保険に加入する際など、記入する書類に「既往歴」という言葉が出てきて戸惑う人もいるでしょう。

この記事では、「既往歴ってどういう意味?」「どこまで書くべき?」「現在の病気も含まれる?」といった疑問を抱えている人に向けて、既往歴の基本的な意味から、含まれる範囲、保険加入時の注意点までわかりやすく解説します。

既往歴を正しく理解し、書類の記入や手続きを不安なく進められる状態にしましょう。

本記事の監修者

画像: 既往歴とは?意味・既往症との違い・保険加入時の注意点までわかりやすく解説

田尻宏子(たじりひろこ)

2級ファイナンシャルプランニング技能士
証券外務員一種

証券会社、生命保険会社、銀行など複数の金融機関での勤務経験後、2016年から主に生命保険、損害保険、株式投資、ローン、相続関連等の金融分野専門のライターとして活動中。お金の初心者から上級者まで誰もが納得できる記事を書くのが得意。

既往歴とは?意味をやさしく解説

画像: 既往歴とは?意味をやさしく解説

「既往歴」は保険の申込みや医療機関での問診など様々な場面で目にする言葉ですが、正確な意味を理解していないと「何をどこまで書けばいいの?」と迷ってしまうかもしれません。

まずは、「既往歴」という言葉の基本的な意味を押さえておきましょう。

既往歴の読み方と意味

「既往歴」は「きおうれき」と読み、「既往」はこれまでにあったこと、「歴」は履歴・記録という意味があります。これまでにかかった病気や、受けた治療の履歴を指す言葉です。

具体的には過去に診断された病気のほか、ケガ、入院・手術歴、一定期間の通院や投薬治療の経験などが既往歴に含まれます。

既往症や持病との違い

既往歴と混同しやすい言葉に「既往症」や「持病」があります。それぞれの意味を整理するとつぎのとおりです。

  • 既往歴:過去にかかった病気・ケガの「履歴・記録」
  • 既往症:過去にかかった病気・ケガそのもの(完治)
  • 持病:今も続いていて、治療や管理が必要な病気

既往歴と既往症はほぼ同じ意味で使われる場合もあります。いずれも生命保険や医療保険などを契約する際に重要な情報で、内容によっては申告する義務があります。

保険加入時に既往歴が重要な理由

画像: 保険加入時に既往歴が重要な理由

保険に加入する際に既往歴が重視されるのは、保険が「みんなが保険料を出し合って支え合うしくみ」で成り立っているからです。

病気によって異なりますが、過去に病気を経験していると、同じ年齢でも再発や関連する病気を発症するケースがあり、その場合は保険金や給付金を受け取る可能性が高くなるということになります。そのため、ほかの加入者との公平性を保つため、保険会社はそのリスクを慎重に判断します。

既往歴は「加入できるか」「どこまで保障するか」「保険料はいくらにするか」を決めるための重要な判断材料となっています。

告知とは

「告知」とは、保険会社に対して自分の健康状態や既往歴を伝えることです。保険に加入する際、必要な情報を「告知書」に記入して提出する形で行うのが一般的です。

告知の内容は保険会社や保険の種類ごとに異なりますが、たとえば東京海上日動あんしん生命では以下のようなものがあります。

  • 最近3か月以内の医師の診察・検査・治療・投薬の有無
  • 過去5年以内の病気やケガによる手術、7日以上の期間にわたる医師の診察・検査・治療・投薬の有無
  • 過去2年以内の健康診断・人間ドッグ・がん検診での指摘の有無

既往歴のほか、体の障害状態や職業などを問われることもあります。

告知は保険契約の前提となる重要な手続きです。事実に基づいて、漏れなく正確に行うことが求められます。

既往歴を正しく申告しないとどうなる?

保険加入時に故意または重大な過失によって既往歴を正しく申告しなかった場合、「告知義務違反」とみなされます。

告知義務違反と判断されれば、「今までずっと保険料を支払ってきたのに、いざという時に保険金や給付金を受け取れなかった」「病気が見つかったあとに契約解除になり、ほかの保険にも入れない」といった事態に陥る可能性があるため、注意が必要です。

保険会社は保険金の請求を受けた際、病院のカルテの内容や健康保険の利用歴などを確認することがあり、その際に告知内容との相違が判明する場合があります。

わざと虚偽の情報を申告した場合は当然ですが、「軽い病気だから」「昔のことだから」と自己判断して告知書への記入を省いた場合も、あとから問題になるケースがあります。

告知書の内容をよく確認し、迷った場合は、ささいなことだと思っても記入するようにしましょう。

既往歴にはどこまで含まれる?

