「FPの相談には無料・有料があるけれど、違いは?」
ライフプランを考えている人の中には、このような悩みを持つ人もいることでしょう。ライフプランの相談は、将来のお金の流れなどを考える必要があるため、お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)にするのがおすすめです。
この記事では、FPの氏家祥美さん監修のもと、ライフプランをFPに相談するメリットやデメリットを徹底解説。無料・有料相談の比較や、相談する際の注意点・流れも紹介します。
この記事の監修者
氏家 祥美(うじいえ よしみ)
ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。
ライフプランの相談は無料でも可能
FPへの相談は、無料と有料のものがあります。それぞれにメリットやデメリット、できることの範囲などが異なりますので確認をしてみましょう。
FPは、税金や年金、保険などお金に関する幅広い知識を持っています。そのため、ライフプランなどの一般的な質問に対しては、無料相談で対応してくれることが多いです。
しかし、以下のような専門的知識が必要な場合では有料相談の検討が必要となることもあります。(事例の一部を紹介)
- 相続について
- 複雑な確定申告が必要な税金について
- 離婚による年金の分割について
- そのほかの特殊な相談
自分の相談内容と、相談する予定のFPが対応している内容を確認の上、判断しましょう。
FPに無料でライフプランを相談するメリットとデメリット
FPに無料でライフプランを相談するメリットとデメリットを解説します。お金がかからないのは大きなメリットですが、無料相談ゆえのデメリットもいくつかあります。以下の内容を参考に、自分の相談内容は、無料相談で問題ないかを判断しましょう。
無料相談のメリット
ライフプランを無料で相談するメリットは、以下のとおりです。
- お試し感覚で利用できる
- 自分に合った保険や金融商品などを提案してもらえることがある
無料相談の場合、料金が発生しないため気軽に利用できます。有料相談に申し込むか判断に迷う場合に、お試し感覚で相談してもいいでしょう。
また、無料相談の場合、自分に合った保険や金融商品を提案してもらえることもあります。これは、無料相談を行っているFPが、企業に所属しているか、独立して保険会社などと契約を結んでいるケースが多いためです。ライフプランの相談を行った結果、FPが紹介できる商品の中でぴったりのものがある場合には、そのまま具体的な商品を教えてもらうことができるので、参考にしやすいでしょう。
無料相談のデメリット
ライフプランを無料で相談するデメリットは、以下のとおりです。
- 相談内容によっては対応できない場合がある
- 商品の加入提案をされる場合がある
無料相談の場合、相談したい内容によっては対応していない場合もあります。そのため、自分の相談したい内容に対応できるかどうかは、事前に確認するといいでしょう。心配な時は、複数のFPに相談するのもおすすめです。
また、無料相談は前述したとおり、企業に所属しているFPや企業と契約しているFPが行っていることが多いです。そのため、相談の際に商品の加入提案をされる場合もあるでしょう。必ず提案をされるわけではありませんが、商品自体に興味がない人にとっては、この部分をデメリットと感じることもあるかもしれません。また、提案される商品はFPが取り扱っているものとなるため、複数を比較検討したいと考えている場合には総合的な提案をしてもらえないと感じることもあるでしょう。
FPに有料でライフプランを相談するメリットとデメリット
有料相談には、無料相談とは違ったメリット・デメリットがあります。自分が相談したい内容によっては有料相談のほうが向いているケースがありますので、事前に確認しておきましょう。
有料相談のメリット
有料で相談するメリットは、以下のとおりです。
- 複雑なお金の相談にも乗ってくれる
- 企業との関係がないことが多く、提案の内容が幅広い
有料相談の場合、離婚や相続関係など複雑なお金の相談にも応じてくれます。無料相談で話し切れなかった内容を、有料相談で聞いてみるのもいいでしょう。
また、有料相談を行っているFPは企業との関係がない場合が多いため、保険や金融商品などの選択肢に捉われず、幅広い提案を受けることができるでしょう。
有料相談のデメリット
ライフプランを有料相談するデメリットは、以下のとおりです。
- 費用がかかる
- 具体的な保険・金融商品を提案できないことが多い
