老後資金や将来のお金を確保するために、投資や外貨預金などを検討している人は多いでしょう。しかし、リスクや初期費用が高く、始めるのをためらっている人もいるのではないでしょうか。

定期預金は身近な資産運用であり、口座開設も比較的簡単です。しかし、利回りが低く、利用する意味がないと見聞きすることも少なくありません。この記事では、ファイナンシャルプランナーの黒川一美さん監修のもと、定期預金がおすすめしないといわれる理由を解説。また、メリット・デメリットや金利や利息など何に注目して選べばいいかもご紹介します。

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定期預金とは?

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「定期預金」とは、期間を決めて銀行などの金融機関にお金を預け入れる貯金のことです。預ける期間は金融機関によって変わりますが、1カ月から5年間など一定期間の中から選べるのが一般的です。なお、定期預金は原則、契約した期間が過ぎるまでは貯金を引き出すことができません

一方、「普通預金」はいつでも好きな時にお金を引き出すことができます。預入期間に制限がないのもメリットですが、定期預金より金利が低い点がデメリットです。

現在の定期預金がおすすめしないといわれる理由は?

では、定期預金がおすすめしないといわれるのはなぜなのでしょうか。主な理由は以下の3つです。

・金利が低いから
・インフレリスクがあるから
・原則として契約した期間が過ぎるまでは貯金を引き出すことができないから

定期預金の金利は預入期間5年未満の場合、多くの都市銀行で年利0.002%と設定されています。預入期間が長くなるほど金利が高くなり、都市銀行では預入期間10年で年利0.2%程度になるのが一般的です。

仮に200万円を1年間定期預金で預けた場合、利息は40円です。ただ、利息から税金を支払うため、実際に手元に残るのは32円です。

普通預金と比べてみましょう。普通預金の金利は年利0.001%程度ですので、200万円預けた場合、1年間で利息が20円、税金を支払った残りは16円です。普通預金と比べると、定期預金で受け取れるお金は倍ですが、資産が増えたと感じる人は少ないでしょう。

また、インフレリスクとは、物価が上がり相対的にお金の価値が下がってしまう可能性のことです。たとえば、今1,000円で買えるものが、来年1,050円になってしまうような場合です。

定期預金は原則として契約した期間はお金を引き出せません。さらに、将来の物価が高くなると実質的に価値が下がってしまいます。そのため、多少の利息がついた定期預金を将来受け取っても、受け取る利息より物価高の影響が大きく、メリットがないとされています。

定期預金のメリットは?

画像: 画像:iStock.com/Suebsiri

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では、定期預金のメリットはどんなことが挙げられるのでしょうか。つぎの3つといわれています。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

メリット①一般的に普通預金よりも金利が高い

金融機関では一般的に、普通預金より定期預金のほうが金利を高く設定しています。

2023年11月時点で、都市銀行の普通預金の金利が年利0.001%程度、定期預金は預入期間5年未満で年利0.002%となっています。預入期間が長くなると利率も変わり、預入期間10年で年利0.2%ほどになります。

メリット②元本割れのリスクがない

預け入れたお金が減ってしまうことを「元本割れ」といいます。定期預金の場合、預けたお金が減ることはありません。元本割れしないということは、金融商品全体から見ると貴重な特徴です。

金融商品全体で見た場合、元本割れする可能性があるものが多数あります。たとえば、投資や外貨預金などで、これらは市場価値が変わると投資した金額より減ってしまう可能性があります。

定期預金は元本割れしない金融商品のため、安全性が高い商品といわれています。

メリット③預金保険制度の対象である

預金保険制度は、お金を預けた金融機関が倒産した場合に預金者のお金を守る制度です。金融機関とは独立した預金保険機構が破綻した金融機関の預金を守ります。

ただし、守られる金額は1つの金融機関で1人あたり1,000万円とその利息分です。1,000万円以上を預け入れる場合、全額が守られるわけではないことに注意しましょう。

定期預金のデメリットは?

