ただし、セルフメディケーション税制を上手に活用するためには注意点もあります。この記事では、花粉症に毎年悩まされている人にも知っておいていただきたい、セルフメディケーション税制の概要と確定申告の際の注意点について、わかりやすく解説します。
【注意】
市販薬の場合、薬の選択は自己責任となります。スイッチOTCの花粉症薬を購入する際には、まず使用する方の症状や体質、生活様式(自動車をよく運転するなど)に合う薬を選ぶ必要がある点に、くれぐれもご注意ください。
※この記事は2026年2月10日時点の情報をもとに執筆しています。
この記事の監修者

頼藤太希(よりふじ たいき)
(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊、累計200万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。
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花粉症の市販薬に「スイッチOTC」を選ぶべき理由は?

画像:iStock.com/toons17
医師の処方せんがなくても、ドラッグストアや薬局で購入できる市販薬を「OTC(オーバー・ザ・カウンター)医薬品」と呼びます。そのなかで、処方せんが必要な医療医薬品を、厚生労働省の承認を受け市販薬に転用したものを、特に「スイッチOTC医薬品」または「スイッチOTC」と呼びます。
スイッチOTCの特徴は、通常のOTCと同様の安全性を保ちながら、OTCよりも効き目が強い成分が含まれていること。つまり、病院の医師に処方してもらった薬と同様の効果を期待できるのが、スイッチOTCというわけです。
内服薬をはじめ点鼻薬や点眼薬など、花粉症の症状を軽減する市販薬にも、スイッチOTCは少なくありません。いちばん簡単な見分け方は、市販薬のパッケージを確かめること。パッケージに以下のような識別マークが記載されている市販薬は、スイッチOTCの承認を受けています。また、購入時にもらうレシートからも、どの商品がスイッチOTCなのかわかるようになっています。

パッケージの記載からもわかるように、スイッチOTCの多くはセルフメディケーション税制の対象となっており、一定の条件を満たした場合に確定申告をすることで、所得控除を受けることができます。ドラッグストアや薬局で花粉症薬やそのほかの医薬品を購入する場合、症状や体質、生活様式に合うスイッチOTCを選ぶようにすれば、税制上の控除対象となる場合があるのです。
セルフメディケーション税制の利用条件と注意事項は?

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セルフメディケーション税制は、下記の条件を満たす場合、所得控除により所得税や住民税が減額される税制優遇制度です。
【セルフメディケーション税制の利用条件】
- 指定様式の明細書を添付し、確定申告をすること
- 確定申告をする本人が健康診断、人間ドック、特定健診、予防接種などをひとつ以上受けていること
- 対象となるスイッチOTCの購入額が1年間(世帯合計)で1万2,000円を超えていること(上限は8万8,000円)
- 医療費控除との併用は不可
特に注意が必要となるのは、セルフメディケーション税制と医療費控除は、確定申告の際、どちらか一方しか選択できない点です。
医療費控除は、1年間の医療費(世帯合計)から保険金や公的給付の補てん金額を除いた金額が「10万円(所得200万円未満の人は所得の5%)」を超えた場合に有効です。
一方、セルフメディケーション税制は、対象となるスイッチOTCの購入額(世帯合計)が1年間で1万2,000円を超えた場合に有効となります。
選択の一般的な判断基準は以下となります。
●セルフメディケーション税制
医療費の合計が10万円以下で、スイッチOTCの購入額が1万2,000円を超える場合に選択肢となる制度。
●医療費控除
通院や入院、処方薬(スイッチOTC薬含む)の合計が10万円を超える場合、一般的に検討される制度。
例として「年間の所得が200万円以上」かつ「保険金や公的給付の補てん金額がない」場合に、年間の医療費(市販薬含む)10万円超18万8,000円以下の使い分けをご紹介します。
①年間の医療費14万円(市販薬4万円)
医療費控除:14万円-10万円=4万円
セルフメディケーション税制:4万円-1万2,000円=2万8,000円
→医療費控除が有利
②年間の医療費15万円(市販薬7万2,000円)
医療費控除:15万円-10万円=5万円
セルフメディケーション税制:7万2,000円-1万2,000円=6万円
→どちらでもOK
③年間の医療費18万円(市販薬10万円)
医療費控除:18万円-10万円=8万円
セルフメディケーション税制:10万円-1万2,000円=8万8,000円
→セルフメディケーション税制を選択するケースも考えられる
セルフメディケーション税制はいつまで使える?

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2017年に始まったセルフメディケーション税制は、医療費控除の特例として、当初は2021年までの時限措置となっていました。しかし適用期限が5年間延長され、現在では2026年12月31日までが期限となっていますが、「令和8年度税制改正大綱」によれば、スイッチOTC医薬品は適用期限が撤廃され恒久化される見通しです。それ以外の医薬品については5年延長となっています。
花粉症薬を含め、市販薬を購入する際には、症状や生活様式に合うスイッチOTCを選ぶよう、家族で話し合っておくとよいでしょう。







