この記事の著者
高山一恵
株式会社Money&You 取締役。ファイナンシャルプランナー(CFP®認定者)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。DCプランナー1級。東京都出身。慶應義塾大学文学部卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを創業。10年間取締役を務めた後、現職へ。女性向けWEBメディア『FP Cafe®』や『Mocha』を運営。全国での講演活動、執筆、マネー相談を通じて、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく、親しみやすい講演には定評がある。
ブログ
年代・年収別の貯金事情。みんなどれくらい貯めている?
貯金について考える際にいちばん気になるのは、自分と同世代の人たちが、どれくらい貯金をしているかということではないでしょうか。まずは、20代と30代の貯金額の平均を単身世帯と2人以上の世帯にわけてご紹介しましょう。
金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査」(令和2年)1)によると、現金、預貯金のほか株式や投資信託などの投資にあてた金額を含む「金融資産」の保有額は、以下のようになっています。
<表>金融資産の保有額
年代 | 平均額 | 中央値 | |
---|---|---|---|
単身世帯 | 20代 | 113万円 | 8万円 |
30代 | 327万円 | 70万円 | |
二人以上の世帯 | 20代 | 292万円 | 135万円 |
30代 | 591万円 | 400万円 |
株式や投資信託などの金額も含まれているため、銀行口座などへの貯金額とは同額になりませんが、20代では113~292万円、30代では327~591万円が平均的な貯蓄額の目安と考えることができます。
ただし、ここで注目したいのが「中央値」の金額です。たとえば20代の単身世帯では金融資産の平均額は113万円ですが、中央値は8万円となっています。そのほかの結果も、同様に平均値と中央値に大きな隔たりがあります。
この隔たりから推測できるのは、保有する金融資産額が極端に多い一部の人たちが平均値を底上げしているということです。しっかり貯金している人が一定数いる一方で、ほとんど貯金できていない人も多い、と言い換えてもよいでしょう。
実際、同じ「家計の金融行動に関する世論調査」(令和2年)の調査で、金融資産を「保有していない」と答えている人の割合は、次のようになっています。
<表>金融資産を保有していない人の割合
年代 | 保有していない | 保有している |
---|---|---|
20代(単身世帯) | 43.2% | 56.8% |
30代(単身世帯) | 31.1% | 68.9% |
20代(2人以上の世帯) | 16.0% | 84.0% |
30代(2人以上の世帯) | 8.2% | 91.8% |
この結果を見ると、単身世帯の場合は20代では約43%、30代では約31%が、まったく貯金ができていないということになります。2人以上の世帯の場合でも、20代では約16%、30代でも約8%が貯金をできていないわけですから、「貯金が少ない」または「貯金ができない」という悩みは、それほど特殊なものではない、ともいえるでしょう。
貯金できる人とできない人とでは、何が違う?
20代、30代ともに、貯金ができない人が意外と多いことがわかったところで気になってくるのは、「できる人」と「できない人」に、どのような違いがあるのか、ということでしょう。
もし、あなたが「貯金ができない」と思っているなら、まずは次のチェックリストを確認してみましょう。
<図>お金の貯まりやすさのチェックリスト
「Yes」の数が多い人ほど、お金が貯まりにくい傾向が強いと考えることができます。逆にいえば「No」の数が多い人ほど、お金が貯まりやすい傾向が強いともいえるわけです。
では、お金が貯まりやすい人に共通する6つの特徴を、チェックリストと照らし合わせながら紹介しましょう。
【貯まりやすい人の特徴1】「支出」を常に把握している
お金が貯まりやすい人に共通する特徴の中でも、特に重要なのが、支出に対する敏感さです。自分が何にいくら使っているのかをきちんと把握していれば、節約できるポイントが見えやすくなり無駄使いが減る上に、貯金に充てる金額をねん出しやすくなるからです。
チェックリストの「質問1」と「質問2」のどちらかにYesを付けた人は、支出に対して鈍感と考えられるので、まずは自分が何にいくら使っているかを確認する習慣を身につけましょう。
【貯まりやすい人の特徴2】性格がマメである
常に支出を把握するのは、なかなか面倒なものです。ですから、それを厭わずに実践できる人は、お金に対する意識が高いほか、元々の性格がマメである傾向も強いと考えることができます。