画像: 画像:iStock.com/Anawat_s

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続いて定期預金のデメリットを解説します。デメリットはつぎの3つが挙げられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

デメリット①運用効率が高くない

金融商品は、リスクが低いと運用効率も低い傾向があります前述したとおり、定期預金の利率は年利0.002%程度です。仮に1,000万円預け入れたとしても1年に160円増える程度で、運用効率は決して高いといえないでしょう。

デメリット②気軽に引き出せない

定期預金として預け入れたお金は、原則として契約した期間が過ぎるまでは引き出すことができません。どうしても現金が必要になった場合は定期預金を解約することになります。

定期預金を解約すると、中途解約の時期に応じて利率が変わるのが一般的です。この時、契約時の利率から下がることが多く、最大で契約時の50%の利率になってしまうケースもあります。その結果、当初予定していた利息より受取額が少なくなってしまいます。

なお、解約方法には一部解約と中途解約があります。それぞれの特徴はつぎのとおりです。

●一部解約

一部解約とは、預け入れた定期預金の一部を解約する方法です。解約した金額には、解約期間に応じた金利の利息が付きます。残金は定期預金として継続し、満期まで預けておくことができます。満期を迎えた残金は、予定どおりの金利で利息が付きます。

ただし、一部解約を認めていない金融機関や、一部解約に条件が付く金融機関も多くあります。一部解約を検討する場合は、利用している定期預金の金融機関が一部解約を認めているか確認しましょう。

●中途解約

中途解約とは、定期預金の全額を解約する方法です。窓口やインターネットなどで手続きすることができますが、金融機関によっては窓口のみ解約対応可能なところもあります。

解約した場合は、期間に応じた利率で利息を計算します。この場合、解約時の引き出し額と相殺するため、受け取る金額が預け入れた金額より少なくなる可能性もあります。

デメリット③各金融機関につき保証が1,000万円とその利息までである

定期預金の預入金は、預金保険制度の対象になるため前述したように保護の対象になります。ただし、1人あたり1つの金融機関に対して1,000万円とその利息までが対象です。それ以上預けていた場合は、全額が守られない可能性もあります

金融機関の破綻リスクを避けるためには、1,000万円ずつ複数の金融機関に預けるなどの対策が必要です。

定期預金はどんな種類がある?

画像: 画像:iStock.com/VeraKornienko

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定期預金は、預け入れる金額や方法によって分類されます。金融機関によって差はありますが、一般的な定期預金の種類をご紹介します。それぞれの特徴や、どんな人が向いているのか確認してみましょう。

〈表〉定期預金の種類・特徴・向いている人

種類特徴向いている人
固定金利定期預金・預入期間を10年以下で指定するのが一般的
・預入期間中の金利は一定
・一定期間使わないお金を最小限のリスクで運用したい人
・預入期間が終わるまでお金を引き出さなくても生活できる人
変動金利定期預金・一般的に6カ月ごとに金利が見直される定期預金・市場価値に合った金利で運用したい人
外貨定期預金・海外の通貨で預け入れる定期預金
・海外の金利で運用されるため、日本円で運用するより効率よく資産形成できる可能性がある
・預金保険制度の対象外のため金融機関の破綻リスクを伴う
・日本円より高い金利で運用したい人
・為替変動のリスクを理解している人
大口定期預金・預入金額が1,000万円以上の定期預金
・預入期間は10年以下が一般的
・預金保険制度対象だが、1,000万円を超えた預入は保障されないので注意が必要
・まとまったお金を低リスクで運用したい人
積立定期預金・毎月決まった金額を定期預金に預け入れる預金
・同じ金融機関の普通預金から毎月一定額を定期預金に振り替える方法が一般的
・まとまったお金は手元にないが、定期預金に預け入れたい人
・期日までに一定額を貯めたい人

【種類別】定期預金の注意点を解説

前述したように定期預金とひとくちにいっても様々な種類があります。その中から特定のデメリットについて詳しく解説します。

外貨定期預金の注意点

外貨定期預金は海外の通貨で貯金をするため、為替変動の影響を受ける点に注意が必要です。預け入れた時より円安が進めば、為替差により利益を得られますが、預け入れた時より円高が進むと、預け入れた金額より貯金の価値が下がってしまいます。

また、預入のタイミングで日本円から外貨へ、引き出しのタイミングで外貨から日本円に両替をすると両替手数料が2回かかります。金利以外にも為替の影響や手数料で満期時に受け取る金額が変わってしまうことに注意しましょう。

積立式定期預金の注意点

積立式定期預金は、金融機関や商品によって定期預金にまとめるタイミングや満期以前に引き出せるかどうかが異なります。一括で入金する定期預金に比べて積立期間は元本が少ないため、金利は同じでも受け取る利息が少ないことを留意しましょう。

