一人暮らしの節約において、大きなカギを握るのが食費です。コロナ禍で外食費が減ったとはいえ、テイクアウトやデリバリーサービスを利用する機会が増え、食費が嵩んでしまう人も多いのではないでしょうか。「周囲よりも食費がかかっているのでは……」と、不安に駆られている人もいるかもしれません。この記事では、一人暮らしの食費の平均額と、すぐに始められる食費の節約術、食費を抑えるための3日分の買い物リストと献立の具体例を紹介します。

※この記事は、2021年4月30日に更新しています。

まずはチェック!一人暮らしの食費平均額

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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食費を節約するなら、最初に自分の食費が多いのか、少ないのかを把握しないといけません。一人暮らしの食費の平均額を紹介しましょう。

食費の平均額は約4万円/月

総務省が発表した「2020年 家計調査」1)によると、単身世帯の1カ月あたりの食費は平均38,257円です。2019年の同調査では40,331円と、2,074円の減少で、コロナ禍で食生活に変化があったことがうかがえます。

1日あたりに置き換えると平均額は1,275円、1食あたりだと425円になります(※1日3食、1カ月30日間と仮定して計算。小数点以下四捨五入)

ただし、一人暮らしでかかる食費は、自炊中心の人と外食中心の人で大きく差がつきます。自炊中心の人なら、節約をそこまで意識していなくても月2〜3万円に抑えられている場合もありますが、外食中心の人は、特に贅沢なものを食べていなくても月4〜5万円に上っていることが少なくありません。

実際に同データで男女別の食費を比べると、外食の影響の大きさが見えてきます。男性の1カ月あたりの食費は平均42,165円であるのに対し、女性は平均34,850円と、7,315円の差がついています。

その大きな理由は外食で、コロナ禍で減っているものの、男性の外食費は平均10,380円(2019年の同調査では15,439円)、女性は平均5,021円(2019年の同調査では7,238円)と、外食費だけで5,359円もの差額を生み出しているのです。

〈表〉男女別の平均食費と平均外食費

食費外食費
男性42,165円10,380円
女性34,850円5,021円

つまり、食費の平均額は外食中心の人によって底上げされていることが予想されます。まずは外食を減らして自炊の割合を増やすことが、食費を節約するための第一歩になるはずです。

食費が占める割合は?

また、同データによると、単身世帯の1カ月の支出総額は平均150,506円で、支出に対して食費の占める割合は25.4%です。

これはあくまでも目安ですが、食費の割合は支出総額の20%以下に抑えられるようにすると良いでしょう。逆に30%を超えている人は、外食や中食(買ってきたお惣菜などを家で食べること)が多くなっていると考えられるので、節約を意識してみてください。

ただし、食は健康を大きく左右する部分です。栄養素の足りない食事をとるなど無理をして節約するのではなく、他の支出との折り合いをつけて、自分の中での良い割合を探してみてください。

無駄買いをどう防ぐ? 買い物時の節約ポイント

画像: 画像:iStock.com/recep-bg

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このように、食費の節約には欠かせない自炊ですが、当然ながら自炊をすれば必ず節約できるわけではありません

特に一人暮らしの場合、家族と暮らしている場合よりも食材を余らせて無駄にするリスクが高いため、お惣菜を買った方が安上がりになるケースもあります。節約につながるポイントを押さえて、正しく自炊することが必要です。

ここからは具体的な食費の節約術を、順を追って説明します。まずは毎月の予算の設定方法と、買い物のコツについて解説しましょう。

ポイント1:毎月の予算を設定する

食費の節約をするなら最初に取り組まないといけないのが、毎月の食費の予算を設定することです。一人暮らしの場合、まずは3万円を目標にスタートするのが良いでしょう。単純計算で1日あたり1,000円という金額なら、節約初心者でも無理なくチャレンジできます。

とはいえ、お米や調味料、粉物、パスタの乾麺などを補充する場合、その日の食費を1,000円で抑えることは難しくなります。そこでおすすめしたいのが、予算を「すぐに消費する食品・食材の予算」と「消費に時間のかかる食品・調味料などの予算」で分けておくことです。割合は3:1ほどが適切で、仮に予算の総額が3万円なら、前者に22,500円、後者に7,500円の予算を割り当てます。

