ふるさと納税を申し込む場合、申込期間や申し込みの手順、申請に必要な書類などを事前に確認しておくことが大切です。また、申請方法として、「ワンストップ特例制度」と「確定申告」のどちらを利用するかで手続きが異なります。この記事では、ファイナンシャルプランナー・荒木千秋さん監修のもと、ふるさと納税の申し込みや手続きについて説明していきます。

※この記事は2024年11月1日に公開した内容を最新情報に更新しています。

この記事の監修者

荒木 千秋(あらき ちあき)

ファイナンシャルプランナー。荒木FP事務所代表。10年間の銀行勤務を経て独立。これからの女性が人生を楽しむためには「お金・投資」との付き合い方を変えなければならないと確信し、現在は、大学講師、セミナー、ウェブ執筆、個別相談等を行っている。 著書に『「不安なのにな〜んにもしてない」女子のお金入門』(講談社)がある。

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2025年のふるさと納税に関するニュース

画像: 2025年のふるさと納税に関するニュース

1兆円超えが続くふるさと納税、2024年度の寄附額は1.2兆円に

2024年度の「ふるさと納税」で集まった寄附金総額はおよそ1兆2,728億円となり、2023年度の1兆1,175億円からおよそ1,553億円増加。これで2年連続の「1兆円超え」となりました1)

また、2024年にふるさと納税を利用して2025年度の住民税の控除を受けた人は約1,080万人にものぼり、前年(2024年:約1,000万人)よりも約80万人増加しました。

2025年10月から仲介サイトでの「ポイント還元」が終了

2025年10月から、ふるさと納税におけるポイント還元制度が全面的に廃止されます2)3)。ポイント還元制度とは、ふるさと納税の各ポータルサイトを利用して寄附した際にポイントが付与されるしくみのことです。この改正により寄附に対するポイント付与がなくなることになります。

総務省はこのしくみについて、「返礼品に加えてポイントまで付与されるのは、本来の目的から外れた“過度な寄附誘導”にあたる」と判断。ふるさと納税の原点である“応援したい自治体に寄附する制度”に立ち返るべきだとして、ポイント制度の全面廃止を決定しました。

このように、ふるさと納税制度は2023年以降、段階的に見直しが進められてきました。

〈表〉ふるさと納税の改正まとめ(2024~2025年)

改正時期内容影響
2024年10月返礼品の「地場産品」限定を厳格化他県産の米や肉などは対象外に
返礼品の還元率は3割までに制限高額返礼品の選択肢が縮小
経費(送料・広報費含む)も5割以内に返礼品のボリューム感や豪華さに影響
2025年10月ポイント還元の全面禁止寄附を通じた“実質値引き”が不可能に

なお、クレジットカード納付の際のカードのポイント付与は継続される予定とのこと。新しい制度のもとで自治体と寄附者にどういった影響があらわれるのか、今後注目を集めそうです。

ふるさと納税の申込期限はいつまで?

画像: 画像:iStock.com/Ratana21

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2025年のふるさと納税の場合、2025年1月1日~12月31日に「寄附」の申し込み(決済まで)を完了させると、2025年の所得税の還付、2026年の住民税の控除が可能となります4)

〈表〉申込期間、所得税の還付、住民税控除の年度

申込期間所得税の還付住民税の控除
2025年1月1日〜12月31日2025年度分翌年2026年度分

支払い方法別の受領日

ふるさと納税で、その年の所得に対する寄附金控除を受けるためには、年内にふるさと納税の寄附(入金または決済)を完了しておく必要があります

たとえば2025年分の控除対象となるのは、寄附先の自治体から送られてくる寄附金受領証明書に記載されている受領日(入金日)が2025年1月1日から12月31日までのものとなります。受領日は支払い方法によって異なる点に注意しましょう。以下は、支払い方法ごとの受領日です。

〈表〉ふるさと納税の支払い方法別受領日5)

