そこで、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実(わたなべ みのる)さんと、東日本大震災の被災経験者であり、防災士の土界谷リサ(つちかいたに りさ)さん監修のもと、防災グッズの揃え方や災害への備え方を解説します。
この記事の監修者
渡辺実 (わたなべ みのる)
防災・危機管理ジャーナリスト 。株式会社まちづくり計画研究所 所長。技術士・防災士の資格を持ち、NPO法人日本災害情報サポートネットワークの顧問も務める。
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この記事の監修者
土界谷リサ(つちかいたに りさ)
防災士 。東日本大震災では、宮城県仙台市で被災。その時の経験をもとに、防災士として活動している。2児の母でもあり、子育て家庭に向けた防災ノウハウも発信している。
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最低限これは備えて!防災グッズの必需品リスト
防災グッズは多数ありますが、まずは絶対に揃えておきたい基本アイテムと準備する時のポイントを、渡辺さん監修のもと解説していきます。
〈表〉最低限備えておきたい基本の防災グッズリスト
食べ物・飲み物(7日分) | □飲料水 □ご飯 □カップ麺 □缶詰 |
---|---|
電化製品 | □携帯電話の電池式充電器 □ラジオ □イヤホン □懐中電灯 □乾電池 |
生活用品 | □生活用水 □非常用トイレ □トイレットペーパー □ウェットティッシュ □衣類、防寒具 □タオル □生理用ナプキン |
救急用品 | □絆創膏 □ネット包帯 □ガーゼ □消毒液 □常備薬 |
貴重品 | □免許証(コピー) □健康保険証(コピー) □通帳(コピー) □三文判などハンコ □お薬手帳 |
身を守るもの | □軍手 □マスク □底の厚い靴 |
(1)食べ物・飲み物
- 飲料水
- ご飯
- カップ麺
- 缶詰
など
【選ぶポイント】
食べ物においては、パサパサとした食感の乾燥しているものや辛いものはなるべく避けましょう。のどが渇き、飲料水を余計に消耗してしまう可能性があるためです。甘い食べ物も少量ならエネルギーの補給に効果的ですが、食べ過ぎはのどが渇く可能性があるので注意しましょう。近年、防災用に缶詰型のパンも普及していますが、味付けが甘いものも多いため必ず確認し、甘すぎるものは避けましょう。
ご飯を選ぶ際には、水分を足すだけで食べられるアルファ米などを選ぶのが理想です。
また、準備する量としては最低3日分、可能なら7日分を目安にするとよいでしょう。この目安量にする理由については、後ほど詳しく説明します。
(2)電化製品
- 携帯電話の電池式充電器
- ラジオ
- イヤホン
- 懐中電灯
- 乾電池
など
【選ぶポイント】
災害時は情報の収集が何より重要です。そのために、必ず携帯電話の充電器を用意し、充電切れを防ぎましょう。ただし停電などの影響で、コンセントにさすタイプの充電器は使えない可能性もあります。必ず乾電池を入れて充電できるタイプを用意しましょう。
また、情報を得るには携帯ラジオも重要です。今はアプリでもラジオが聴けますが、それによって携帯電話の充電を消費し、大切な場面で電話やメッセージアプリが使えなくなるのはリスクです。今は電話番号も携帯電話に登録されており、見ることができないと大きな支障となります。情報収集はできる限り携帯ラジオなどの他のツールで行い、携帯電話はなるべく連絡のみに使用することを意識しましょう。
携帯ラジオを用意する時には、避難所で生活する可能性も考えて、イヤホンとスピーカーの両方を使えるものを選ぶとよいでしょう。
懐中電灯は置き型のランタンとして使える機能が付いたものがベストですが、そうでない場合は、通常の懐中電灯を立てて、ライトの部分に空のペットボトルを切って被せると、ランタンと同じように光を拡散できます。