〈表〉食費の予算の分類

すぐに消費する食品、食材肉、魚、野菜、パン、冷凍食品、レトルト食品、カップラーメン、菓子など
消費に時間のかかる食品、調味料お米、調味料、油、小麦粉、ドレッシング、乾麺など

これにより食費の計算が狂いにくくなるため、1カ月を振り返った時に「なぜか予算オーバーになってしまった……」という事態も防げるでしょう。なお、消費に時間のかかるお米や調味料などは、なるべく同時に購入すると予算も管理しやすくなります。

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ポイント2:食材は「食べ切れるもの」と「冷凍できるもの」を購入する

食材を余らせやすい一人暮らしの場合、特に気をつけたいのが食材の買いすぎです。大容量で割安だけど食べ切れないものを買うよりは、少量で割高でも食べ切れるものを買いましょう。なかでも調味料は一人暮らしだと使い切るのが大変なので、100円ショップなどに売っている少量で安いものを選んだ方が、節約につながる場合もあります。

しっかりと日持ちさせるために、冷凍保存できる食材を購入するのもポイントです。特に野菜類はもやしやキュウリなど、傷みやすくて冷凍にも不向きな食材は少なくありません。あらかじめ冷凍できるのか調べた上で、食材を買うのが安全です。

一人暮らしで便利なのは、冷凍のカット野菜です。なかでもブロッコリーやアスパラが入っている洋風のミックス野菜、しいたけやタケノコが入っている和風のミックス野菜など、何種類かの野菜が入っているものがおすすめです。ここから必要に応じて野菜をチョイスするだけで、野菜を個別に買わなくても様々な料理を作ることが可能です。

画像: 画像:iStock.com/bonchan

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逆に肉や魚の場合、冷凍すれば日持ちする場合が多いので、少量のものにこだわる必要はありません。

こうして食材を購入したら、自宅に帰ってすぐに冷凍するのを習慣化しましょう。そのため、肉はブロック肉よりも、バラやロースの薄切り肉、小間切れ、ひき肉など、最初から小分けされていてお手軽に冷凍できるものを購入するのがベターです。魚も同様に、カットされていて1枚ずつラップに包めるものを選びましょう。

ポイント3:買い物する日を固定する

基本的に、買い物の回数が増えるほど出費も多くなります。少量の食材を何度も買うよりは、ある程度の量をまとめ買いした方が割安だからです。それに加え、誘惑に負けて余計なものを買ってしまうなど、衝動買いのリスクも高まります。空腹時に買い物をして、お菓子や惣菜パンなどを必要以上に買ってしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

そのため、買い物の頻度は固定し、数日分の食材をまとめ買いしましょう。とはいえ、数日先までのメニューを計画したり、食材をアバウトに用意してそこから献立を考えたりするのは、一朝一夕にできることではありません。はじめは3日に1回など、自分にとって管理しやすいペースで買い物し、慣れてきたら1週間に1回を目標に頻度を減らしていきます。

ポイント4:支払い方法を見直す

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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食費を節約するなら、買い物の支払い方法を見直すのもひとつの手です。

たとえば、よく利用するスーパーの提携クレジットカードを使えば、お得な割引やポイント還元を受けられるため、1回ずつは少額ですが、年間ではかなりの節約につながります。また、利用履歴を確認することで家計管理も楽になるので、買い物用のクレジットカードは1枚に集約すると良いでしょう。

よく利用するスーパーのポイントカードを作るのもおすすめです。ただし、加入したポイントカードのルールにはきちんと目を通しておきましょう。

ポイント獲得の条件は各社によって異なり、なかには現金払いでなければ、ポイントを得られない店舗もあります。普段はクレジットカードで支払い、“ポイント◯倍デー”のみ現金払いに切り替えるなど、各社のルールに合わせて最も節約につながる方法を見極めてください。

調理時の節約ポイント

画像1: 画像:iStock.com/monzenmachi

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食費を節約するために工夫できるのは、買い物だけではありません。ここでは、調理をする時に押さえておきたい節約術について解説しましょう。

ポイント1:作り置きは「ついで」にする

料理を作り置きするのは、定番の節約術のひとつです。休日などにまとめて作り置きをしておけば、食材が使い切れなくなるのを防げるのはもちろんのこと、それを平日のお弁当に回すこともできるため、昼食代を浮かせることにもつながります。

