今回登場していただくのは、Twitterで話題のイラスト料理研究家・ぼくさん。2人の子育てに奮闘するパパでもあるぼくさんは、多くの“手間抜き”レシピを考案しています。
この記事の監修者
ぼく
菓子業界、アニメーターの経験を経て「イラスト料理家」に。Twitterでは、手間なく作れる簡単料理をかわいらしいイラストと一緒に紹介している。著書に「ぼくのおやつ」「ぼくのごはん」(ワニブックス)「ぼくのおやつ百科」(幻冬舎) 「ぼくとたかし」(宝島社)など多数。
ぼくさんの作り置き事情
独身時代はあまり作り置きをせず、その日食べたいものを作って食べる……という生活を送っていたぼくさんですが、子どもが生まれてからは「少しの時間でも惜しい」「ちょっとでも楽したい」という気持ちの変化から、作り置きをフル活用するようになったそう。週2回、水曜日と日曜日にまとめて作り置きを行っています。
週に2日、子どもにも大人にも美味しい作り置き
「我が家には3歳と1歳の子どもがいるのですが、特に下の子はまだ咀嚼がそんなに上手ではないので、食材を何種類も煮て柔らかくしておかなくてはなりません。なので、子どもの食事に使えるような煮込み料理を2品ずつ作って、冷蔵・冷凍と分けて保存しています」というぼくさん。加えて、パリパリ食感やピリ辛味など、大人が美味しく食べるための副菜も2品ずつまとめて作り、1週間で計8品を作り置き。子どもメニューはアレンジが効くようシンプルに、大人メニューは温めるだけで美味しく食べられるように工夫しています。
野菜室の美味しいお掃除「ラタトゥイユ風トマト煮込み」
そんなぼくさんに今回教えていただくのは、子どもも大人もうれしい、アレンジ無限の煮込みレシピ「ラタトゥイユ風トマト煮込み」です。
「下の子が離乳食完了期に入ったばかりということもあり、ちょっとした残り野菜が出るわ出るわ……」と語るぼくさん。そんな残り野菜たちを美味しく解決してくれるこのレシピ。そして何より「切って煮込むだけ!」という手軽さがポイントです。
「ラタトゥイユ“風”」という料理名は、「アレンジ幅が広すぎて、毎回違う味にできるから」なんだそう。チリパウダーで風味を変えたり、ケチャップを加えてパスタソースにしたり、ピザチーズをたくさんかけてグラタン風にしたり、豆板醤やタバスコで大人も美味しいピリ辛にしたり。基本のレシピでは鶏肉を煮込みますが、鶏肉をイワシなどの魚介に変えても美味しく仕上がります。
材料とおよその費用(2人分) | |
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鶏もも肉 | 1枚(約250g) |
塩(下味用) | 少々 |
片栗粉 | 大さじ1 |
しめじ | 1株 |
なす | 2本 |
かぼちゃ | 1/4個 |
玉ねぎ | 1/2個 |
【A】トマト缶 | 1缶 |
【A】鶏ガラスープの素 | 小さじ2 |
【A】ニンニクチューブ | 小さじ2 |
塩(仕上げ用) | 適量 |
費用の目安 | 約680円 |
野菜は好きなものや、その日冷蔵庫に余っているものを使います。「本当に、本当に余っている野菜でOK! 今回はしなびたしめじ、しわが付きはじめたなす、離乳食の余りのかぼちゃ、忘れ去られていた半切玉ねぎを使いました(笑)」とぼくさん。
作り方の手順
① 鶏もも肉はひと口大に切り、塩(下味用)、片栗粉の順にまぶしてフライパンで炒める。
「あらかじめフライパンで焼いていくことで、片栗粉の膜ができて鶏肉の水分をギュギュっと閉じこめ、ジューシーな仕上がりに。また、仕上がりにほんのりとろみがつくので、オムレツのソースにするなど、いろんなレシピに使いやすくなります 」(ぼくさん)
② 鶏肉の表面が固まってきたら、好きな野菜を加えて炒める。
③ 全体に油が回ったら 、材料のAを加え、蓋をして弱火で20分以上煮る。
④ 蓋を取り、好みの水分量になるまで煮詰めたら、塩(仕上げ用)で味を調えて完成!