乾電池は、電気が使えない間の貴重な電源となります。防災グッズ用の電池は切れることがないよう多めに用意し、定期的にストックをチェックするようにしましょう。
(3)生活用品
- 生活用水
- 非常用トイレ
- トイレットペーパー
- ウェットティッシュ
- 衣類、防寒具
- タオル
- 生理用ナプキン
など
【選ぶポイント】
この中で特に大切なのが非常用トイレです。災害時に停電が起きると、水が止まり水洗トイレが使えなくなります。いろいろな種類の非常用トイレが安価で売られているので、必ず備えましょう。
ポリ袋の上に用を足して凝固剤で固めるタイプが主流ですが、凝固剤は燃えるゴミに出せない場合があります。災害時は燃えるゴミから処理されることが多く、凝固剤の種類によっては排泄物を処理できなくなることも考えられるため、できれば燃えるゴミとして処理できるものを選ぶとよいでしょう。
猫のトイレに使う「猫砂」は凝固剤の代用で使え、燃えるゴミで処理できるので覚えておくと便利です。
また、飲料水は多くの方が備蓄していますが、手洗いなどに使う生活用水も必要になります。お風呂の浴槽に水を溜めておいたり、空のペットボトルに水道水を溜めておくようにして、非常時の生活用水を備蓄しましょう。
衣類については、肌に直接触れる下着類は最低限準備しておきましょう。冬場に被災することも想定して、コンパクトに収納しておける防寒具もあると安心です。
女性の場合には、生理用のナプキンも入れておくようにしましょう。
(4)救急用品
- 絆創膏
- ネット包帯
- ガーゼ
- 消毒液
- 常備薬
など
【選ぶポイント】
ぜひ用意して欲しいのが常備薬です。日本では高齢化が進んでいるため、日常的に薬を服用されている方が被災するケースが増えています。被災時に薬が途切れないよう、普段から少し多めに処方を受けて、余った分を持ち出し袋に用意しておくと安心です。
とはいえ、多めに処方してもらえない薬もあります。その場合、避難所等で臨時に開設される救護所で薬の処方を受けましょう。その際に自分が普段飲んでいる薬を間違いなく伝えられるよう、お薬手帳も防災グッズの中に入れておいて被災先でも迅速に処方してもらえるようにしましょう。
お薬手帳がない場合は、使い切った薬のパッケージを入れておくのも有効です。医師からどんな薬を飲んでいたか聞かれても、薬の名前まで思い出せないケースがあるためです。
(5)貴重品
- 免許証(コピー)
- 健康保険証(コピー)
- 通帳(コピー)
- 三文判などハンコ
- お薬手帳(前項を参照)
など
【選ぶポイント】
印鑑や通帳、キャッシュカードがないと金融機関等の様々な手続きができないのでは? と思っている人も多いかもしれませんが、大きな災害が起こると、これらがなくても、多くの金融機関が対応してくれます。
その際、本人確認が必要となるため、免許証や健康保険証、通帳のコピーを用意しておきましょう。通帳は表紙など、口座番号がわかるページのみでOKです。これらがないと本人確認に時間がかかり、預貯金が引き出されるまでのタイムラグが発生します。
また、三文判などの簡単なものでよいのでハンコもあるとなにかと便利です。実印などの印鑑を防災グッズに入れておくのは難しいため、三文判を入れておくようにしましょう。
(6)身を守るもの
- 軍手
- マスク
など
【選ぶポイント】
危険な環境から手を守る軍手は必需品です。手のひら側にゴムの滑り止めがついているものを選びましょう。避難の際に滑りやすいところを掴んだり、ケガしやすいものを運んだりしなければいけない場合があるためです。マスクは感染症対策として必需品です。
どのくらい必要? 揃える量と家族別の必要なもの
揃えるべき防災グッズはわかりましたが、それらは、どのくらいの量を準備すればよいのでしょうか。特に食べ物や飲み物、生活用品については想定する避難の日数などにより変わります。そこで、具体的に用意する量の目安と家族構成別に必要なものを、渡辺さん監修のもと紹介します。
防災グッズは最低3日分、可能なら7日分用意すべき!
