だけど、1人よりもチームの方が力になる。ましてや家族なら、きっと大きな力になるはず! 今こそ、お金の管理をみんなで考える「家族マネー会議」をはじめてみませんか?
第2回は、みんな気になる「食費」の問題。マネ子さんもパパも、なにやらモヤモヤを抱えている様子です。
<登場人物・マネ子さんファミリー>
今日はみんなでお出かけ。ごはんはどうする?
ー休日のショッピングモール、夕方ー
「疲れた……」
「朝からずっと買い物してるもんね」
「うふふ、可愛いルームライト買ってもらえてうれしい!」
「ぼくも、どうぶつパズルかってもらったもんね〜」
「2人ともよかったね。家族マネー会議のおかげだね」
「そうね。みんなで話し合って、家計から出してもOKなものを決めたの、よかったわ」
「はあ〜おなかすいた〜。ママ、晩ごはんなぁに?」
「う、まだ何も考えてないわよ」
「ぼく、ギョーザたべたい!」
「いいね!」
「よし、じゃあ餃子屋さんで食べて帰りましょう」
「え、また外食? お昼もフードコートで食べたのに……」
「何? 買って帰るの? ごはん炊かなくちゃいけないじゃない」
「いや、だって食費、高くついちゃうんじゃないかなって。ほら、僕のランチ代も食費から出してもらうようになったじゃない? あれだって、1日あたり500円換算で月1万円で、でも正直1日1,000円くらいは欲しいなって気持ちもあるし」
「どさくさに紛れて自分の話を差し込んできたわね」
「まあまあ! ママ、ごはんは私が炊くから、買って帰ろうよ。私おうちでゆっくりしたいな。そんで、食べたら【家族マネー会議】しよ!」
「食費は工夫次第で力になる。まさに家族マネー会議の本領発揮!」
解説:横山光昭(ファイナンシャルプランナー)
私は食費の理想割合は手取り月収の12〜15%と伝えています。もちろん収入額や家族構成にもよりますが、20%近いとかけすぎの可能性があります。ただ、それはあくまで目安。いくら以上だとかけすぎ、もっとかけないように、と考えるよりも、家族の大事な楽しみとして、バランスを考えておいしく無理せずやっていける方法を、みんなで模索してみましょう。それこそ家族マネー会議の出番です。
家計を左右する「食費」、把握してる?
ーその日の夕食後ー
「今日の議題は食費ね」
「『しょくひ』ってなあに?」
「家族の食べ物、飲み物にかかるお金よ。うちの場合は、外食やテイクアウト、宅配にかかったお金も食費として計算しているわ」
「よその家と比べて、うちは多いの? ママはよくスーパーで特売品買ってるよね」
「そうね。普段食費には結構気を使ってるつもりよ」
「も、もちろん、普段買い物から何からやってくれてるのはすごいと思っているよ。ただ、あんまり外食となると、大丈夫なのかなって」
「パパはうちの食費がいくらかかってるのか、知らないの?」
「そうだね、ママに任せっきりだよ」
「でもさ、家族のお金だから、家族みんなで知っておいた方がいいよね」
「えっ! みんなに教えるの? なんかそれ、緊張するんだけど……」
「ママ〜」
「わ、わかったわよ〜」
<横山さんのワンポイントコメント>
家計管理、特に食費に関してはママに任せっぱなしで、実際に月に食費にいくらかかっているのかママ以外は知らない、というご家庭は多いでしょう。
マネー会議は、そういった家族で使っているお金をみんなで共有する絶好の機会。家計簿をつけているご家庭であれば、定期的に家計簿をみんなで確認するのを習慣にしてみるのもいいですね。
さて、マネ子さん家の食費はどれくらいかかっているのでしょうか……?
