「日銀がマイナス金利を解除」「事実上の利上げへ」——ここ最近、そんなニュースが新聞やテレビを賑わせています。長く続いたゼロ金利政策が終わり、日本はついに“金利上昇時代”に向かうとの見方もあります。‎

では、金利の上昇は私たちの暮らしにどんな影響をもたらすのでしょうか。
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この記事では、家計の中でも大きな支出である住宅ローンに注目。ファイナンシャルプランナーの頼藤太希さん監修のもと、金利が1%上がった場合、月々の返済額がどのくらい増えるのかを、具体的なシミュレーションで解説します。

※この記事は2025年10月23日時点の情報をもとに執筆しています。

この記事の監修者

画像: 住宅ローン、金利1%増で月々いくら上がる?日銀の「利上げ」の影響を解説

頼藤太希(よりふじ たいき)

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
中央大学商学部客員講師。早稲田大学オープンカレッジ講師。ファイナンシャルプランナー三田会代表。慶應義塾大学経済学部卒業後、アフラックにて資産運用リスク管理業務に6年間従事。2015年に現会社を創業し現職へ。日テレ「カズレーザーと学ぶ。」、フジテレビ「サン!シャイン」、BSテレ東「NIKKEI NEWS NEXT」などテレビ・ラジオ出演多数。ニュースメディア「Mocha」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」運営。「はじめての新NISA&iDeCo」(成美堂出版)、「定年後ずっと困らないお金の話」(大和書房)など書籍110冊、累計190万部。日本年金学会会員。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)。宅地建物取引士。日本アクチュアリー会研究会員。
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そもそも「利上げ」って何? なぜ住宅ローンに関係あるの?

画像: 画像:iStock.com/Seiya Tabuchi

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「日銀の利上げ」とは、日本銀行が民間の銀行にお金を貸し出す際の金利を引き上げることを指します。つまり、銀行が“お金を仕入れる”際のコストが上がるということです。

銀行の仕入れ値が上がると、その先にお金を貸す際、すなわち私たちが住宅ローンを借りる際の金利も上昇します。そのため、日銀が利上げを決めれば、住宅ローンの返済額にも影響が及ぶ可能性があるのです。

特に注意したいのは、「変動金利型」を利用している人です。変動金利ローンは半年ごとに金利が見直されるしくみで、政策金利の変化が反映されやすいしくみになっています。

ただし、金利が上昇したとしても、すぐに毎月の返済額が増えるわけではありません。多くの金融機関で「5年ルール」というものを定めていて、金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらないルールにしているからです。

また同時に、5年ルールを採用する金融機関は5年経過後の6年目からの返済額は、これまでの返済額に対して125%の金額までしか上げることができない「125%ルール」を定めています。たとえば、月々の返済額が10万円であれば、金利変更後の返済額は12万5,000円を超えないということです。

一方、「固定金利型」であれば、契約時の金利が返済期間中は変わらないため、今回の利上げの影響は受けにくいといえます。

シミュレーション:金利が「1%」上がると住宅ローンは月々いくら増える?

画像: 画像:iStock.com/takasuu

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【前提条件】

借入額:3,000万円
返済期間:35年
返済方法:元利均等返済
金利タイプ:変動金利型
ボーナス払いなし

〈表〉住宅ローンのシミュレーション

借入額返済期間金利
1)2)3)4)5)
月々の返済額差額(前回比)年間増加額総返済額の差(35年)
3,000万円35年0.7%約8万1,000円
3,000万円35年1.7%約9万5,000円+1万4,000円(増)約16万8,000円約588万円
※:1,000円未満は四捨五入し、金利は2025/10/10時点の平均値を小数点第2位を四捨五入しています。

金利が1%上がると、月々の返済額は約1万4,000円増加します。年間では約16万8,000円、35年間の総返済額ではおよそ588万円の負担増となります。

金利が“1%”上がると、これほどの差が生まれます。現在は返済に余裕があっても、光熱費や教育費が増える時期と重なれば、家計を圧迫する要因になりかねません。

金利が動く時代こそ、家計を見直すチャンス!

金利の上昇は、住宅ローン利用者にとって不安に感じられるかもしれません。しかし、見方を変えれば、家計を見直すきっかけにもなります。

まず、自分のローン契約内容を改めて確認してみましょう。

  • 金利タイプは変動型か固定型か
  • 返済期間はあと何年か
  • 繰上げ返済(予定より早く返済すること)が可能か

こうした基本を押さえるだけでも、将来のリスクを把握しやすくなります。

金利が動くかもしれない時代だからこそ、自分の家計を点検するチャンスです。いまの契約内容とお金の流れを見直して、これからの暮らしをしっかり守りましょう。

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