iDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたいけれど、デメリットが気になって迷っているという人は多いのではないでしょうか。たしかに、iDeCoは投資である以上、リスクはあります。しかし、税金の控除など人によってはメリットのほうが大きい場合もあるのです。

この記事では、ファイナンシャルプランナー・山中伸枝さんの監修のもと、iDeCoのデメリットについてわかりやすく解説します。また、なぜ老後資金づくりにiDeCoはメリットが多いのかについても説明します。iDeCoを始めるかどうかの判断の参考にしてみてください。

この記事の監修者

山中 伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー。株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役。「FP相談ねっと」代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事なども務める。著書に、『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)など。

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iDeCoは私的年金のひとつ

画像1: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

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iDeCoとは、国が定めた「私的年金制度」です。公的年金(国民年金、厚生年金など)と異なるのは、「掛金の額」「掛金の運用方法」を自分で決められる点です。以下がiDeCoの特徴です1)

【iDeCoの特徴】

  • 加入の条件は国民年金の被保険者であること
  • 原則、60歳まで引き出すことができない
  • 投資の対象は、元本確保型(定期預金、保険)と投資信託など
  • 掛金は月額5,000円から。上限額は働き方や年金制度によって異なる
  • 「積立時」「運用時」「受取時」の3つのタイミングで税制優遇を受けられる

iDeCoは公的年金と異なり、自分自身で金融機関を選び、掛金を設定して運用しなくてはいけません。iDeCoに加入するには、iDeCoを取り扱っている金融機関(銀行や証券会社、信用金庫など)で手続きをする必要があります。

iDeCoのデメリット10個を紹介!その理由も解説

画像: 画像:iStock.com/YUMEYUME

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後述するとおり、iDeCoには大きなメリットがあります。しかし、その制度の設計上、人や考え方によってはデメリットと受け取られる要素が10個あります。

以下でそれぞれについて詳しく説明します。

①原則60歳まで引き出せず途中解約もできない

iDeCoは私的年金という制度の性質上、原則、60歳までは年金資産を現金化して引き出すことができません1)。そのため、貯金が苦手な人が老後資金を貯めるにはいい手段といえますが、住宅資金や教育資金など、60歳以前に生じるライフイベントの費用を補うには活用が難しい制度です

また、一度加入すると、途中で解約できないこともデメリットのひとつといえるでしょう。掛金の積み立てを停止することは可能ですが、その期間も毎月、手数料が取られ、積み立てを再開する時には手続きが必要となります。加入期間の長さは受取時の退職所得控除(後述)に影響するので、なるべく積み立ては停止しないことがおすすめです。

②加入期間が10年未満だと、希望するタイミングで受け取れない可能性がある

iDeCoで運用した年金資産を受給するには、60歳までにiDeCoに加入していた期間(確定拠出年金の通算加入者等期間)(※)が10年以上になっている必要があります2)。60歳時点で通算加入期間が10年未満の場合、受給可能となる年齢が60歳以降に引き下げられます。また、60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は、加入から5年を経過した日から受給することができます。

※:加入者期間と運用指図者期間を合算した期間。企業型確定拠出年金(企業型DC)などに年金資産を移換したことがある場合、その加入者期間と運用指図者期間も合算する。

③元本割れのリスクがある

iDeCoの運用商品は、「元本確保型」と「元本変動型」の2種類に大きく分けられます3)。「元本変動型」を主体にポートフォリオを組むと、元本割れのリスクが大きくなります。

〈図〉iDeCoの運用商品

画像: ③元本割れのリスクがある

「元本確保型」は、掛金額が保証されているタイプの金融商品です。具体的には、「定期預金」と貯蓄に重きを置いた「保険商品」になります。定期預金は、あらかじめ決まった金利で運用され、満期を迎えると利息を含めた元本で自動的に更新されます。保険商品は、一定期間の一定利率が保証されており、満期まで解約しなければ、購入時に保証された利息が元本に付与されます。その後、新しい保証利率で自動的に更新し、運用されます。

「元本変動型」は、運用状況に応じて運用成績が変動するタイプの金融商品です。具体的には、「投資信託」で運用されます。投資信託とは、多くの人から集めたお金をひとつにまとめて、年金資産運用の専門家が国内外の株式や債券などに分散投資する金融商品です。

