マネコミ!をご覧の皆様、こんにちは。映画ライターのSYOと申します。コロナ禍のなかで、個々人の仕事観や金銭感覚にも変化が起きている今日この頃。自宅で過ごす時間が多くなり、映画を観る機会も増えたのではないでしょうか?

そこで短期連載「M&B Movie Collection」では、“お金(Money)と仕事(Business)に効く映画”をコンセプトにオススメ作品をご紹介していきます。第2回目の今回は、「お金」にまつわる映画です。

社会人にとって、「お金」は最も関心が高いものといえるかもしれません。生活を成り立たせるにも必要不可欠ですし、仕事におけるモチベーションにもなります。成功するにも、失敗するにも、お金に関する悩みは日々つきまとうもの。でも、勉強するのは大変だし、面倒くさいし……という方も少なくないかと思います。

そこで! 今回は4つのトピックで、お金への向き合い方に気づきを与えてくれる作品や、お金の悩みを解決してくれる作品をセレクトしました!

この記事の著者

SYO

1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説や漫画、音楽などエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。映画作品の推薦コメント・劇場パンフレットの寄稿や、トークイベント・映画情報番組への出演も行う。カフェ巡りと猫をこよなく愛する。
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[Chapter1]節約を頑張ろう!と思わせてくれる映画は?

画像: [Chapter1]節約を頑張ろう!と思わせてくれる映画は?

「給料日まであと1週間……さてどうするか」というシチュエーションは、よくあることかと思います。お祝い事で思わぬ出費があったり、“趣味活”でちょっと贅沢しすぎてしまったり……。必要に迫られて節約することは、ストレスの原因になりかねません。

そんな時に効く映画は、大きく分けて2つのタイプがありそうです。1つは、節約生活の中の幸せや楽しみを教えてくれるもの。市井の人々を温かく見つめた人情劇『ALWAYS 三丁目の夕日』(2005)シリーズや、『おカネの切れ目が恋のはじまり』『凪のお暇』等の国内のテレビドラマにも、そういった作品は多いように思います。

そしてもう1つは、節約のしんどさをしっかり描いてくれる映画。今回はそんな映画である、堺雅人さんの主演作『武士の家計簿』をピックアップしてみました。

節約を頑張るために必要な心構えを教えてくれる『武士の家計簿』

あらすじ

時は、幕末から明治。下級武士の猪山直之(堺雅人)は、代々加賀藩の御算用者(経理係)を務める「そろばん侍」。家計が火の車であると知った彼は、家財を売り払い、無駄なコストをとことんカットし、時には周囲が仰天するプランを持ち出して家を支えようとする。しかし、世間体を気にしないやり方は、混乱も招き――。

いまよりももっともっと生活が苦しかった時代。しかし、武士が見栄を捨てて無駄な出費を避けることに対しては、周囲からの風当たりはとても厳しいものだったようです。どれだけ批判されても、信念を貫いて倹約の道を突き進んだ主人公を観ていると、「自分も頑張ろう」と思えるのではないでしょうか。

画像1: 節約を頑張るために必要な心構えを教えてくれる『武士の家計簿』

そしてこの映画は、節約をする「理由」があれば、人は頑張れるのだ、ということを改めて教えてくれます。節約するぶん、週に1回はちょっとご褒美を用意したり、「これを買うために頑張ろう」、あるいは「これを買ったから、次の給料日まで頑張ろう」と思ったりすると、つらさが多少軽減される…といった、現代にも生かせる考え方やテクニックも教えてくれます。

画像2: 節約を頑張るために必要な心構えを教えてくれる『武士の家計簿』

武士の家計簿
監督:森田芳光
DVD&Blu-ray発売中
スペシャルプライス版 DVD:2,750円(税込)
Blu-ray:5,170円(税込)
DVD: 5,170円(税込)
発売元:アスミック・エース/松竹
販売元:松竹
©2003 磯田道史/新潮社 ©2010「武士の家計簿」製作委員会

こんな映画もオススメ!:『台風家族』

お金に対するマイナスな感情を和らげるのにおすすめの映画が、『台風家族』(2019)です。

銀行強盗を起こして行方不明になった両親の葬儀で集まった、ワケあり兄弟の物語。この映画の主人公である小鉄(草薙剛)は口が悪く、お金を得るためには平気でうそをつき、恥も外聞もなく「遺産は全部俺がいただく!」「クズで結構~♪」と言ってのけるキャラクターです。まさに「金の亡者」なのですが、実はそう振る舞う理由があったのでした。

次々に事件が起こるスピーディな展開と、演技達者な面々をケラケラ笑いながら観ているうちに、お金に対する考え方が変わっていることでしょう。

[Chapter2]投資を始める前に見ておくべき映画は?

