「貯金をしたいのにうまくいかない」「お金が貯まらない」と悩む人は多くいます。そんな方に試してほしいのが、「先取り貯金」です。しかし、ひと口に先取り貯金といっても、その手法はいくつかありますし、「どの手法が自分に適しているのか」「いくらから始めるべきか」「収入が少ないからできないのではないか」など、疑問もあるでしょう。

そこでこの記事では、そんな先取り貯金の疑問をスッキリ解消するための知識や方法を、ファイナンシャルプランナー・高山一恵(たかやま かずえ)さん監修のもと、解説します。

この記事の監修者

高山一恵

株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
Twitter

貯金が苦手な人におすすめの手法「先取り貯金」とは?

画像: 画像:iStock.com/metamorworks

画像:iStock.com/metamorworks

貯金ができない大きな理由のひとつは、“あればあるだけお金を使ってしまう”からです。「気づいたらお金がなくなっていた」という人は、まさにこのパターンに陥ってると言えるでしょう。先取り貯金は、そんな人に最適な貯金術です。まずは概要を紹介します。

(1)先取り貯金とは、貯蓄分を先に取り分ける貯金術

先取り貯金とは、収入の中から貯蓄分を先に取り分け、残りのお金で生活する貯金術です。1カ月分の収入から生活費などの必要経費などを差し引き、残ったお金を貯蓄する方法とは逆の手順で行います。

実は、この先取り貯金は、貯金ができている人の多くが実践している方法です。人はお金が手元にあると欲望に負け、あるだけ使ってしまう傾向があります。これは、有名な政治学者が提唱した「パーキンソンの法則」といいます。人は収入が増えれば増えるほど、支出も増えてしまうものなのです。また、先に貯蓄をして、残りのお金は使って良い、としたほうが精神的にも楽になるでしょう。

〈図〉先取り貯金と、そうではない貯金のしくみの違い

画像: (1)先取り貯金とは、貯蓄分を先に取り分ける貯金術

(2)システムを作れば自動的にお金が貯まる

先取り貯金の優れた点は、着実に貯金ができることに加え、事前にシステム化することで、毎月貯金を意識しながら生活しなくても良いことです。

そのため、「気づいたらお金が貯まっていた」という状態になることが多く、貯金に苦手意識がある人には最適といえるでしょう。なお、システム作りの手法に関しては、後述します。

(3)無理な金額設定がストレスの原因に

良いこと尽くしのような「先取り貯金」ですが、注意すべきポイントもあります。それは「金額設定」です。

収入に対して不釣り合いだったり、支出に制限をかけすぎたりするほどの貯金額を設定すると、月の後半にはお金が足りなくなって貯金に手を出してしまうことがあります。

お金を着実に貯められないだけでなく、自分で決めたルールを守れないことがストレスになってしまうこともあります。無理な金額を設定する人には、真面目な方が多く、そのストイックさのせいで貯金自体が嫌になったり、苦手意識を持ったりすることもあります。

先取り貯金を成功させるには、自分に合った金額設定にすることが鍵なのです。

【基礎編】成功する先取り貯金の目安はいくら? 設定方法は?

画像: 画像:iStock.com/erdikocak

画像:iStock.com/erdikocak

先取り貯金をする上で、いちばん気になるのは、どのくらいの金額を貯蓄すれば良いか、ということでしょう。この金額設定が適切か否かが、成功を左右します。

(1)鍵は金額設定!給料の何割を貯蓄すべき?

金額設定はライフスタイルによって変わります。独身、夫婦、子持ち家庭に分けてご紹介しましょう。

①独身の場合
【貯金額の目安】一人暮らし…手取り収入の1割、実家暮らし…手取り収入の3〜4割

独身の一人暮らしの方であれば、手取りの1割を目安にしましょう。一方、実家暮らしの方の場合、一人暮らしほど生活費がかからないはずなので、3〜4割を目標にしてみましょう。一般的には手取りの2割が理想と言われていますが、実家に住んでいるうちは貯金をするチャンスです。ぜひ、実家暮らしの恩恵をいかしましょう。

②夫婦
【貯金額の目安】手取り収入の2割以上

夫婦ふたりだけで生活しているなら、ふたりの手取りを合わせた収入の2割以上を目指しましょう。独身時のほか、子どもが生まれる前も貯金がしやすいので、頑張ってほしいタイミングです。