防災グッズを揃える際、目安とする期間は「7日間」がベストだと渡辺さんはいいます。以前は3日間を推奨するケースが多くありましたが、「近年の災害を見ていると、3日ではライフラインが復旧に至らない場合が見受けられます」とのこと。最低3日、可能ならば7日分を意識して用意するのがよいでしょう。
一人分の量の目安
飲料水 | 一人あたり1日1L、7日間で計7Lを最低限用意 |
---|---|
食べ物 | 一人あたり1日1食と考える。7日間で計7食分を最低限用意 |
非常用トイレ | 1日に行く回数を通常時にカウントしておき、1日分の回数の7倍(7日分)を用意 |
被災時は、飲み物・食べ物ともに普段のようには消費せず、最小限に抑えるべきです。また、備蓄スペースを小さくするためにも、適度な量にすることが大切です。そのため、最低限水は1日1L、食べ物も1日1食分としています。普段の生活よりは少ないと思いますが、生存に問題ないラインです。
なお、ペットボトルで飲料水を保管する際は、2Lなどの大型ペットボトルではなく、500mLなど小さなサイズのものを購入してください。菌が繁殖する可能性があるため、封を切ったら早めに飲みきれる小型サイズが最適です。
食べ物の備蓄は多くの人が気にされますが、日本の災害救助では、おおむね災害から2、3日以内に救援物資が届きます。食料は迅速に確保されるので過剰に心配しなくていいでしょう。
なお、生活用品、常備薬なども「7日間」を目安に用意しておきましょう。
家族や同居人がいる場合は、上記の量を人数分備蓄しておきます。
子ども・赤ちゃんがいる場合に必要なもの
<子どもの場合>
- 子どもの分の飲料水、食べ物
- 子どもの分の生活用品
- 普段遊んでいるゲームやおもちゃ
<赤ちゃんの場合>
- おむつ、お尻拭き
- 授乳用ケープ
- ミルク、離乳食などの食料
- ガーゼ
- 母子手帳(コピー)
子どもがいる場合も、食べ物・飲み物・生活用品は前述と同様です。意識したほうがいいのは、子どもの精神面のケアを行うためのグッズです。避難所に行く場合は、普段遊んでいるゲームやかわいがっているぬいぐるみなどを持って行ってください。精神安定につながります。また、小さい子どもは避難所でパニックになりやすいので、よく抱きしめてあげることも意識しましょう。
子どもがまだ赤ちゃんの場合には、食べ物や排泄処理についても専用のものが必要になります。大人と同じ備蓄ではフォローができない部分もあるため、赤ちゃん用のグッズは必ず用意しましょう。
ペットがいる場合に必要なもの
- ペットの分の飲料水、食べ物
- ペットの分の排泄アイテム
- リード
ペットがいる場合も同様に、7日分の飲料水と食べ物、そして排泄用のアイテムを準備しておきましょう。人間と違い、ペットは普段食べているものでないと口にしない場合もあります。そのため、備蓄も普段と同じ食べ物にするようにしましょう。
また、ケージなどに入っている動物でない場合にはリードも用意が必要です。避難所で生活する場合にはペットは外に待機させられることも多く、どこかに行ってしまわないよう、つないでおく役割もあります。
経験者が語る、実際に役立ったもの
土界谷さんによると、前述した防災グッズ以外にも、実際に被災した経験の中で役立ったものや足りなかったものがあるそうです。また、反対によく言われる防災グッズのリストのアイテムでも使わなかったものもあるとのこと。東日本大震災の際に宮城県仙台市で被災し、自宅避難を経験した土界谷さんの体験談を中心に、渡辺さんのアドバイスを交えながら紹介します。
実際にとても役立ったもの
(1)ゴミ袋(消臭機能付き)
被災した環境では、ゴミの処理が普段のようにできない場合もあり、一定期間自分で保管しておかなければいけない状況もあります。そうした時には、ゴミ袋が役に立ちます。
「震災後はしばらくゴミ収集車が来なかったため、ゴミを密封して保管するために、ゴミ袋を思ったよりも多く使いました。私が被災した時は冬でしたが、もし夏に被災してしまうと衛生面や悪臭の問題があるので、消臭機能付きのゴミ袋等を使って管理できると、生活環境の悪化も防げると思います」(土界谷さん)
(2)現金
今でこそ、電子決済などのキャッシュレス化が進んでいますが、災害で停電が起きるとATMが止まり、クレジットカードも使えなくなるなど現金しか使えない状況が発生します。周りが復旧しても、手元にお金がないと必要なものの確保も難しくなってしまうため、現金を用意しておくと安心です。
「震災から3〜4日後に近くのスーパーが在庫品の販売を始めたのですが、電気などがまだ復旧していなかったため、現金のみの取扱いでした。たまたま現金を持っていたため食料などを補充することができてよかったと思っています」(土界谷さん)