〈表〉元本確保型と元本変動型のメリット・デメリット

メリットデメリット
元本確保型元本割れしない利益が少ない
元本変動型運用次第で利益が大きくなる元本割れのリスクがある

「元本確保型」は利益がほとんど出ない代わりに、掛金額が減ることはありません。一方、「元本変動型」は運用次第で利益が大きくなるため資産形成に向いていますが、金融商品の性質上、元本割れのリスクがあります。そのため、元本割れのリスクをどこまで受け入れられるかに応じて、元本確保型と元本変動型を上手に配分する必要があります。

④手数料がかかる

iDeCoには6種類の手数料と3つの支払い先があります。特に掛金を積み立てる際には毎月一定額の口座手数料がかかり、加入者の年収と選んだ運営管理機関(金融機関)によっては、運用成果や税制優遇より手数料が上回ることを意味する「手数料負け」してしまう場合もあります。

iDeCoの手数料についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく説明しているので併せてご覧ください。

【関連記事】iDeCoで手数料負けしない方法を解説!損しないために大切なこと3つ

⑤知識がある程度ないと、効率よく運用するのが難しい

前述のように、iDeCoには元本確保型と元本変動型の2タイプがあり、その配分を変更することでリスクを管理できるのが魅力のひとつです。その一方で、効率よく運用するには、ある程度の知識が必要です。

金融機関によって運用商品のラインアップや手数料が異なる点も初心者にとっては迷う要因でしょう。そのためWEBサイトの説明が自分にとってわかりやすいか、サポートの内容が十分か、事前に確認した上で金融機関を選びましょう。

⑥長期運用することが前提になる

iDeCoは国民年金の加入区分などに応じて、掛金の拠出限度額が異なります2)

〈表〉iDeCoの上限額(拠出限度額)

加入資格拠出限度額(月額)
第1号被保険者
(フリーランス、自営業者)
6万8,000円
(※1)
第2号被保険者
(会社員、公務員など)
勤め先に企業年金がない人2万3,000円
企業型DCのみに加入している人2万円
DB(※2)と企業型DCに加入している人1万2,000円
(※3)
DBのみに加入している人1万2,000円
(※3)
公務員など
第3号被保険者(専業主婦〈夫〉)2万3,000円

※1:国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠。
※2:ここでいうDBは確定給付企業年金のほか、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、私立学校教職員基金を含む。
※3:2024年12月以降2万円に変更。

国民年金の第1号被保険者の場合、最大で月6万8,000円まで掛金を積み立てることが可能なので、比較的短期間でも大きな額を運用することができます。しかし、第2号被保険者や第3号被保険者の場合、拠出限度額が最大でも2万3,000円のため、資産形成をするには、比較的長期間の運用が必要となります。短期間で老後資金を貯めたい人にとっては、この点はデメリットといえるでしょう。

⑦加入できないケースがある

iDeCoは、20歳以上60歳未満で国民年金の被保険者であれば加入することができます。また、国民年金に任意加入をしている人や、厚生年金に加入している人も65歳までは加入が可能です。

ただし、以下の人はiDeCoに加入することができません2)

【iDeCoに加入できない人】

  • 勤め先で企業型DCに加入しており、事業主が支払う掛金が、月単位で支払われていないこと
  • 企業型DCの加入者で、勤め先でマッチング拠出を選択している人
  • すでにiDeCoの老齢給付金(一時金を含む)を受給したことがある人
  • 老齢基礎年金を繰上げ受給している人

また、受給資格が国民年金の被保険者であるため、手続き時点で国民年金の免除期間に入っている人や、保険料が未納である人もiDeCoに加入することはできません。

⑧年金資産の受取時に課税される可能性がある

iDeCoで運用した年金資産を受け取る方法は、一時金として75歳までに一括で受け取るか、5年以上20年以下の有期年金として分割で受け取るかのどちらかです1)。運営管理機関によってはその両方を組み合わせることも可能です。

一時金で受け取る場合、税制上、退職所得の扱いとなります。会社員や公務員で退職金が多い場合、課税所得が増える可能性があります。一方、有期年金(5年以上20年以下)として受け取る場合も、公的年金をはじめ、iDeCo以外の所得がある場合、受給額によっては税金がかかる場合があります。

