しかしながら、若い女性の中には「実際のところ、定年まで働く人はどのくらいいるの…? 現実的に働けるの?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。
そこで、20〜30代の働く女性を対象とした「マネコミ!」オリジナルの意識調査(協力:ファストアスク)と、国が行った統計調査をもとに、「リアルな女性のキャリア」について迫ってみました。
後悔しない豊かな人生を送るため、キャリアプランと将来設計について一緒に考えていきましょう。
働く女性の意識調査「ずっと働きたい」は22%
まずは、20〜30代の女性173人を対象に行った「働く女性の意識調査」の結果を見ていきましょう。現在、働き盛りの女性たちはこれから何歳まで働きたいと考えているのでしょうか。
Q.何歳まで働きたいと思っていますか?
結果を見てみると、最も多い回答は「働ける限りずっと働きたい」で22.0%。続いて、「60〜65歳」が17.3%、「34歳以下」が12.7%、「35〜39歳」が11.6%となっています。
最も多かった「働ける限りずっと働きたい」という少し曖昧な回答には、女性特有のキャリアの悩みが深く関係していると考えられるでしょう。
女性には、自分の意思とは別の理由で働けなくなる場合が多くあります。たとえば、体力や時間の問題で仕事と子育ての両立が難しいこと、そして産休(産前・産後休業)、育休(育児休業)明けの復職環境の変化などがあげられます。
そういった未来を意識しながら、日頃から働いている方にとっては、「働ける限りずっと働きたい」という回答を選ぶのは、ごく自然な気持ちの表れと言えるかもしれません。
また、2番目に多かった「60〜65歳」は、いわゆる定年の年齢です。17.3%という数字は、思ったより少ないと感じるかもしれませんが、「働ける限りずっと働きたい」と考えている方の中には生涯現役も視野に入れている方もいるかもしれません。「66歳以上」という回答も1.7%ほどいるので、 “定年まで・定年以降も働きたい”と思っている方は調査結果の割合以上いることでしょう。
また、「34歳以下」「35〜39歳」の回答については、結婚や出産、子育てを機に退職を考えている年齢と思われます。
では、出産後も働きたいと思う方はどのくらいいるのでしょうか。
Q.出産後も働き続けたいと思いますか?
「働きたいと思わない」という回答は9.8%でした。そして最も多かったのが「フルタイムで働きたいと思う」(44.5%)、ついで「パートタイムなど、フルタイム以外で働きたいと思う」(38.7%)です。これら2つの回答を合わせると、その割合は83.2%となります。8割を超える方が出産後もなんらかの形で働きたいと思っていることがわかります。
働き続けたい理由は様々ですが、将来のお金に関する意見が多く見られました。
Q.「出産後も働き続けたい」と思う理由をお答えください。
「築いてきたキャリアを続けていきたいのと、将来や老後の家計が心配なので」(32歳)
「パートナーの給与だけだと不安だし、社会との関わりは必要だと感じるので」(29歳)
「生きがいを家庭だけにしたくない。職場での経験から得られるものもあるから」(32歳)
「子どもの教育費や自分の老後費用を考えると、少しでも稼いでおきたいから」(28歳)
「働くことでリフレッシュになるし、お金も入ってくるので気持ちに余裕が生まれるから」(26歳)
「お金のため」以外にも、「社会との繋がりを持っておきたい」という意見も多く見られました。しかしながら、前述したように女性には自分の「働きたい」という意思とは別の、仕事を続けられない理由が多くあります。そこで、こんな質問をしてみました。
Q.出産後も働き続けるうえで、不安なことや難しさを感じることをお教えください。
回答は以下のとおりです。
「育児と両立できる気がしない。保育園などが見つかるのかも不安」(27歳)
「育児と仕事を両立しながら健康的に楽しく生活できるか不安。子どものことをしっかり見て、いい子に育てたいが、仕事のイライラをぶつけてしまわないか心配」(32歳)
「育児をしながら仕事もできるか。子どものことで急な休みは取れるのか、また取ったとして周りから非難されないか。希望の時間内での勤務がちゃんとできるのか」(26歳)
「時短になるとこなせる仕事も減る。役職に就いているのに周りに申し訳ない」(27歳)
「ブランクが空いて仕事があるか心配」(28歳)
おもな不安としては、やはり「仕事と育児の両立」があげられました。
男性の育児参加が積極的になってきた現在でも、社会全体に残る「育児担当=女性」という意識はなかなか根深いものです。女性側が都合をつけなければいけない場面が多いことを、女性自身も周辺からしばしば見聞きしているため、このような不安がすぐになくなることはないかもしれません。
また、具体的に自分が今働いている仕事についての質問も行いました。
Q.出産後も働き続ける場合、今の仕事をずっと続けられそうですか?
