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今回お話を聞いた人
東京海上日動あんしん生命 東京第三支社
第四営業所 エグゼクティブ・ライフパートナー
内川裕治
2002年、あんしん生命入社。営業職から役者を目指し、そして生命保険業へ転身。生命保険と金融の専門家からなる組織「MDRT」に参加し、2018年には会長を務めた。社内外で保険の意義やお客様に対する姿勢を指導し、若手社員の育成も行う。
若手社員に引き継ぐ、ライフパートナーとしての心得
内川裕治は、あんしん生命のライフパートナーとして、日々お客様に最適なライフプランの提案を行うかたわら、次世代のライフパートナーをサポートする役割も担っています。
そもそも「ライフパートナー」とは、最も相応しい生命保険を個人それぞれに合わせて設計・提供し、長期間にわたる生命保険の契約をいつも最適に維持する仕事です。きわめて簡単にいうと、営業職なのですが、これに内川裕治は強く首を横に振りました。
「僕らの仕事はお客様の人生をお守りすることです。お客様にとって、生命保険に加入すること自体は決して目的ではないんです。お客様が今後やりたいことや、将来に対する不安など、人生の課題を解決するための処方箋を出すことが我々の仕事だと僕は考えています」
たとえば医師が処方箋を出すのは、患者の体調不良の原因をきちんと診断してから。保険会社が扱う様々な商品も、お客様の現状と未来をきちんと理解しないと、そもそも提案することすらしないのだと内川は説明します。
「我々は保険会社から来た人間ですし、お客様にしてみれば『何か買わされるかもしれない』と、用心されるのは当然です。まずは信頼していただくことが大切。お客様をお守りするということは、お客様のすべてを理解することから始まります。いまの生活状況や悩み、理想の将来像などを伺えていないと、保険の“入口”の時点でライフパートナーとしてきちんと仕事をしたとはいえません。保険の“出口”で満足いただきたいからこそ、お客様を理解することは欠かせないのです」
入口とは最初の面談から契約に至る道筋のこと。そして出口は、お客様に何かがあった時の保障をお届けすることです。内川の目指すライフパートナーのあり方は“有事の時こそ価値ある保障を提供する存在”。「そんな時に一番に相談できる存在でなければならない」と語ります。
これはまさに普段、内川が社内外で保険業界の後輩指導のために話している内容。後輩が“お客様の一番の相談相手”になれるよう、ライフパートナーとして心得ておくべきことだと内川は語ります。
経験は学びの機会。仕事との向き合い方を変えたふたつの出来事
ライフパートナーにとって、お客様を理解し信頼を得ることと同じくらい重要なのが“勉強”だと、内川は続けます。そして自身の経験も大切な学びの場であることを、若手社員に伝えています。なぜなら、内川自身が経験によって学び、成長できたからだといいます。そんな経験をさせてくれたのは、若手時代に出会ったお客様だそう。
「(前職で)僕が役者を目指していたころに出会ったメイクさんが、がんになってしまわれたんです。何か支えになりたいと、仲間で順番にお見舞いに行っていました。長い間、入退院を繰り返していたんですが、亡くなる前に親友と韓国旅行に行くことができました。
当初、彼女はお金の心配もあって『行かない』と言い張っていました。仲間で旅費ぐらい出すと申し出たんですが、『私、死ぬかもしれないから返すアテなんてないよ…』と断られていました。それでも行けたのは、入院給付金があったからなんです」
彼女は内川が提案した保険に加入していました。そして内川がおおよその給付額を計算して説明すると、それを韓国旅行に充てることを決めたといいます。
「彼女の病室のベッド脇には、入院日からチェックマークが入った卓上カレンダーがありました。『今の私の仕事は、病気と闘うことだから、給付金は1日治療を受けるごとの日当だと考えてるんだ』ってニコニコしながら説明してくれたんです。預金を切り崩しての旅行には抵抗があっても、『自分が入った保険で出たお金だから、旅行に使ってもいいよね』と彼女はいいました。