とはいえ、作り置きのために料理をするのは面倒に感じる人も多いでしょう。そこでおすすめなのが、普段の食事を作った時、“ついで”に料理の一部を保存しておくことです。これなら実質的に作り置きをしているのと変わらず、お手軽に実践できます。保存した料理が増えていけば、食事のたびにいくつもの食材を消費しなくても、レパートリーを維持することが可能です。

画像: ポイント1:作り置きは「ついで」にする

保存の際は、お弁当で使用するアルミのカップなどに料理を入れ、100円ショップなどに売っている大きめの製氷皿で冷凍すると便利です。

保存の手間がかからないのはもちろんのこと、料理の品数が増えてもひと目でわかるため、簡単に管理できます。そのままお弁当箱に詰められるので、忙しい朝でもお弁当を用意しやすくなるのもメリットのひとつです。

ポイント2:冷蔵庫にある食材から献立を考える

画像2: 画像:iStock.com/monzenmachi

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食費を節約するなら、冷蔵庫に入っている“ありもの”で献立を考えられるかは重要なポイントです。食材から逆算して料理をできるようになれば、食事のたびに何種類もの食材を揃える必要はありません。

しかし、慣れないうちに食材から献立を考えようとすると、うまく思いつかずに好きでもない料理を食べることになったり、変わりばえのしない食事をとることになったりします。

そこで有効なのが、食材の名称を入力して検索することです。たとえば、手元にある食材を「たまねぎ ピーマン 豚肉の小間切れ」のように打ち込んで調べれば、これらを使ったレシピが検索結果に表示されます。

料理の名称で検索する人は多いですが、食材でも検索できるのは盲点ではないでしょうか。こうして献立の引き出しを少しずつ増やしていきましょう。

ポイント3:お弁当を作る。難しい日は白米だけを持っていく裏ワザを

1日の食事のうち、お金がかかりがちなのがランチです。職場の近くで外食したり、コンビニ弁当に頼ったりしやすいため、時には1,000円以上の出費になってしまう場合もあります。それを防ぐために、なるべく職場にはお弁当を作って持っていくようにしましょう。

お弁当を作る時間をどうしても確保できない日は、お弁当箱に白米を詰めるだけでも構いません。その場合、昼休みにはコンビニやスーパーなどでお惣菜だけを買い足しましょう。

これならコンビニ弁当よりも出費を抑えつつ、お腹を十分に満たすことができます。「白米を持って来ている」という意識で外食の誘惑にも勝てる、というのも大きなポイントです。

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3日分をシミュレーション。食費を抑えるおすすめの献立

ここまで様々な節約術を解説してきましたが、実際にどのような献立になるのかイメージできない人もいるのではないでしょうか。そこで、食費を抑える3日分のおすすめ献立をご紹介します。

3日間×3食を自炊するための買い物リスト

まずは3日分の買い物リストを紹介します。お米や調味料を除いて、2,600円ほどに収めました。

先ほど、「買い物は数日分まとめてすること」という節約ポイントをご説明しましたが、3日分をまとめて購入することで、他の日に余分な買い物をしなくて済むようになります。

このリストを見ながら実際に買い物をしてみて、「肉・魚類」「野菜類」「その他」が実際にどれくらいの分量になるかがわかったら、次の買い物ではその分量を思い浮かべながら、別の食材を取り入れてみるのが良いでしょう。

また、個別の食材を選ぶ際には、以下のポイントを覚えておきましょう。

〈表〉買い物の際のポイント

  • もやしのような消費期限が短い食材は先に使い切る計画を立てる
  • 豆腐やベーコンは、小分けパックになっているものを選ぶ(日持ちがする)
  • 買い物のスパンを長くする場合、初日に肉類を小分けにして冷凍することを前提にする

〈表〉買い物リスト(全て税込み)

肉・魚類金額
豚小間肉(200g)215円
鶏胸肉(280g)148円
卵(1パック10個入り)217円
塩サバ(1枚)107円
ベーコン(5枚入り4連パック)278円
鮭切り身(1枚)107円
野菜類金額
冷凍野菜ミックス(1袋)253円
キャベツ(1/2個)107円
レタス(1個)162円
ほうれん草(1把)173円
玉ねぎ(1個)71円
えのき茸(1袋)107円
トマト(1個)107円
もやし(1袋)30円
じゃがいも(1個)50円
その他金額
食パン(1斤)107円
豆腐(3個パック)85円
牛乳(500ml)140円
カレールー(1箱)140円
総計2604円