保存方法と保存期間の目安
ぼくさんのおすすめは、出来上がった料理を1/2ずつに分けて保存する方法です。
半量は少し小さめの鍋に入れ、粗熱が取れたら蓋かラップをして鍋ごと冷蔵庫へ保存します。食べるたびに再加熱し、3日で食べきるのが目安です。
もう半量は小分けにして冷凍庫に保存しておけば、2週間経っても美味しく食べられます。野菜がとろとろになり、食感の変化も楽しめます。
なお、酸味が苦手な方は保存の際にかぼちゃや芋類を避けるのがよいでしょう。かぼちゃや芋類は、トマトの酸味を吸いやすいためです。
※作り置きの保存期間について
今回ご紹介しているレシピの保存期間はあくまで目安です。冷蔵庫の温度や容器によって日持ちに差がありますので気を付けましょう。
アレンジ無限大! 子どもも大人も美味しい「野菜たっぷりトマトパスタ」
ラタトゥイユ風トマト煮込みにケチャップを混ぜて味をはっきりさせたら、茹でたパスタに絡めるだけという手軽さ! 焼いたソーセージをプラスすることで、食べ応えも増し子どもウケも抜群。チーズをたっぷりかけてもよし、ニンニクを効かせるもよし、タバスコをたくさんかけても美味しく食べられます。
追加で必要な材料(2人分) | |
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ラタトゥイユ風トマト煮込み | 2人分 |
ケチャップ | 適量 |
パスタ | 200g |
ソーセージ | 2~3本 |
作り方の手順
① パスタを茹ではじめると同時に、温めたフライパンに油(分量外)をひいてスライスしたソーセージを炒めます。ソーセージを市販のミートボールに変更しても美味しいです。また、大人用にする場合は、ここで潰したニンニクや鷹の爪をじっくり弱火で加熱し、香りと辛味を出すのもおすすめ。
② 作り置きのラタトゥイユ風トマト煮込みを加え、好みの量のケチャップを混ぜて味を甘く、はっきりさせます。茹であがったパスタに絡めて完成です。所要時間は約10分。
いつものオムレツがあっという間にごちそうに。「野菜たっぷりチーズオムレツ」
オムレツの仕上げといえばケチャップですが、代わりにラタトゥイユ風トマト煮込みを使うことで食材の旨味たっぷりの豪華な一品に。さらに、豊富な野菜とタンパク質も摂ることができます。
追加で必要な材料(2人分) | |
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ラタトゥイユ風トマト煮込み | 2人分 |
卵 | 3個 |
マヨネーズ | 大さじ1 |
とろけるスライスチーズ | 1枚 |
ケチャップ | 適量 |
作り方の手順
① ボウルに卵3個とマヨネーズ大さじ1を入れてよく混ぜ合わせる。こうすることで卵がふんわりと仕上がり、少し冷めてもやわらかく美味しく食べられます。
② 油(分量外)をひいて温めたフライパンに①を流し、強火で手早く混ぜる。6割程度固まってきたら弱火にして中央にチーズを乗せ、半分に折りたたんで焼き、チーズを溶かす。
③ ラタトゥイユ風トマト煮込みに好みの量のケチャップを加え混ぜ、味をはっきりさせたらレンジで温め、ソースとしてオムレツにかける。
毎日、食事の準備するのはとても大変なこと。料理のお仕事をしているぼくさんでさえ「今日は疲れているから作りたくないなぁ」という日もあるんだとか。
「日ごろから使いまわせる料理をストックしておくことで、時間に制約がある方でも効率よく料理ができると思います。ちょっとした工夫や調理の仕方で、かなり家事が楽になるんですよね……。もっと早くから取り組めばよかった(苦笑)! 作り置きは『動けない時のための料理貯金』です」と語るぼくさん。
毎日を忙しく過ごしている方は、ぼくさん流の「手間抜き」料理をぜひ参考にしてみてください。