有料相談の費用相場は、1時間あたり5,000円〜2万円未満1)です。決して安い値段ではないため、仮に内容に満足できなかった時は損をした気分になるでしょう。そうならないためには、事前にFPの得意分野を調べておくことが重要です。
また、保険や金融商品を扱っていないFPの場合、具体的な商品の提案がないため、自分で選ぶ必要があります。相談の際に具体的な商品まで選びたい人にとっては、デメリットに感じることもあるかもしれません。
FPにライフプランを相談する際の3つの注意点
FPにライフプランを相談する際の注意点は、以下の3つです。
①料金を確認する
②FPによって得意分野が異なる
③保有している資格や実績を確認する
それぞれ詳しく解説します。
①料金を確認する
相談に申し込む前は、料金をしっかりと確認しましょう。無料・有料相談どちらなのか、有料相談ならいくらかかるのかは要チェックです。無料相談でも、2回目からは料金が発生する場合があります。
また、時間制ではなく月額制や案件ごとに料金がかかる場合もあるため、料金設定も併せて確認すべきです。
前述のように有料相談は、1時間あたり5,000円~2万円未満かかります。費用に見合っただけの相談ができるかどうかを、事前に確認することも重要です。
②FPによって得意分野が異なる
FPはそれぞれ得意分野が異なるため、自分の相談したい分野を得意としているFPを探すことがポイントです。特に有料相談の場合は、相談したい内容を明確にしてからFPを探しましょう。
たとえば、不動産関係は詳しいものの、保険商品には精通していないFPもいます。事前に相談内容を明確にした上で、相談したい内容を専門とするFPを探しましょう。
③保有している資格や実績を確認する
相談しようとしているFPの実績や信頼性を確認することも必要です。FPに関する資格は、以下のとおりです。
〈表〉FPの保有資格
分類 | 資格 |
---|---|
国家資格 | FP技能士(1~3級) |
民間資格(日本FP協会) | AFP資格、CFP資格 |
FP技能士は1級が最上位で、民間資格はAFPよりもCFPのほうが上級の資格です。しかしながら、AFPでも経験豊富なFPはたくさんいます。あくまで資格の種類は1つの判断基準としつつ、その人の経験や得意分野、実績などを参考にすることが大切です。
ライフプランをFPに相談する流れ
ライフプランをFPに相談する流れは、以下のとおりです。
①FPを探し、相談を予約する
②事前準備を行う
③FPにライフプランを相談する
それぞれ詳しく解説します。
①FPを探し、相談を予約する
まずは、FPを探して相談の予約をしましょう。FPを探す際に確認すべきポイントは、以下のとおりです。
- FP関連資格の有無
- 得意分野
- 相談したい分野の相談実績の有無
- 相談料金
- どのようなネットワークを持っているか
東京海上日動あんしん生命が運営するFP相談サイトでは、自分の相談したい内容などからぴったりのFPを探すことが可能です。それぞれのFPのプロフィールも載っているので、ぜひ利用してみてください。
そのほか、日本FP協会のウェブサイトで探すのも1つの手です。数多くのFPが登録しているので、自分に合った相談相手を見つけることができるでしょう。
相談は電話やメール、インターネットで予約できます。疑問点がある場合は、事前に問い合わせて解消した上で、申し込みましょう。
②事前準備を行う
実際の相談に入る前に、事前準備をしましょう。家計簿をはじめ、加入中の保険証券や保有している金融資産残高、住宅ローンの内容など面談時に使うであろう資料は事前に準備しておくことが大切です。
事前にヒアリングシートの書き込みを依頼するFPもいるため、求められた場合はできる限り記入しましょう。
ライフプランの相談は結婚から老後まで多岐に渡ります。ライフプランにどのような不安があるのかといった相談内容を明確にしておくと、内容の濃い時間にできるでしょう。
③FPにライフプランを相談する
事前準備が完了したら、実際にFPとライフプランの相談をします。面談の一般的な流れは、以下のとおりです。
- 希望確認
- 現状把握
- 分析・評価
- ライフプラン作成
- 実行の支援
希望確認と現状把握では、今後のライフプランと家計現状についてFPが確認をします。今後の希望と家計の現状を具体的にしておくことで、より実のある話ができるでしょう。
分析・評価で行うのは、FPによる現状と目標の差分の分析です。現在の家計状況で目標に到達できるか、FPが冷静に判断します。
最後には分析した結果をもとに、最適なライフプラン立てます。FPの提案を参考に、ライフプランを考えてみましょう。