チェックリストの「質問3」と「質問4」は、面倒くさがりかどうかを調べるためのものでした。両方が「Yes」の場合は、自分が面倒くさがりであることを自覚し、改善を心がけるべきかもしれません。まずは、財布の中身の整理から始めてみてください。
財布に現金がいくら入っているのかを確認したり、貯まったレシートを見直したりすることで、支出に対する敏感さを高めることにも役に立つはずです。
【貯まりやすい人の特徴3】買い物をする際、理性的になれる
支出に対して敏感であるという特徴とも関連していますが、お金が貯まりやすい人は、買い物をする際に理性を優先させる傾向があります。
チェックリストの「質問5」と「質問6」のどちらかに「Yes」が付いた人は、理性よりもその時の気分に左右されがちな傾向があると考えられるので、うっかりと無駄使いをしてしまいがちかもしれません。買い物をする前に一度落ち着いて、本当に必要なものなのかを確認したり、何が「せっかくだから」なのかを考え直してみるようにしましょう。
【貯まりやすい人の特徴4】まず貯金分を避けてから生活費を考える
お金をきっちり貯めている人ほど、貯金の難しさを知っているものです。そこで多くの人が、考えずに貯金をするしくみ作りを積極的に実践しています。給料日の時点で先に貯金分を別の口座に分けるなどして、残りの金額で生活をすれば、貯金について悩むこともない、というわけですね。
一方、チェックリストの「質問7」に「Yes」が付くようなタイプの人は、お金がある時には派手に使ってしまう傾向が強いといえます。そういう人ほど、「余った金額を貯金にまわそう」と考えがちな傾向があるため、なかなか貯金に充てるお金をねん出できないかもしれません。お金がある時ほど、計画的な使い方を考えるように心がけましょう。
【貯まりやすい人の特徴5】損得に関して敏感である
支出に対して敏感であることや、性格がマメであることとも関連していますが、お金が貯まりやすい人は損得についても敏感ですし、損得を確かめるための情報収集も小まめに行っているものです。
チェックリストの「質問8」にもありますが、同じ商品を買う場合でも複数店舗の価格を比較し、最安値で購入する習慣を身につければ、貯金にまわす金額をねん出しやすくなるでしょう。
【貯まりやすい人の特徴6】自分の価値観で行動している
お金が貯まりやすい人に共通する特徴として最後に挙げられるのが、周囲の意見に左右されず、自分の価値観にもとづいた行動ができている、ということです。
「みんなが持っているからほしい」、「あの人に薦められたから買ってみよう」というように、周囲の意見を参照して買い物をすることも間違いではありませんが、その場合には必要のないものまで買ってしまうリスクも否めません。
チェックリストの「質問9」に「Yes」を付けた人は、貯金にしても同様に、周囲に貯金をしている人が少ないと、自分もしなくてよいかな、と思ってしまうかもしれません。
もちろん、お金が貯まる人の特徴はこれだけではありませんが、お金が貯まらないと思っている人は、ここで挙げた6つのポイントを、ぜひ参考にしてください。
目的別・最適な貯金方法のステップを伝授!
それでは、貯金を実践するための具体的なコツを紹介しましょう。これまで、貯金ができなかった人も、コツさえ掴めば自然と貯金ができるようになると思います。
1年で100万円貯める必勝法はある?
ネットや雑誌でよく見かけるのが「1年で100万円貯める!」というような、短期間で高額の貯金を実現する方法を紹介すると謳っている記事です。
しかし、誰もが1年で100万円貯めることができる必勝法は、残念ながら存在しないといってもよいでしょう。
計算すればすぐにわかることですが、1年間で100万円貯めるためには、1カ月で約84,000円の貯金をしなければなりません。よほど収入が多い人か、生活費を大胆に切り詰めることができる人でない限り、これだけの貯金を毎月実践するのは難しいはずです。
実は私が過去に出会った人の中に、手取り月収が23万円程度にもかかわらず、1年間で100万円以上の貯金に成功した女性がいました。
しかし彼女の場合は、家賃も5万円台に抑えていたほか、食費は3万円以内、洋服はほぼ古着で済ませる、社交の場では基本誰かにご馳走してもらうなど、かなり厳しい節約を実践していました。よほど意志が固い人でない限り、真似をすることはできないでしょう。
貯金実践の第一歩は、目的と目標額を明確にすること
これまで上手に貯金ができなかったという人に、まず覚えておいてほしい貯金実践のコツは、貯金を始める前に目的と目標を明確に設定しておくことです。
貯金の経験がない人ほど、「とりあえず100万円貯めてみよう」というように、目的も不明瞭で金額もアバウトになりがちな傾向がありますが、それでは長続きさせることができません。
<表>貯金に必要な3つのポイント
- 目的(なぜ貯金をする必要があるのか?)