画像: 既往歴にはどこまで含まれる?

既往歴について特に迷いやすいのが「どこまで書けばいいのか」という点です。
ここでは、既往歴に含まれることが多い代表的な例や、特に判断が難しいケースについて具体的に見ていきましょう。

既往歴に含まれることが多いもの

一般的に、既往歴として扱われやすいのは、医師が関与した治療や診断があるケースです。具体的にはつぎのようなものが挙げられます。

  • 正式に診断を受けた病気
  • 入院・手術歴
  • 長期間の通院や投薬治療

など

高血圧や糖尿病などの生活習慣病や、うつ病などの精神疾患の治療歴も、重視されることが多い既往歴です。

すでに完治している病気や、アレルギーや薬の副作用、妊娠出産時のトラブルなども含まれることがあります。

※特にトラブルのない妊娠出産は既往歴には含まれませんが、健康状態の一部として告知が必要です。

既往歴には現在の病気も含む?

既往歴は過去の病気やケガについての履歴のため、「今まさに治療中の病気は既往歴に入る?」という疑問を抱く人もいるでしょう。

多くの場合、現在の病気や治療中の状態、今後の入院の予定なども告知の対象になります。

保険会社は、将来的なリスクを判断するため、現在の健康状態も重視しています。特に現在の病気は、再発や悪化の可能性がゼロではないため、保険金や給付金の支払いリスクを判断する上で重要な情報になります。

なお、保険会社によっては告知書内で「現在の病気」と「過去の既往歴」を分けて質問している場合もあります。

判断に迷いやすいケース

つぎのようなケースでは、より判断に迷いやすいかもしれません。

  • 軽い症状ですぐ治った
  • 短期間のみの通院
  • 市販薬のみで対応した(病院には行っていない)

軽い風邪などの一過性の症状については告知不要となることがあります。しかし、告知が必要かどうかは症状の重さだけで決まるものではありません。

たとえば、腹痛や頭痛などで一度だけ受診し、検査の結果「異常なし」と言われた場合でも、告知書の質問内容によっては記載が必要になることがあります。

一般的には、医師の診察を受けたかどうかといった点が1つの判断軸になります。

ただし、どこまでを既往歴に含めるかは、保険会社や告知内容によって扱いが異なります。

また、告知書では「過去○年以内に医師の診察・治療を受けたか」など、期間を区切って質問されていることが多く、その範囲に該当するかどうかも重要です。

判断が難しい場合は、自己判断で省略せず、保険代理店や募集人に相談しましょう。

既往歴と健康診断の関係

健康診断で異常を指摘された場合、それが既往歴に該当するのか迷う人も多いでしょう。結論から言うと、健康診断での指摘そのものが、直ちに既往歴になるとは限りません。

しかし告知書では、「健康診断での指摘事項」と「医師の診察・治療歴」を分けて質問していることが一般的です。そのため、「要再検査」「要精密検査」と指摘された段階では既往歴ではないものの、告知が必要な項目として扱われるケースが多くなります

また、健康診断後に医師の診察を受け、治療や投薬が開始された場合は、既往歴として告知が必要になることがあります。告知書の質問内容をよく確認した上で、判断に迷う場合は自己判断せず、保険代理店や募集人に相談しましょう。

既往歴ありでも保険に加入できる?

画像: 既往歴ありでも保険に加入できる?

