「社会人3年目、これから給与は上がるのかな?」
「努力して大学卒業したけれど年収200万円台って低すぎない? 平均はどのくらい?」

社会に出たばかりの20代は、年収や昇給など、給与に関する不安・疑問をなかなか身のまわりの人に聞きづらいものです。

もちろん、働くことの意義は給与だけではありませんが、自分の給与が平均と比べてどのくらいなのか把握することで、転職を考えたり、資産運用を考えたりするきっかけにもなります。

そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの中村賢司さん監修のもと、20代大卒の年収の平均値や中央値を紹介します。男女別や年齢別、業種・職種別など細かに紹介しているので、自分の給与がどのくらいに位置しているのか、参考にしてください。

この記事の監修者

中村 賢司(なかむら けんじ)

ライフプランニングゆめたまご代表。住友生命保険相互会社勤務を経て独立。2008年7月に独立系FP事務所を設立し、ファイナンシャルプランナーとして、個人のコンサルティングを行いながら、テレビ・ラジオ番組への出演、雑誌の執筆などを行う。様々なメディアを通じて、家計管理やライフプランの重要性、投資の啓蒙を説いている。

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※本記事で紹介する各データは、すべて厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに算出しています。

※本記事で記載している「平均年収」は、すべて額面での数字を表しています。

20代大卒の平均年収

画像: 画像:iStock.com/GCShutter

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厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」1)によると、20代大卒の平均年収は20〜24歳(※)の前半で308万2,600円、25〜29歳の後半で390万8,400円です。

※ 基本的に大卒は22歳以上ですが、この記事では参照元データの年齢に合わせて表記しています。

〈表〉20代大卒の平均年収(男女別)

平均年収
20〜24歳25〜29歳
男性310万5,500円403万2,900円
女性305万9,100円373万7,700円
男女計308万2,600円390万8,400円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

これに対し、中卒から大学院卒まですべての学歴を含めた全体の平均年収は、20代前半で292万2,100円、後半で360万300円のため、大卒の平均年収は15〜35万円程度高いことがわかります。

また、20代前半では男女の差が5万円程度なのに対し、後半では30万円程度まで開くことがわかるでしょう。男女の年収の差は年齢を重ねるごとに開いていく傾向にあります。

その理由のひとつとして、正規雇用と非正規雇用の給与に違いがあることが挙げられます。というのも、女性は20代後半以降、結婚や出産を機に働き方を変更する場合が多いためです。管理職にキャリアアップしやすい総合職に、男性が多い傾向であることも、男女の年収に差がある理由のひとつでしょう。

【関連記事】定年時の就業率や年齢別の雇用形態など、女性の働き方について詳しくはコチラ

20代大卒の年収中央値

同調査には年収の中央値のデータはありませんが、月収(残業代を含まない)の中央値は発表されています。これを参考に、賞与の平均額を足して計算すると、およその年収中央値は以下のようになります。

〈表〉20代大卒の年収中央値(男女別)

年収中央値
20〜24歳25〜29歳
男性303万1,100円384万900円
女性298万5,900円361万8,900円
男女計301万600円374万8,800円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

【年齢別】20代大卒の平均年収

画像: 画像:iStock.com/maroke

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つぎに、20代大卒のより詳細な年齢別の平均年収を見ていきましょう。

ほかの年代でも同様ですが、年齢上昇とともに平均年収はアップしていく傾向があります。22歳が最も安く267万7,400円で、29歳が最も高い459万1,200円です。約200万円もの差があります。

22歳〜29歳それぞれの平均年収は以下のようになっています。

〈表〉20代大卒の平均年収(年齢・男女別)

年齢平均年収
男性女性男女計
22歳269万3,900円266万900円267万7,400円
23歳305万5,600円304万4,100円304万9,800円
24歳348万7,600円343万500円346万1,500円
25歳388万3,000円375万5,400円382万5,400円
26歳401万6,600円389万500円396万1,000円
27歳428万5,400円402万500円417万6,000円
28歳445万6,900円403万4,600円429万8,600円
29歳474万600円434万2,700円459万1,200円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

〈図〉20代大卒の平均年収(年齢・男女別)

画像: 【年齢別】20代大卒の平均年収

ここで、新卒である22歳に注目してみると、初任給についても知ることができます。22歳の平均年収は、男女合計で267万7,400円です。このうち、月収が22万1,200円、賞与が2万3,000円です。賞与がほとんどないように感じますが、これは、入社1年目は賞与がない企業も多いことが要因と考えられます。

一方で23歳以降の賞与の金額を見てみると、23歳が31万1,400円、24歳が67万7,500円と徐々にアップしていき、29歳には117万円にまで上ります。

〈表〉20代大卒の平均年収とその内訳(年齢別)

年齢平均年収月収年間賞与
22歳267万7,400円22万1,200円2万3,000円
23歳304万9,800円22万8,200円31万1,400円
24歳346万1,500円23万2,000円67万7,500円
25歳382万5,400円24万3,700円90万1,000円
26歳396万1,000円24万9,100円97万1,800円
27歳417万6,000円26万2,300円102万8,400円
28歳429万8,600円27万1,800円103万7,000円
29歳459万1,200円28万5,100円117万円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。
※月収は参照元データの「所定内給与額」の値です。

【年代別】大卒の平均年収

大卒の平均年収は30代以降も年齢が上がるにつれてアップする傾向があります。たとえば、20代前半から30代前半では平均年収が150万円程度アップします。

年代別の大卒の平均年収は以下のとおりです。比較のためにすべての学歴を含めた全体の平均年収も載せています。

大卒と全体の数字を比較すると、20代前半ではほとんど差がありませんが、一番差が開く50代前半の時点で237万800円もの違いが表れます。これは、一概にはいえませんが大卒の方が比較的キャリアアップしやすい業種や職種に就いていることが多いためだと考えられます。

