今回は、現在はバリバリと働いているものの、健康面に不安があることから将来に漠然とした不安を抱えているNさん(27歳・独身)の相談です。
健康面に不安がある場合にはどんなことを気にして保険を選んだらいいのか、もし働けなくなった場合に備えるためには、どのような保険が必要なのか、選び方のポイントについて実際にNさんにアドバイスをしたライフパートナーの石原拓実(いしはら たくみ)が解説します。
今回、相談に答えたライフパートナー
石原拓実(いしはら たくみ)
東京海上日動あんしん生命保険
東京中央第一支社第2営業所、エキスパートライフパートナー、MDRT成績資格会員
自分自身、早くに父を亡くしており祖母に育てられた経験があることから、万が一に備えることの大切さはよく知っています。そこで、お客様の相談を受ける際には、自身の経験をお伝えしながら、「当事者意識」を持っていただくことを念頭に置いています。ライフプランにかかわることでお客様と親密な関係を築くことができるこの仕事に、大きなやりがいを感じています。
Nさんの悩み
Q.風邪をひきやすい、疲れがたまりやすいなど健康面に不安を抱えています。貯金もしていないため、働けなくなった場合に備えたいのですが、どんな保険に加入すればよいですか?
●プロフィール
基本情報 | 27歳・男性・会社員 |
---|---|
家族構成 | 独身 |
世帯年収(手取り) | 600万円 |
住居 | 借家(40,000円/月) |
預貯金 | 0円 |
近況 | 年齢が若く、商社勤務で比較的月収が高いこともあり、自由にお金を使っている状態。稼いだお金を何に使っているのかも、あまり気にしておらず、貯金もまったくしていなかった。しかし健康面に不安があることもあり、将来に不安を抱くようになったため、保険への加入を検討している。 |
●家計の内訳
項目 | 収入 | 支出 |
---|---|---|
Nさんの給与(手取り) | 360,000円 | - |
住居費 | - | 40,000円(※) |
食費 | - | 60,000円 |
光熱費 | 15,000円 | |
通信費 | - | 25,000円 |
自動車費 | - | 40,000円 |
趣味費 | - | 50,000円 |
そのほか(使い道のわからない出費) | 130,000円 | |
小計 | 360,000円 | 360,000円 |
月々の収支 | ±0円 |
●備考
- 借金はないものの「何にいくら使ったかわからない」支出が多く、毎月の収支は±0円になってしまう。
- そのため、現在の貯金額は0円。
- 現在、生命保険には加入していない。
Nさんへのアドバイス&解決策は?
健康面に不安を抱えているNさんは、「働けなくなった場合に備えるための保険」への加入を検討していました。私がNさんへどのようなアドバイスや提案を行ったのか、ポイントを絞って解説していきます。
●ポイント1
働けなくなった場合のリスクや社会保障制度について説明する
●ポイント2
若くても生命保険に加入することの意味をお伝えする
●ポイント3
若い頃から積み立てで貯蓄することの重要性をお伝えする
●ポイント4
Nさんに適した保険プランを提案する
【ポイント1】働けなくなった場合のリスクや社会保障制度について説明する
手取り月収は多いものの支出も多く、貯金もしていないNさんが現在抱えている大きな不安は、大きな病気やケガによって収入が途絶えてしまうことです。そこで始めに、働けなくなった場合のリスクや利用できる社会保障制度について簡単に説明しました。
会社員なら社会保障が手厚い。しかし、保障期間には限りがある点に注意
Nさんのように会社勤めで社会保険(被用者保険)に加入している方に対して、私が最初に説明するのは「傷病手当金」のしくみです。社会保険に加入している会社員の場合、病気やケガなどで会社を休んで給与が支給されない場合、傷病手当金の申請を会社にすれば、1日あたり給料の約3分の2が支給されるので、それだけでもかなり生活が保障されるからです。
また加入している健康保険組合によっては、傷病手当金の上乗せ給付をしていたり、その他の保障を用意していたりする場合もあります。そこで社会保障制度について説明する際には、お客様が加入されている健康保険組合の情報を調べ、適切なアドバイスをするようにもしています。
