「大学卒業したけれど年収200万円台って低すぎない? 平均はどのくらい?」
社会に出たばかりの20代は、年収や昇給など、給与に関する不安・疑問をなかなか身のまわりの人に聞きづらいものです。
もちろん、働くことの意義は給与だけではありませんが、自分の給与が平均と比べてどのくらいなのか把握することで、転職を考えたり、資産運用を考えたりするきっかけにもなります。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの中村賢司さん監修のもと、20代大卒の年収の平均値や中央値を紹介します。男女別や年齢別、業種・職種別など細かに紹介しているので、自分の給与がどのくらいに位置しているのか、参考にしてください。
※この記事は、2025年7月24日に更新しています。
※本記事で紹介する各データは、すべて厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」をもとに算出しています。
※本記事で記載している「平均年収」は、すべて額面での数字を表しています。
20代大卒の平均年収

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厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」1)によると、20代大卒の平均年収は20〜24歳(※)の前半で363万8,500円、25〜29歳の後半で465万6,200円です。
※ 基本的に大卒は22歳以上ですが、この記事では参照元データの年齢に合わせて表記しています。
〈表〉20代大卒の平均年収(男女別)
平均年収 | ||
---|---|---|
20〜24歳 | 25〜29歳 | |
男性 | 367万4,900円 | 487万1,200円 |
女性 | 360万2,100円 | 441万5,200円 |
男女計 | 363万8,500円 | 465万6,200円 |
これに対し、中卒から大学院卒まですべての学歴を含めた全体の平均年収は、20代前半で346万7,600円、後半で428万6,200円のため、大卒の平均年収は20〜40万円程度高いことがわかります。
また、20代前半では男女の差が7万円程度なのに対し、後半では45万円程度まで開くことがわかるでしょう。男女の年収の差は年齢を重ねるごとに開いていく傾向にあります。
その理由のひとつとして、正規雇用と非正規雇用の給与に違いがあることが挙げられます。というのも、女性は20代後半以降、結婚や出産を機に働き方を変更する場合が多いためです。管理職にキャリアアップしやすい総合職に、男性が多い傾向であることも、男女の年収に差がある理由のひとつでしょう。
【関連記事】定年時の就業率や年齢別の雇用形態など、女性の働き方について、詳しくはコチラ
参考資料
20代大卒の年収中央値
同調査には年収の中央値のデータはありませんが、月収(残業代を含まない)の中央値は発表されています。これを参考に、賞与の平均額を足して計算すると、およその年収中央値は以下のようになります。
〈表〉20代大卒の年収中央値(男女別)
年収中央値 | ||
---|---|---|
20〜24歳 | 25〜29歳 | |
男性 | 333万2,900円 | 415万4,800円 |
女性 | 329万4,900円 | 394万6,000円 |
男女計 | 331万4,500円 | 405万8,600円 |
【年齢別】20代大卒の平均年収

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つぎに、20代大卒のより詳細な年齢別の平均年収を見ていきましょう。
ほかの年代でも同様ですが、年齢上昇とともに平均年収はアップしていく傾向があります。22歳が最も安く292万6,200円で、29歳が最も高い491万5,900円です。約200万円もの差があります。
22歳〜29歳それぞれの平均年収は以下のようになっています。
〈表〉20代大卒の平均年収(年齢・男女別)
年齢 | 平均年収 | ||
---|---|---|---|
男性 | 女性 | 男女計 | |
22歳 | 292万1,100円 | 293万100円 | 292万6,200円 |
23歳 | 332万3,700円 | 336万2,100円 | 334万3,000円 |
24歳 | 382万200円 | 381万8,100円 | 381万8,600円 |
25歳 | 420万4,900円 | 413万1,900円 | 416万8,100円 |
26歳 | 436万7,200円 | 425万5,400円 | 431万5,400円 |
27歳 | 466万4,200円 | 433万7,800円 | 451万3,700円 |
28歳 | 475万5,800円 | 443万5,700円 | 461万4,800円 |
29歳 | 507万6,200円 | 469万1,200円 | 491万5,900円 |
〈図〉20代大卒の平均年収(年齢・男女別)

