「チクショー!!」の決め台詞で知られる芸人・コウメ太夫さん。その裏の顔は不動産経営者であり、またシングルファザーという一面も持っています。不動産経営者とはつまり大家さんですが、気になるのは不動産業を始めたきっかけ。芸人が浮き沈みの激しい職業だからなのでしょうか。そんなきっかけに加えて、保有する物件の概要やその収支などの金銭面についてもインタビュー。シングルファザーとしての子育てや生活についても聞きました。

今回お話を聞いた人

コウメ太夫(こうめだゆう)さん

伝説的お笑い番組「エンタの神様」で大ブレイクしたお笑い芸人。現在もライブ活動のほか、Twitterに「#まいにちチクショー」のハッシュタグで新ネタを投稿したりYouTube「コウメ太夫のちゃんちゃかチャンネル」で動画をアップしたりと、精力的に活動している。
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5,000万円の物件で毎月35万円の家賃収入

コウメさんが不動産経営を始めたのは2008年ごろ。ブレイクから3年ほど経ち、活動が落ち着いてきたころにマネージャーから言われたアドバイスが一番のきっかけだったと言います。

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「だんだん仕事がなくなるからねって。僕はお袋と一軒家で同居してたんですけど、それを真っ二つにわけて半分を賃貸にして収入を得たら?ってすすめられたんです。彼は実家が不動産業を営んでいるので、そういう知恵があったんでしょうね」(コウメさん/以下同)

売れていた当時は生涯安泰だと思っていたコウメさんでしたが、マネージャーの言う通り仕事は少しずつ減少。稼いだお金は散財せずに貯金をしていたものの、このままでは10年ぐらいで底を尽きてしまうのではという不安もあり、お母さんにマネージャーの案を話したのだとか。

「怒られました。『なんで私が建てた家を半分にされなきゃいけないの!』って。じゃあどうしようかということでお袋に相談したら、不動産屋に行ってみようということになったんです。その後何度も足を運んで話を聞き、アパートを買うと決断したんです」

不動産会社ではいくつかの物件を紹介され、コウメさんが購入したのはすでに着工が進んでいた建物。現地視察や下見も数回行い、担当者から様々な話を聞く中でマネーリテラシーを高めていったそうです。物件購入の決め手を聞くと、自分が住みたいと思える魅力がいくつもあったからだとコウメさんは言います。

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「場所は西武池袋線の沿線です。今の家から遠くはないし街の名前も知ってるけど、住んだことはなく友人がいるわけでもない。でも、その物件は駅から4~5分で、片側1車線ずつの道路沿い、さらに角地だから日当たりも良好。近くに広めの公園やコンビニもあって、こりゃいいなと思ったんです。建物のデザインも自分好みだったので、絶対買いたいと思いました」

アパートは2階建ての計6部屋で、約5,000万円。それまで豪遊しなかったこともあり、3,000万円ほどの貯金があったコウメさんはそのお金を頭金にして購入を決めました。ほかにも購入希望者がいたものの、コウメさんの頭金が3,000万円と一番高かったことで権利を獲得できたといいます。「残りの2,000万円は20年ローンを組んで、家賃収入から相殺する形で払っています。各部屋の家賃は時期によって変わりますが、1階が5万5,000円ぐらいで、2階はロフト付きだから6万5,000円ぐらい。満室であれば大体35万円が収入となります。そこからローン返済で8万7,000円、管理費が1万円ちょっと差し引かれて、僕の手元に残るのは毎月25~26万円ですね」

不動産会社と管理会社選びが重要

不動産投資については学生時代などに一瞬興味が湧いたものの、特に勉強や情報収集はしていなかったというコウメさん。そしていざ買うとなった際も、マネージャーや知人に相談することはなかったとか。不安はなかったのでしょうか。

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「そりゃあ数千万円の買い物ですし、住む人がいなければ収入にならないわけですから、心配はありましたよ。業者にお金をごまかされちゃうんじゃないか、とかも考えましたし。でも僕の場合は運がよく、人にも恵まれました。たとえば、お世話になった不動産屋さんの社長は元々役者を目指していた方で、人一倍親身になってくれたんです。ローンの件も銀行などにお願いしてくれたみたいで、あの社長じゃなかったら2,000万円も借りられなかったかもしれません」

購入の際はもちろん、買ったあとも業者選びは大切だとコウメさんは言います。特に善し悪しを左右するのが、入居者の募集などを行う管理会社。コウメさんも一時、住人の退居が続いた時期があって管理会社を変えたことがあったそう。

「でも、変えたら変えたでもっと出ていくようになっちゃって。だから前の管理会社に戻したんです。あとは、入居希望者の人柄とかを最初に判断するのは管理会社なので、契約した住人がトラブルメーカーだった場合は管理会社にも責任はあるわけなんですよね。その意味でもかなり重要です。担当者によっても変わると思いますが、いざとなったらほかの管理会社にお世話になってみるのも手かもしれません