▶︎働けなくなった場合に利用できる社会保障制度についてもっと知りたい方はコチラ
しかし、ここであわせてお伝えしているのが、傷病手当金だけでは備えが十分ではない場合もあるということです。なぜなら、傷病手当金は(支給開始した日から)最長1年6カ月までしか支給されないからです。
つまり、病気やケガで働けない状態が長期にわたる場合には、傷病手当金をあてにすることができないのです。また、支給される金額も1日あたり給料の約3分の2ですから、病気やケガをする前の生活を維持することができないことも考えられます。
傷病手当金について詳しくは、自分が加入している社会保険のHP等を確認するようにしましょう。参考までに、全国健康保険協会の案内は下記です。
そこで役立つのが、期間や金額など、社会保障制度だけでは十分ではない場合を補う保険なのです。
【ポイント2】若くても生命保険に加入することの意味をお伝えする
Nさんの場合は健康面に不安を抱えていることから、27歳という若さでも生命保険に興味を持つようになりました。しかし一般的に、年齢が若い方ほど「まだ生命保険は不要」と考えてしまうことが多いようです。そこで、若い方の相談を受ける場合には、若いうちに生命保険に加入することの必要性とメリットについて、説明するようにしています。
「保険料の安さ」以外にもある、若いうちに生命保険に加入するメリットとは?
Nさんのように年齢も若く、さらに独身である場合には「結婚してから」または「住宅を購入してから」というように、生命保険に加入するタイミングを将来のこととして考えている方が多いようです。また、“もしも”があった場合でも「親に頼ればよい」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、自分だけでなく親にとっても、いつ見舞われるかわからないのが病気やケガというものです。現在どれだけ元気でも、1年後も元気でいられる保証は、どこにもありません。Nさんのように、健康面に不安を抱えている方であればなおさらのことです。
若いうちに生命保険に加入するメリットについては、大きく以下の3つを挙げることができます。
①若いうちに加入すれば保険料が安くなる
生命保険は一度契約すれば保険料が一定のままのタイプと、更新するごとに保険料が上がるタイプの2種類があります。このうち、保険料が一定のままのタイプの保険は、若いうちに加入することで、料金を低く抑えることが可能です。つまり、早く加入するほどその後の暮らしを保障するコストが下がるわけです。
②健康を損ねると生命保険に加入できない場合もある
保険に加入する際の条件も見逃せません。保険商品によっては、過去に大きな病気を経験していると加入できない場合があるからです。つまり、自分の希望どおりの保険に加入したいなら、選択肢の多い健康なうちに決断するのがベストといえるのです。特に、Nさんのように健康面に不安を抱えている方の場合は、大きな病気をしないうちに加入しておくべきでしょう。
③貯蓄性のある保険を選べば将来の貯えもできる
保険商品の中には、年金や養老保険のように貯蓄性のあるものもあります。死亡保険も貯蓄性があるものもあり、家族が増えた場合や老後に備えるための資金づくりもできます。商品にもよりますが、元金よりも返戻金が増える可能性もある商品もあります。若いうちから始めて長い保険期間のほうが有利な面もあります。
また、医療保険でも、病気やケガなどに備えつつ、所定の年齢になるまでの間に給付金などを受け取っていなければ払った保険料が戻ってくるタイプの商品もあります。(給付金の額によっては、戻ってこない場合もあります)
【ポイント3】若い頃から積み立てで貯蓄することの重要性をお伝えする
Nさんは収入が多いにもかかわらず、貯蓄がまったくできていない状況です。このことも、将来への不安が増す材料となっていたわけです。
バリバリ働いている若い世代で独身の場合は、貯蓄に対する関心も低い傾向があります。また会社員の場合、iDeCo(確定拠出年金制度)を利用している人が多いため、それで貯蓄は十分と考えている方も多いようです。