- 目標額(目的を果たすためにいくら必要なのか?)
- スケジュール(どれくらいの期間で達成する必要があるのか?)
上記の3つのポイントを明確にしてから、具体的な貯金の計画を立てるようにしましょう。
実際には、目的を明確にすることで、目標額とスケジュールは自然と見えてくるはずです。大きく分類すると、貯金の目的は「人生設計」と「趣味やレジャー」の2つが考えられます。
このうち、目標額が高くなるのは人生設計に向けた貯金です。当然、スケジュールも長期になるので、計画も綿密に立てたなければなりません。また、長期間になることを考えると、無理なくできるようなしくみづくりも必要になるでしょう。
そこで、長期間の貯金を持続させるためのステップについて整理してみました。
ステップ1:支出の見直しを行う【貯金額:月間1万〜2万円】
長期の貯金計画を立てるために、まず必要なのが無理なく貯金できる金額をねん出することです。
その際有効なのが、支出の見直しを行い、「無駄使い」となっている金額を割り出すことでしょう。具体的には家計簿アプリなどを使い、自分が毎月、何にいくら使っているのかを確認することから始めてください。支出の中から、「これは必要なかったかも」と思われる費目が見つかるのではないでしょうか。
特に、仕事帰りに立ち寄ったコンビニやドラッグストアでの買い物の中には、買わなくても済んだものが意外と含まれているものです。個別に見れば小額かもしれませんが、「塵も積もれば山となる」という言葉もあるように、月単位で合算すれば、それなりの金額になります。
たとえば、出勤前と仕事帰りにコンビニに立ち寄り、コーヒーを買う習慣があったとします。コーヒー1杯の価格は200円程度だとしても、1日で400円。土日を除く平日が月に20日あるとすれば、1カ月で8,000円使っていることになります。このほか、スナック菓子を買ったりすることもあるでしょうから、実際にはそれ以上の金額をコンビニで消費しているかもしれません。
さらに、そうした出費は記憶に残りにくいものなので、いわゆる「何に使ったかわからないけれど、お金が減っている」という原因にもなりえます。ドラッグストアでの買い物でも、同様のことがいえるでしょう。もちろん、1杯のコーヒーが無駄使いなのかどうかは、人それぞれではありますが、節約の候補として優先順位は高めだといえます。
また、いわゆるレコーディングダイエットと同様に、支出を小まめに確認することで、消費意欲を下げる効果もあるといわれています。行動パターンによって差がありますが、家計見直しのアドバイスを多数行っている経験からいえば、支出を見直し小さな無駄使いを抑止させることで、月に15,000円から20,000円程度を無理なく節約できるケースが大半です。
月に15,000円だとすれば、年に18万円も貯金ができることになるわけですから、最初のステップとして試してみる価値は十分にあるといえるのではないでしょうか。
ステップ2:先取り貯金を行う【貯金額:年間20万円以上】
次に実践してほしいのが、お金が貯まる人の多くが活用している、給料日など決まった日付で強制的に貯金をする「先取り貯金」です。
先に貯金をしてしまうことで、確実に貯めることができるだけでなく、うっかり貯金するのを忘れてしまったり、気が変わって貯金に充てる金額を他のことに使ってしまったりという心配がなくなります。
先取り貯金の主な方法は、次のとおりです。
<表>先取り貯金の主な方法
やり方 | 具体的な手段例 |
---|---|
給与から天引き | 財形貯蓄、社内預金 |
銀行口座から引き落とし | 自動積立定期預金 |
銀行・証券会社などで積み立て | 投信積立、つみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)、変額保険 等 |
金額はいくらから始めても構いませんが、ここで目安となるのが、ステップ1で挙げた、支出の見直しによる節約でねん出できる金額です。これを先取り貯金に充てれば、一定額を貯金することができる上に、無駄使いをなくすことにもつながります。慣れてきたら、さらに出費を見直し、毎月の貯金額を増やしていくようにしましょう。
ちなみに、無理のない貯金の金額設定は、家計アドバイスの経験上、手取り月収の1.5割から2割程度と考えられます。
【関連記事】【FP直伝】「先取り貯金」の失敗しない始め方について、詳しくはコチラ
ステップ3:資産運用を行う【貯金額:65歳までに2,000万円】
安心な老後に備えるためには2,000万円の資金が必要だ、というニュースに驚いた人も多いと思います。
実際に必要な金額は、ライフスタイルによって変わるので、必ずしも2,000万円が必要とは言い切れませんが、それに近い金額を蓄えておけば安心なのは間違いないことです。
とはいえ、貯金だけでこの金額を達成するのは、貯金の習慣が身についた人でも、なかなか難しいことでしょう。そこで次のステップとして視野に入れておきたいのが、株や投資信託などの投資です。もちろんリスクはありますが、銀行口座の利息に比べ、高いリターンを期待することができるので、まとまった老後資金を貯めたい人なら、挑んでみる価値があると思います。
もっとも簡単なのは、ステップ2で紹介した先取り貯金の選択肢のひとつとなる、投信積立、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)でしょう。小額から始めることができるので、投資についての知識が少ない人でも、気軽にチャレンジできます。