支払い方法受領日
クレジットカード決済が完了した日
銀行振込自治体への入金日
納付書自治体への入金日
現金書留自治体側で受領した日

その年に寄附が完了したかを確認する方法

ふるさと納税の寄附が、その年に完了しているかどうかは、以下の方法で確認できます。

【ふるさと納税の寄附の確認方法】

  • 寄附先の自治体から送られてくる受付完了メール
  • ふるさと納税のポータルサイトのマイページ
  • 寄附先の自治体への問い合わせ

ふるさと納税の申込期限を過ぎた場合

申込期限(支払い期限)が過ぎた場合、2026年分の寄附となってしまいます。寄附金控除を受けられるのはその翌年です。たとえば、2025年12月29日に申し込みをして、2026年1月5日に入金をすると、2026年の寄附となり、控除が受けられるのは2027年です。

〈表〉入金日、所得税の還付、住民税控除の年度

入金日所得税の還付住民税の控除
2026年1月5日2026年度分翌年2027年度分

ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」の手続き期限はいつまで?

ふるさと納税で、還付・控除される手続きの方法には「ワンストップ特例制度」というものがあります6)。この制度を利用すると、ふるさと納税後に確定申告をしなくても手続きを完了できます。確定申告に比べて手続きが簡単になるので、条件を満たす人は利用するといいでしょう。

手続き期限としては、寄附をした「翌年の1月10日まで」に、同制度の書類を各自治体に必着で届ける必要があります

「ワンストップ特例制度」を利用できるのはどんな人?

画像: 画像:iStock.com/maroke

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ワンストップ特例制度を利用するには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

【ワンストップ特例制度に必要な3つの条件】

①企業に勤めているなど、もともと確定申告の必要がない給与所得者
②その年に寄附した自治体が5つ以内である人(寄附先が5自治体以内であれば、寄附の回数は問わない。同じ自治体に何度寄附しても1カウント)(※)
③寄附先の全自治体に、翌年1月10日までに必着でワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)を送付可能な人

※:ふるさと納税では、複数の自治体に寄附を行うことができます。

「ワンストップ特例制度」に必要な書類と手続き

画像1: 画像:iStock.com/YusukeIde

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「ワンストップ特例制度」を行う場合、申し込みの翌年1月10日までに、ワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)を寄附先の自治体へ郵送すると手続きが完了します。6月頃には現住所の自治体(住民登録されている自治体)から住民税決定通知が届きます。

「ワンストップ特例制度」で必要な書類は以下のとおりです。

【ワンストップ特例制度で必要な書類】

  • ワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

ワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)は、基本的には寄附した自治体から送付されるものですが、到着まで通常1~4週間程度がかかります。間に合わない場合は、寄附先の自治体公式サイトなどから、自身でダウンロード・印刷して入手しましょう。

なお、マイナンバーカードを発行している人は、ワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)の返送をしなくても、仲介サイトからワンストップ特例申請を行うことができる場合もあります。必要なのは、自治体から届いたワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)とマイナンバーカードだけです。申請方法の詳しい案内については、各サービスのウェブサイトで確認できます。

「ワンストップ特例制度」の申込期限を過ぎた場合

申込期限に間に合わない場合や申込期限を過ぎた場合は、確定申告をして翌年に寄附金控除を受けることになります

ワンストップ特例制度と確定申告は併用できないため、すでにワンストップ特例制度の申請書を送付している自治体があったとしても、改めて確定申告をする必要があります。

ふるさと納税の「確定申告」の手続き期限はいつまで?

ふるさと納税後、確定申告によって手続きをする場合、寄附をした「翌年の3月15日まで」に、確定申告の書類を税務署へ提出する必要があります7)

「確定申告」を選ぶ必要があるのはどんな人?

画像: 画像:iStock.com/west

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以下の条件のうちひとつでも当てはまる人は、確定申告を選ぶ必要があります。

【確定申告が必要な人】

①その年に寄附した自治体が6つ以上ある人
②ワンストップ特例制度の申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)を提出できなかった人(期限に間に合わなかったなど)
③給与所得者の中でも、医療費控除などの確定申告が必要な人
④給与所得者の中でも、年収が2,000万円以上ある人
⑤個人事業主やフリーランスなど、もともと確定申告が必要な人

ふるさと納税によって税金の還付や控除を行う場合、手続きに必要な書類を用意しなければなりません。

「確定申告」に必要な書類と手続き

画像: 画像:iStock.com/Promo_Link

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確定申告を行う場合、ふるさと納税の申し込みの翌年3月15日までに手続きをします。ふるさと納税の寄附金から自己負担分2,000円を引いた金額について、申し込みをした所得税の還付と住民税の控除が行われます。