課税額をできるだけ抑えるためには、iDeCo以外の所得や退職金の金額、受け取るタイミングなどを確認した上で、iDeCoを受け取る方法を選びましょう。

⑨掛金の変更が年1回しかできない

iDeCoの掛金額は、1年に1回限りしか変更することができません。変更可能であるのは、「12月分の掛金から翌年11月分の掛金の間」とされていて、たとえば2024年8月に変更を行った場合、2024年の12月以降にまた変更が可能となります。急な退職や転職で年収が減少したり、大きな出費があったりした場合でも、すぐに掛金を変更できないのは不便といえます。

⑩加入・運用できる年齢の上限が決まっている

前述のように、iDeCoに加入できるのは、原則20歳以上60歳未満で国民年金の被保険者です。また、年金資産は60歳から75歳までの間に受け取る必要があります。新NISAなどのほかの資産運用方法に比べ、運用期間が限られる点はデメリットでしょう。

iDeCoはデメリットしかない?メリットが大きいケースもある

画像: 画像:iStock.com/hiro-photo

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もちろん、iDeCoにはデメリットだけではなく、メリットもあります。

特に、①〜③に該当しますが、「積立時」「運用時」「受取時」の3つのタイミングで税制優遇を受けることができるのは大きなメリットでしょう1)。以下でそれぞれについて詳しく説明します。

①掛金は全額、所得控除の対象になる

iDeCoは積立時に掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象になります。以下では、勤め先に企業年金がない会社員がiDeCoを運営した場合について、2種類の年収と掛金でシミュレーションしてみました。

〈表〉会社に企業年金がない会社員の税制優遇額

運用期間年収300万円年収500万円
掛金月額
5,000円
掛金月額
2万3,000円
掛金月額
5,000円
掛金月額
2万3,000円
1年9,000円4万1,400円1万2,000円5万5,200円
5年4万5,000円20万7,000円6万円27万6,000円
10年9万円41万4,000円12万円55万2,000円
15年13万5,000円62万1,000円18万円82万8,000円
20年18万円82万8,000円24万円110万4,000円
25年22万5,000円103万5,000円30万円138万円
30年27万円124万2,000円36万円165万6,000円

※:ここでの税制優遇額は所得税軽減額と住民税軽減額の合計。

上の表を見ると、年収と掛金額が大きいほど、税制優遇の恩恵を大きく受けられることがわかります。

②運用益を非課税で再投資できる

金融商品の運用時には、通常、源泉分離課税20.315%が運用益に課税されますが、iDeCoの場合は非課税で再投資することができます。勤め先に企業年金がない年収500万円の会社員が運用益3%で35年間iDeCoで運用した場合を例に見てみましょう。

〈表〉【年収500万円】会社に企業年金がない会社員(30歳)が運用利率3%で35年間運用した場合

掛金月額運用益の非課税
(通常かかる税金)
運用益積立元金と運用益の合計金額
5,000円32万1,564円160万7,818円370万7,818円
1万円64万3,127円321万5,637円741万5,637円
1万5,000円96万4,691円482万3,455円1,112万3,455円
2万円128万6,255円643万1,273円1,483万1,273円
2万3,000円147万9,193円739万5,964円1,705万5,964円

上の表を見ると、掛金額が大きいほど運用益が非課税である恩恵を多く受けられることがわかります。

③一時金や年金での受け取り時に所得控除の対象になる

前述のように、iDeCoは年金として受け取る場合には「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合には「退職所得控除」の対象になります。

公的年金等控除とは、公的年金に課せられる税金に対する控除のことです。公的年金等控除によって年金にかかる所得税負担が軽減されます。年金以外の所得が1,000万円以下の場合、公的年金の収入金額の合計が65歳未満は60万円以下、65歳以上は110万円以下であれば課税されません4)。iDeCoの年金資産を年金形式で分割して受け取る場合には公的年金の受給額と合算して計算する必要がある点に注意しましょう。

