老後資金の不安を和らげる方法の1つとして「個人年金」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
しかし、保険会社や金融機関から勧められるなどして聞いたことがあるものの、具体的にはどのようなものでどんな特徴があるのか、詳しくはわからないという人もいるでしょう。
この記事では、「個人年金」や「個人年金保険」とは何なのか、そのしくみやメリット・デメリット、向いている人などについてわかりやすく解説します。
税金関係の取り扱いや、iDeCo・NISAとの違いなども併せて紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
本記載は、2026年5月現在の税制に基づく一般的な取り扱いについて記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
本記事の監修者

田尻宏子(たじりひろこ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
証券外務員一種
証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者まで誰もが納得できる記事を書くのが得意。
個人年金保険とは?

そもそも「個人年金」や「個人年金保険」とはどのようなものなのか、まずは言葉の定義を正しく理解し、全体像を整理していきましょう。
個人年金とは?公的年金との違い
老後資金の話でよく出てくる「個人年金」ですが、似た言葉が多く、意味が混同されがちなので注意が必要です。
まず「個人年金(私的年金)」とは、加入の義務がある「公的年金」とは別に、個人が自分の判断で加入する年金のしくみです。公的年金が老後の生活の土台となるのに対し、個人年金はその上乗せという位置付けになります。
個人年金(私的年金)は、「公的年金だけでは老後の生活が不安」「リタイアしてからも豊かな生活を送りたい」といった人の希望をかなえる手段として活用されています。
個人年金(私的年金)にもいくつかの種類があり、民間の保険会社が提供しているのが「個人年金保険」です。その他、企業が従業員のために用意している「企業年金」や、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」などもあります。
個人年金保険の基本的なしくみ
個人年金保険は、支払った保険料の一部が積み立てられていき、契約時に決めたタイミングが来たら受け取れるしくみになっています。
受け取り開始の時期は自分で選べますが、60歳や65歳など、老後を迎える頃に設定するのが一般的です。年金として、毎年決まった金額を受け取っていくのが基本ですが、全額を一括で受け取ることもできます。
もし、受け取り開始前に本人が亡くなった場合は、一般的には、遺族はそれまでに支払った保険料と同額程度の死亡給付金を受け取れます。
なお、個人年金保険は基本的に老後の資金準備のための保険です。長期間加入し続けるのが前提となっているため、途中で解約すると受け取れる金額が少なくなる可能性があります。
無理なく続けられる保険料を設定して、長期間着実に積み立てていくのが、個人年金保険のメリットを生かすコツです。
個人年金保険の主な種類
個人年金保険にもいくつかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
内容を理解せずに加入すると「思っていたのと違った」と感じやすいため、あらかじめよく確認することが大切です。主な分類と代表的な種類を整理しておきましょう。
【受け取り期間による分類の例】
| 確定年金 | 生死に関係なく、一定期間年金を受け取れる |
| 有期年金 | 生きている場合のみ、一定期間年金を受け取れる |
| 保証期間付終身年金 | 保証期間中は生死に関係なく年金を受け取れ、そのあとは生きている限り一生涯年金を受け取れる |
【受け取れる金額の決まり方による分類】
| 定額型 | 将来受け取れる金額があらかじめ決まっている |
| 変額型 | 運用の結果次第で、受け取れる金額が変わる |
【通貨による分類】
| 円建て | 保険料の支払いや保険金の受け取りを日本円で行う |
| 外貨建て | 保険料の支払いや保険金の受け取りを外貨(ドルやユーロなど)で行う |
たとえば東京海上日動あんしん生命の個人年金保険は、確定年金を受け取れる、定額型の円建て保険です。そのため、決まった期間に決まった金額を必ず受け取れる安心感を重視したい人に向いているといえます。
個人年金保険にも様々な種類があるため、自分の考えや目的に合わせて選びましょう。
個人年金保険のメリット