ふるさと納税に関する確定申告に必要な書類は以下です。

【ふるさと納税に関する確定申告に必要な書類】

  • 寄附先の自治体から届く「寄附金控除に関する証明書
  • 対象期間(寄附をした年)の源泉徴収票(会社員の場合)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 還付金受け取り用の口座番号(本人名義に限る)

寄附金受領証明書とは、1年間の寄附をまとめた書類で、寄附をした自治体から送付されるものです。利用したふるさと納税のウェブサイトなどでも入手できます。

「確定申告」の手続き期限を過ぎた場合

「確定申告」の手続き期限が過ぎても、寄附した翌年から5年間は申告可能です。 申告漏れがあった場合も、5年以内であれば控除申請ができます。詳しい内容は最寄りの税務署に問い合わせましょう。

駆け込みはいつまで?12月にふるさと納税をする場合の注意点

画像: 画像:iStock.com/Tatomm

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ふるさと納税の申し込み(寄附)は、1月1日から12月31日まで可能です。ただし、寄附の申込期間を考える上で注意点が3つあります。

注意点①期間内に「決済」まで行う必要がある

上記の期間(1月1日から12月31日)は決済までが対象です。つまり、寄附の申し込みだけでなく、決済(納付先への支払い)も含めて12月31日の23時59分までに完了させる必要があります。決済が間に合わないと、翌年分扱いとなるので注意しましょう。

注意点②支払い方法によって納付日が異なる

画像2: 画像:iStock.com/YusukeIde

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決済を行うと正式な納付となります。ただし、正式に納付が完了した日、すなわち自治体が寄附を受け取った「受領日」は、前述したように決済方法によって異なります

寄附後には、受領日や金額が記された「寄附金受領証明書」が自治体から届き、税金の手続きに必要となります。この証明書に書かれた受領日の日付が年をまたいでいると、税金の還付や控除の年が後ろにずれてしまうので注意が必要です。これらについては、ふるさと納税の手続きを行う各ウェブサイトなどで確認しましょう。

注意点③寄附後は、税金に関する手続きを自分で行う

寄附の申し込みをすれば自動的に税金の還付・控除が行われるわけではありません。そのあとに、自分で「ワンストップ特例制度」もしくは「確定申告」の手続きを行う必要があります。

ふるさと納税の申し込み手順は4ステップ

画像3: 画像:iStock.com/YusukeIde

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ここからは、ふるさと納税を行う時の申し込み手順を説明していきます7)

一連の手順を把握した上で、前述した申込期限などのスケジュールを再度確認しましょう。

①寄附したい自治体を選ぶ

全国の自治体の中から、寄附先を選びます。故郷や居住経験の有無にかかわらず、自由に好きな自治体を選べます。

②寄附を申し込む

各種のふるさと納税のウェブサイトなどから寄附を申し込みます。この際、寄附金額やその使い道、返礼品などを一括で選択し、申し込みは完了です。

③寄附金を支払う

各種方法で寄附金を納付します。ふるさと納税のウェブサイトから申し込みを行った場合、クレジットカードで決済すると寄附金の支払いも同時に行うことができます。

上記のようにクレジットカードの場合はすぐに決済が完了しますが、決済方法によって納付日が変わるため注意しましょう。手順の1〜3まで、つまり決済完了までを12月31日までに行わなければなりません

寄附後には、受領日や金額が記された「寄附金受領証明書」が自治体から届くので、内容を確認しましょう。ふるさと納税の返礼品は、自治体ごとに随時送られてきます。

④税金の還付・控除の手続きをする

寄附金受領証明書を確認したら、「ワンストップ特例制度」か「確定申告」どちらかの方法で税金の還付・控除の手続きを行います。

ふるさと納税の申し込みはいつでも可能、税金関連の手続きは期限に注意!

画像: 画像:iStock.com/byryo

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ふるさと納税の申し込みは年間を通じて可能ですが、税金関連の手続きには期限があるため、スケジュールを確認しながら計画的に手続きを進めましょう。

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