しかし、iDeCoは、60歳以降にならないと引き出せないという制約があります。つまり、老後資金のための貯蓄なので、それ以前のイベントのための貯えにはならないのです。
60歳までの間に、1回以上は「まとまったお金」が必要になる
25歳~60歳までの間には、少なくとも1回以上まとまったお金が必要になることが多いでしょう。たとえば結婚のようなライフイベントのほか、自動車や住宅の購入、子どもの進学費用などです。そこで、Nさんのような若い世代の相談時には、「まとまったお金」が必要になる場面に備えるため、早いうちからコツコツと積み立て貯蓄をしておくことが大切ということを、説明するようにしています。
具体的には、毎月の収入の1~2割程度を貯蓄にまわすことをおすすめしています。しかしNさんのように、貯蓄にまわすお金をねん出できない方は意外と多いものです。そうした方には、給与振り込み時に自動的に引き落としされるような「強制貯金」をおすすめしています。これなら確実に貯蓄ができますし、Nさんのように「何にいくら使ったかわからない」という方の場合は、浪費の防止にもつながるからです。
「強制貯金」の方法はいくつかありますが、Nさんのように保険に未加入の方の場合には、 “もしも”に対する保障を得るのと同時に貯金もできる、貯蓄性のある保険が一石二鳥の備えとなります。特に、前述のように若いうちに加入すれば、保険料を安く抑えられるほか、長期間加入することにより返戻金が増えるメリットも受けられる場合があります。
老後を待たずに引き下ろせる商品もあるので、60歳までの間にあるであろう「まとまったお金」が必要な場面にも対応が可能です。
【ポイント4】Nさんに適した保険プランを提案する
ここからは、実際にNさんに提案した保険について説明します。Nさんの場合は働けなくなった時の備えと、まとまったお金が必要になった時に備える貯蓄をつくりたいということが相談の目的だったため、目的が異なる複数の保険の組合せで提案をしました。
「自分のため」の保障と「誰かのため」の保障は切り分けて考えよう
Nさんのように初めて保険に加入する方に対して、まず説明しているのは、保険に加入する目的には「自分のため」と「誰かのため」の2種類があることです。たとえば独身の場合、働けなくなった場合の生活を保障することは「自分のため」、結婚やマイホーム購入といったライフイベントに対する備えは「誰かのため」と考えることができます。
Nさんのような若い世代の場合には、まず「自分のため」の保険で生活を保障することを考え、つぎに「誰かのため」になる将来への備えになる保険も検討するという提案をします。具体的には、以下の保険をおすすめしました。
【働けなくなった場合の備え】社会保障の不足分を補う就業不能保険
Nさんがもっとも不安を感じており、具体的に保障を求めていたのが働けなくなった場合の備えでした。そこでまずは、自分の生活を守るために、働けなくなっても毎月お給料のように給付金が受け取れる就業不能保険を提案しました。
<表>Nさんに提案した定期保険
商品 | 保険料 | 保障内容 |
---|---|---|
定期保険 | 約7,500円/月 | ・死亡時:月額10万円/給付は支払期間満了日まで ・就業不能時:月額10万円/給付は支払期間満了日まで ・保障期間:60歳 ・払込期間:60歳 |
▼Nさんに提案した「定期保険」はコチラ
働けなくなった場合の備えとして、会社員の場合は傷病手当金があるので、一定期間とはいえ収入の約3分の2が保障されます。そこで、保険で補う分の備えについては、残りの3分の1(Nさんの場合は月額10万円)を保障することを基本に保険金額を設定しました。
ここで大切なのが、傷病手当金の支給期間には、最長1年6カ月という制限があることです。また、大きな病気やケガをした場合は、仕事に復帰しても以前と同じように働くことができない可能性もあります。そのため私がこのタイプの保険を提案する際には、就業不能状態になった場合も、一定期間ではなく、保障期間の満了日まで給付金が受け取れるプランで提案するようにしています。
【大きな病気をした場合の備え】「自分のため」の基本となる医療保険に貯蓄性もプラス