個人年金保険の主なメリットは、つぎのとおりです。
- 計画的に老後資金を準備できる
- 健康状態に不安がある人でも加入しやすい
- 生命保険料控除が利用できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
計画的に老後資金を準備できる
個人年金保険の最大のメリットといえるのが、計画的に老後資金を準備しやすい点です。
個人年金保険に加入すると、毎回自動的に保険料が引き落とされ、意識しなくてもお金が積み立てられていくことになります。また、途中で解約すると損をする可能性が高いため、貯金のように気軽に「ちょっと引き出して使おう」ということができません。
つまり、自分の意志の力に頼らなくても、半強制的にお金が貯まっていくしくみができるということです。個人年金保険を活用すれば、貯金や投資に苦手意識がある人でも、資産づくりがしやすくなるでしょう。
また、定額型の商品であれば、将来受け取れる年金額の目安があらかじめわかるため、老後の生活設計を練りやすいのも特長です。
総じて、個人年金保険は、老後の資金不足の不安を解消する手段の1つとして有効といえます。
健康状態に不安がある人でも加入しやすい
一般的な生命保険や医療保険などは、加入する際に告知(過去の病歴や健康状態などの申告)や医師の診査が必要です。持病や入院歴・手術歴などがあると、保険に入りたくても希望の条件で入れない場合があります。
しかし、個人年金保険は、告知も医師の診査も原則として不要です。
そのため、今まで「自分は健康上の理由で保険には入れない」と思い込んでいた人でも、個人年金保険なら問題なく加入できる可能性があります。持病がある人や健康状態に不安がある人、高齢者でも検討しやすいでしょう。
個人年金保険にはなぜ告知が必要ないのか、疑問に思うかもしれません。主な理由は、個人年金保険が死亡保障や医療保障ではなく、資金の積立を目的とする保険だからです。
個人年金保険の場合、もし受け取り前に亡くなっても、基本的には今までに支払った保険料相当額が戻ってくるだけです。保障が限定的で、保険会社にとっては加入者の健康リスクによって受ける影響が小さいため、健康状態に関わらず加入しやすい仕様になっています。
生命保険料控除が利用できる
個人年金保険は、一定の条件を満たすと「生命保険料控除」の対象になります。1年間に支払った保険料のうち一定額まで所得から差し引くことができ、所得税や住民税の軽減につながります。
年末調整や確定申告での申告が必要ですが、手続き自体はそこまで難しくありません。詳しい手続き方法については後述します。
控除が認められる金額は、2012年以降の契約の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2.8万円です。「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」とは別枠で、「個人年金保険料控除」が適用されます。
「個人年金保険料控除」として認められるためには、「保険料払込期間が10年以上」「確定年金や有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降で、かつ年金受取期間が10年以上」などの条件をすべて満たす必要があります。
保険会社によっては「個人年金保険料税制適格特約」を付加することで上記の条件を満たせるようになっているため、加入時に確認しておきましょう。
個人年金保険のデメリット

メリットだけではなく、デメリットや注意点についても知っておきましょう。
- 途中で解約すると元本割れする可能性が高い
- インフレに弱い傾向がある
- 流動性が低い
以下、それぞれ解説します。
途中で解約すると元本割れする可能性が高い
元本割れとは、支払った金額よりも受け取れる金額のほうが少ない状態のことです。
個人年金保険は、長く加入して積立を継続すれば、資産を増やせる可能性がある商品です。しかし、保険料を支払う期間が終わる前に途中で解約すると、元本割れする可能性が高くなります。
特に、加入してからの期間が短い場合、解約時に受け取れる金額が大幅に目減りするケースもあるため注意が必要です。
なぜそのようなしくみになっているかというと、個人年金保険では、積み立てられたお金を長期間かけて運用することが前提となっているからです。早期の解約の場合、契約初期にかかる費用などが加味されていることもあります。
個人年金保険に加入するなら、最後まで保険料を支払い続けることができるか、あらかじめよく考えるようにしましょう。
インフレに弱い傾向がある
個人年金保険(特に定額型)は、インフレに弱い傾向があるといわれています。
インフレ(物価上昇)が起きると、同じ金額でも、買えるものの量や質が低下します。つまり、お金の価値が相対的に下がり、実質的には目減りしている状態になります。
特に、長期間にわたって加入する個人年金保険では、この影響を受ける可能性があります。
インフレへの備えを重視したい場合は、ほかの制度や商品と組み合わせて考えるなど、資産全体のバランスを意識することが大切です。
流動性が低い
個人年金保険は、途中でお金が必要な状況になっても、自由に引き出して使うことができません。解約は可能ですが、前述のとおり元本割れのリスクがあるため、気軽に現金化しにくい点はデメリットといえます。
対策としては、急な出費に備えて多めに貯金しておくなど、個人年金保険に手を付けなくても困らない家計づくりを心がけましょう。
保険料を無理のない範囲で設定し、長期的に継続することで、個人年金保険のデメリットの影響を受けにくくなります。
個人年金保険とiDeCo・NISAの違い

