この記事では、ファイナンシャルプランナーの藤井亜也さん監修のもと、30代女性におすすめの貯蓄型保険を解説します。掛け捨て型保険との違いもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
30代女性に保険は必要?
出産や女性特有のがんのリスクに備えるために医療保険は必要といえるでしょう。
厚生労働省の調査によると、出産を経験した人のうち、帝王切開による出産割合は27.4%と、約4人に1人が帝王切開を経験しています1)。医療保険は正常分娩では適用されませんが、帝王切開や吸引分娩などの異常分娩だと給付金が受け取れることが一般的です。
また、乳がんは20代で発症するケースもあり、30代でも突然がんになることは十分考えられます2)。一度でもがんになってしまうと保険に入れなくなることもあるため注意が必要です。
もしもの時に困ることがないように、今のうちから保険の加入を検討しておくことが大切です。
なお、女性の保険について詳しく知りたい人は以下の記事で解説しています。併せて確認してみましょう。
【属性別】30代女性の保険の選び方
30代女性は、前述したような女性特有の病気や出産のリスクを抱えていますが、保険の選び方はライフスタイルによって異なります。ここでは、以下の3つの属性別に保険の考え方を解説します。
それぞれ詳しく解説します。
独身女性の場合
独身女性の場合は、病気やケガが原因で入院や手術をすると、貯金や収入が減るリスクが考えられます。
入院治療が短期化している昨今は、通院しながら治療を行うケースが増えています3)。治療が短期間であれば、生活費や治療費のために貯金を切り崩せば事足りるかもしれませんが、長期に及ぶと貯金だけではまかなえなくなるでしょう。
そのため、独身女性は自分の生活の保障という観点で保険を考える必要があります。
たとえば、入院費や治療費をカバーしてくれる医療保険や働けない期間の生活費をカバーしてくれる就業不能保険などが挙げられます。
参考資料
既婚で子どもがいない女性の場合
結婚している場合は、配偶者の生活保障を考えましょう。たとえば死亡保険は、万が一の時に配偶者を経済的苦境から守ります。
また将来的に子どもを望んでいれば、今から出産費用や養育費のことを考えておきたいところです。異常分娩での保障がある医療保険や、子どもが生まれたら学資保険や積立保険などが選択肢に入ります。
夫婦それぞれの生活に必要な金額を知り、過不足なく備えることがポイントです。
既婚で子どもがいる女性の場合
結婚して子どもがいる場合は、子どもと配偶者の生活を保障する保険を検討しましょう。たとえば医療保険は、自分が病気やケガで働けなくなった時の金銭的負担を軽減してくれます。
また、共働きであれば、2人で家計を支えているため、それぞれが亡くなった場合の収入減に対して備えておく必要があります。夫婦それぞれの家計の支出に対する負担割合に応じて、死亡保険金額を考えるのが一般的です。夫婦の一方がパートなどで働いている場合も、収入額によっては死亡保険や収入保障保険の検討が必要でしょう。
そもそも保険にはどんなタイプがある?
そもそも保険はどんなタイプがあるのでしょうか。保険を大きく分類すると、貯蓄型と掛け捨て型に分けられます。両者の最大の違いは、解約時・満期時にお金が戻ってくるかどうかです。
貯蓄型は、解約時や満期時に返戻金(※1)という形でお金を受け取れます。通常の保障に加えて保険料の一部を積み立てていくという性質があるため、掛け捨て型に比べて保険料が高い傾向にあります。ほかには、無事故給付金・生存給付金などの、給付金が用意されている場合もあります。
掛け捨て型の場合、貯蓄型のように保険料の一部を積み立てる性質がないため保険料が安く、低コストで加入できる保険が多いです。
〈表〉貯蓄型と掛け捨て型の違い
貯蓄型 | 掛け捨て型 | |
---|---|---|
保険料 | 高い | 安い |
満期返戻金 | あり | なし |
解約返戻金 | あり | ほぼなし |
保険期間 | 有期または一生涯 | 一定期間/年齢で終了 |
保険に加入する時は、まずは貯蓄型と掛け捨て型のどちらが自分に向いているかを検討しましょう。
※1:保険金や給付金の支払い事由が発生しないまま、解約や満期を迎えた場合に契約者に返されるお金のこと。
30代女性向けの貯蓄型保険の代表的な種類
30代で保険に加入するなら、長期間の運用が可能である貯蓄型保険がおすすめです。たとえば、現在30歳の人が30年間保険料を支払う貯蓄型保険に加入すると支払いは60歳で終わります。毎月の保険料が少額であっても、長期間支払うことで保険料の一部が積み立てられて、満期時や解約時にまとまったお金を受け取れることがメリットです。