コウメさんが不動産経営を始めて意識するようになったことのひとつが、物件周辺の家賃相場や社会の景気動向。購入から10年以上を経て振り返ると、東日本大震災やインバウンドの増加などがあり、また最近でいえばコロナ禍もありました。影響はどうだったのでしょうか。

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「芸人含め、コロナで仕事がなくなる職業はありますからね。でもうちの住人は守られているのか、今のところ退居者はいないです。とはいえまだどうなるかはわかりませんから、ドキドキしてますよ。相場がよかったのは、五輪に向けて盛り上がってる時期です。7,000万円で売れるかもって言われたこともありました。まあ、それで大金を手にしても無駄遣いすると怖いので売る気はなかったですけどね。不動産は息子にも残してあげられる資産だから、これからも簡単に売るつもりはありません」

息子を私立中学に行かせられたのは不動産収入があるから

「息子」というワードが出てきたところで、シングルファザーとしての生活についても聞いていきます。現在息子さんは中学1年生。同居しているお母さん(息子さんの祖母)のサポートがあるとはいえ、小さい時はおしめの交換や幼稚園の送迎など、必死に育児をしていたと振り返ります。

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「離婚したのが2009年。アパートが建ってすぐだったんですけど、当時は仕事もなくなるしでショックが重なった時期でした。息子も小さくて大変でしたが、仕事がなかったから育児としてはよかったですね。僕自身の癒しにもなりましたし。あと、お袋のサポートもすごく助かりました。今も頭が上がりません」

コウメさんのお母さんは調理師免許を持つほど料理が得意で、朝昼晩と食事はお任せ。それ以外でも孫の面倒をよく見てくれて、息子さん自身もおばあちゃん子に育っているといいます。さらに聞けば、息子さんが通っている私立中学の費用も半分出してくれているのだとか。

「お袋は僕が小さい時にも塾に通わせたり家庭教師をつけたり、教育熱心なんです。まあ僕は全然身につきませんでしたが。でも息子はすごく優秀で、塾などに行く必要がないほど勉強ができるんですよ。意欲も高くて、私立は本人の希望だったんです。なら行かせてあげようということで、お袋も乗り気になって学費を折半してくれることになりました」

だれかの迷惑にならなければ、できるだけ自由にさせるのがうちの教育方針だとコウメさんは言います。とはいえルールもいくつか設けていて、たとえばゲームは時間制限付き。お小遣いは10歳ぐらいから、毎月決まった金額をあげているそうです。

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「子どもは大きくなると手がかからなくなる分、お金がかかるようになりますよね。お袋に半分出してもらっているとはいえ、私立に行かせられているのは不動産収入があってこそ。しかもこれから高校に大学と、ますますお金がかかります。僕は今でこそコロナで営業は減っていますけど、一時期より仕事も増えてきて、今日もこうして呼んでいただけてるじゃないですか。ただしやっぱり波があるので、副収入があると心強いです

もしも不動産投資をしていなかったら……

芸人として売れる前はアルバイトに励んでいたというコウメさん。もし不動産投資をしていなかったらと考えると、ゾッとすると言います。

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「きっと、子どもを養うために必死でアルバイトをしてたでしょうね……。年齢的には雇ってもらうこと自体が大変でしょうけど。でもアルバイトをしてたら、子どもと過ごす時間なんてないですから。コロナ前はほぼ週1ペースでファミレスにふたりで行ってたんですけど、そういうちょっとした贅沢もできなかったでしょうし。それに不動産投資で安定収入がなかったら、そもそも子どもの親権すら得られなかったかもしれませんが…」

最後に、不動産投資について気になっている人に向けたアドバイスを聞いてみました。やはり一番は前述した通り、不動産会社や管理会社は慎重に選ぶことですが、ほかにはどんなところがポイントになるのでしょうか。

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「僕は運がよかったと思います。本当は、事前に本で勉強したり、情報収集をして不動産に関する知識を身に付けておいたほうがいいでしょうね。あと、ある程度の頭金を用意できるのであれば、まずは不動産屋さんに相談してみるといいと思います。また、シングルファザーの人に向けて言いたいことは、お互いパパ同士頑張っていきましょう、と。ママがいないと大変なことってありますし、子どもの成長とともにお金がかかりますけど、成長を見ていけるのってやっぱり楽しみですから。親子で支え合っていい人生を送ってください!」

コウメさんは特殊なケースですが、不動産経営は職業に関係なく多くの人がしている資産運用です。コウメさんほどの頭金はなかなか用意できないかもしれませんが、興味がある人は今からでも遅くないはず。まずは情報取集と貯金から始めてみてはいかがでしょうか。

写真/小島マサヒロ

この記事の著者

中山秀明(なかやまひであき)

グルメ、ファッション、カルチャー分野を得意とする編集プロダクションを経て、現在はフリーのライター、エディターとして活動。雑誌、書籍、ウェブメディアを中心に、編集や撮影を伴う取材、執筆を行っている。また、フードアナリストの資格をもっており、TV、ラジオ、大手企業サイトなどのコメンテーターとして出演することもある。

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