これから「お金」がどれだけ必要か、どのように準備するべきなのか、年齢や家族構成、そしてライフプランの考え方によって、ひとりひとり違いがあるものです。『お金のホント相談室』では、“生涯にわたる良きパートナー”として、現在の家計の状況やライフプランに応じて最適な提案を行っている東京海上日動あんしん生命保険のライフパートナーから、実際にあった提案事例をご紹介していきます。

今回は、会社員のMさん(33歳)からのご相談をライフパートナーの杉目 英俊より紹介します。

【この記事の著者】

画像1: 33歳・男性会社員「持ち家VS賃貸、どっちが経済的? 徹底的に比較したい!」

杉目英俊(すぎのめ ひでとし)

東京海上日動あんしん生命保険
東北支社所属 エグゼクティブライフパートナー
2020年度 MDRT成績資格終身会員(COT)

常に、ひとりでも多くのお客様をお守りできるよう心掛けて活動しています。
人生100年時代といわれる今だからこそ、保険だけでなく住宅ローンや教育資金も含めた「生存保障」という観点からの様々なアドバイスとご提案に力を入れております。

画像: 画像:iStock.com/frema ※この画像はイメージです

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【今回のご相談者】
Mさん:33歳、大手企業の会社員
家族構成:妻(会社員)、子ども1人(1歳)

世帯収入:約1,000万円(夫約700万円・妻約400万円 いずれも額面)・手取り額約56万円/月
家賃:7万円/月
生活費(食費、車維持費、通信費 等):23万円/月
貯蓄:年間300万円
生命保険:加入済(月払保険料約1万3,000円)

妻は育休後、復帰したばかり。2人目の子どもも欲しいと考えている。

【ご相談内容】

  • 住宅購入を検討しているが、転勤の可能性も含めると、当面は賃貸暮らしを続けたほうがいいのかとも悩んでいる。長期的な視点でどちらが経済的なのかを教えてほしい。
  • 将来家族がさらに増えることも視野に入れ、教育資金や老後の資産形成についてもアドバイスが欲しい。


一概に「持ち家」と「賃貸」、どちらがいいのかという判断は難しいものです。筆者自身も住宅購入のタイミングにはかなり悩みました。「家」とは、生活のベースであり、家族の安らぎの場でもあります。「持ち家」と「賃貸」、それぞれの特徴をしっかり把握して、今後の生活をより良いものにしていきたいものですね。

また、今回Mさんからは、教育資金や老後資金なども含めた資産形成に関するご相談もありました。こちらに関しても、キャッシュフローの観点からしっかりとアドバイスさせていただきました。

【ポイント1】「持ち家」と「賃貸」の生涯コストを比較する

持ち家の最大のメリットは、購入した物件が資産になることです。ローンさえ返済してしまえば、一生涯暮らし続けられる場所を手に入れることができます。さらに一戸建てならリフォームや増改築もできますし、ペットを飼うことにも制約がありません。

また、住宅を他人に貸すことで収益を上げることもできますし、地価が上がれば売却益を得られる可能性もあります。

一方デメリットは、その土地に縛られることです。Mさんがお勤めになっているのは全国規模の会社なので、転勤もあるでしょう。その際には、単身赴任や遠距離通勤になってしまう可能性があります。また、コスト面でいえば、賃貸暮らしではかからない「固定資産税」や、地震・台風などで被害を受けた場合の「修繕費」の負担も大きくなってきます。

さて、概算ではありますがコストで比較してみましょう。共通の条件は、「(Mさんの年齢)33歳で入居、83歳まで50年間住む」と仮定します。

【賃貸の場合】

家族の人数が増え、子どもの成長に合わせて、広い物件に住み替える必要が出てくるでしょう。その際、引越し費用のほか、更新料も発生します。

項目内訳合計費用
入居時諸費用(敷金、礼金、引っ越し費用等)家賃4カ月分約100万円
家賃(管理費・共益費込)1~6年目:7万円
7~20年目:12万円
21~50年目:10万円
約6,100万円
更新料2年に1度・家賃1カ月分約300万円
総計約6,500万円

以上で、50年間の合計は約6,500万円となります。

【持ち家の場合】

物件は戸建て、価格を5,000万円と仮定して、頭金500万円で4,500万円の住宅ローン(35年・固定金利〈1.3%〉)を組む前提で計算してみます。

固定資産税は、住まいの大きさや建物の構造によって大きく金額が変わりますが、ここでは概算で12万円とします。

一方、費用から差し引かれるものとして「住宅借入金等特別控除(住宅ローン減税)」があります。住宅ローンを組んだ場合、入居から10年間(居住開始時期が令和2年12月までの場合は13年間)は住宅ローン減税が適用となり、実質的にはその分をコストから差し引くことができます。

項目内訳合計費用
頭金-500万円
住宅ローン返済額毎月約10万円+ボーナス月20万円追加約5,600万円
購入時諸費用-約200万円
リフォーム費用15年目に100万円、30年目に300万円約400万円
固定資産税年間12万円約600万円
住宅ローン控除-▲約350万円
総計約6,950万円

以上で、50年間でかかるコストの総計は約6,950万円となります。

このように、シミュレーション上では賃貸と持ち家は50年の間にかかるコストには実は大差がありません。

なお、持ち家の生涯コストは住宅価格や住宅ローン金利、修繕の発生有無などによって左右されますので、生涯コストの観点では一概に「どちらが有利か」を言い切ることは難しいのです。

