今回は、社会人2年目のNさん(24歳)からのご相談をライフパートナーの西岡知也より紹介します。
【この記事の著者】
西岡知也
東京海上日動あんしん生命保険
福岡支社所属 エキスパートライフパートナー
生命保険協会認定ファイナンシャルプランナー
人生の夢や目標を実現するためにはリスク管理が欠かせません。保険だけでなく、資産運用や税金に関するお客様の疑問にもお答えしながら、お客様の人生設計(ライフプラン)に合ったリスクコンサルティングをご提案しております。
【今回のご相談者】
Nさん:24歳、自動車販売店勤務
家族構成:独身、一人暮らし
世帯収入:年収約300万円(手取り額15万円/月)
家賃:6万円/月
生活費(食費、車維持費、通信費含む):6万円/月
貯蓄合計:なし
生命保険:未加入
社会人2年目。堅実に家計を管理して一人暮らしを送っているが、郊外に住み、自動車を保有しているため、生活に余裕はあまりない。
【ご相談内容】
- 母親から保険への加入を何度もすすめられているが、これまで大きな病気をしたこともなく、今はまだ必要だと感じていない。本当に保険に入った方がいいのか?を悩んでいる。
- 保険よりも、貯金をしていないことのほうが不安に感じている。自分にあった貯金の方法を教えてほしい。
病気で入院して給付金を受け取った経験があるお母さまから「もう社会人2年目なんだから、医療保険くらい入っておいたら?」と言われているNさん。しかし、本人は「貯金もできていないのに、保険なんてまだ必要ないのでは…?」とお考えのようです。
限られた収入の中、Nさんと同じようなお考えをお持ちの20代の方は少なくないでしょう。今回、半信半疑でご相談をいただいたNさんに私からアドバイスさせていただいたポイント2点をお伝えします。
【ポイント1】貯金の第一歩は、目的と金額を決めること
社会人になって2年目ですが、これまで貯金はしてきていないNさん。一人暮らしをしている20代女性の平均貯金額は約3万円/月というデータがありますが、“平均”にとらわれていきなり高いハードルを設けることはおすすめしません。
大事なことは、Nさんが「何のために貯金するのか」をはっきりさせることです。これがはっきりすれば、いつまでに・いくら・どうやって貯めるのかが見えてくるはずです。
目的を決める場合、遠い将来のことを考えるよりも、数年以内に実現したいことを思い浮かべてみるとよいと思います。例えば、「老後のため」と言ってもピンとこないと思いますが、「海外旅行」「スキルアップ」や「両親へのプレゼント」といった身近なイベントを目的にすると、貯金への意識も高くなってくるはずです。
また当面の貯金ゴールとしては100万円を設定されるといいでしょう。旅行にするにしても、スキルアップにするにしても、100万円手元にあれば叶えられることが多くなります。もちろん、いざという時の「緊急費用」としても役立ちます。たとえば、病気やけがで入院した際の治療費や、転職などによる収入減など、不意の支出に備える意味でも手取り収入の約半年分以上にあたるお金を確保しておけば、落ち着いてトラブルに対応することもできるでしょう。
この「100万円」から逆算して考えれば毎月の貯金額が決められます。1年で100万円を貯金しようとすると「月8.3万円」、3年であれば「月2.8万円」、5年であれば「月1.7万円」です。 いかがですか? こう考えていくと、無理なく貯金をスタートできるはずです。
【ポイント2】貯金のない20代にとって「保険は頼れる存在」
次に、Nさんにとって「保険が必要かどうか?」です。
これからの楽しみなライフイベントに向けて、Nさんも貯金をスタートする意思が固まりました。しかし、今は蓄えがない状態です。この状況で、万一病気やけがで入院されるようなことがあるとどうなるでしょう?
治療費がかかります、それに長期間働けなくなってその間の収入が途絶えると、生活に困窮してしまうことは目に見えてしまいます。ご両親に頼ることができれば良いのですが、余裕がなければ生活保護に頼ることにもなりかねません。お母さまが心配されているのはこの点ではないでしょうか?