より積極的な投資となると、株式の売買などが考えられますが、その場合には、リスクを考慮し、事前に元手となる金額を用意しておく必要があります。目安としては、手取り収入の半年から1年分を貯めてから、チャレンジするようにしましょう。
先に投資のスキルを積んでおきたい場合には、小額から始められる「ミニ株」や、無料で行える株式売買のシミュレーションアプリなどを活用してもよいでしょう。
番外編:趣味・レジャー目的の貯金は楽しみながら行う【貯金額:10〜20万円】
貯金の目的は、大きくわけて「人生設計」と「趣味やレジャー」の2つが考えられますが、そのうち比較的短期の貯金と相性が良いのが、海外旅行に行きたい、高級レストランで食事がしたい、腕時計がほしいといった「趣味やレジャー」向けの貯金です。
ここで注意事項として覚えておいてほしいのが、「人生設計」と「趣味やレジャー」の貯金を、同じ枠で行わないことです。一緒にしてしまうと、人生設計向けの貯金が、なかなか貯まらなくなってしまうからです。銀行口座を利用する場合なら、趣味やレジャー向けの貯金は、人生設計向けの口座と別にしておきましょう。
短期のスケジュールになることが多い、趣味やレジャー向けの貯金を実践する際に役立つのが、「貯金箱」のようなグッズを使った貯金術です。
10万円貯まる貯金箱や、毎日貯金額を変えながら貯金するカレンダー貯金のグッズを見かけたことがある人も多いでしょう。これらのグッズは、目標金額も低めなこともあり、短期型の貯金に適しています。
先取り貯金とは違い、自分の意志で貯金しなければならない点がネックではありますが、逆にいえば、貯金の習慣を身につける練習台としても役立ちます。
種類にもよりますが、これらのグッズを使えば、年間に10万円から20万円くらいの貯金が可能でしょう。趣味やレジャー向けの貯金としても、手ごろな金額といえるのではないでしょうか。
これなら2,000万円も夢じゃない⁉ 実践型貯金シミュレーション
ここでは具体的な例を挙げて、人生設計に役立つ貯金術のシミュレーションをしてみましょう。
パターンA:30代単身世帯(独身)の場合
貯金のシミュレーションをするための基準として、まず30代独身(単身世帯)の平均手取り年収を設定します。金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査」(令和元年版)によれば、30代単身世帯の平均手取り年収は、300万円となっています。この金額をベースに考えてみましょう。
先ほども挙げたように、無理のない貯金の金額設定は、家計アドバイスの経験上、手取り月収の1.5割から2割程度と考えられます。手取り年収が300万円とすれば、月の手取り収入は25万円。その1.5割を貯金に充てるとすれば、毎月37,500円の貯金が可能です。その場合のシミュレーションは、以下のようになります。
<表>毎月37,500円貯金した場合のシミュレーション
貯める年数 | 計算式 | 貯金総額 |
---|---|---|
1年間 | 37,500円×12カ月 | 450,000円 |
10年間 | 450,000円×10年 | 4,500,000円 |
30年間 | 450,000円×30年 | 13,500,000円 |
30歳から貯金を始めたとすれば、60歳の時には1,350万円貯めることができる計算になります。手取り25万円の収入で月に37,500円の貯金というと、ちょっとハードルが高いように思えるかもしれませんが、先ほども紹介したように支出の見直しをすることで月に最大2万円の節約ができると考えれば、あと17,500円をねん出すれば良いということになります。
また、このシミュレーションでは、ボーナスを計算に入れていないので、たとえば差額の17,500円×12カ月=21万円を、年間のボーナスから貯金に充てることにすれば、月2万円の貯金でもOKということになります。これなら、無理なく貯金できるような気がするのではないでしょうか。
パターンB:30代2人以上世帯の場合
単身世帯の場合と同様に、貯金のシミュレーションをするための基準として、30代2人以上世帯の平均手取り年収を設定します。金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査」(令和元年版)によれば、30代2人以上世帯の平均手取り年収は、535万円となっています。この金額をベースに考えてみましょう。
先ほども挙げたように、無理のない貯金の金額設定は、家計アドバイスの経験上、手取り月収の1.5割から2割程度と考えられます。手取り年収が535万円とすれば、月の手取り収入は約446,000円。その1.5割を貯金に充てるとすれば、毎月約67,000円の貯金が可能です。その場合のシミュレーションは、以下のようになります。
<表>毎月67,000円貯金した場合のシミュレーション
貯める年数 | 計算式 | 貯金総額 |
---|---|---|
1年間 | 67,000円×12カ月 | 804,000円 |
10年間 | 804,000円×10年 | 8,040,000円 |
30年間 | 804,000円×30年 | 24,120,000円 |
30歳から貯金を始めたとすれば、60歳の時点で2,412万円貯めることができる計算になります。子どもがいる家庭の場合には学費などの支出もあるため、月に67,000円の貯金をするのは厳しいかもしれませんが、支出の見直しで節約したぶんを貯金に回したり、ボーナスから一定額を貯金したりすることを想定すれば、実現可能に思えてくるのではないでしょうか。
パターンC:30年間で2,000万円貯めるには?