「金額の目安としては3万円程度用意しておくと安心でしょう。被災地ではレジ等が止まってしまいお釣りが出せない可能性も高いため、用意する時には1,000円札や硬貨も含めておくようにしましょう。特に10円玉は公衆電話を使用するのに必要なため、必ず準備しておくことをおすすめします」(渡辺さん)
(3)紙皿・紙コップ・ラップ
生活用水が限られている中で、毎食後に食器を洗うのに水を使うのは得策ではありません。使い捨てのアイテムを用意しておけば、水の節約につながります。
「水が少ない中で、洗う必要のない紙皿・紙コップは被災時にとても助かりました」(土界谷さん)
「普段使っている食器は災害時に割れて使えなくなってしまうことも考えられるため、紙皿や紙コップを用意しておくことは非常によいと思います。さらにおすすめなのが、それらにラップを巻いて使うことです。使用後にラップを捨てるだけで繰り返し使うことができます」(渡辺さん)
(4)電池式の携帯充電器
備えておくべき防災グッズとして前述で紹介した「電池式の携帯充電器」ですが、土界谷さんの経験でも本当にあってよかったアイテムとのこと。
「原発や津波のことなど、被災時は情報を得るのにとにかく必死で、携帯電話がとても大切でした。家の周りには電波が来なくなっていたので、電波が届いている場所にわざわざ足を運んで情報収集をするほど。電池が減ることにだんだんと恐怖を感じるようになっていたので、充電できると安心しました。その経験から今では、電池式の携帯充電器ごといくつもストックを用意するようにしています」(土界谷さん)
※被災時のWi-Fi接続で知っておくべきこと
日本では、大規模な災害が起きると「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」という公衆無線LAN(公衆Wi-Fi)を無料開放するしくみがあります。キャリアや契約に関係なく接続でき、IDやPASSの入力も不要なので、知識として身につけておくとよいでしょう。ただし、セキュリティは確保されていないので、口座番号などは絶対に入力しないでください。
足りなかったもの・なくて困ったもの
(1)飲料水以外の生活用水
飲料水は防災グッズ等で備蓄する人が多いと思いますが、生活用水は用意していない人がほとんどです。災害時は水道が止まり、生活用水の確保にとても苦労します。気軽に手を洗ったり、トイレの水を流せないなどのストレスになることも多いでしょう。
「私が被災した際は、あらかじめお風呂の浴槽に水を溜めていたため、ある程度の生活用水は確保できていました。しかしながら、2〜3日もすると足りなくなってしまったため、外からとってきた雪も浴槽に入れて、配給の水が届くまで生活用水として使いました。浴槽に水を溜めておく際の注意点として、小さいお子さんがいる家庭は事故の危険があるので、必ず蓋をしてください」(土界谷さん)
(2)生理関連用品
女性の場合は、避難期間に生理が来る可能性もあります。食料や生活用品は毎日使うため備えておくことが多いですが、月に一度必要な生理関連のアイテムについては見落としてしまいがちなアイテムです。
「被災時はとにかく慌ただしく、生きることに必死なため生理のことまで気がまわりません。被災した友人の話では痛み止めや軟膏の薬がなく、生理中の被災生活が苦しかったそうです。当然薬局もやっていませんでしたし、常備薬と違って常に持っているものでもなかったため、痛み止めや肌トラブルがある期間はひたすら耐えるしかなかったそうです。被災してから用意することが難しいものなので、女性はあらかじめ準備しておいてほしいですね」(土界谷さん)
(3)歩きやすい靴
被災時は公共交通機関も止まる可能性が高く、長距離を徒歩で移動するケースが出てきます。また、その道中は瓦礫など足元が危険な場合も大いにあります。ヒールや歩きにくい靴では、移動をすること自体が困難になってしまうこともあるでしょう。
「当時、私の母が9km程離れた職場から山を越えて徒歩で帰宅しました。なんとか帰って来られましたが、周りにはやはりヒールなどで歩かなければいけない女性も多く見られました。自分がいつ、どこで被災するかはわからないので、自宅のほか職場にも、歩きやすく底の厚い靴を置いておくといいと思います」(土界谷さん)
いらなかったもの・使わなかったもの
(1)ロープ
防災グッズとしてロープが推奨されるケースもありますが、一般人レベルの被災時にはロープを使うことはまずありません。またかさばるために無理に用意しなくてもよいでしょう。
(2)ヘルメット
身を守るために頼りになるヘルメットですが、実際に使用する場所は重度の災害地などかなり限られます。また、ロープと同じくかさばってしまうものであるため、用意したい場合には“折り畳めるヘルメット”を選ぶとよいでしょう。