【1日目の献立】(約666円)

◆朝/約179円

・トースト(食パン1枚)
・ベーコンエッグ(卵1個、ベーコン2枚)
・サラダ(レタス2~3枚、ブロッコリー〈冷凍ミックス〉、カリフラワー〈冷凍ミックス〉)

◆昼(弁当)/約217円

・鶏肉のピカタ(鶏胸肉100g、卵1個)
・ほうれん草のソテー(ほうれん草1/4把、ベーコン少量)
・ジャガイモのカレー炒め(じゃがいも1/4個、トマト1/4個、ブロッコリー〈冷凍ミックス〉)

◆夜/約270円

・焼き魚(塩サバ2/3)
・野菜炒め(豚小間50g、キャベツ1/6個、もやし1/2パック、玉ねぎ1/4個、卵1個)
・みそ汁(豆腐1パック、えのき茸1/4パック)

【2日目の献立】(約728円)

◆朝/約186円

・焼き魚(鮭切り身1)
・みそ汁(もやし1/4パック、ほうれん草1/4把)
・冷奴(豆腐1パック)

◆昼(弁当)/約237円

・サバの塩焼き(塩サバ1/3)
・えのきのベーコン巻き(えのき茸1/2パック、ベーコン1パック)
・ホットサラダ(冷凍野菜ミックス適量)
・キャベツの胡麻和え(キャベツ1/8個)

◆夜/約305円

・オムライス(鶏胸肉80g、玉ねぎ1/8個、にんじん少量〈冷凍ミックス〉、卵2個、牛乳)
・スープ(ベーコン少量、えのき茸1/4パック、ほうれん草1/4把、牛乳)
・カットトマト(トマト1/2個)

【3日目の献立】(約687円)

◆朝/約190円

・フレンチトースト(食パン1枚、卵1個、牛乳)
・スープ(キャベツ1/8個、ブロッコリー〈冷凍ミックス〉、にんじん〈冷凍ミックス〉、ベーコン2枚)

◆昼(弁当)/約201円

・生姜焼き(豚小間100g、玉ねぎ1/8個)
・卵焼き(卵1個)
・もやしとほうれん草のナムル(もやし1/4パック、ほうれん草1/4把)
・じゃがいものきんぴら(じゃがいも1/4個)

◆夜/約296円

・カレー(豚小間50g、じゃがいも1/2個、タマネギ1/2個、にんじん〈冷凍ミックス〉、カレールー)
・サラダ(蒸し鶏〈鶏胸肉50g〉、レタス2~3枚、ブロッコリー〈冷凍ミックス〉、卵1個)

献立を立てる時のポイント

献立を立てる時のポイントは、1つの食材をメインにした一品料理で済まそうと思わないことです。

慣れないうちは、1つの食材を使ってドンと出すようなレシピを考えがちですが、多少面倒でも色々な素材をこまごまと使うレシピを考えた方が、栄養や色どりのバランスのよい献立にしやすいのです。

そうすることで、肉や魚などの単価が高い食材をふんだんに使わずとも1食の満足度を上げられます

先述した「ついで」につくる作り置きや冷凍食品を活用しながら、肉も野菜も分割してパズルのように組み立てていくことが、一人暮らしの献立では重要になってきます。

食費の節約で大切なのは「食の満足度を維持すること」

最後に強調しておきたいのは、食費の節約は我慢して切り詰めるものではないということです。

もやしやキャベツなど、安価な食材で無理やりお腹を満たしていれば、確かにお金はかかりません。ですが、それでは体に悪く、食を楽しむこともできなくなります。食費の節約とは、あくまでも「食の満足度や栄養バランスを維持しながら、いかに出費を抑えるか」を考えるものです。

逆に言うと、食費の節約術を身につけることは、おいしくて栄養バランスのいい食事を作ったり、献立の引き出しを増やしたりすることにつながります。一生もののスキルになるので、ぜひ前向きな姿勢で食費の節約に取り組んでみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者

和田由貴

節約アドバイザー・消費生活アドバイザー・家電製品アドバイザー・食生活アドバイザーなど、幅広く暮らしや家事の専門家として多方面で活動。「節約は、無理をしないで楽しく!」をモットーに、耐える節約ではなく快適と節約を両立したスマートで賢い節約生活を提唱している。
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