画像: [Chapter2]投資を始める前に見ておくべき映画は?

このまま働き続けても、大きな収入アップは期待できない。ワンランク上の生活を送りたい――。そんな時、魅力的な手段が「投資」です。とはいえ、ビギナーだと逆に損失を出してしまうのではないか…と不安になるはず。大きく利益を得るためには、それ相応のリスクがつきまといます。そんなチャレンジに挑む前に、映画で失敗を避ける練習をしてみるのも良いのではないでしょうか。

今回オススメするのは、青年たちの成功と転落の実話を元にした映画『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』です。

怪しい投資話に騙されないために見ておきたい『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』

あらすじ

1980年代のロサンゼルス。高校の同級生だった金融専門家のジョー(アンセル・エルゴート)とプロテニス選手のディーン(タロン・エガートン)は、男性限定の社交クラブ「ビリオネア・ボーイズ・クラブ」を結成し、会員たちに投資話を持ち掛け、巨万の富を築く。さらには、大物投資家のロン(ケビン・スペイシー)からも金を騙し取ることに成功するが、徐々に破滅の足音が近づいてきて……。

儲けて儲けて儲けまくる映画といえば、若きセールスマンが非合法な手段で成り上がっていく『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)や密輸に手を染めたパイロットを描いた『バリー・シール/アメリカをはめた男』(2017)もあります(どちらも実話!)。これらはぶっ飛んだお金儲けの描写が面白く、テンションを上げて楽しめる映画。それに対して、楽して儲けようとすることの恐ろしさを学ぶには、本作がうってつけかと思います。

画像1: 怪しい投資話に騙されないために見ておきたい『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』

というのも、本作は「怪しい投資話を持ってくる側」「それに乗る側」「外側から観ている第三者」という、異なる立場の人々を全部観ることができるから。この多角的な描写は、危機意識を培うのにマッチしています。

画像2: 怪しい投資話に騙されないために見ておきたい『ビリオネア・ボーイズ・クラブ』

ヤバい仕事でお金を稼いで放蕩の限りを尽くす主人公ですが、そんな贅沢な生活は長く続かず、ある時を境に一気に転落。しかしそんな状況でも堅実に生きることはできず、状況を打開しようとしてどんどんドツボにハマっていく……。若者たちの乱高下をシニカルに描いたこの映画からは、「楽して儲かるという美味しい話に騙されてはいけない」「引き際が大切」という警告が伝わってきます。

ビリオネア・ボーイズ・クラブ
発売・販売元:エイベックス・ピクチャーズ
DVD: 3,900 円(税抜)
Blu-ray: 4,900 円(税抜)
© 2017, BB Club, LLC. Allrights reserved.

[Chapter3]浪費しがちな時、気持ちを引き締めてくれる映画は?

画像: [Chapter3]浪費しがちな時、気持ちを引き締めてくれる映画は?

臨時収入があった時などの買い物は、抜群に楽しいですよね。しかしその結果、元の生活に戻れなくなってしまっては大変です。収入と支出のバランスを整えることは、生活を送る上では重要です。浪費家の末路を学ぶなら、ドラマ&映画化もされた『闇金ウシジマくん』(2012)がピッタリですが、お金を巡るドロドロとした人間模様の描写に気分がずーんと落ち込みかねないので、劇薬としての使用をオススメします。

では今回は、何の映画をご紹介するのか?より私たちの生活に沿った映画として、リーマン・ショックを題材にしたヒューマンドラマ『カンパニー・メン』を選びました。

不況を想像すれば、自然と財布の紐が固くなる『カンパニー・メン』

写真:ALBUM/アフロ

あらすじ

リーマン・ショックの影響で始まった不況により、突如リストラされてしまった3人のエリートサラリーマン(ベン・アフレック、クリス・クーパー、トミー・リー・ジョーンズ)。彼らは、残りの人生をどう生きていくのか。それぞれの苦闘が始まる。

3人のメインキャラクターは、立場も年齢もバラバラ。37歳の働き盛りの男性もいれば、重役のポストをいきなり外されて「老後をどうすれば?」と悲嘆にくれるベテランもいる。昨日までイケイケだったのに、いきなり無職。自分の身に起こったら……と思うとぞっとしますが、いまの時代、決して他人事ではありません。

