そんな声に対して「不動産投資は難しそうな分、参入する人も少数。ライバルが少ないので、きちんと勉強すれば勝ちやすい世界なんです」と教えてくれたのは、“強面YouTuber”として人気のもふ社長。初心者にも分かる、やさしい不動産投資情報が好評のもふ社長に、この連載では不動産投資のギモンをガンガンぶつけてきました。
第3回のテーマは「不動産投資で必要な勉強を教えてください!」。難しい世界だからこそ、効率よく学べる勉強法を聞いちゃいます!
お話を聞いた人
もふ社長
不動産投資家、株式投資家。2014 年から不動産投資を始め、総資産2億円、純資産は1億円を突破。現在は28室を保有している。登録者26.7万人のYouTubeチャンネル「もふもふ不動産」を運営。同名のウェブサイトとともに、不動産投資情報をわかりやすく解説している。
騙されたくないなら、本を100冊以上は読んでおこう
前回までのお話を聞いて、不動産投資のしくみや物件の見方がわかってきました。とはいえ、やっぱり勉強も必要ですよね。「必要な知識を確実に学べる勉強法」ってありますか?
必要な知識を確実に学べる……ですか。それなら、不動産投資の本を100冊読みましょう。一番確実です。
100冊……。10冊ではダメですか?(笑)
「確実に」ということなら、100冊読んでほしいと思います。僕も不動産投資を始める前に100冊以上読んだんですよ。というのも、不動産投資の本ってたくさん出ていますよね。でも、言っていることはバラバラなんです。
バラバラ?
はい。著者はそれぞれ独自の理論を持っているし、中にはコンサルを売り込みたいだけの“詐欺”に近い本もある。業者が自分の物件を売るために出版することも珍しくないんです。だから、1冊2冊ですべてを学ぼうとすると痛い目に遭うかもしれません。
そういうことですか……。でも、怪しい本かどうか、買うときに分からないものですか? 口コミを見たり、評判を検索したり。
ひとつの基準にはなりますが、あまりネットの口コミを信用しすぎるのは考えものです。詐欺的な本の中には、高評価ばかりのものがありますよ。おそらくサクラでしょう。僕も買ってすぐに捨てた本がたくさんあります。読み始めた瞬間に「なんだこれは?」と(笑)。
もふ社長もそういう経験があるんですね。
もちろんです。僕も最初は初心者でしたから。知識がない頃は、どの本が正しくてどの本が詐欺なのか、判断できないじゃないですか。しかも、たとえ正しい内容でも、本によって理論は様々。だから100冊以上読んで、いろいろな意見を取り入れてほしいんです。その上で、自分が良いと思うものを決める。
いろんな本を比較する中で、見る目を養うというか。
そうですね。もっと言えば、本をたくさん読む中で「不動産投資は向いてなさそうだな」「あんまり面白くなさそうだな」と思ってもいいんです。わずかな情報で飛び込む方が危険だし、やらないという判断も大切。たくさんの本を読むことで、いろんなリスクを回避できるんですよ。
「まずアパ」と出合わなければ、不動産投資をしなかったかも
わかりました。ただ仮に100冊読むにしても、最初にどんな本から手をつければいいのか……。不動産投資の入口としてオススメの本はありますか?
確かにそこは悩みますからね(笑)。それならオススメの本が2冊ありますよ。
ぜひ教えてください!
1冊目は、初心者が抱く不動産投資のギモンにわかりやすく答えてくれる“教科書”です。鈴木宏史さんの『不動産投資 最強の教科書』ですね。
【もふさんのオススメ本①】
『初心者から経験者まですべての段階で差がつく! 不動産投資 最強の教科書』
著者:鈴木宏史
出版社:東洋経済新報社
定価:1,650円(税込)
ブラック企業で休職・退職に追い込まれ、労働収入以外に収入の柱を作ろうと不動産投資で成功した著者。その経験をベースに、ノウハウや裏話をQ&A形式で紹介している。
▶︎ウェブサイト
誰もが抱く“素朴”な不動産投資のギモンに、Q&A形式でていねいに答えているんですね。しかも、知識がなくても分かリやすい文章なんです。
まさに初心者の教科書ということですね。
はい。著者の鈴木宏史さんは、不動産鑑定士であり、不動産投資家として実績を持つ人。サラリーマンをやりながら、地方でRC造(鉄筋コンクリート構造)のマンションを買い続けて実績を築いた人なんです。もともとコラムニストとしても人気で、前回紹介した不動産情報サイト「楽待」でもコラムを書いていました。それだけに、読みやすくて分かりやすいんです。
なるほど。もう1冊のオススメはどんな本ですか?
僕が不動産投資を始めるきっかけになった本ですね。石原博光さんの『まずはアパート一棟、買いなさい!』です。
【もふさんのオススメ本②】
『まずはアパート一棟、買いなさい!資金300万円から家賃年収1000万円を生み出す極意』
著者:石原博光
出版社:SBクリエイティブ
定価:1,650円(税込)
300万円の自己資金から不動産投資を始めて、家賃年収1000万円を得る方法を記した本著。1棟目に買うべき物件の選び方から融資、長期の不動産投資戦略まで詰まった一冊。
▶︎ウェブサイト
前回話したように、不動産の物件にはいくつかのタイプがあります。それまで僕は「区分マンション」ばかり見ていたんですね。そして「表面利回りがよくないなあ」と思っていました。だから、不動産投資には興味がありつつも乗り気じゃなくて。
表面利回りとは「年間の家賃収入が購入価格の何%になるか」という指標ですよね。物件を見る上で重要だと聞きました。
そうですね。区分マンションは、表面利回りがだいたい5〜10%。しかも管理費やリフォーム費でさらに引かれる。一方、この本によると、アパートは利回り20%も夢じゃないというんですね。「そんな世界あるんだ」と目からウロコでした。
アパートとマンションでは、必勝法が大きく異なる
そこまで利回りが違うんですね。それは驚きです。
具体的な実績が本の中に書かれているので、読んでみてください。石原さんは地方のアパートを安く買って、着実に利益を上げていった方なのですが、その手法を細かく載せているんです。物件の探し方から、空室の埋め方まで。もしこの本に出会っていなければ、僕は不動産投資をやっていなかったかも。
そこまで影響を受けたんですか……。ちょっと読みたくなりました。
正直、最初のアパート購入はこの本の通りに実践したくらいですね。いまだに売れている本ですし、不動産マニアには「まずアパ」と言えば分かると思います(笑)。
「まずアパ」、読んでみます!