一方、30歳の人が老後資金として60歳までに2,000万円貯めたいと考えた場合のシミュレーションは、以下のようになります。この場合は、年収や家族構成に関係なく、2,000万円を30年間で貯めるための計算です。
〈表〉30年間で2,000万円貯めるための目標金額
1年間の目標貯金額 |
---|
670,000円 【計算式】20,000,000円÷30年間 |
1カ月の目標貯金額 |
56,000円 【計算式】670,000÷12カ月 |
この場合は毎月、約56,000円貯めないといけない計算になります。単身世帯の場合、30代の平均手取り月収を25万円とすると、約2.2割を貯金に回す計算になります。たとえば、ボーナスから30万円を貯金に回すといった調整をすれば、月収からの貯金額を減らすことも可能ですが、それでも厳しいと感じる場合もあるでしょう。
このような長期間でまとまった金額を蓄えたい場合には、投資を視野に入れるのも有効です。投資をするための元手として、まず手取り年収分(300万円)が貯金できた時点で、投資にもチャレンジすれば、予定よりも早く2,000万円の貯金を実現することも不可能ではないでしょう。さらに、元本割れのリスクはありますが、先ほど、お話した投資信託の積み立ても有効です。仮に毎月3.5万円を3%で30年間運用することができれば、約2,040万円になります。
貯金を長続きさせるコツは?
最後に、貯金を長続きさせるためのコツを、まとめてみました。
長続きのコツ1:なるべく無理をしないこと
貯金に対する意欲が高いうちは、毎月の貯金額を高めに設定してしまいがちなものです。しかし、無理な金額設定をすると、挫折のリスクも高くなってしまいます。
ダイエットの場合と似ていますが、そこで怖いのが「リバウンド」です。これまでに家計のアドバイスをした人の中にも、無理のある貯金を続けた結果途中で挫折し、せっかく貯めたお金を別の用途に使ってしまった人が少なくありませんでした。
長続きさせるという観点からいえば、いちばん大切なのは無理をしないことです。無理なく続けながら、徐々に金額を上げていくのがセオリーといえるでしょう。
長続きのコツ2:小さな成功体験を積むこと
いきなり長期間の貯金から始めると、ゴールが遠いために途中で挫折してしまう場合がよくあります。その対策として有効なのが、いわゆる「小さな成功体験」を積むことです。
まずは1カ月で1万円、半年で5万円というように、短期かつ小額の貯金から始め、目標金額を達成したという経験を重ねていけば、貯金に自信がつき、長期の貯金でもゴールのイメージがしやすくなるでしょう。
長続きのコツ3:周囲に宣言すること
これもダイエットの場合と似ていますが、貯金も人目を気にすることで、モチベーションを維持したり、挫折を防いだりすることができます。
「1年で10万円貯めることにした!」というように、期間と目標額が明確な宣言を周囲にすれば、モチベーション維持に役立つほか、「貯金をしてるんだから無駄使いさせないようにしてあげないと」というような配慮も期待できるでしょう。直接口頭で宣言するほか、SNSで宣言してしまうのも有効です。
いかがでしたか? これまで貯金ができないと思っていた人も、この記事を読んで、貯金に対する意欲がわいてきたのではないでしょうか。これからの人生を、より安心に過ごすためにも、ぜひ今のうちから貯金の習慣を身につけてください。