ライフプランの立て方と使い方を4ステップで解説
ライフプランは、自分で立てることもできます。具体的には、以下の4ステップで進めていきます。
①ライフデザインを設計する
②ライフプラン表を作成する
③収支を書き加えてキャッシュフロー表を作成する
④完成したライフプラン表を振り返る
それぞれのステップを詳しく解説します。
ステップ①ライフデザインを設計する
まずは、自分が理想とするライフデザインを考えましょう。ライフデザインとは、将来の生き方や自分の価値観のことです。具体的には、以下3つの観点で考えましょう。
- 人生の夢・目標
- キャリア
- 家庭
夢や目標だけでなく「結婚したい」「独立して起業する」といったプライベートや仕事のことも考えることがポイントです。
自分がどのような人生を歩みたいかによって、何にいくらお金をかけるべきかが変わります。ライフデザインは時間が経つと変わる可能性もあるため、現時点での考えで問題ありません。
ステップ②ライフプラン表を作成する
ライフプラン表を作る時は、起こり得るイベントを時系列で書いていきます。ライフイベントとは、自分や家族に将来起こるであろうイベントのことです。具体的には、以下のようなイベントを記載するといいでしょう。
- 就職・転職・独立
- 結婚
- 出産
- 子どもの進学関連
- マイホームや車の購入
ライフプラン表を作る時は、実現可能かどうかを気にせずに、希望があれば書き出すことが大切です。頭の中にあることをとにかく書き出すことで、具体的に想像していくことがこの表を書く目的だからです。
また、イベントにかかるおおよその金額もわかる範囲で記載しておきましょう。金額を書いておけば、いつまでにどれだけのお金を用意すればいいか、ある程度の目安をつけられます。
〈表〉ライフプラン表の例
ライフプラン表は紙に書いても、エクセルなどで作成してもOKです。
横軸には、西暦を記入します。記入時点から順番に年数を振りましょう。縦軸には自分や家族の名前を書き、横軸に振った年の12月31日時点の年齢を書き込んでいきます。12月31日時点に統一することで、子どもの学年や自分の定年のタイミングなどがわかりやすくなります。
また、縦軸には自分や家族それぞれの夢や予定、家族全員共通の予定を書き込む欄を設けておきましょう。
年表の長さとしては、最低でも「30年分」以上を用意しましょう。遠く感じる未来のことまで書き込むことで、人生をトータルで考えることができます。前半15年、後半15年などに分けて2段で書くと、見やすくなります。
〈表〉ライフプラン表の例(記入後)
ライフプラン表の作り方は以下の記事で紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
ステップ③収支を書き加えてキャッシュフロー表を作成する
ライフプラン表に家計の収入や支出、貯蓄残高の推移などを書き加えたものがキャッシュフロー表です。長期的な収支を俯瞰してみることで、今後の暮らしの方向性を確認できます。
支出のほかに貯蓄も同時に記入します。残高の推移を可視化できることが、キャッシュフロー表のポイントです。
キャッシュフロー表を上手く使えば、ライフデザインが金銭的に実現できるかを予測できます。金銭的な問題で実現が難しい時は、それを事前に把握することもできます。
〈表〉キャッシュフロー表の例(金額単位:万円)
ステップ④完成したライフプラン表を振り返る
最も大事な工程です。ライフプラン表を作成したあとは、必ず振り返りの時間を設けましょう。
「夢を全部叶えようと思うと、これだけお金がかかるのか」「年1回の旅行は厳しいから、3年に1回にしよう」「この年は支出が少ないから、ちょっと贅沢できそう」など、気づきがあるはずです。
家族みんなで見返すことで、それぞれがどの夢や予定に重きを置いているかが見え、一家全体での優先順位を考える材料にもなります。
〈表〉ライフプラン表の振り返り例
ライフプランの具体例は、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある人は、併せてご覧ください。
FPに相談してライフプランをシミュレーションしよう
ライフプランは、FPへ相談することがおすすめです。FPはお金の専門家であり、幅広い知識を有しているため、適切なアドバイスがもらえるでしょう。無料・有料相談それぞれにメリット・デメリットがあるため、相談内容を明確にしたうえで選ぶことが重要です。
ライフプランは人生の設計図のようなものであり、人生の行動指針になります。興味がある人は、ぜひFPに相談してライフプランをシミュレーションしましょう。