③子持ち家庭
【貯金額の目安】手取り収入の1〜1.5割

子どもがいるとお金がかかり、家計に余裕がない家庭も多いと思います。しかし、将来へ向けて貯蓄は必要です。人数や年齢にもよりますが、基本的には手取りの1〜1.5割を目指してほしいですね。

(2)給与の手取り額から逆引き! 先取り貯金早見表

前述の目安金額をもとに、先取り貯金額の早見表を作成しました。あくまで目安なので、必ずしもこの金額である必要はありませんが、参考にしてみてください。

〈表〉月の貯金額の目安表

手取り月収独身の目安
(一人暮らし)
独身の目安
(実家暮らし)
夫婦の目安
(二人暮らし)
子持ち家庭の目安
180,000円18,000円54,000〜72,000円36,000円18,000〜27,000円
200,000円20,000円60,000〜80,000円40,000円20,000〜30,000円
220,000円22,000円66,000〜88,000円44,000円22,000〜33,000円
240,000円24,000円72,000〜96,000円48,000円24,000〜36,000円
260,000円26,000円78,000〜104,000円52,000円26,000〜39,000円
280,000円28,000円84,000〜112,000円56,000円28,000〜42,000円
300,000円30,000円90,000〜120,000円60,000円30,000〜45,000円
320,000円32,000円96,000〜128,000円64,000円32,000〜48,000円
340,000円34,000円102,000〜136,000円68,000円34,000〜51,000円
360,000円36,000円108,000〜144,000円72,000円36,000〜54,000円
380,000円38,000円114,000〜152,000円76,000円38,000〜57,000円
400,000円40,000円120,000〜160,000円80,000円40,000〜60,000円

(3)ボーナスの5割は貯金に回そう

よく質問される貯金に関する悩みのひとつに、ボーナスの扱い方があります。月々貯金している方であれば、ボーナスの半分を貯金に回すようにしましょう。残りの半分は、「家電を買い換える」「趣味に使う」などの臨時出費や日々の楽しみ、毎月の収支の補填に使います。

コロナ不況の影響で最近では「ボーナスが減った」「もらえなくなった」という相談が増えています。そのため、ボーナスがもらえるうちに、しっかり貯蓄しておきたいところです。後述しますが、銀行口座を使った定期積立なら、ボーナス月は普段より多く自動的に積み立てる設定もできるので、利用しましょう。

〈図〉おすすめのボーナスの割り振り方

(4)無理なく先取り貯金を始めるコツ

まず1度、前述の目安の金額を先に取り分け、残りのお金で生活してみましょう。実際にやってみて、どうしても生活費が足りないようなら金額設定を減らしてみたり、余裕があったら増やしてみたりしましょう。そもそも貯蓄の習慣がない人は、その習慣やしくみを作る練習だと思って、1,000円からでもよいので始めてみましょう。

【実践編】代表的な5つの先取り貯金の手法を解説

ここからは先取り貯金の実践編です。「先取り貯金」と言っても、そのしくみを利用した手法は様々です。ここでは5つに分けて、ご紹介していきます。それぞれの手法によって、メリットや実施時に気をつけたいポイントがあります。自分に合った方法を探してみてください。

(手法1)封筒や専用財布を使う「袋分け家計簿」

画像: 画像:iStock.com/Miyuki-3

画像:iStock.com/Miyuki-3

①概要
アナログな家計管理の手法として、お金を封筒や専用財布に分けて管理する「袋分け家計簿」という方法があります。生活費や光熱費など、目的別に予算を決めてあらかじめ封筒に入れておく方法なのですが、この手法を応用して先取り貯金をすることができます。目的のひとつに「貯金」の項目を追加して、先に取り置きしてしまうのです。

〈図〉袋分け家計簿による先取り貯金のイメージ

画像: (手法1)封筒や専用財布を使う「袋分け家計簿」

②主なメリット
どれだけお金が減ったか、貯金がどれだけできたかが、目の前のお金として実感できるのが最大のメリットです。現金が手元で増えていくので、それだけ充実感もあるでしょう。また、きちんと予算の範囲で暮らしていれば赤字になりません。ただ、現金が手元にあるため、つい使ってしまう可能性も高くなります。

