今回は、結婚して3カ月のAさんご夫妻へのご提案事例を東京第三支社所属のライフパートナー・宮崎晃より紹介します。
この記事の著者
宮崎 晃
東京海上日動あんしん生命保険、東京第三支社所属のエグゼクティブライフパートナー。2019年度MDRT成績資格終身会員。AFP(日本FP協会会員ファイナンシャルプランナー)。住宅ローンアドバイザー。保険はもちろん、家計相談、じぶん年金づくり、住宅ローン等、年間400件を超えるお金に関するご相談を対応しています。また企業経営者様にも様々なリスクマネジメントのサポートをしています。
【今回のご相談者】
Aさん:25歳、自動車整備工場勤務
妻:23歳、看護師
世帯収入:800万円(夫470万円/妻330万円)
家賃:8万円弱(賃貸マンション・駐車場代込)
貯蓄:約100万円
生命保険:夫…未加入、妻…団体保険に加入
3カ月前に結婚し、千葉県佐倉市在住。子どもはいない。現在、夫婦合計で毎月5万円を積立貯金。将来、家を購入するかどうかは考え中。
Aさんご夫婦にケアしてほしいのは、家計において優先的に考えるべき3大資金。すなわち、「住宅資金」「お子さんの教育資金」「老後資金」です。
今はまだお子さんがいませんので、イメージがわかないと思いますが、お子さんの教育費がピークになるタイミングは、住宅ローンの返済を抱えながら、自分たちの老後も心配になり始めるタイミング(30代後半〜40代)と被るケースが多くなります。
したがって、何を優先して、どのようにお金を準備すれば良いのか、今の段階から考え始めるのは非常に良いことですね。グッドタイミングでご相談をいただきました!
私からAさんご夫婦にアドバイスさせていただいたポイント3点をお伝えします。
【ポイント1】低金利に踊らされないように。住宅予算は“もしも”を考えて!
まず、マンションなのか、一戸建てなのか? 新築なのか、中古なのか? どのエリアで探すのか? で予算が大きく変わってきます。
予算を組む際に注意してほしいのは、「低金利のローン」です。最近は住宅ローンを低金利で組むことができるので、安易に高額物件に手を出してしまうケースも少なくありません。
Aさんご夫婦は現在ダブルインカムですが、お子さんができれば世帯収入は一時的に落ちる可能性がありますし、病気やケガが原因で今と同じようには働けなくなるなんていうことが発生しないとも限りません。
したがって、予算はまずは世帯主であるAさんの毎月の収入のなかから無理なく返済でき、かつ定年退職にあたる年齢までに返済できる金額に留めることをおすすめします。
またそのほか、固定資産税などの維持費も考えておく必要があります。マンションの場合は、物件費用のほか、管理費や将来のメンテナンスに備えた修繕積立金も必要になります。特に、修繕積立金に関しては、途中から上昇する場合も少なくありません。
またこれらは住宅ローン完済後も必要になるお金なので、老後について計画を立てる上でも考慮が必要になります。
今はまだ、マンションにするか一戸建てにするか、新築か中古か、はっきりと決められていないとのことですが、まずはある程度購入額の目処を立てて、頭金を貯めることを当面の目標としたいですね。
住宅ローンを組む際の頭金の目安額については、様々な見解がありますが「物件価格の1~2割程度」というのが一般的です。仮に変動金利で住宅ローンを組む場合は金利上昇リスクも考慮する必要がありますので、できるだけ頭金は多めに準備しておくことをおすすめします。
これらの情報をベースにお二人と話し合いを進めた結果、Aさんが35歳になるまでには3,000万円前後の物件を購入したい、との意見で一致。この目標を達成するために、月3万円の住宅資金積立を現在行っている月5万円の貯金とは別建てで行い、35歳までに400万円を準備することにします。
なお、一定期間で確実に積み立てたいお金ですので、リスク性のある金融商品は適していません。
Aさんのご勤務先には、給与天引きの積立制度があるということですので、住宅購入頭金を積み立てていく最適の手段として活用をおすすめしました。
【ポイント2】生活水準を落とさずに家計をスリム化する方法を見つけよう!