老後資金の準備方法としては、個人年金保険のほかに、iDeCoやNISAといった国の制度もあります。いずれも将来に向けた資産形成に活用できる点は共通していますが、しくみや使い勝手などが異なります。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は、老後の資金準備に特化した制度です。自分でお金を出し、自分で運用しながら、資金を積み立てていきます。将来受け取れる金額は、運用の成果次第で変動します。
メリットは、掛金(支払った金額)の全額が所得控除の対象であり、運用益も非課税で再投資になるなど、大きな税制優遇が認められている点です。ただ、原則として60歳まで資金を引き出せないという制約があります。
NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)は、一定額までの投資なら、利益が出ても非課税で済む制度です。iDeCo同様、自分でお金を出して、自分で運用します。
NISAはiDeCoに比べて選択できる運用先の種類が多く、自由度が高いため、自分に合った投資を実践しやすいのが特長です。資金の引き出しもいつでも可能です。一方で、税制優遇面ではiDeCoに軍配が上がります。
これに対し、個人年金保険は、保険料の一部を積み立てて将来年金として受け取るしくみで、定額型であれば将来受け取れる金額の見通しが立てやすい点が強みです。原則として自分で運用を行う必要がなく、計画的に老後資金を準備したい人に向いています。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どれか1つに絞る必要はありません。目的や価値観、家計の状況などに応じて、いくつかを組み合わせて活用するという考え方も有効です。
個人年金保険の税金

個人年金保険ではどんな時にどんな税金がかかるのか、確認しておきましょう。
まず、かかる可能性がある税金は「所得税・住民税」「贈与税」「相続税」のいずれかです。受け取るタイミングや契約内容、受け取り方などによって税金の種類も税額も変わってくるため注意が必要です。
たとえば、契約者(保険料を支払っている人)と受取人が同じで、年金形式で受け取る場合は「雑所得」とみなされ、所得税と住民税がかかります。確定年金を一時金(全額一括)で受け取る場合、所得税と住民税がかかるのは同じですが、「雑所得」ではなく「一時所得」として計算します。
雑所得と一時所得では控除額などが異なるため、自分の場合はどちらが得になるか、あらかじめシミュレーションして比較しておくとよいでしょう。
契約者と受取人が別の場合は、初年度は贈与税、2年目以降は所得税と住民税の課税対象になります。
契約者・被保険者(保険をかけられている人)・受取人がすべて同じで、年金受け取り期間中に亡くなって遺族が年金を受給する権利を引き継いだ場合は、相続税の課税対象です。
このように、個人年金保険にかかる税金は少々複雑です。不安や疑問を感じたら、受け取る前に税務署や税理士などの専門家に相談し、具体的な金額を試算してもらうのも1つの方法です。
年末調整・確定申告では「控除証明書」を使う
ここまで受け取り時の税金について見てきましたが、保険料を支払っている間は、一定の条件を満たせば「個人年金保険料控除」が利用できます。
個人年金保険料控除を受けるためには、原則として、年末調整や確定申告の際に「控除証明書」を提出する必要があります。控除証明書は保険会社が毎年発行する書類で、その年に支払った保険料の金額などが記載されています。
会社員や公務員の場合は、年末調整の際に「給与所得者の保険料控除申告書」を記入し、控除証明書を添付して勤務先に提出します。一方、個人事業主や年末調整を受けていない人は、確定申告の際に控除証明書をもとに必要事項を記入して、手続きします。
控除証明書は、例年10月頃から11月頃にかけて保険会社から郵送されることが多く、年末が近づくと必要になる重要な書類です。届いたらすぐに内容を確認し、紛失しないよう保管しておきましょう。
※控除証明書を電子データで提供する保険会社もあります。
もし控除証明書をなくしてしまったとしても、多くの保険会社では再発行に対応しています。電話窓口や加入者専用のマイページから手続きできるケースもあるため、あわてずに確認することが大切です。
控除証明書の扱いを理解しておくことで、年末調整や確定申告をスムーズに進めやすくなります。個人年金保険を活用するなら、こうした実務面も併せて押さえておきましょう。
個人年金保険はどんな人に向いている?