③実施時のポイント
シンプルな手法ですが、目的別の項目を細かくしてしまうと煩雑になり、封筒内に小銭が増えてしまうなど、面倒な面もあります。そのため、項目を分け過ぎないのがコツです。たとえば、食費と日用品費は生活費として1つの項目にまとめたり、口座から引き落としできるものは“口座引き落とし分”という項目でまとめるなど、簡素化することをおすすめします。項目分けに試行錯誤が必要なので、ものぐさな人には向いていないと言えるでしょう。

本格的にこの手法を導入する前に、生活にかかるお金を1カ月記録し、大体の予算を把握することも大切です。使いすぎている項目は、無理のない目標を設定するなど、予算立てをしっかりして挑みましょう。

④この手法に適した人

  • マメな人
  • アナログで家計管理がしたい人
  • 充実感がモチベーションになる人

(手法2)定期口座に自動的に振り分ける「積立定期預金」

画像: 画像:iStock.com/takasuu

画像:iStock.com/takasuu

①概要
先取り貯金の手法の中で、最もオーソドックスな手法は銀行などの金融機関で行う「積立定期預金」です。給料日後に毎月一定額を、定期預金口座へ自動で振り分ける方法です。

金融機関によって多少の違いはありますが、少ない額から始められます。途中で解約することもできますが、満期前に引き出すと利率が下がってしまいます。

〈図〉銀行で行う自動定期積立のしくみ

画像: (手法2)定期口座に自動的に振り分ける「積立定期預金」

②主なメリット
一度金融機関で設定すれば、自動で毎月お金が積み立られます。一般的に、定期預金口座は普通預金口座に比べて引き出しにくいため、“貯めたお金を使いにくい”という点も、貯金を成功させるポイントです。また、普通預金口座に比べて、定期預金口座の方が金利が高い傾向にあります。

③実施時のポイント
大手都市銀行の定期預金の金利は0.002%程度と低いため、金利にこだわるならネット銀行(0.13%程度もある)がおすすめです。他の銀行に給与口座を持っていても、無料でお金を振り分けてくれるシステムをもつネット銀行もあります。また、ボーナス時には多めに自動で取り分けるよう、月ごとでの金額設定も可能です。

④この手法に適した人

  • ものぐさな人
  • 貯蓄のために手間をかけたくない人

(手法3)会社の福利厚生:「社内預金」「財形貯蓄」など

画像: 画像:iStock.com/segawa7

画像:iStock.com/segawa7

①概要
企業によっては、福利厚生のひとつとして「社内預金制度」や「財形貯蓄制度」「社員持ち株制度」など、従業員がお金を貯められる制度を導入していることがあります。先取り貯金の方法として一番おすすめしたいのがこの手法です。それぞれの概要は以下の通りです。

〈表〉「先取り貯金」として利用できる会社の福利厚生

社内預金制度
企業が給与の一部を天引きして預かり、企業自らが運用を行うしくみです。景気や業績などにより、企業ごとに金利が異なります。
財形貯蓄制度
毎月の給与から一定額が給与天引きされ、銀行や保険会社、証券会社など、提携している金融機関によって積み立てられるしくみです。
社員持ち株制度
従業員が会社やその親会社の自社株を保有する制度です。

②主なメリット
基本的に一度手続きしてしまえば、毎月自動的に一定額を積み立て、確実に貯蓄できます。また、積み立てたお金を引き出すためには、会社や金融機関への手続きが必要なため、引き出しにくいのもポイントです。自力での貯蓄が苦手な人にはおすすめです。なお、制度によってメリットが異なります。下記の表を参照してください。

〈表〉会社の福利厚生のメリット

社内預金制度
この制度は、厚生労働省令で下限利率が0.5%とされています。銀行の定期預金と比べ金利が高いのがメリットです。
財形貯蓄制度
一般財形は、給与天引きで貯蓄できるところがメリットで、使い道も自由です。年金財形、住宅財形を利用する場合には、一定の条件を満たせば、払い出し時に非課税で引き出すことができます。
社員持ち株制度
業績によって配当を受け取ることができ、資産を増やすことができます。また、売却する際の手続きや独自のルールなどがある場合が多いです。

③実施時のポイント
まず、自分が勤めている会社にこれらの制度があるかどうかを確認しましょう。一般的に大手企業は財形貯蓄制度を持っている場合が多いですが、社内預金制度を備えている会社はひと昔前に比べてかなり少なくなっています。