ここからは、30代女性におすすめの貯蓄型保険をご紹介します。30代女性におすすめの貯蓄型保険は以下の5つです。
なお、各種保険については、ご自身の不安要素が高いものから選択するのがおすすめです。人によって何を不安に感じているかは異なるため、自分が備えたいリスクと照らし合わせて、どのような保障が必要か考えながら見ていきましょう。
医療保険
30代女性は急な医療費の支払いが発生した場合の家計の影響を考え、医療保険に入っておくのがおすすめです。医療保険は病気にかかった時の治療費や入院費を保障してくれる保険です。一部保険料が戻ってくるなど貯蓄性のある商品も存在しますが、基本的には掛け捨て型に該当します。
たとえば、東京海上日動あんしん生命の「メディカルKit R」は、使わなかった保険料が戻ってくる貯蓄型の医療保険です。また、がんや心疾患、脳血管疾患などの特定の病気と診断された場合、将来の保険料が免除されます。
保険料は加入時から生涯変わらないので、保険料を抑えながら貯蓄性も欲しい人におすすめの保険です。
▶︎参考になる保険例
メディカルKit R
がん保険
厚生労働省のデータによると、がん罹患率は25歳から徐々に高くなり、年齢とともに上昇することがわかります4)。がんは治療が長引くほど費用がかさむため、保険でカバーしたいところです。がん保険も医療保険と同様で、掛け捨て型の商品が多いですが、一部、貯蓄型の商品もあります。
たとえば、東京海上日動あんしん生命の「がん診断保険R」は貯蓄型の保険商品で、がんと診断されると診断給付金が支払われます。
また、満期時に健康であった場合は、支払った保険料からそれまでに給付された診断給付金を差し引いたものが「健康還付給付金」として戻ってくることがポイントです。さらにオプションにより、手術や放射線治療、抗がん剤治療にも対応し、緩和療養の保障も付けることができます。
▶︎参考になる保険例
がん診断保険R
参考資料
死亡保険
30代女性で家庭を持っている人であれば、遺された家族のことを考えて死亡保険を検討するのもおすすめです。死亡保険は、加入者が亡くなった場合、指定された受取人に死亡保険金が支払われ、生活をサポートする保険です。死亡保険には、死亡・高度障害時の保障が生涯続く終身保険と、一定期間内で保障を受けられる定期保険があります。
たとえば、東京海上日動あんしん生命の定期保険「家計保障定期保険NEO」の場合、万が一高度障害状態となった際に保障を受けることができます。
また、家族に支給される遺族年金だけでは必要な保障額すべてをカバーできないことがあります。そんな時に、遺族年金とあわせて毎月給付金を受け取ることができるのは、非常に心強いでしょう。
▶︎参考になる保険例
家計保障定期保険NEO
養老保険
死亡のリスクに備えつつ、子どもの養育費や自身の老後の備えにも利用できる養老保険は、30代女性におすすめの保険といえるでしょう。養老保険は生命保険の一種で、被保険者の万が一の際の保障と、生存時の資産形成の両方を目的として設計された保険です。
満期になれば満期保険金が被保険者に給付されますが、被保険者が亡くなった場合は家族に保険金が給付されます。生存・死亡どちらの場合でも保険金を受け取れる点が魅力です。
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金とは別に、自分で年金を用意する保険です。払込期間が終了した際には、終身または、一定期間にわたって、年金が給付されます。
30代女性が個人年金保険に加入するメリットは、保険料が安く税金を長期にわたり安く抑えられるという点が挙げられます。個人年金保険は、老後までの長い時間で余裕をもって積み立てられます。また個人年金保険料控除により、年間で支払った保険料に応じて税金が安くなるので、長期にわたって節税できるのも30代のうちに加入するメリットといえるでしょう。
ただし、個人年金保険は短期で解約すると、払った保険料より少ない金額しか戻ってこない可能性が高いので注意が必要です。また、受け取り時に今より物価が上がっていた場合、相対的に年金額が目減りするのもネックといえます。安定した利率や税金を安く抑えられる点が魅力ですが、デメリットもきちんと理解しておきましょう。
なお、以下の記事で個人年金保険のしくみを解説しています。気になる人は、併せて確認してみてください。
【関連記事】個人年金保険のしくみやメリットについて、詳しくはコチラ
保険はライフスタイルを見据えて選ぼう
結婚や出産など、30代は様々な環境の変化がある年代です。それに伴い、考えられるリスクも20代とは変化します。
そのため、30代は保険の見直しや加入をする最適な年代といえるでしょう。貯蓄型保険のメリットを理解しながら、自分のライフスタイルに合わせて最適な保険を選びましょう。