定期預金が向いている人

画像: 画像:iStock.com/denphumi

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定期預金のメリット・デメリットを理解した上で、どのような人が向いているのかを見ていきましょう。

定期預金は自由にお金を引き出すことができないため、お金が手元にあると使ってしまう人に向いています。また、積立方式にすれば強制的に貯金できますので、貯金をしたいけれど計画的にお金を貯めるのが苦手な人に向いています

また、決まった時期まで引き出せないため、決まった時期に多額のお金が必要な人にも向いているといわれています。たとえば、引っ越し費用、教育費、リフォーム費用、車の買い替え費用など、必要な時に必要な金額を確保したい人におすすめです。

定期預金が向いていない人

一方で、定期預金が向いていないのはどのような人でしょうか。

定期預金は、自由にお金を引き出すことができないため、お金に余裕がない人には向いていないと考えられます。ギリギリの生活費でやりくりしている場合、大きな負担になりかねません。

また、効率的に資産を増やしたい人にも向かない方法だといわれています。定期預金はリスクが低い商品であるため、ほかの投資商品に比べて運用効率が低い傾向にあります。結果的に、運用効率の低い商品で長期間運用することになってしまいます。

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何に注目すればいい? 定期預金の選び方

画像: 画像:iStock.com/MeePoohyaphoto

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定期預金は運用方法が複数あるため、好みの商品を選ぶことが重要です。商品選択時に注目したい4つの観点について解説します。

【金利】変動金利か固定金利か

定期預金の金利には、定期的に金利が変わる変動金利と預入期間中金利が一定の固定金利の2種類があります。

変動金利は、半年ごとに金利を見直すのが一般的です。最初に預け入れた時より金利が上がった場合は、変動金利のほうが効果的に資産を増やすことができます。一方で、預け入れた時より金利が下がってしまうと、変動金利は固定金利より受け取る利息が減ってしまいます。

なお、変動金利は金融機関によって取り扱っていない場合があります。変動金利で運用を考えている人は、希望する金融機関に変動金利の商品があるか確認するようにしましょう。

【預入期間】1カ月〜10年

預入期間は短いものでは1カ月、最長10年が一般的です。また期間を自由に選べる商品や、3カ月・6カ月など数カ月のものから年単位で契約時に指定する商品があります。

途中で解約すると一般的に金利が下がってしまいます。自分の希望する預入期間に対応した定期預金を選ぶようにしましょう。

【利息】単利か複利か

定期預金の金利には「単利複利の2種類があります。単利は預け入れた金額に利息が付くもの、複利は預け入れたお金と振り込まれた利息の合算にさらに利息が付くしくみです。複利は元本に利息が付いた金額が元本額になり、雪だるま方式で増えていくため、単利に比べて効率よく資産を増やすことができます。

なお、預入時に単利か複利を選べる金融機関が一般的ですが、複利を選択できるのは預入期間3年以上としているところが多数派です。選択する際は、預入期間も考慮するようにしましょう。

【通貨】円か外貨か

定期預金は、日本の通貨で行う円預金と海外の通貨で行う外貨預金の2種類があります。

一定期間預け入れるのは同じですが、外貨預金は利息が高めであることが多い一方、為替の影響を受ける可能性があります。外貨預金は円安が進むとより効率よく資産を増やせますが、円高が進むと想定ほど資産を増やせないケースがあります。

また、預入時や受取時に両替すると、そのたびに両替手数料がかかります。外貨預金で資産形成を考えている場合は、手数料も把握しておくようにしましょう。

定期預金の始め方をわかりやすく解説

画像: 画像:iStock.com/Niall

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それでは、定期預金を始める時の手続きや必要なものを確認しておきましょう。

定期預金を始めたい金融機関の総合口座を持っている場合は、定期預金の申し込み手続きを行い、定期預金口座に入金します。定期預金の申し込みは、金融機関によって異なりますが、一般的にはつぎのような方法で行います。

  • 通帳と印鑑、本人証明書を持って窓口で手続きを行う
  • インターネットバンキングや専用アプリで必要事項を入力する

口座を持っていない金融機関で定期預金を始める場合は、口座開設と同時に定期預金を申し込むのが一般的です。金融機関の窓口で手続きを行う方法と、ウェブサイトや専用アプリなどで手続きを行う方法があります。金融機関によって違いがあるため、詳しくは金融機関に確認してみましょう。

定期預金に関するよくある質問

ここでは、定期預金に関するよくある質問をご紹介します。

Q1.定期預金と普通預金のどちらがいい?