もし、自分の会社が運よく複数の制度を備えている場合は、自分の性格やライフプランに合わせて積極的に活用しましょう。

なお、財形貯蓄制度の場合は、退社する時に転職先の会社へ移行できることがありますが、社内預金制度は会社独自の制度なので、解約する必要がある場合が多いでしょう。また、社員持ち株制度は、自社の株価が下がってしまうと、株価が下がれば利益を回収できないことがあるため、注意が必要です。

④この手法に適した人

  • 会社の福利厚生に上記の制度がある人
  • 自力で貯蓄するのが苦手な人

(手法4)自動積立式の資産運用:「投資信託積立」「つみたてNISA」「iDeCo」

画像: 画像:iStock.com/greenaperture

画像:iStock.com/greenaperture

①概要
広義で捉えると、毎月決まった金額を積み立てて、その資金を運用する「投資信託積立」「つみたてNISA」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も先取り貯金の一種といえるでしょう。どの制度も少額から、少ない手間で投資を始められるので、投資への興味がある人におすすめです。

〈表〉自動積立式の資産運用の種類

投資信託積立
毎月決められた日に一定額の投資信託を購入しながら積み立てる投資手法です。運用は投資のプロであるファンドマネージャーが行います。
つみたてNISA
少額投資非課税制度のことで、最長20年間にわたり、年間40万円以内の新規投資額で出た利益に対して、課税されることなく資産運用が行えます。
iDeCo
定期預金や保険商品、投資信託などから自分で選んだ商品で運用する私的年金制度です。年金制度のため、20歳以上60歳未満の人が加入でき、60歳以降に老齢給付金として受け取ることができます。

②主なメリット
ここで紹介しているのは資産運用です。そのため、元割れする恐れがありますが、大きく資産を増やせる可能性もあります。また、どれも自動積立のしくみを使っているため、一度設定してしまえば、手間がかからず、忙しい人でも取り組みやすいのも特徴です。とはいえ、自分が投資した証券などの値動きは気になると思うので、金融や経済へ興味が生まれるきっかけになるでしょう。

なお、それぞれの投資手法によってメリットは異なります。下記を参照してください。

〈表〉自動積立式の資産運用のメリット

投資信託積立
現在、投資信託は約6,000種類あり、少額からでも投資をスタートできます。また、プロに運用してもらうため、個別株投資と比較して手間がかからないのがメリットです。また、現金化しやすいのも利点と言えます。
つみたてNISA
一般の証券口座の場合、投資による利益が20万円以上になった時は課税されます。しかし、つみたてNISAの制度を利用すると、最長20年、新規投資額で毎年40万円を上限として、利益に対して税金がかからなくなります。また、証券会社でも利用できるのはもちろん、多くの銀行でも制度の取り扱いがあるため、現在給与口座のある銀行でも口座を開設できるなど、利用ハードルが低いのもメリットのひとつです。
iDeCo
税制優遇に優れた制度です。掛金は全額所得控除になり、運用期間中は、運用益は非課税になります。また、受給時には、退職所得控除や公的年金等控除が受けられ、節税対策になります。また、つみたてNISAと同様に、給与口座のある銀行でも加入できることが多く、ハードルが低いのもメリットのひとつです。

③実施時のポイント

“投資”というと株式市場や金融の知識がないとチャレンジしにくいイメージですが、あまり手間がかからない上に、つみたてNISAやiDeCoで扱う商品は、中長期的に安定的に運用成果が出せる可能性が高い商品が多いため、取り組みやすくなっています。ただし、元本割れする可能性もあるので、一定程度の貯蓄がある上で検討しましょう。なお、iDeCoは60歳までお金を引き出すことができませんので、ご注意ください。

④この手法に適した人

投資信託積立
・投資に興味がある初心者
・少額から投資したい人
・たくさんの商品バリエーションから選んで投資したい人
つみたてNISA
・投資に興味がある初心者
・少額から投資したい人
・節税効果を得ながら、お得に投資をしたい人
・そこまでリスクをとらず、投資を始めたい人
iDeCo
・貯蓄の目標が老後資金確保の人
・節税優遇を有効活用したい人

(手法5)保険を利用した先取り貯蓄:「貯蓄型保険」「個人年金保険」

画像: 画像:iStock.com/Thanmano

画像:iStock.com/Thanmano

①概要
投資商品を利用した資産運用と同様に、広義で見ると、貯蓄型保険や個人年金保険といった保険商品を利用した貯蓄も、先取り貯蓄の一種と言えるでしょう。以下でそれぞれの概要を解説します。