画像: 写真:Interfoto/アフロ

写真:Interfoto/アフロ

自分たちが「安定」だと思っているものが、そうではないということ。ある日突然、無職になる可能性が誰にでも起こりうるという事実。

この映画を観ると、浪費しがちな時にブレーキをかけるタイミングが変わってくるのではないでしょうか。見ごたえのある感動作なので、腰を据えてじっくりと楽しめる作品を求めている方は、ぜひご覧ください。

こんな映画もオススメ!:『グッド・ワイフ』

セレブ妻のゴージャスな生活が、経済危機によって崩落していく姿をリアルに描いた映画『グッド・ワイフ』(2018)は、かなり怖い映画です。何台も高級車を持っているような状況から、クレジットカードが使えなくなり、水が止まり、精神が壊れていく……。僕はこの作品を観て「無駄遣いは控えよう」と思いました。

余談ですが、浪費は往々にして物欲とセットなもの。己が欲を見つめ直すために、“究極のゼロ円生活”を描いた『はじまりへの旅』(2016)を観るという選択肢もあります。こちらは、森に暮らす風変わりな家族を描いた映画。幸せって何だろう?と考えさせられる良作です。

[Chapter4]妄想だけでもお金持ち気分に浸れる映画は?

画像: [Chapter4]妄想だけでもお金持ち気分に浸れる映画は?

「お金持ちになりたい」という気持ちは、みんなの心にあるもの。「億万長者になったら、どうする? 何する?」は、人生の中で幾度となく考えるネタではないでしょうか。映画でも、たとえばアン・ハサウェイの出世作『プリティ・プリンセス』(2001)は、冴えない女子高生が王位継承者として迎え入れられ、セレブな生活を送ることになる物語でした。私たちの願望を投影した作品といえます。

もし一気にお金持ちになるとしたら、最も身近なのは「宝くじ」ですよね。もし宝くじが当たったら、どんな生活が待っているのか……。そんな妄想を映像化した映画が、『るろうに剣心』(2012)の大友啓史監督と佐藤健さんが再タッグを組んだ『億男』です。

“お金”に取り憑かれていた自分を気付かせてくれる『億男』

あらすじ

兄が残した借金の返済のため、昼は図書館司書、夜はパン工場で働くなど、万年激務の一男(佐藤健)。借金のせいで妻・娘とは別居する羽目になり、人生はどん底だ。そんなある日、一男は宝くじで3億円を手にする。これで苦境から抜け出せると狂喜した一男は、学生時代の友人である九十九(高橋一生)を訪ねて祝杯をあげるが、朝起きると九十九は3億円と共に姿を消していた。

本作は、私たちが常々想像しがちな「宝くじが当たった人のその後」を描くなかで、お金との向き合い方について改めて考えさせてくれます。

一男は、様々な億万長者と出会い、さらに九十九の行方を追うなかで、「お金」に取り憑かれていた自分を発見します。

お金の有無で人は変わるということを、人生の中で感じたことがある人も多いでしょう。キャリアを積んで収入が増えていけば、生活も豊かになる。しかし、身の丈から外れてしまうと、金銭感覚が狂い、つられて価値観に変化が生じ、結果的に失敗してしまうこともありますよね。

『億男』を観ていると、お金を持っているかよりも、どんな「心」でお金を扱うかが大切なのだと気づかされます。一足飛びにただ億万長者になっても、お金に飲まれてしまうだけ。突拍子もない話のようですが、お金の使い方に対する地に足の着いた感覚の重要さを思い知らされるはずです。

億男 通常版
DVD発売中 ¥3,800(税抜)
発売元:アミューズソフト
販売元:東宝
©2018映画「億男」製作委員会

こんな映画もオススメ!:『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』

一文無しからお金持ちになる過程を描いた『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』(2014)もオススメです。リーマン・ショック後のアメリカが舞台となっており、そんな状況でやむにやまれず非情なビジネスに加担していくという、実話がベースになっています。

本作は、搾取された主人公が搾取する側に回ることで金銭的な成功をつかむお話ですが、「それで本当にいいの?」と鋭い問いを投げかけてきます。もし仮に億万長者になれたとしても、人の心を忘れてはならないという戒めが、心に突き刺さることでしょう。

不安定な時代だからこそ、映画を教材に、‟お金“の本質を考えてみましょう

「お金」をテーマにした作品となると、やはりシリアスなものが多くなってしまいますね。楽してお金は稼げないし、お金は私たちの生活を支えるもの。だからこそ、中途半端に甘い物語では、その本質を描けないのでしょう。

コロナ禍もあり、経済的に不安定な時代だからこそ、しっかり締めるところは締めて、賢く生活していく必要があります。そんな時に、映画は最高の教材であり、いい意味での反面教師にもなってくれるはずです。

イラスト/石井あかね

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