定期預金と普通預金は、どのような使い方をするかを考えて選択するようにしましょう。

たとえば、確実に貯めたい人は、なかなか引き出せない自動積立の定期預金にすれば強制的に貯めることができます。一方、必要な時にすぐ現金を出せる普通預金は頻繁にお金の移動をする人に向いています。

Q2.定期預金を放っておくとどうなる?

満期を迎えた定期預金は、契約によって異なります。定期預金の契約時に自動継続にしていた場合は、満期後も定期預金が継続されます。継続の場合は、元本のみ継続する方法と元本と利息を継続する方法から選べる金融機関もあります。

Q3.定期預金でどのくらい増える?

定期預金に預け入れた場合、どのくらい増えるかを以下の条件で計算してみました。

●200万円を1年間預入、年利0.002%の場合
満期時の定期預金額:200万32円

●200万円を5年間預入、年利0.07%の場合
満期時の定期預金額:200万5,584円

●200万円を10年間預入、年利0.2%の場合
満期時の定期預金額:203万1,901円

定期預金の預入金額が同じでも預入期間が長くなるほど金利が高くなります。1年間と10年間を比べると、受け取る利息に100倍近くの差が出ました。

Q4.定期預金する銀行はどこがいい?

金利の高さを重要視するのであれば、比較的高めに設定される傾向があるネット銀行がいいでしょう

また、定期預金は預入期間や金額によって金利が変わることが多く、同じ銀行でも金利が変わる場合があります。また、金利が高めのキャンペーンが実施されることもあります。

もし、安定性を考慮するのであれば、預金保険制度の上限を意識して、複数の銀行に1,000万円以下を預け入れるのがおすすめです。

Q5.満期の定期預金を自動継続するのはおすすめしない?

手間なく定期預金を継続したいと考えている場合、自動継続するのがいいかもしれません。しかし、満期のタイミングで金利の見直しを検討されるのでしたら、満期のタイミングでつぎの定期預金を探してもいいかもしれません。

Q6.定期預金を担保にお金を借りるのはおすすめしない?

定期預金を担保にする借り入れは、一般的な借り入れより金利が低く、返済が滞った場合は定期預金から返済されるので、利用しやすいかもしれません。

しかし、借入額が定期預金の90%に設定されていることが多く、借入可能額は定期預金額より少ない可能性があります。また、借り入れですので利息が発生します。定期預金の金利より借入利息のほうが多いので、借入額が大きければ大きいほど元本が減っていくことに注意しましょう。

Q7. iDeCoの運用商品として定期預金を選択するのはおすすめしない?

iDeCoでは運用商品を自分で選ぶことになります。運用商品は大きく分けて定期預金などの「元本確保型商品」と「投資信託」があります。

効率的に資産形成したい人は、リスクを取りつつ投資信託を利用したほうがいいかもしれません。また、iDeCoは運用手数料がかかります。運用資金が少ない場合は、利息よりも運用手数料のほうが高くなる可能性があります。

しかし、リスクを取りたくないのであればiDeCoで定期預金を利用するのも1つの方法になります。運用中の税金はかからないので、同じ金利であれば金融機関の定期預金より非課税分の資産が増えます。また、iDeCoの掛金の一部を定期預金にし、iDeCoの最低拠出額のように考えるという方法も一案です。

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定期預金の特徴を理解して自分に合った方法でお金を増やそう

画像: 画像:iStock.com/Kunakorn Rassadornyindee

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定期預金は普通預金に比べると金利が高い一方、昨今の低金利の影響で受け取る利息は少ない状態が続いています。

しかし、預金保険制度の対象であるため貯金が1,000万円まで守られていることや、一定期間お金を引き出さずに確保できるなどのメリットもあり、投資や外貨預金などより安全性が高いと考えられます。そして、金利は預け入れる金額や期間によって変わり、キャンペーン時期に利用すると比較的高い金利で運用できる可能性もあります。

安全性や預入期間、金利などを考慮し、自分に合った方法を検討しましょう。

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