年金にかかる税金について詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

【関連記事】年金にかかる税金の種類や金額の計算方法を解説

一方、退職所得控除とは、退職金に課せられる税金に対する控除のことです。iDeCoを一時金として受け取る場合は、以下の計算式で退職所得控除額を求めることができます5)。なお、加入年数は1年未満の端数がある場合、その端数は1年に切り上げとなります。たとえば、20年1カ月だった場合、加入年数は21年として計算します。

〈表〉退職所得控除額の計算式

iDeCoの加入年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 ×(A - 20年)

iDeCoを一時金で受け取る場合には、以下の計算式で退職所得を求めることができます。

退職所得の金額

=(iDeCoの一時金 - 退職所得控除額)× 1/2

ただし、勤める会社で退職金をもらえる場合、受け取る時期や金額によっては課税所得が増えてしまうので、確認しましょう。

④退職や転職時にほかの年金制度に移換できる

退職や転職をする際に必要条件を満たせば、転職先の企業型DC、確定給付企業年金に年金資産を移換することが可能です6)。ただし、移換する場合、金融商品を現金化した上で移すことになるので、その点に注意が必要です。

iDeCoの移換についてもっと知りたい人は、以下の記事で詳しく説明しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】iDeCoの加入中に転職したらどうなる?手続き方法や放置した場合のデメリットを解説

⑤リスク許容度が変わった時に調整する機能がある

リスク許容度とは、投資で損失するリスクをどの程度まで受け入れることができるか表す尺度のことです。前述のように、iDeCoの運用商品には大きく分けて元本確保型と元本変動型の2種類があります。ある程度の知識が必要ではありますが、2種類の配分を変えることで、リスク許容度を調整することが可能です。特に、転職時や定年間際など、iDeCoの移換や現金化を控えている時に利用したい機能といえます。

iDeCoに加入したほうがいい?おすすめする人とおすすめしない人

画像: 画像:iStock.com/itakayuki

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デメリットとメリットを把握しても、iDeCoに加入したほうがいいのか迷う人もいるでしょう。ここでは、iDeCoに加入したほうがいい人とそうでない人を解説していきます。

iDeCoに加入しなくてもいい人

積極的にiDeCoに加入することによるメリットが大きくないといえるのは、以下のような人が挙げられます。

  • 50代後半以降の会社員や公務員
  • 貯金が少ない人
  • 老後資金が十分に用意できている人

会社員や公務員の拠出限度額は最大でも月額2万3,000円と、自営業者に比べて低いため、iDeCoで老後資金を貯めたい場合、長期にわたって運用する必要があります。そのため、50代後半以降の会社員や公務員が定年を迎えるまでの短期間で税制優遇を受けながら、iDeCoで資産形成をするのは難しいです。このような人は、月ごとの拠出限度額がない新NISAを利用したほうがいいでしょう。

また、前述のように、iDeCoの年金資産は原則、60歳まで引き出すことができません。そのため、ライフイベントにかかるお金に使用することができないため、貯金が少ない人には不向きな資産形成方法でしょう。逆にすでに別の方法で老後資金を十分に用意できている場合もiDeCoに加入する必要性は低いといえます。

iDeCoに加入したほうがいい人

つぎにiDeCoに加入すると、大きなメリットを得られる人を見ていきましょう。

  • 自営業者やフリーランスの人
  • 20〜40代の会社員や公務員
  • 貯金をするのが苦手な人
  • 所得が多い人

自営業者やフリーランスの人は拠出限度額が最も多く、月額6万8,000円にも上ります。そのため、短い期間でも大きな金額を積み立てることができます。自営業者が加入する国民年金は、会社員が加入する厚生年金ほどの年金額が受給できない点を補強するためにも、iDeCoは積極的に活用したい制度です。

一方、会社員や公務員は自営業者やフリーランスの人に比べ、拠出限度額が最大でも2万3,000円ですが、だからこそ長期間の運用ができる20〜40代のうちに加入することがおすすめです。

また、「原則、60歳まで引き出すことができない」のはiDeCoのデメリットですが、貯金が苦手な人には老後資金づくりの手段として適しているでしょう。

なお、所得が多い人は老後資金づくりの手段としては必要がない可能性がありますが、同じ掛金でも年収が高いと税率も高くなるため、積立時の税制優遇の恩恵を大きく受けることができます。

iDeCoで積み立てた場合のシミュレーションについて、知りたい人は以下の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。