個人年金保険が向いている人、向いていない人にはそれぞれどんな特徴があるのか見ていきましょう。
【個人年金保険に向いている可能性が高い人】
- 将来の生活に備えて準備を進めたい人
- リスクを避けて堅実に資産形成したい人
- 健康上の理由等で、ほかの制度や商品を活用しにくい状態の人
など
【個人年金保険に向いていない可能性が高い人】
- リスクを取ってでも積極的にお金を増やしたい人
- 近いうちに資金を使う予定がある人
- 資金の柔軟性を重視したい人
など
個人年金保険は、老後資金を計画的に準備するための手段です。「貯金が苦手だけど資産づくりはしておきたい」「老後に確実に受け取れるお金を確保しておきたい」という人にとっては、心強い選択肢となるでしょう。
iDeCoやNISAと違って運用先を自分で選ぶ必要がないのも長所ですが、投資に慣れた人や積極的にお金を増やしたい人にとっては、物足りなく感じるかもしれません。
また、近いうちにまとまったお金を使う予定があるなど、個人年金保険を途中で解約する可能性がある場合も注意が必要です。個人年金保険の資金は自由に引き出すことができず、早期に解約すると元本割れのリスクがあります。
保険料払込期間終了まで継続できるか慎重に判断した上で加入しましょう。
個人年金に加入する前に確認しておきたいポイント

個人年金保険への加入を検討する際に確認したい主なポイントは、つぎのとおりです。
- 保険料はいつまで支払う必要があるのか、無理なく継続できる程度か
- 年金はいつからいつまで、いくらずつ受け取れるのか
- 解約時や死亡時にはどれくらい受け取れるのか
- 個人年金保険料控除の対象になるのか
加入しようとしている保険は、前述の「個人年金保険の主な種類」でいうとどれにあたるのか調べてみましょう。それがわかれば、受け取れる期間や受け取れる金額の決まり方もわかります。
調べ方としては、保険会社が用意しているパンフレット、重要事項説明書、約款などの書類を確認する方法があります。わからない場合は保険会社や保険代理店の担当者に尋ねるなどして、加入前に疑問を解消しておきましょう。
調べた内容を踏まえ、家計全体の状況や将来のライフプランなども勘案しながら、自分に合った保険になっているか確認しましょう。個人年金保険は長く付き合うことになる商品だからこそ、納得したうえで判断することが大切です。
まとめ

個人年金保険は、計画的に老後の資金を準備したい人に向いている保険です。毎回支払う保険料の一部を積み立てていき、契約時に定めた年齢から受け取れるしくみで、公的年金を補うための手段として活用できます。
東京海上日動あんしん生命の個人年金保険(無選択加入特則 付加)[無配当]は、将来受け取れる金額や期間があらかじめ決まっていて、老後の資金計画を立てやすい商品です(※)。
iDeCoやNISAなど老後資金の準備に使えるほかの制度や商品と組み合わせて、よりバランスの取れた資産形成を目指すこともできるので、併せて検討してみましょう。
ただし個人年金保険には、途中解約時の元本割れリスクなど、注意点もあります。メリットだけで判断するのではなく、自分の家計の状況やライフプランに合っているかを確認することが大切です。
個人年金保険に関する疑問や不安がある場合は、東京海上日動あんしん生命の無料相談を活用してみてはいかがでしょうか。信頼できる保険の専門家が、あなたの状況や考え方などを踏まえてアドバイスします。
※詳細につきましては、「パンフレット」「重要事項説明書(契約概要/注意喚起情報)」「ご契約のしおり・約款」を必ずご覧ください。