ここで、新卒である22歳に注目してみると、初任給についても知ることができます。22歳の平均年収は、男女合計で292万6,200円です。このうち、月収が24万1,600円、賞与が2万7,000円です。賞与がほとんどないように感じますが、これは、入社1年目は賞与がない企業も多いことが要因と考えられます。
一方で23歳以降の賞与の金額を見てみると、23歳が32万200円、24歳が73万5,800円と徐々にアップしていき、29歳には126万円にまで上ります。
〈表〉20代大卒の平均年収とその内訳(年齢別)
年齢 | 平均年収 | 月収 | 年間賞与 |
---|---|---|---|
22歳 | 292万6,200円 | 24万1,600円 | 2万7,000円 |
23歳 | 334万3,000円 | 25万1,900円 | 32万200円 |
24歳 | 381万8,600円 | 25万6,900円 | 73万5,800円 |
25歳 | 416万8,100円 | 26万6,500円 | 97万100円 |
26歳 | 431万5,400円 | 27万4,200円 | 102万5,000円 |
27歳 | 451万3,700円 | 28万2,800円 | 112万100円 |
28歳 | 461万4,800円 | 29万円 | 113万4,800円 |
29歳 | 491万5,900円 | 30万4,500円 | 126万1,900円 |
【年代別】大卒の平均年収
大卒の平均年収は30代以降も年齢が上がるにつれてアップする傾向があります。たとえば、20代前半から30代前半では平均年収が150万円程度アップします。
年代別の大卒の平均年収は以下のとおりです。比較のためにすべての学歴を含めた全体の平均年収も載せています。
大卒と全体の数字を比較すると、20代前半ではほとんど差がありませんが、一番差が開く50代前半の時点で237万円もの違いが表れます。これは、一概にはいえませんが大卒の方が比較的キャリアアップしやすい業種や職種に就いていることが多いためだと考えられます。
〈表〉大卒と学歴全体の平均年収(年代別)
年齢 | 大卒の平均年収 | 全体の平均年収 |
---|---|---|
20〜24歳 | 363万8,500円 | 346万7,600円 |
25〜29歳 | 465万6,200円 | 428万6,200円 |
30〜34歳 | 531万6,400円 | 483万5,100円 |
35〜39歳 | 616万3,200円 | 535万5,400円 |
40〜44歳 | 673万3,100円 | 572万1,600円 |
45〜49歳 | 751万6,800円 | 602万7,200円 |
50〜54歳 | 803万8,300円 | 615万4,700円 |
55〜59歳 | 863万6,000円 | 629万3,300円 |
60〜64歳 | 623万7,300円 | 484万2,000円 |
65〜69歳 | 493万7,100円 | 387万7,500円 |
70歳〜 | 502万5,900円 | 345万300円 |
〈図〉大卒と学歴全体の平均年収(年代別)

【学歴別】高卒・大卒・大学院卒の20代の平均年収

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すべての学歴を含めた全体と比較して、大卒の年収が高いことがわかりました。では、学歴ごとの平均年収についても紹介します。
〈表〉20代の平均年収(学歴別)
学歴 | 平均年収 | |
---|---|---|
20〜24歳 | 25〜29歳 | |
中卒 | 318万600円 | 367万200円 |
高卒 | 347万3,000円 | 390万8,100円 |
専門卒 | 334万500円 | 389万9,800円 |
高専・短大卒 | 345万2,200円 | 402万5,500円 |
大卒 | 363万8,500円 | 465万6,200円 |
大学院卒 | 363万1,800円 | 536万9,500円 |
〈図〉20代の平均年収(学歴別)

これを見ると、基本的には学歴が高いほうが年収も高くなっていることがわかります。一方で、就職や転職の場において、現在では学歴よりも本人のスキルや経験を重視する企業が増えてきています。学歴別の平均年収は、あくまで参考程度に見るようにしましょう。
【業種・職種別】20代大卒の平均年収