その時、同じお金でも価値が異なること、彼女は闘病を仕事と捉えることで、給付金を心のよりどころにして日々を送っていることに気づかされたんです。給付金にはそんな効能もあると、今もお客様にお話ししています」
もうひとつ、まさに勉強がお客様を窮地から救った体験。
ある週末、内川は「終末期を在宅で迎えることにした」とお客様の奥様から電話をうけました。そして、その会話の中ではじめてお客様がご兄弟と不仲であることを知ったといいます。遺産分割のことが気になった内川は、急遽ご自宅を訪問することにしました。
「ご夫婦にお子さんはおらず、主な財産はお住まいのマンションのみ。もし旦那さんがそのまま亡くなれば、マンションは売却し、奥様と旦那さんのご兄弟でその金額を分割する可能性があり、奥様は住まいを失ってしまう状況も考えられました。
そこで、遺言を書いてもらうことを提案しました。ただ、ご本人には書く体力は残されていなかったので、ご自宅に公証人に来てもらい、公正証書遺言をすぐに作成したんです」
そうして奥様は無事マンションを相続することができたそう。しかし「これは『ナイスプレー!』という話ではなく、お客様を理解しきれていなかったという話なんです」と内川は苦い表情を浮かべます。
「長いお付き合いだったにもかかわらず、お客様の状況を把握していなかった自分に腹が立ちました。『あなたの人生を後悔せずに送れるように備えましょう』と保険を提供しているのに、危うく後悔させる事態に陥るところでした。あらためてライフパートナーの仕事の重さを実感した出来事です」
ただ、内川のアドバイスによって想定外の状況に陥らずにすんだのは事実。普段からの税務・法務、社会保険、社会保障、金融など様々な勉強の積み重ねが契約者の奥様の生活を守ることができたのです。
若手社員に伝える“学び続けること”の大切さ
そうした自身の経験を踏まえて、内川は若手社員に学び続けることの重要性を説いています。内川が社内研修を行ったあとには、多くの若手社員から、「ためになりました」「勉強の大切さがわかりました」といった声をかけられるそう。しかし、「見たり聞いたりするだけでは、勉強とはいえません」と力説します。
「どうすれば勉強したことが自分のものになるか、という点に関しても若手社員に指導しています。それは勉強で得た知識を意図的に活用することです。たとえば、つぎにお客様にお会いした時に、その知識を使ってみるなどです。もちろん、話題は先方が興味を持ちそうなことに限ってですけどね。
そうやってアウトプットすることで、自分の中で情報や知識を一旦整理することができ、いざという時にお客様のお役に立つことができるんです。若手社員には、ライフパートナーとして持つべきなのは、このような深い探求心だということも指導しています」
一方、内川自身も勉強の手を緩めません。たとえば、彼が2018年に日本支部の会長を務めた「MDRT」(生命保険や金融のプロフェッショナルで構成された世界的な組織)で毎年開かれる大規模な国際会議が、有意義な勉強の場となっています。
「MDRTの大会は、社内外を問わず国内外から優秀な保険のプロフェッショナルが集うので、そこでしか聞けない話がたくさん出てきます。大先輩の本音や後輩の熱意を知ることもできて、本当に貴重な場だと思っています。こういった交流で得た体験や知識を自分のものにして、若手社員の育成に生かしていくのも僕の役割だと思っています」
頼れるライフパートナーの育成を目指して
最後に、若手社員をどのように育てていきたいかについて話してくれました。
「いざという時に常に解決策を持ち、知識面だけでなく、人格面でも頼りになるライフパートナーになってほしいと思っています。この仕事は、お客様の人生に寄り添い、守ることが使命です。その責任を自覚しながら、お客様に最善の解決策を提案できるよう、学び続ける姿勢を若手社員に伝え続けていきたいと思います」
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