ひとつ注意点は、この本が“アパート”の投資法に特化していることです。不動産投資で人気が高い「RC造マンション」ではないので、そこだけ分かっていただければ。
そうなんですか。アパートもマンションも同じ不動産なので、本の内容をRC造マンションに転用すればいいのでは?
それはダメなんです。アパートとマンションは、買うまでの戦略がかなり違います。競技のルールは同じだけど、必勝法は大きく異なるようなもの。なので、マンションならマンションの戦略をきちんと学んだほうがいいでしょう。
アパートとマンションでも、けっこうな差があるんですね。
そうなんです。これも100冊読んだほうがいい理由ですね。アパートとマンション、あるいは新築と中古など、物件のタイプで必要なノウハウは全然違うんですよ。だから様々なジャンルの本を読んで、自分に合うものを見つけられるといいですよね。
たくさん読んでほしい理由は、そういうところにもあると。
はい。ちなみに、これ以外にも「初心者が最初に読む本」をブログでいくつか紹介しています。このページも参考にするといいですよ。とにかく、100冊目指して頑張りましょう(笑)
一番ダメなのは、調べずにお金を払って学ぼうとすること
がんばります……。ちなみに、本を読むだけでなく、前回話した「相場観」を磨く作業も同時にしないとダメなんですよね?
それはマストです。野球の本をずっと読んでいてもうまくならないですよね。実際に体を動かして野球をしないと。相場観を磨くのも同じ位置付けなんです(相場観については第2回参照)。
分かりました。ちなみに、いろんな場所で開催されている不動産投資のセミナーなんてどうですか? そっちの方がラクそうな気もしていて……。
千差万別なので、ひとことで良し悪しは判断できないですね。ただひとつ言えるのは「自分にとって必要かどうかが分からないなら、大金を払うな」ということです。セミナーに行くにも、教材を買うにも。
どういうことですか?
よくいるんです、僕に「このセミナーどうですか?」と聞く人が。僕はそれに答えません。受講すべきかどうかを自分で判断できないならやめたほうがいいですね。セミナーは高額なものも少なくありませんから尚更です。重大な判断、お金がかかる判断を人に任せてしまう人は、投資で成功するのは難しいでしょう。
きちんと自分で選んで、勉強しないといけませんね。学ぶことは多そうです……。
そうですね。ただ、学ぶことが多いのは事実ですが、1つ1つの知識はそんなに難しくはないんですよ。「住居」は誰もが生活している場所だし、リフォームをするにも、床のフローリングや壁紙などは、身近な存在だからイメージしにくい世界ではないですよね。それに、専門的な知識を必要とする本当に大事なことは専門家に任せることができます。これも不動産投資の良さなので。
どういうことですか?
リフォームならリフォーム業者、税金関連なら税理士へ業務を委託できる、という意味です。不動産投資は、自分がすべての専門家になる必要はなくて、各分野の知識を大まかにつけておけばいい。「監督」のようなイメージです。僕もリフォームや税金の細かい知識はないですし、あまり身構えなくて大丈夫ですよ。
専門家が選手で、それを操る監督ということですね。分かりやすいたとえです。
ありがとうございます(笑)。あとはもうひとつ、仲間を作ってください。SNSで不動産投資をやっている方とコミュニケーションをとるとか、「大家(おおや)の会」に入るとか。
「大家の会」ってなんですか?
全国のオーナーさんが非営利でやっているコミュニティです。サービスはいくつか存在します。不動産情報ってあまり表に出ないんですよね。どこのリフォーム業者がいいとか、そういう情報は、仲間から得るのが一番です。ただし、これもマナーが大切です。
また気になる発言が出てきましたね。教えてください。
初心者の人が、いきなり根掘り葉掘り情報を聞くのは嫌われます。不動産投資家に「物件の探し方を教えてください」とか「家賃年収いくらですか」なんてズバズバ聞くと煙たがられるので(笑)。基本的なことは自分で勉強したほうがいいですね。
確かにその質問は嫌われそうです(笑)
あと、こういったオーナーコミュニティは“カモ”を探している業者にとっても“オイシイ場所”です。初心者が変な物件を売りつけられるケースもあるので、自己責任で参加するか考えてください。
またも騙される話ですね……。
本当に騙す人が多い業界なので。いろいろな業界を見ているけど、こんなに騙す人が多いのは不動産投資だけですよ。だからこそ、知識なしでやってはダメなんです。甘い言葉に流されず、粘り強く勉強すること。そうすれば、成功の可能性は確実に高まりますよ
その言葉を心に留めて、しっかり勉強します! ありがとうございました!
〈今回のまとめ〉
撮影/宮田雄平
この記事の著者
有井太郎(ありい たろう)
1984年生まれ、長野県出身のフリーライター。今後の人生におけるお金の問題を考え始め、マネー系の取材に挑戦中。ライターという立場を利用し、取材しながら自分の知識も蓄える、一石二鳥戦法で学んでいます。