頭金を貯めるために、まず可能な範囲で家計のスリム化についてアドバイス。
スリム化というと、食費を節約する、とか、外食を控える、といったイメージをお持ちになると思います。しかし、ストレスがたまらない範囲で行うことが長続きさせるために重要です。
そこで目を付けたいのが、「各種料金の支払い方」などのちょっとした方法の見直しや、楽しみながら行える「ふるさと納税」の利用でしょう。
クレジットカードは手続きが面倒なイメージをお持ちで、一切持たない主義であるAさん。結婚してからも、全ての買い物を現金で行っており、公共料金も「口座引き落とし」です。独身時代はさほど気になる額でもなかった電気代、水道代、ガス代も、これから家族が増えれば、金額もどんどん大きくなってきます。これらをクレジットカード払いにするだけで、各カード会社が持つポイント制度を活用して、生活に二次利用することが可能になります。
毎日食べるお米も、ふるさと納税制度をうまく活用すれば、返礼品という形で受け取ることができますので、実質的な負担を大きく減らすことが可能です。
また、体のために前向きな生活改善を行うことも家計のスリム化に繋がります。
たばこを2日に1箱、月約1.5万円を使っているAさん。たばこを止めれば年間約18万円の支出を削れることに加え、健康な身体が得られます。今後、生命保険に加入する際に、ノンスモーカー型の商品に加入できれば、保険料も安くなります、と一石三鳥。
これには、奥様が看護師ということもあり、激しく賛成! もちろん、たばこを止めたらAさんのストレスが溜まる、ということでは元も子もありません。Aさんは整備工場勤務ということもあり、大の車好き。Aさんの趣味にかかる支出は尊重することでバランスを取り、ご夫妻ともに納得です(笑)。
【ポイント3】病気やケガで仕事に影響が出たときの「万が一の備え」を準備しよう!
現在はダブルインカムのAさんご夫妻。現在は「そこそこ余裕のある暮らし」を感じられていますが、お子さんができて、奥様が産休・育休に入れば、当然ながら現在の収支バランスは維持できなくなります。
さらに、その間にAさんが病気やケガが原因で一時的でも働けなくなってしまう事態が発生した場合、貯金はおろか、家計の収支バランスは一気にマイナスに転じてしまい、5年以内の住宅購入という目標も達成できなくなる可能性も出てきます。
したがって、保険による病気やケガに備えたリスクヘッジも講じておくことが、住宅購入の頭金を毎月積み立てる対策と同じくらい、Aさんご夫妻のファイナンシャルプランニングにおいて優先順位が高いと言えます。
病気やケガへの対策というと、医療保険を想像されるケースが多いと思います。医療保険は入院や手術といった治療にかかるお金への備えという点では大切なものですが、大きな病気やケガにより治療が長引いた場合は、収入への影響が出てしまい、日常の生活にも支障が及びかねないことも考えると、不足が考えられます。
そこで、就業不能保障タイプの保険をご提案。この保険なら、万一大きな病気やケガで、一時的に働けなくなったとしても、毎月お給料のように給付金を受け取ることができますので、生活への影響を回避することはもちろんのこと、住宅購入の実現、そして購入後のローン返済に対しても影響は最小限にすることができるのではないかと考えます。
お子さんがいない今こそ、お金の貯めどき!
読者の皆さんの中にも、Aさんご夫婦のように若くして結婚している人もいることでしょう。お子さんがいなければ、金銭的に余裕がある家庭も少なくないはずです。
大抵は、月々一定の金額を貯めていると思いますが、今回注目してほしいのは、貯めるお金の優先順位のつけ方でした。
お金が必要な時期はどうしても重複してしまうので、将来を見越して、住宅の頭金などの大きなお金は身軽な二人きりの時代に貯めてしまうのが得策です。
それを怠って年齢を重ねてしまうと、短期間で頭金を貯蓄する必要に迫られ、我慢の多い生活を強いられるケースが少なくないからです。
もし、若くして結婚したのであれば、時間の余裕があるときにマネープランを考えてみてはいかがでしょうか? 早ければ早いほど、きっと無理のない計画を立てることが可能になりますよ。
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