〈表〉大卒と学歴全体の平均年収(年代別)

年齢大卒の平均年収全体の平均年収
20〜24歳308万2,600円292万2,100円
25〜29歳390万8,400円360万300円
30〜34歳459万6,700円408万7,800円
35〜39歳536万円459万7,800円
40〜44歳611万4,700円499万4,200円
45〜49歳687万8,200円530万1,900円
50〜54歳800万5,300円563万4,500円
55〜59歳782万4,800円561万3,400円
60〜64歳544万200円414万2,100円
65〜69歳478万200円345万2,200円
70歳〜471万5,300円324万7,500円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。
※全体の平均年収には中卒、高卒、専門卒、高専・短大卒、大学卒、大学院卒、その他不明の値が含まれています。

〈図〉大卒と学歴全体の平均年収(年代別)

画像: 【年代別】大卒の平均年収

【学歴別】高卒・大卒・大学院卒の20代の平均年収

画像: 画像:iStock.com/Yue_

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すべての学歴を含めた全体と比較して、大卒の年収が高いことがわかりました。では、学歴ごとの平均年収についても紹介します。

〈表〉20代の平均年収(学歴別)

学歴平均年収
20〜24歳25〜29歳
中卒261万6,000円304万2,000円
高卒285万6,200円321万3,900円
専門卒291万3,800円338万円
高専・短大卒291万9,700円348万4,200円
大卒308万2,600円390万8,400円
大学院卒307万5,300円431万9,500円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

〈図〉20代の平均年収(学歴別)

画像: 【学歴別】高卒・大卒・大学院卒の20代の平均年収

これを見ると、基本的には学歴が高いほうが年収も高くなっていることがわかります。一方で、就職や転職の場において、現在では学歴よりも本人のスキルや経験を重視する企業が増えてきています。学歴別の平均年収は、あくまで参考程度に見るようにしましょう。

【業種・職種別】20代大卒の平均年収

画像1: 画像:iStock.com/maruco

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最後に、業種・職種別の20代大卒の平均年収を見ていきましょう。

業種別では、20代前半・後半いずれも「鉱業・採石業・砂利採取業」が一番高く、「宿泊業・飲食サービス業」が一番低くなっています

〈表〉20代大卒の平均年収(業種別)

業種平均年収
20〜24歳25〜29歳
鉱業・採石業・砂利採取業366万8,800円448万900円
建設業326万6,000円422万4,600円
製造業302万4,500円370万4,700円
電気・ガス・熱供給・水道業313万2,900円400万8,900円
情報通信業308万7,500円396万600円
運輸業・郵便業301万8,100円369万2,100円
卸売業・小売業307万6,600円395万2,800円
金融業・保険業311万4,100円425万6,400円
不動産業・物品賃貸業310万3,900円418万3,800円
学術研究・専門・技術サービス業318万4,200円413万3,700円
宿泊業・飲食サービス業270万4,300円319万9,700円
生活関連サービス業・娯楽業292万2,700円356万400円
教育・学習支援業304万4,000円370万7,700円
医療・福祉業318万7,600円395万4,600円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

職種別では、「管理職」が一番高く、「農林漁業職」が一番低くなっています。20代から管理職に就いている方は、20代後半で500万円近く年収があり、ほかの職種よりもおよそ100万円以上高くなっています。

〈表〉20代大卒の平均年収(職種別)

職種平均年収
20〜24歳25〜29歳
管理職345万9,400円498万6,800円
専門・技術職318万2,600円404万6,900円
事務職303万600円381万100円
販売職309万4,800円404万5,300円
サービス職284万4,400円351万5,900円
保安職280万4,400円341万8,000円
農林漁業職255万900円301万6,500円
生産工程職286万6,500円333万2,900円
輸送・機械運転職292万6,000円371万4,500円
建設・採掘職299万1,900円377万1,400円
運搬・清掃・包装等の職300万7,200円337万9,400円
※厚生労働省「令和2年賃金構造基本統計調査」をもとに計算。
※賞与も含まれた金額です。残業代、各種手当は含まれていません。

20代で年収アップを目指す方法

画像2: 画像:iStock.com/maruco

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今の年収に満足できないなら、収入を上げるためにいくつかの方法を試してみてもいいでしょう。20代で年収アップを目指す方法には、主に以下のようなものがあります。

1. 副業をする
2. 転職をする
3. 資格を取得して手当をもらう
4. 昇進・昇格するための自己投資をする

自分の今の働き方に合った年収アップの方法を見つけて、納得のいく収入を手に入れられるよう行動することが大切です。

たとえば、金融業界でキャリアアップする場合、ファイナンシャルプランナーの資格を取得すれば、好待遇の転職を実現できる可能性が高くなります。

上記の4つの内容について、詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

【関連記事】20代の平均年収や、年収アップ方法について詳しくはコチラ

まとめ

様々な角度から20代大卒の平均年収について紹介しました。しかし、企業によって、そして住んでいる地域や仕事の内容などによっても年収は変わります。これらはあくまで参考として見るようにしましょう。

【関連記事】地域別の20代の平均年収について詳しくはコチラ

20代はまだキャリアを形成し始めたばかりです。平均の数字を見たり、まわりの話を聞いたりして焦ってしまうこともあるかもしれませんが、まずは自分の今の給与がどのくらいなのか把握し、その上で将来どのくらい稼ぎたいのか、どのように働いていきたいのかなど、状況や希望を整理するようにしましょう。

目標が明確になることで、仕事はもちろんライフプランも立てやすくなります。

目標に向かっていろいろと試行錯誤できるのが20代です。今の自分のために、そして将来のために、できることから始めていきましょう。

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