【関連記事】iDeCoはサラリーマンの節税にメリットだらけ。始めたい3つの理由

iDeCoに関する「よくある質問」

画像2: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

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最後にiDeCoに関する「よくある質問」に回答します。

Q1.iDeCoの運営に関わる金融機関などが破綻したらどうなる?

iDeCoの運営や管理に関わる金融機関は、大きく分けて以下の3つがあります。それぞれの金融機関が破綻した場合について解説します。

①運営管理機関

確定拠出年金の運営管理業務を実施する機関のことです7)。これには、iDeCoの申込受付や運用商品の選定、商品の情報提供を行う銀行、証券会社、保険会社などの金融機関が含まれます。また、口座情報の記録管理を行う記録関連運営管理機関も運営管理機関のひとつです。

運営管理機関が破綻した場合、iDeCoの年金資産には影響はありません。ただし、破綻した運営管理機関と運用商品の提供会社が同じだった場合は、運用商品の種類に応じて保護される金額が異なります。詳しくは後述しますが、たとえばA銀行でiDeCoを運用していて、A銀行の定期預金を購入していた時などが、それに該当します。

②事務委託先金融機関

iDeCoの運営主体である国民年金基金連合会から委託を受け、iDeCoの年金資産を管理している金融機関です。積立金の管理、給付金や移換金の支払いなどの業務を行っています。

事務委託先金融機関が破綻しても、iDeCoの年金資産には一切影響はありません。理由は、金融機関自身の資産とiDeCoの年金資産を分けて管理しているからです。

③運用商品の提供機関

銀行や証券会社、保険会社など、運用商品を提供している金融機関のことです。

運用商品の提供機関が破綻した場合は、年金資産の預け先が異なるため、運用している商品によって年金資産の補償される範囲が異なってきます

運用商品が投資信託の場合、掛金は信託銀行などの事務委託先金融機関に預けられます。事務委託先金融機関とは、積立金の管理、給付金・移換金の支払いなどを行う機関です。掛金は事務委託先金融機関自身の資産とは別で管理するよう法律で定められているため、破綻しても年金資産は全額保護されます。

定期預金の場合、掛金は運用商品を提供する金融機関に預けられます。定期預金は、預金保険制度(ペイオフ(※)制度)によって、元本1,000万円とその利息が保護されます8)。ただし、同じ金融機関にiDeCo以外の預貯金がある場合は、iDeCoと預貯金を合算した額が対象となります。そのため、iDeCoと預貯金を合わせて1,000万円以内におさめるようにしましょう。

保険商品の掛金は、商品を提供する保険会社に預けられます。生命保険の場合は、破綻時点の補償対象契約の責任準備金等の9割まで補償されます9)。責任準備金とは、生命保険会社が将来の保険金や年金、給付金の支払いに備えて積み立てているお金ことです。損害保険の場合は、保険金と返戻金の9割まで補償されます10)

※:破綻した金融機関に代わり、預金保険機構が預金者に対して一定額まで預金を払い戻す制度のこと。

Q2.iDeCoの加入期間中に死亡した場合はどうなる?

加入者が亡くなった場合、iDeCoの年金資産は売却され、その配当金などが遺族に死亡一時金として支給されます。その際の受取人には既定の順位がありますが、事前に指定することもできます。死亡一時金は死亡退職金としての控除の対象となります。ただし、死亡日から3年が経過すると受取人の一時所得としての取り扱いとなり、5年が経過すると相続財産の扱いとなり、相続税の課税対象となる可能性があるので注意しましょう11)

Q3.iDeCoに加入すると年金が減るって本当?

iDeCoに加入したことで、年金の受給額が減ることはありません。ただし、iDeCoの年金資産を年金形式で分割して受給する場合、前述のように課税される可能性はあります。

iDeCoにデメリットはあるが、メリットも大きい

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iDeCoにはデメリットとも捉えることができる特徴が10個ありますが、人によってはデメリットとならないケースもあるでしょう。また、税制優遇を受けられるメリットは大きく、貯金が苦手な人にとっては老後資金をつくるのに便利な方法ともいえます。デメリットが大きくなりすぎないようであれば、加入して損はないでしょう。

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