframestudio

画像:iStock.com/whyframestudio

〈図〉独身の将来設計の例

画像: ポイント1:「家」と「仕事」に注目しよう

「20~30代・独身・1人暮らし」という属性に当てはまる場合、賃貸住宅に住んでいる人がほとんどでしょう。現役時代は収入もあるので問題ありませんが、そのまま賃貸暮らしを続けるということは、定年退職後も家賃を払い続けるということです。その想定であれば、現役のうちに貯蓄しておくなどの対策が必要になります。

現在親と同居しているのであれば、親が老人ホームに入居したり亡くなってしまった場合のことも考えてみましょう。実家を引き継げば、定期的に家の修繕費がかかる可能性があります。20年後、30年後のことまで見据えて、住まいについて考えてみましょう

また、将来設計は、仕事について考えるきっかけにもなります。キャリアチェンジのための転職を考えているなら、なるべく早めに動き出したいところ。遅くとも30代のうちには転職する想定で考えてみましょう。

もちろん、やりたい仕事に就くことも、人生を充実させるためには重要な選択。やりたい仕事に就くことで収入が減るのであれば、その分住居にかかる費用を下げるなどの工夫が必要です。そういったことも、年収や住まいを軸に将来設計を立ててみると見えてくるでしょう。

ポイント2:結婚願望があれば2パターン立ててみよう

画像: 画像:iStock.com/imtmphoto

画像:iStock.com/imtmphoto

〈図〉独身の将来設計の例(結婚と2パターンのもの)

画像: ポイント2:結婚願望があれば2パターン立ててみよう

これから結婚の予定がある人や結婚したいと考えている人は、独身のままの将来設計と結婚した場合の将来設計の2つのパターンを作ってみましょう

結婚する年齢、出産やマイホーム購入の時期、配偶者の年齢などは、設計時の希望で問題ありません。架空の「将来設計」を立てて、結婚生活でかかる費用や働き方の変化などを知ることで、結婚や子育てなどを考えるべきタイミングが見えてくるでしょう。

結婚資金や子どもの教育費などの支出も、仮で将来設計を立ててみればどれだけの金額が必要なのか見えてきます。今のうちから少しずつでも貯蓄できるように、生活を見直しましょう。

【結婚編】新婚夫婦の将来設計の立て方

画像: 画像:iStock.com/kyonntra

画像:iStock.com/kyonntra

結婚したばかりの新婚夫婦や結婚直前のカップルなら、早い段階で一緒に将来設計を行うといいでしょう。お互いの夢や目標を共有することは、その後のよりよい結婚生活への道標となるはずです。

新婚夫婦の場合、子どもがいるパターンといないパターンで将来設計を考えてみましょう。マイホームの購入なども2人の希望を反映して書き込んでみると、現実的なお金の動きが見えてきます。

そして、もっとも重要なポイントは2人の「働き方」です。

〈図〉新婚夫婦の将来設計の例

画像: 【結婚編】新婚夫婦の将来設計の立て方

ポイント1:「共働き」or「片働き」をきちんと検討しよう

画像: 画像:iStock.com/maruco

画像:iStock.com/maruco

夫婦2人とも働き続けるのか、子どもができたらどちらかが退職するのか、世帯の収入もシミュレーションしたうえで、夫婦の意見を一致させることが重要です。

出産をきっかけにどちらかが退職した結果、生活が苦しくなってしまったというケースはよくあります。一方、夫婦共働きを続けていくと、子どもがいても多少の贅沢ができる生活を保てることが多いのです。

片方の年収が高く、それだけで生活が回るのであれば、片働きも選択肢の1つになります。しかし、一般的な年収であれば、共働きを検討した方が安心といえるでしょう。

ポイント2:共働きなら、子育て中も制度をフル活用して働く想定でいよう

共働きで生活していくのであれば、子どもが生まれてからも正社員で働き続ける想定をしておきましょう

もし、正社員の仕事を辞めてパートを始めた場合、時給1,000円で1日6時間、週5日働いても、ひと月12万円程度。正社員で時短勤務の制度を使った場合と比べて、労働時間はほぼ変わらないにもかかわらず、収入は大幅に下がる可能性があります。

共働きをすることで得られる経済的な効果は大きいのです。子育てと仕事の両立が大変な時期は、一時的に出費が増えても、一時保育やベビーシッターなどのサービスを活用して乗り切ることを考えてください。

【子持ち編】子育て世帯の将来設計の立て方

画像: 画像:iStock.com/kokoroyuki

画像:iStock.com/kokoroyuki

子育て中の夫婦の場合、子どもの年齢やマイホームを購入していれば住宅ローンの返済計画などの予定が固まっているため、将来設計を立てやすいでしょう。

〈図〉子育て世帯の将来設計の例(退職頃)

画像: 【子持ち編】子育て世帯の将来設計の立て方

未来年表を30年分作ったとしたら、注意すべきは、その後半部分です。

ポイント1:「後半15年」の準備を今から始めよう

画像2: 画像:iStock.com/byryo

画像:iStock.com/byryo

小さな子どもがいる家庭だと、小学校入学やマイホームの購入など、前半15年はハッピーなニュースが多い時期でしょう。片や後半15年は、子どもが大学生になって教育費がかかり、自分は定年退職を迎え、住宅ローンの返済は定年後も続く…という厳しい現実が見えてくることが多いのです。

目先のことを優先し、その場の勢いで「この家を買っちゃおう」「子どもは私立中学に入れよう」と決めていくと、後半に苦しくなる場合があります。将来設計を立ててお金がかかる時期を把握しておくことで、冷静な判断ができるようになるでしょう。

特にしっかりと確認したいのが、夫婦の定年前後の状態。定年後も子どもの教育費がかかったり、住宅ローンが残ったりする場合は、定年を遅らせたり今から多めに貯金をしたりといった準備に早めに取りかかりましょう。

ポイント2:「空白の期間」を新たな目標のヒントにしよう

画像: 画像:iStock.com/kazoka30

画像:iStock.com/kazoka30

子育て世帯の家族が将来設計を行うと、特に専業主婦(夫)の人は「予定がなくて、自分の欄だけ埋まらない」と感じることがあるかもしれません。不安に感じるかもしれませんが、それこそが大きな気づきだといえます。

空白の期間は、新しいことに挑むチャンスと捉えられるからです。「復職のための資格取得」「友達と旅行」など、やりたいことをその期間に入れてみると、実現に向けて動き出せるかもしれません。

気づきをプラスに変えて「理想の将来」へ

画像: 画像:iStock.com/west

画像:iStock.com/west

将来設計を行うことで、大きな出費や定年後の生活への不安など、つらい現実に気づく方もいると思います。ただ、その不安の原因は20年、30年先のことであることが多いはず。今のうちから不安を取り除くための行動に取り組めばよいのです。

将来設計を立てないで直前になって焦ることに比べたら、はるかに余裕があります。その気づきをプラスの行動に変えて、理想の将来にしていきましょう。

This article is a sponsored article by
''.