テストを通じて、もしものためのお金を大切にする意識を養うとともに、お金の負担を軽くしてくれる公的なしくみを知っておきましょう。
★このテストでわかること★
各問題に答え、“得点”を足してみましょう。予期せぬ病気やケガのリスクに対応できる、あなたの「リスクヘッジ力」のレベルがわかります。
※以下の内容は、2020年7月3日現在の情報を基にしています。
Q1.プライベートでケガをして2週間会社を休むハメに……。その間、給与の支払いがなかった場合に受けられる保障は?
《解説》
正解は【B】です。
「労災」という言葉がある通り、社会保険に加入していれば、通勤中を含む「業務中」のケガや業務が原因で病気になった場合には、労災保険から「療養給付」が支給されるほか、「休業(補償)給付」という制度もあります。一方、意外に知られていませんが、「業務外」の病気やケガであっても、「傷病手当金」の支給を受け取ることができる可能性があります。
連続する3日間(待機期間を含む)仕事に就けず、その間の給与が支払われなかった場合、4日目以降から最長1年6カ月「傷病手当金」の支給を受けることができるのです。ちなみに、給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給されます。プライベートでの出来事と諦めないようにしましょう。
Q2.突然の出費でお金が必要に……。次のうち、審査なしでお金を借りることができるのは?
《解説》
正解は【A】です。
「契約者貸付制度」の対象となる生命保険商品に加入している場合、保険契約の解約をしなくても、その時点の解約返戻金の一定額(7~9割が一般的)までは貸付を受けることができます。生命保険に加入していてどうしてもお金が必要という時は、キャッシングや消費者金融を利用するよりも、低金利でお金を借りられるので利用を検討しましょう。
現在、一部の保険会社は、新型コロナウイルスの影響に対する特別取扱として、貸付利率をゼロ%に引き下げています。
Q3.重い病気で1カ月に100万円の医療費がかかってしまった……。健康保険の加入者が実際に支払う金額に、いちばん近いのは?
《解説》
正解は【B】です。
健康保険(社保、国保)に加入している人の医療費の自己負担額が3割だということは知っていると思います。しかし、医療費が一定額を超えると「高額療養費制度」が適用され、実際には3割以下の負担額になることを知らない人も多いでしょう。
負担額は年収によって異なり、たとえば年収500万円(370~770万円/70歳未満)の人の場合の負担額は87,430円です。すでに3割負担で30万円を支払っていた場合には、後から申請することで差額の212,570円が戻ってきます。ただし、入院時の食事代や差額ベッド代は制度の対象外なので注意してください。
Q4.一般的な30代独身の貯蓄額にもっとも近い金額は?
《解説》
正解は【C】です。
「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和元年)」1)によれば、30代独身の平均貯蓄額(証券などを含む金融資産保有額)は572万円となっています。しかし、これは貯蓄が極端に多い人や少ない人も含めた計算値です。そのため、中央値である300万円という金額が、一般的な30代独身の貯蓄額に近いといえるでしょう。
300万円という金額は、30代独身の年間手取り収入(税引後)と同じです。一般的に、“もしも”の備えとして安心できる貯金額の目安は、手取り年収の半年から1年分といわれていますから、貯金がないという人は、今から150万円程度を目標に貯金を心がけるようにしてください。
Q5.次のうち確定申告で医療費控除の対象となるのは?
《解説》
正解は【C】です。
これは2017年から施行された「セルフメディケーション税制」に関する問題です。セルフメディケーション税制とは、スイッチOTC薬(医療用医薬品から転換された市販薬)の年間購入額が12,000円を超えた場合に、超過額(上限88,000円)が所得控除に適用されるという医療費控除の一種です。
花粉症用の薬でも胃腸薬でも、スイッチOTC薬であれば対象となるので、病院に行かず市販薬で治療をしている人にもうれしい制度といえるでしょう。ただし、指定の健康診断や予防接種を受けていない人はこの制度を利用できないほか、従来の医療費控除と併用することができない点には注意しておきましょう。
【診断結果】
点数 | 評価 |
---|---|
0~2点 | ちゃんと勉強しないと“もしも”の時に損しちゃう?! |
4~6点 | 平均点。頑張れば、もっと安心できるかも! |
8点 | これだけ理解できていれば備えはかなり万全☆ |
10点 | これならバッチリ! “もしも”の際に慌てず済みます♪ |
【まとめ】
心身ともに調子が良い時には、まさか自分が大きな病気やケガをするなんて、思いもよらない人が大半でしょう。しかし、いくら注意をしていても病気やケガのリスクはゼロにすることはできません。
今回発生した、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で、あらためて病気やケガに対する備えが心配になった人も多いのではないでしょうか? そこで、今回の問題を考えてみました。“もしも”の際の金銭面の支えに関する各種制度を知っておけば、不安をある程度軽減させることができるでしょう。
まず覚えておいてほしいのが、病気やケガで仕事をすることに支障が出た場合の支えとなる「傷病手当金」です。社会保険に加入していれば受けることができるので、会社員にはありがたい制度といえるでしょう。
また一時的にお金が必要になった場合、加入している生命保険の解約を検討する場合もあるかもしれません。しかし「契約者貸付制度」の対象になっている保険商品なら、保障を確保したまま一時的に必要なお金を準備できる場合があります。このことを覚えておけば、保険を解約せずに済みます。
病院に支払う医療費については、1カ月の医療費が自己負担額を超えた場合に給付される「高額療養費制度」の存在も忘れてはいけません。年収によって自己負担限度額は変わりますが、おおよその目安として10万円程度が自己負担額の上限と考えてもよいでしょう。
このような、“もしも”の際に使える制度を覚えておくとともに、自分である程度の備えをしておくことも大切です。
基本的な「節税」の知識を身につけておけば、貯金に回すお金をねん出するためにも役立ちます。今回のテーマに関連した節税術の一例として、2017年から施行された「セルフメディケーション税制」は、特に、仕事が忙しくて病院に行く時間を設けにくい若い世代に有効活用してほしい制度といえるでしょう。自分だけでなく、生計を一にする家族の分も合算できます。
予期せぬ病気やケガでいちばん不安なのは、やはりお金の問題です。皆さんの不安を軽減させるための制度を上手に活用するための知識とともに、貯えの重要性もぜひ意識するようにしましょう。
このクイズの監修&解説
頼藤太希
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『投資信託勝ちたいならこの7本!』(河出書房新社)、『入門 仮想通貨のしくみ』(日本実業出版社)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。
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