回答の3割以上(36%)が「続けられないと思う」「わからない」という結果に。出産後も働きたいと考えている方が8割超であることを踏まえると、働きたいと思っているけれど、今の仕事は続けられないかもしれない、と思っている方がいることがわかります。
定年まで働く女性は何割? 女性の働き方の実情
働く女性のリアルな意見を確認できたところで、つぎに就業率など、女性の働き方の実情について見ていきましょう。
厚生労働省が発表しているデータ1)によると、年代別の女性の就業率は以下のとおりです。
〈図〉年代別の女性の就業率
多くの方が働き始める「25〜29歳」の就業率が最も高く85.1%。その後、「30〜34歳」、「35〜39歳」で一度70%台まで下がり、40歳からはまた回復していることがわかります。
30代の就業率がやや少ない原因としては、やはり結婚や出産が関係していると考えられます。第一子を出産する女性の平均年齢が30.7歳2)。この年齢を考えると、出産後に一度仕事から離れている方が一定数いると考えられるでしょう。実際、出産前から就業していた方が仕事を続ける割合(育休利用あり・なし含む)は53.1%3)。決して高い数字ではありません。
また、定年を迎える「60〜64歳」の女性の就業率は約60%。意識調査の結果を考えると、「定年まで働く女性が多い」と感じるのではないでしょうか。
就業率については独身か配偶者がいる状態かによっても大きく変化します。特に20〜30代を見てみると独身と配偶者がいる場合の就業率の差は15〜20ポイントに達します。比較的若い年齢で差が大きいことを考えても、結婚や出産のタイミングが就業率に関係していることがわかるでしょう。
〈図〉年代別の女性の就業率(独身、配偶者有り)1)
なお、ここで紹介した就業率は正規雇用、非正規雇用すべてが含まれたものです。女性全体の就業率が40歳以降から回復しているとはいえ、正規雇用・非正規雇用の内訳は気になるところでしょう。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が発表しているデータ4)によると、正規雇用の割合は「25〜34歳」が63.0%で最も多く、35歳以降は非正規雇用の割合がだんだん高くなっています。
〈図〉年代別の女性の正規雇用、非正規雇用の割合
これらを踏まえると、出産などで一度離職した場合、非正規雇用で再就職をしている女性も多いと考えられるでしょう。
正規雇用と非正規雇用を比べると、多くの場合は正規雇用のほうが給料が高く、非正規雇用のほうが労働時間が短いという特徴があります。
育児との両立をするために、時間の融通がきく非正規雇用での働き方へチェンジしたけれど、収入が減ってしまったというのはよくある話です。
そのため、こういったキャリアの変化がある可能性も念頭におきながら、ライフプランを立てる必要もあるでしょう。「年齢が上がるにつれて給料もアップしていくだろう」というような漠然とした展望では、将来の自分を苦しめてしまうことにもなります。自分の意思以外の様々な可能性も考慮して、将来への準備をすることが重要になるのです。
「おばあちゃんになる自分」のために、今から考えたいお金のこと
これまで、意識調査と働き方の実情を見てきましたが、女性がキャリアプランや将来設計を立てる上では、考えなければいけないことがたくさんあるとわかりました。
そこで、20〜30代のうちから、将来おばあちゃんになった自分のためにできる準備について紹介します。
20〜30代のうちにやっておきたい「5つのコト」
まずは、若いうちからやっておきたい5つのコトを紹介します。
① 再就職しやすくなるようなスキルを身につけておく
30代の後半から、非正規雇用が増えることは先ほど説明しましたが、これは子育てなどのブランク期間を経たあと、多くの方が再就職に苦戦することが影響しています。
時間や業務内容などの働き方の問題で、あえて非正規雇用を選択している、という意見もあると思います。しかし、即戦力となるようなスキルを持っていれば、同じ条件で正規雇用となることができたり、非正規雇用でも比較的給料の高い仕事に就くことができる可能性が高くなります。
具体的には、マーケターやエンジニア、デザイナーなどの専門職は、年齢に関係なく求人が豊富です。また、事務職や医療・介護職の需要も増えています。