〈表〉保険を利用した貯蓄の概要

貯蓄型保険
保障機能と貯蓄機能を備えている保険商品です。たとえば死亡保険なら、万が一のことがあった時には死亡保険金が受け取れます。また、何事もなく満期を迎えた時には、満期保険金が受け取れますし、万が一途中で解約した場合も解約返戻金が受け取れます。学資保険もこのうちのひとつです。商品ごとに返戻率が異なるので、選ぶ時のひとつの指標にしましょう。
個人年金保険
老後に備えて、自分年金を準備する保険のことです。あらかじめ決めておいた年齢になったら保険料の払込は終了し、以後は年金が受け取れます。年金の受け取り方にはいくつか種類があり、年金受け取り期間が確定している「確定年金」、10年や20年などのように、支給される期間が定められている「有期年金」、生存している間ずっと受け取とれる「終身年金」などがあります。

②主なメリット
投資商品を利用した資産運用と比べてリスクが低いのが特長です。それぞれのメリットをさらに見ていきましょう。

〈表〉保険を利用した貯蓄のメリット

貯蓄型保険
保険で保障を得ながら貯蓄ができるため、保障も貯蓄も両方検討したいという人にとっては、便利な商品です。
個人年金保険
定められた期間保険料を支払うことで、老後資金の準備ができます。一定の条件を満たすことで、個人年金保険料控除が受けられます。

③実施時のポイント
商品によって細かく内容が異なるので、自分の生活や家族構成、今後を見据えたライフプランなどによって選ぶ必要があります。漠然と老後の資金に不安があり、将来確実にお金を受け取りたいときに検討すると良いでしょう。

④この手法に適した人

  • お金は増やしたいが手堅く準備したい人
  • 貯蓄とともに保障も備えておきたい人

先取り貯金シミュレーション:代表的な3パターンを紹介

(1)独身ひとり暮らしのAさん/手取り収入:20万円

画像: 画像:iStock.com/chachamal ※この画像はイメージです

画像:iStock.com/chachamal ※この画像はイメージです

●プロフィール

基本情報25歳男性、会社員
家族構成独身・ひとり暮らし
現在の預貯金額10万円

●収入と貯金額

手取り収入20万円/月
先取り貯金額2万円/月

【おすすめの先取り貯金手法】
Aさんは独身・一人暮らしなので、月々の貯金額は手取り収入の1割として、2万円を設定します。勤めている会社に「社内預金」「財形貯蓄」があれば、ぜひ利用しましょう。なければ「定期積立」がおすすめです。

【実施時のポイント・注意点】
Aさんの現在の預貯金額は10万円です。預貯金がほとんどない場合は、投資ではなく、まずは堅実に貯蓄を積み上げることが大切です。生活費の6カ月〜1年分ほどの貯蓄ができたら、投資商品を活用しての積立へ変更していくことも良いと思います。

(2)夫婦ふたり暮らしのBさん/手取り収入:50万円

画像1: 画像:iStock.com/Yagi-Studio ※この画像はイメージです

画像:iStock.com/Yagi-Studio ※この画像はイメージです

●プロフィール

基本情報30歳男女(会社員の共働き)
家族構成夫婦ふたり暮らし
現在の預貯金額250万円

●収入と貯金額

手取り収入50万円/月
先取り貯金額10万円/月

【おすすめの先取り貯金手法】
Bさん夫婦は夫婦ふたり暮らしなので、月々の貯金額は手取り収入の2割として、10万円を設定します。預貯金が250万円と比較的貯まっているため、資産形成に比重を置いてほしいので、「投資信託積立」「つみたてNISA」「iDeCo」がおすすめです。

【実施時のポイント・注意点】
夫婦ふたり暮らしなら、手取り収入の2割が目安ですが、生活に余裕があるなら、思い切ってもっと貯蓄に回すのも手です。

急な出費が心配な場合は、お金を引き出しやすい「投資信託積立」や「つみたてNISA」を採用しましょう。一方で、老後に備えて着実に貯めたい場合は「iDeCo」や「個人年金保険」を活用すると良いですが、「iDeCo」は60歳まで給付されないので注意が必要です。