マネ子さん、食費管理がんばってます
「はいこれ家計簿。ここが先月の食費。約6万円」
「ろくまんえん……! そんなに?」
「いや、手取り月収の12〜15%前後がいいって聞くから……うん、ウチでそれはスゴイと思うよ」
「まあね。しかもこないだから、パパのランチ代1万円もここから出してるからね」
「……!」
「となると、残りは5万円。えっ、1週間で使えるのは1万円?」
「そうよ。最近ムウタなんてすごい食べるからカツカツよ」
「だって〜、ごはんおいしいんだも〜ん」
「待って、今日のお昼、フードコートで4人分3,000円くらい使ってたよね」
「そうね」
「餃子のお持ち帰り、4人前で1,000円だったよね。外食してたらまた3,000円くらいになってたってこと?」
「パパがビール飲んだらもっといくわね」
「えーっ! 1週間の予算の半分以上を、今日の昼と夜で使っちゃうところだったの?」
「……その分、普段の食費を節約してなんとかするわよ」
「これは、パパが心配するのもわかるなぁ」
「ミミちゃん、ありがとう。でもね、ごめん、違うんだ」
「どういうこと?」
「パパが間違ってた。この食費の額を見て、やっと気づいたよ」
ママに任せっきりではなく、みんなで助け合おう
「マネ子ちゃん、僕ね、ランチ代が1日あたり500円だと正直足りないって思っちゃってたんだ。『たまには餃子ランチでも行くか〜』なんて思っても足りなくてね」
「パパずる〜い、ぼくもギョーザたべた〜い」
「そう、パパだけずるかった。家族全員の食費が6万円を切ってるのに、僕のランチ代だけに1万円も割いてくれてたなんて。それを1日1,000円にしてほしいなんて、月2万円もかけようなんて、そりゃマズいよ。ダメだ」
「パパ……」
「たまにランチを食べたいなら、2日に1回は家から弁当作って持っていって、2日分の1,000円を使えばよかったんだ。今日だって、お昼に外食したなら、晩ごはんはみんなで作ればよかった。そうやって、家族みんなで、食費のバランスを取っていけたらいいんじゃないかな?」
<横山さんのワンポイントコメント>
ひと月の食費を知ることで、家族の知らないところで食費管理を頑張っていたマネ子さんの姿を知ることができました。さらに、パパのランチ代問題についても、パパの意識の変化とアイデアで無事モヤモヤを解消できそうですね。
さて、あと残るは外食にかけるお金についてですが、食費管理も食事作りも頑張っているマネ子さんの立場からすると、たまには外食をしたくなりますよね。このお金と手間の問題、マネ子さん一家はどのように解決するのでしょうか。
「ぼく、ママがつくったギョーザだいすき!」
「ムウタ……。そうね、手作り餃子なら安く済むかもね。でもね……」
「?」
「ギョーザ作るの、今日みたいに疲れて帰ってきてからなんて無理だから! 工程も多いし時間かかるし洗い物もたっくさん出るの! みんなで作るって言ったって、材料買うのも私、野菜刻んでひき肉とこねるのも私、あなたたちはそれを皮に包むだけでしょう!? 水とかお皿とか全部用意して、焼くのも私!! キーッ!」
「わわっ、ま、マネ子ちゃん、ごめんね、そうだよね大変だよね。教えてくれてありがとう。それ、今度餃子やる時は、みんなで手分けしよう」
「え……」
「うん! 今の話だと、私にできるのは、買い物と、お水やお皿の準備かな。洗い物もやるよ」
「僕も買い物と洗い物はやるし、野菜を刻んで餡を作るのも出来そうだよ。調味料とかは教えてくれる? ネットで餃子の焼き方調べてみるよ。いっぱい作って、次の日の弁当にしたいな」
「ぼくはしょうゆをだせるし、ギョウザいっぱいたべる〜」
「なんだか楽しいね!」
「みんな……。私の方こそごめんなさい。1人で抱え込みすぎてたみたい」
「それくらい、頑張ってくれてたってことだね。本当にありがとう。でもこれからは、家族みんなで考えて、実行していこう!」
<本日の家族マネー会議 議事録>
- まずはみんなでかかっている食費を把握しよう
- パパのランチは、お弁当の日も増やそう
- お昼に外食をした日は、夕食は家でみんなでごはんを作って食べよう
- 家事も食費管理も、みんなで考えて、助け合ってバランスを取って行こう
さて、次にマネ子さん家のマネー会議の議題に上がるのは一体……?(#3へ続く……)