②できるだけブランク期間をつくらないようにする
再就職を少しでもしやすくするためには、ブランク期間をできるだけつくらないようにすることも大切です。ブランク期間が長くなってしまうと、現実的に採用されづらいキャリアとなってしまうからです。
産休や育休期間については仕方がありませんが、子育てが落ち着いたタイミングで、まずは内職からでもいいので、できるだけ早く社会との繋がりを持つようにしましょう。
また、ブランク期間が長引く場合、将来もらえる厚生年金の金額にも関わってきます。この点も覚えておくといいでしょう。
③結婚しても、経済的に自立できるようにしておく
女性の中には、結婚後にパートナーの収入のみで生活している方も少なくありません。しかし、そのような状態は危険です。
考えたくはありませんが、厚生労働省のデータ5)によると、日本の離婚率は約36%。3組に1組は離婚しているのが現状です。そのため、もし将来離婚してしまっても、自分の収入できちんと生活できるようにしておくことが重要です。
④資産運用について勉強しておく
年齢を重ねるにつれて、自分の体力・時間では稼げる収入に限界がある、と感じる方も多いでしょう。そうなったあとでも安定した収入を得るためには、資産運用も一つの手となります。
しかし、安定した資産運用を行うためには、ある程度の時間が必要です。「お金が足りない」という状況になってからでは、間に合わなくなってしまうため、できるだけ若いうちから勉強しておくことをおすすめします。
⑤余裕のあるうちにプランを立てる
一番大切なのは、これらを押さえたうえで、将来についてのキャリアプラン、ライフプランを立てることです。いくら準備を万端にしても、計画がないと実行するのが困難になるためです。
プランを立てる時には、じっくり吟味して将来について考えることが重要です。できれば、子育てなどがはじまっていない、余裕のある時期にプランを立てるようにしましょう。
キャリア・ライフプランを立てる時のポイント
つぎに、キャリアプラン、ライフプランを立てる時に気をつけたいポイントを紹介します。
(ポイント1)結婚や出産などのライフイベントを想定しておく
これまで説明してきたように、女性は結婚や出産などのライフイベントをきっかけに、働き方や生活スタイルがガラリと変わる場合が少なくありません。
そういったタイミングは、キャリアやお金についても大きな変化が起こりがちです。プランを立てる際にはこれらの転機をきちんと想定して組み込んでおきましょう。
(ポイント2)プランを複数用意しておく
様々な転機がある分、その時その時の選択で人生が大きく変わることもあるでしょう。「結婚して今の仕事をやめる未来」「子どもを2人産む未来」「正社員ではなく、パートとして働く未来」など、その選択により、計画が崩れてしまうこともあるかもしれません。
そういった時に焦らないよう、プランは複数用意しておくことがおすすめです。特に、考えられる中で最低限のラインを決めて、プランを考えておくと、何かあった時の想像がしやすくなります。
(ポイント3)自分の中の優先順位を決める
「仕事と家庭」このふたつを考えなければいけない場面が発生すると、女性のキャリアプラン、ライフプランは悩む部分が多くあります。
計画を立てる時でも、何か決断をする時でも、どうしたらいいかわからなくなってしまった際には、自分が「仕事や収入を優先したいのか、家庭を優先したいのか」を考えながら行動をするようにしましょう。
その時の自分の状況にもよると思いますが、ひとつそういった指針を決めることで、働き方をはじめ、暮らし方についても、何をするべきなのかが見えてくるはずです。
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そうはいっても、上記のようなポイントを踏まえつつ自分ひとりでライフプランを立てることは容易ではありません。そういった時におすすめしたいのが、お金のプロに一緒に考えてもらうことです。
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自分の今の状況や、将来思い描いている生活など、一緒に話しながらライフプランを立てることができるので、ぜひ一度ご相談ください。