【ポイント2】「持ち家」と「賃貸」の場合のキャッシュフローを比較する

Mさんご家族の場合、第1子が1歳、今後第2子もご計画されています。お子さんが増えるとそれだけ支出が増えるため、「持ち家」と「賃貸」でのキャッシュフロー(現金の流れ)についても比較してみましょう。

【賃貸の場合】

住み替えがある年と契約更新の年に、コストが若干増える程度で、50年間大きな増減がなく支出が続きます。子どもの教育費がピークになるタイミングで住宅のコストが特別重くなることはありませんが、年金生活に入った後にも家賃支出が発生しますので老後に向けた資金計画をしっかり立てる必要があるでしょう。

【持ち家の場合】

住宅購入時とリフォーム時に大きな支出が発生します。基本的に、リフォームは建築から15年と30年に行います。そのため、特に子どもの教育費がピークになるタイミングにリフォーム費用が重なり、住宅費の負担大きくなります。一方で、住宅ローン完済後は住宅にかかる支出を大幅に抑えることができますので、老後には安心感が出るでしょう。

ポイント1で生涯コストでは大差がないことをお伝えしましたが、キャッシュフロー(お金のかかり方)で見るとかなり違いが出ることがお分かりいただけると思います。

キャッシュフローの観点で見ると、「賃貸」の場合、支出の波が比較的小さく教育費でそこまで不安が出ない反面、老後の経済的な不安が残る傾向にあります。一方、「持ち家」の場合は人生の前半に支出が偏り、教育費と住居費が合わさって負担が大きくなる反面、老後の支出は抑えられます。どちらが優れた選択か、というのは言えませんが、自分の働き方やマネープランを踏まえ、それぞれ注意が必要であることは押さえておきましょう。

【ポイント3】優劣はつけがたい。しかし、万が一の時には「持ち家」が有利

上記の通り、コスト面もキャッシュフローの面からも、「持ち家」と「賃貸」の優劣はつけにくい状態です。個人の考え方やライフスタイル次第と言えるかもしれません。

しかし、一点、持ち家の場合に大きく有利な点があります。それは、Mさんに万が一のことがあった場合の経済的負担です。

賃貸の場合、残されたご家族が家賃を支払い続ける必要がありますが、持ち家の場合は住宅ローンを組む際に団体信用生命保険(団信)に加入できますので、Mさんに万が一のことがあった場合、残債を団信に肩代わりしてもらえます。

団信の中には3大疾病やがんになった場合にも住宅ローン返済の必要がなくなるものもありますので、働けなくなって収入が不安定になることに対しても備えることができると言えます。残された家族が経済的な負担なく安心して家に住み続けることができるという点では、持ち家に大きなメリットがあると言えるでしょう。

【Mさんへのご提案内容】

①住宅購入に関するご提案

Mさんは現在33歳。仮に今すぐ住宅購入を決断すれば、ローン返済期間を35年にしても68歳で完済することができます。

住宅購入に備えて月5万円ずつ貯金しているため、現在の家賃負担額である7万円と合わせると、月12万円が準備できます。この金額であれば毎月ローンとして返済しても負担が増すようには感じないでしょう。

Mさんは頭金として500万円を入れることが可能だったため、ボーナス1回あたり20万円を上乗せして返済する前提で計算すれば5,000万円程度の物件が購入可能と計算できました。

ダブルインカムの強みも生かせば、繰り上げ返済で完済時期を早めることも可能です。そして何よりも、団信加入によって残された家族がローン返済で経済的に困らない環境を作っておくことができる点をお話しすると、「メリットあり」と判断され、最終的に自宅購入の意思を固められました。

②教育資金・老後資金に関するご提案

児童手当に上乗せをして月約2万円を教育資金として積み立てていくことを提案。変額保険は、特別勘定の運用実績によって満期保険金額や解約返戻金額が変動(増減)しますので、元本割れが発生することもありますが、反面、金融市場の変化に連動して「万一の場合への備え」と「資産形成」が可能になります。

〈表〉第1子の教育資金用の備え

目的商品月払保険料
教育資金変額保険約2万円

また、老後資金と今後計画している第2子・第3子の教育資金準備を兼ねて、月7万円を積み立てていくことを提案しました。第1子の教育資金と同様に、変額保険を活用します。

〈表〉第2子、第3子の教育資金+老後資金用の備え

資金商品月払保険料
教育資金、老後資金変額保険約7万円

長期的な視点でマネープランを一緒に作りましょう!

今回はMさんの「賃貸と持ち家どちらが有利か?」という疑問に対して、生涯コストとキャッシュフローの観点からアドバイスをさせていただきました。

しかし、最終的な判断はコスト面の損得だけでなく、将来の暮らし方や今後の収入など様々な視点から自分に合うのはどちらなのかを考えることをおすすめします。

Mさんの場合、団信によるリスク管理のメリットに納得されたのに加えて、無理のない範囲で住宅ローンを返済しながら、「家族のふるさと」となる場所を作れることが最終的な決め手となり、持ち家の購入を決心されました。

なお、Mさんは住宅購入を決断されると同時に、教育資金や老後資金についても準備を始められました。住宅購入する場合、収支が大きく変わるため、マネープランの見直しが求められるのです。

もし、住宅購入のお悩みがある場合には、ぜひ私たちに一度ご相談ください。コストのシミュレーションとともに、トータルでのマネープランのご提案をさせていただきます。ご興味があれば、以下よりお問い合わせください。

募集文書番号:20-KR13-K007

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