Nさんのように、体調に不安を抱えている方はもちろん、「自分のため」の保険の基本となるのが、大きな病気をした際の入院費や治療費を保障する医療保険です。こちらについては、Nさんの収入を考慮し、医療保険とがん保険の組み合わせで、1万円以内の保険料となるような提案をしました。
<表>Nさんに提案した医療保険とがん保険
商品 | 保険料 | 保障内容 |
---|---|---|
医療保険 | 約4,500円/月 | ・入院日額5,000円 ・保障期間:終身 ・払込期間:終身 |
がん保険 | 約3,000円/月 | ・診断一時金100万円 ・保障期間:終身 ・払込期間:終身 |
▼Nさんに提案した「医療保険」「がん保険」はコチラ
がん保険を別でおすすめしたのは、がんと診断された際に給付される診断一時金のオプションがあるからです。治療が始まる前に給付されるだけでなく、特定の症状などの限定がなく、用途も制限されていないため、Nさんのように貯蓄がない方にとっては、大きな安心材料となります。
また医療保険とがん保険の両方とも、所定の年齢までに病気やがんによる入院等で給付金の支払いがなければ、払い込んだ保険料の使わなかった分が還付されるタイプの保険となっています。大きな病気をした場合の備えに加え、健康を維持すれば将来の貯蓄にもつながるので、若い世代には特におすすめできる保険です。
【将来への備え】資産形成に役立つ変額保険は、契約を2つに分けることで目的を明確に
Nさんの場合、働けなくなった場合の備えに加えて、現状で貯蓄がまったくないことも不安材料となっていました。そこで、万一のため保障をしっかりと確保しつつ、将来の資産形成にお役立ていただける変額保険をおすすめしました。
変額保険は、一般的な生命保険商品と違い、積み立て型の貯蓄の役割があるほか、積み立て金を運用できるという投資としての役割もあります。
今回Nさんへの提案では、用途を分けるために2契約にしました。
<表>Nさんに提案した変額保険
商品 | 保険料 | 保障内容 |
---|---|---|
変額保険① | 1万5,000円/月 | ・死亡保険金1,000万円 ・保障期間:70歳 ・払込期間:70歳 |
変額保険② | 1万5,000円/月 | ・死亡保険金1,000万円 ・保障期間:70歳 ・払込期間:70歳 |
▼Nさんに提案した「変額保険」はコチラ
変額保険のように貯蓄性がある保険をおすすめする際には、収入のうち貯蓄にまわしたい金額を一緒に考えることから始めます。Nさんの場合は、収入に応じて無理なく貯められる月額3万円になりました。その場合の死亡保険金は2,000万円となります。
ここでポイントとなるのが、変額保険の契約をあえて2口に分けたことです。なぜ分けたかと言うと、それぞれ「何のための積み立てなのか」という目的を、お客様に把握していただきたいからです。
Nさんの場合は体調に不安があるということもあるので、半分の1,000万円分は、自身の老後資金や働けなくなった場合などに備える「自分のため」としてのお金。そして残りの1,000万円分は、結婚や住宅購入など「誰かのため」にもなる将来のライフイベントに備えるお金として設定しています。目的を明確にすることで貯蓄に対するモチベーションが高まるほか、保険を見直す際にも役立つので、このような契約の仕方をおすすめすることが多いです。
元気に働ける若いうちこそ、将来への備えを考えましょう
若いうちは、加齢による健康リスクをイメージすることは難しいと思います。しかし、人間誰しも未来を予測することは不可能です。私の場合、早くに父親を亡くし祖母に育てられたため、将来への備えが大切ということに比較的早く気付く機会を得ることができました。だからこそ、特に若い世代の方には、今のうちに備えをしておくことをおすすめしています。
その際の保険選びで私が心がけているのは、同じ金額の月々の保険料をお支払いいただくのであれば、一回の保障でもらえる保障額の“高さ”を重視するのではなく、なるべく“広い”保障の範囲を提案することです。具体的には、ひとつのリスクに対して保障額を大きく設定するのではなく、お客様のニーズに合わせて複数の保険を組み合わせる提案をしています。
このように私たちライフパートナーは知識と経験を活かし、様々なタイプの保険から、ベストな組み合わせをご提案しています。
募集文書番号:21-KC01-K007