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最後に、業種・職種別の20代大卒の平均年収を見ていきましょう。
業種別では、20代前半・後半いずれも「鉱業・採石業・砂利採取業」が一番高く、「サービス業(他に分類されないもの)」が一番低くなっています。
〈表〉20代大卒の平均年収(業種別)
業種 | 平均年収 | |
---|---|---|
20〜24歳 | 25〜29歳 | |
鉱業・採石業・砂利採取業 | 555万1,100円 | 703万4,900円 |
建設業 | 392万円 | 522万3,900円 |
製造業 | 354万3,300円 | 450万円 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 378万300円 | 512万8,300円 |
情報通信業 | 362万6,000円 | 470万6,300円 |
運輸業・郵便業 | 379万7,600円 | 478万4,500円 |
卸売業・小売業 | 357万700円 | 461万6,500円 |
金融業・保険業 | 377万6,200円 | 532万4,700円 |
不動産業・物品賃貸業 | 396万2,300円 | 506万6,500円 |
学術研究・専門・技術サービス業 | 359万2,300円 | 480万6,900円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 341万9,300円 | 400万5,300円 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 332万7,200円 | 421万5,100円 |
教育・学習支援業 | 344万8,100円 | 426万2,700円 |
医療・福祉業 | 377万200円 | 471万9,300円 |
複合サービス事業 | 332万5,500円 | 407万3,400円 |
サービス業(他に分類されないもの) | 330万900円 | 393万9,700円 |
職種別では、「管理職」が一番高く、「農林漁業職」が一番低くなっています。20代から管理職に就いている方は、20代後半で650万円近く年収があり、ほかの職種よりもおよそ200万円以上高くなっています。
〈表〉20代大卒の平均年収(職種別)
職種 | 平均年収 | |
---|---|---|
20〜24歳 | 25〜29歳 | |
管理職 | 430万6,400円 | 643万9,300円 |
専門・技術職 | 370万5,500円 | 472万1,800円 |
事務職 | 335万200円 | 422万800円 |
販売職 | 345万2,700円 | 440万5,600円 |
サービス職 | 309万1,600円 | 349万8,900円 |
保安職 | 335万7,100円 | 373万1,800円 |
農林漁業職 | 284万6,500円 | 295万7,100円 |
生産工程職 | 344万2,200円 | 392万900円 |
輸送・機械運転職 | 386万3,400円 | 449万1,200円 |
建設・採掘職 | 352万2,200円 | 410万2,600円 |
運搬・清掃・包装等の職 | 319万8,300円 | 350万9,400円 |
20代で年収アップを目指す方法

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今の年収に満足できないなら、収入を上げるためにいくつかの方法を試してみてもいいでしょう。20代で年収アップを目指す方法には、主に以下のようなものがあります。
1. 副業をする 2. 転職をする 3. 資格を取得して手当をもらう 4. 昇進・昇格するための自己投資をする |
自分の今の働き方に合った年収アップの方法を見つけて、納得のいく収入を手に入れられるよう行動することが大切です。
たとえば、金融業界でキャリアアップする場合、ファイナンシャルプランナーの資格を取得すれば、好待遇の転職を実現できる可能性が高くなります。
上記の4つの内容について、詳しくは以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
【関連記事】20代の平均年収や年収アップ方法について、詳しくはコチラ
平均年収を把握して、働き方について考えよう
様々な角度から20代大卒の平均年収について紹介しました。しかし、企業によって、そして住んでいる地域や仕事の内容などによっても年収は変わります。これらはあくまで参考として見るようにしましょう。
【関連記事】地域別の20代の平均年収について、詳しくはコチラ
20代はまだキャリアを形成し始めたばかりです。平均の数字を見たり、まわりの話を聞いたりして焦ってしまうこともあるかもしれませんが、まずは自分の今の給与がどのくらいなのか把握し、その上で将来どのくらい稼ぎたいのか、どのように働いていきたいのかなど、状況や希望を整理するようにしましょう。
目標が明確になることで、仕事はもちろんライフプランも立てやすくなります。
目標に向かっていろいろと試行錯誤できるのが20代です。今の自分のために、そして将来のために、できることから始めていきましょう。