(3)夫婦と子どもの3人暮らしのCさん/手取り収入:35万円

画像2: 画像:iStock.com/Yagi-Studio ※この画像はイメージです

画像:iStock.com/Yagi-Studio ※この画像はイメージです

●プロフィール

基本情報35歳男女(会社員とパート勤務の共働き)
家族構成夫婦、子どもの3人暮らし
現在の預貯金額350万円

●収入と貯金額

手取り収入35万円/月
先取り貯金額5万円/月

【おすすめの先取り貯金手法】
Cさん一家はお子さんがいらっしゃるので、月々の貯金額は手取り収入の1〜1.5割の間として、5万円に設定しました。

預貯金は350万円ほどありますが、今後のライフイベントを考えると多いとは言えません。貯金と資産運用、半々の割合で先取り貯金をしましょう。

ただし、子どもがいると急な出費もあり得ますので、現金が用意しやすい環境を整えながら資産形成ができると安心です。そのため、貯金では「定期積立」がおすすめです。資産運用では「投資信託積立」「つみたてNISA」「iDeCo」から、生活に合ったものを選びましょう。

【実施時のポイント・注意点】
子どものいる世帯の貯蓄額は、手取りの1〜1.5割が目安ですが、教育資金は別で積み立てる必要があります。教育資金を着実に貯める手段としては、「学資保険」や「低解約返戻金型終身保険」などがあります。子どもがいると何かとお金がかかり余裕はないと思いますが、老後へ向けて貯蓄も必要なので、資産運用も少しずつ行う方が良いでしょう。

見える化ができるアプリ活用でモチベUP

画像: 画像:iStock.com/amphotora

画像:iStock.com/amphotora

家計簿アプリ「マネーフォワードME」の調査では、日々の支出をアプリなどで“見える化”する行為には、1カ月に使う金額を削減する効果があると発表しています1)

これはレコーディングダイエットのようなもので、自分がどれだけお金を使っているかを見える化するだけで、お金支出の抑制効果が働いていると考えられます。

「家計簿が続かない」という人も多いと思いますが、最近のスマホアプリは高機能で、レシートの読み取り精度が高いため、簡単に家計管理することができます。よりスマートな方法として、口座やECサイトと連携できるスマホアプリもあり、自分の手を動かすことなく、収支を確認できます。貯金額の増加の推移が見られれば、よりモチベーションが上がることでしょう。

先取り貯金で失敗する人の特徴とは?

前述の通り、先取り貯金は“失敗しにくい貯金手法”です。しかし、残念なことにそれでも失敗してしまう人はいます。特徴ごとにご紹介しましょう。

(1)浪費グセがある人

画像: 画像:iStock.com/imtmphoto

画像:iStock.com/imtmphoto

このタイプの方は、給料日前になると生活費が足りなくなり、貯金に手を出したり、積立定期預金を解約したりすることがあるようです。そのため、会社に財形制度がある人は財形制度を優先して利用するなど、貯金を下ろしにくい方法を選ぶと良いでしょう。

(2)先取り貯金の設定金額に無理がある人

画像: 画像:iStock.com/SB

画像:iStock.com/SB

収入に見合わない貯金額を設定してしまう人も失敗しやすい傾向にあります。途中で頓挫してせっかく積み立てたお金を解約してしまうようなことがないよう、無理せず適切な金額設定にしましょう。途中からでも貯金額を上げることはできるので、初めからストイックになりすぎず、生活に余裕があると感じられれば、金額を上げると良いでしょう。

基本的に先取り貯金は、自分に合った手法と金額を選べば失敗しにくいものです。もし失敗しても、他の手法に変えたり、金額設定を見直したりして、諦めずにチャレンジしてください。

日々の安心のためにも貯金は大切

先取り貯金をする時には、「何のために貯めるのか」という目標を持つことが、モチベーションを保ち続けるコツです。もし、結婚やマイホーム購入といったライフイベントのような目標を設定しにくい場合、「1年間に100万円」といった目標金額を設定するのも良いでしょう。

また、心の平穏のためにも預貯金は必要です。昨今のコロナ禍のような、先行きが不透明なことが今後起こっても、貯金があるのとないのとでは不安の度合いが変わるでしょう。貯金があれば、仕事がなくなったり、転職を考えたりした時に、就職活動の時間を十分に取れるようになるので、職業選択の幅を狭める必要がなくなります。

これからの時代は、夢や希望を叶えるためにはもちろん、安定した毎日を過ごすためにもしっかりと貯金をしておくようにしましょう。

This article is a sponsored article by
''.