「既往歴があるから保険には入れないかも」と不安になる人もいるでしょう。しかし、実際には既往歴があっても保険に入れるケースはあります

保険会社は、病気の有無だけで判断するのではなく、病気の種類や重症度、完治してからの経過年数、現在の健康状態、再発リスクなどを総合的に見て判断します。

たとえば、すでに完治していて一定期間が経過している場合や、再発の可能性が低いと判断された場合には、病気によっては通常と同じ条件で加入できることもあります。

また、リスクがあると判断された場合でも、「特定の病気や部位を保障の対象外にする(特定部位不担保)」「保険料を割増にする」「保険金を削減する」といった条件付きで契約できるケースもあります。

一般的な保険への加入が難しい場合でも、引受基準緩和型保険や無選択型保険といった選択肢があります。これらは健康状態の告知項目が少なく加入しやすい反面、保険料が高めに設定されている点には注意が必要です。

既往歴があるからといって、選択肢がゼロになるわけではありません。健康状態を踏まえて、自分に合った保険を探してみましょう。

保険加入時の既往歴の書き方

画像: 保険加入時の既往歴の書き方

保険に加入する際、告知書に既往歴を記入します。ポイントは、できるだけ具体的かつ正確に記入することです。主な記入項目は、つぎのとおりです。

  • 病名
  • 診断された時期
  • 医療機関の名前
  • 治療内容や治療期間
  • 現在の状態(完治・経過観察・治療中など)

など

たとえば「2025年6月に○○クリニックにて胃炎と診断され、同年8月まで通院治療。現在は治療終了し、再発なし」といった具合です。

多くの告知書では、はじめに「はい/いいえ」で答えられる質問がいくつかあり、該当した場合のみ詳細を記入するといった形式になっています。

記憶があいまいな場合は、受診した医療機関に確認するなどして、できるだけ正確な情報を記入しましょう

既往歴に関するよくある質問

画像: 既往歴に関するよくある質問

最後に、既往歴について多くの人が疑問に感じやすい点をQ&A形式で整理します。

保険加入時だけでなく、履歴書記入時や健康診断など、様々な場面で役立つ考え方を確認しておきましょう。

家族の既往歴も関係する?

生命保険や医療保険の告知では、家族の既往歴が関係するケースは多くありません。原則として、本人の健康状態や既往歴が判断材料になります。履歴書に既往歴を記入する際も、家族の情報は通常不要です。

ただ、健康診断の問診表などでは、遺伝性の病気のリスクを把握する目的で、家族歴について確認されることがあります。

いずれの場合も、質問の意図を理解した上で正確に回答することが大切です。

履歴書の既往歴とは?

就職や転職の際に提出する履歴書に、既往歴や健康状態の記入欄があるケースがあります。この場合、記入が必要なのは主に業務に支障が出る可能性のある病気です。

持病や過去に完治した病気があっても、特に仕事に影響がなければ「良好」と書くのが基本です。

たとえば定期的に業務時間中の通院が必要な場合や、服薬の影響で車の運転ができない場合など、仕事上の制限がある状態であれば記入するようにしましょう。

なお、どこまで書く必要があるかは企業の方針にもよりますが、一般的には、保険の告知や健康診断の問診票ほど詳しく記入する必要はありません。

子どもの頃の病気や妊娠・出産も既往歴に含まれる?

保険に加入する時の告知では、子どもの頃にかかった病気については、すでに完治していてその後の健康状態に影響がない場合、告知不要となるケースが多くあります

また、通常の妊娠や出産は病気ではありませんが、告知の際、妊娠中かどうかを確認されることがあります。なお、妊娠糖尿病や帝王切開、切迫早産などは一般的に既往歴として記入が必要です。

記入が必要な範囲は保険会社や保険の種類によっても違うため、告知書に書かれている質問内容をよく読んで判断しましょう。

まとめ

画像: まとめ

既往歴とは、今までに経験した病気やケガ、受けた治療の履歴を指す言葉です。保険に加入する際の告知書や健康診断の問診票、就職活動の際の履歴書などで記入する機会があります。

保険の告知では、既往歴は加入の可否や加入条件を判断するための重要な情報として扱われます。「これくらいなら書かなくていいか」と自己判断するのは避け、漏れなく正確に記入するようにしましょう。

なお、既往歴があっても保険に加入できる可能性はあります。例えば東京海上日動あんしん生命の「メディカルKitエール」は、持病があっても入りやすい、引受基準緩和型の医療保険です。

保険のことで不安や疑問があれば、専門家に相談するのも1つの方法です。東京海上日動あんしん生命の無料相談では、保険のプロがあなたに合ったアドバイスを行います。悩んだり迷ったりした時は、ぜひお気軽にご相談ください。

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