「いわゆる重度の災害地にいる方はごく一部で、私が被災していた状況はライフラインが復旧するのをひたすら耐久して待つというものでした。そのため、ロープやヘルメットなどを使う機会はなく、生活に必要な日用品があれば、特殊なサバイバル道具は使わなかったです」(土界谷さん)
専門家が伝授! 防災グッズを用意する時のポイント
100円ショップやネット通販など、今や防災グッズは様々なところで入手できます。では、実際に私たちが防災グッズを購入し用意する上で、どんな点を意識したほうがいいのでしょうか。お二人の専門家の意見をもとに、いくつかのポイントにまとめて紹介します。
① 防災グッズは「日常の延長線上」にあるものを選ぶ
普段の生活でしていないこと、使っていないものは、災害時に急遽使おうとしてもうまく使いこなせません。食べ物も同様で、いつも食べていないものを災害時に食べようとすると、ストレスやお腹を下すなどの逆効果になるケースもあります。
普段自分が使っているもの、好きな食べ物など、日常の延長線上に防災グッズがあるようにアイテムを選びましょう。
② ローリングストックを実践する
上記の考えを実行する上で大切なのが「ローリングストック」という備蓄方法です。これは、食材や消耗品を常に多めに購入し、いつも家に余っている状態にすることです。その余剰分が防災用となるため、馴染みあるものを使えるということです。
また、一度買って備蓄したらそのままではなく、消費と購入を継続しながら余剰分が備蓄されているので、食材の賞味期限切れも防げます。普段よく利用するアイテムで、かつできるだけ電気や水道といったライフラインなしに使えるものを選ぶのがポイントです。
③ 必ず1度は使っておく
携帯ラジオや懐中電灯などは、必ず定期的に使用テストをしておきましょう。使い方の確認はもちろん、電池切れや故障していないかのチェックにもなります。
④ 安いものでも十分。まずは備えることが大事
様々な防災グッズが販売されていますが、価格帯やしくみなどは、それぞれが気に入ったもの、使いやすいものを選びましょう。100円ショップで売られている携帯ラジオや懐中電灯も、日本での販売基準を満たしている商品は十分に機能します。無理に高いもので揃えようとして防災グッズの用意ができないというのは本末転倒です。まずは「備える」ことを目的に行動しましょう。
やっておいてよかった、グッズ以外の備え
防災グッズ以外にも、やっておくべき災害への備えはたくさんあります。ここでは、行動やお金関連など、グッズ以外にやっておきたい備えを紹介します。
自分の家の危険な箇所を把握し、一つ一つの危険を潰しておく
地震が来てから何かしようとしても遅く、また災害時は自分が思っている以上に恐怖で動けません。だからこそ、日頃から家のどの部分に危険があるのかをチェックし、可能な限り対策をとっておくことが重要です。たとえば「割れ物がある場所」「高いところにものがある場所」など、事前に把握しておくだけでも、災害時にその箇所を避けることで危機回避につながります。
家具の置き方を工夫する
前述の「危険な箇所の把握」に通じますが、棚の固定やガラス食器の落下対策などは大切です。特に大きな地震の際は、床にガラスの破片が散乱するなどの危険を招きます。家具の転倒防止も忘れず行い、もし可能なら、落下や家具が倒れる心配のない空間を一つ作っておきましょう。被災時に居住者が安心して過ごせる場所になります。
家族や大切な人と避難場所を共有しておく
災害直後は家族や大切な人と連絡が取れません。日頃からいざという時にどこに避難するか、場所を共有しておきましょう。土界谷さんも被災時、「家の近くにある2つの学校があって、家族がどちらに避難するかわからなかった」といいます。事前に認識を一致させることが重要です。
災害用の保険を検討しておく
2011年の東日本大震災以降、日本では大型地震が頻発しており、今後は首都直下地震も危惧されています。そのほか、台風などによる豪雨災害も増えています。
この状況下において、渡辺さんは「災害はいつか必ず来るものだという前提のもと、今から真剣に備えておくことが大切です。地震保険もその備えとして国民全員が入るようなモチベーションでいるべきです。また、火災保険でどこまでの災害がカバーできるかもチェックして、不足があれば補填を検討してください」と強くすすめます。
災害が来れば、住居だけでなく家族や仕事を失う可能性もあります。その中で補償が出ることは大きな助けになるはずです。
防災の知識を蓄えるだけでなく、行動に移して万が一に備えよう
日本に住む以上、地震や豪雨などの災害はいつでも、どこでも私たちに襲いかかる可能性があります。そのことを認識して、知識を蓄えるだけでなく、行動に移すことが一番大切なことです。
まずは「防災グッズを備えること」。そのはじめの行動が、いざという時に自分たちを救ってくれるはずです。