生命保険文化センターの「生活保障に関する調査(令和元年度)」1)によりますと、入院1日あたりの医療費(自己負担額)は平均23,300円、入院日数は約15.7日です。
「高額療養費制度」により、かかった医療費を全額自己負担することはありませんが、それでも月に8万円~9万円程度は自己負担が発生します。
Nさんはこれまで大きな病気にかかったことがないため、イメージが湧かないと思いますが、特に女性は若いうちからがんのリスクに備えておくべきです。がんは、比較的高齢で発生する病気のように思われがちですが、乳がんなどは20代~30代女性で発生するリスクが高くなっているのです。
若くしてがんになった場合、進行が早くなりますので、自由診療を視野に入れて治療を行うケースも多くなります。
自由診療とは、厚生労働省が承認していない治療や薬を使用する診療で、日本ではまだ承認されていない抗がん剤や、免疫療法の一部などが該当します。承認されていない治療にかかる費用は、基本的にはすべて患者が自己負担することになります。抗がん剤ですと、1回の投薬で10万円以上のものから、中には数百万円かかるものもあります。
また、陽子線治療・重粒子線治療という放射線治療方法もあり、がんの病巣に対して集中的に照射できるので、正常な部位へのダメージを抑える効果的な治療方法と言われています。しかし、多くの場合で自由診療扱いとなり、数百万円の自己負担を要することがあります。
さすがにこれだけ大きな医療費がかかってしまうと、多少の貯金で賄うことは困難ですね。
ところが、がん保険に加入しておけば、入院や手術に対する給付金とは別に、がんと診断された場合に受け取ることができる「診断給付金」という一時金給付があります。この一時金は自由診療にかかる費用や治療以外の出費にも自由に活用することができる「使い勝手が良い」お金で、自己負担額が高額となった場合に大変役立つものです。
このように、保険というのは不意の大きな出費に対応することができますので、Nさんのように、若くてこれまで病気をしたことがなくても、十分な蓄えがない方にはぜひ準備しておいてほしいものなのです。
Nさんへのご提案内容
「保険に加入すべきかどうかわからない」「貯蓄についても相談したい」というご要望をいただいておりましたので、上記2つのポイントを基にアドバイスを行ないました。
(1)病気やケガ、貯金代わりにもなる保険
今回、Nさんに対して提案した保険商品は、次の通りです。
保障の種類 | 主な保障内容 | 月額保険料 |
---|---|---|
①医療保険 | 入院給付金日額5,000円 | 約4,000円 |
②がん保険 | 診断給付金額100万円 | 約3,000円 |
③就業不能保険 | 月額給付金5万円 | 約4,000円 |
④死亡保険 | 死亡保険金200万円 | 約4,000円 |
病気・けがで入院や手術が必要になった場合の治療費への備えとして、医療保険とがん保険をご提案しました。また、治療が長引いてしまった場合の収入減にも備え、就業不能保険も加入しておくとさらに安心です。
なお、①②は、70歳時点で給付金等の受取りがなければそれまでに支払った保険料全額が戻ってくるというもので、掛け捨てではないものです。「大した病気になったこともないし、保険のお世話になる心配があまりない」というNさんにおすすめできる商品です。
さらに、最低限の死亡保障として、終身保険に加入しておくこともおすすめします。終身保険には貯蓄性がありますので、現金が必要な場合には解約返戻金の一定の範囲内で貸付を受けたりすることもできます。「簡単に引き出せない貯金」として考えてもよいのではないでしょうか。
(注)ご契約後、短期間での解約返戻金はまったくないか、あってもごくわずかです。
(2)貯金
Nさんは、「将来、ステキな結婚式を行いたい」という希望を持っていらっしゃいました。ただ、どの程度の大きさの式を行うかはまだ決めていなかったため、ひとまずは「5年後に100万円の貯金」を目標に置き、保険とは別に、月1.7万円の積立定期預金を開始することをおすすめしました。
自動積立定期預金にすれば、毎月自動的に給与から積立定期預金口座にお金が移ります。
毎月わざわざ金融機関に行ってATM等で手続きする手間も省けますし、自動的にお金が移ればうっかり無駄遣いしてしまうことも防げます。積立定期預金はいつでも解約できますので、例えば、結婚資金などが必要になったときにすぐに現金を用意することができます。
必要な保障を確保しつつ、将来の楽しみに向けてマネープランを立てよう!
Nさんは、毎月無駄遣いをすることなく、食費や交際費も最低限に抑えて生活をしています。毎月の手取り給与から家賃と生活費を引くと、手元に残るお金は3万円程度です。
特に貯蓄することもなく、「何となく」この3万円が消えていましたが、今回の相談で「貯金の目的」と「生命保険の必要性」についてしっかりと認識することができ、3万円の使い道が明確に決まりました。
今回の相談をいただいた際には、Nさんは保険の加入に関しては後ろ向きでしたが、「病気にかかった時の出費を小さくするためには今の自分にも必要」と気持ちよく理解いただけました。また、「貯金」としての機能を持っている保険もあるということはご存知なかったということで加入内容にも大変満足いただけました。
保険に加入することは決して「毎月の使えるお金が減ってしまう」ということではなく、「将来楽しみにしているライフイベントを実現するための準備」です。
読者の皆さんの中にも同じような不安や疑問をお持ちの方がいれば、まずは一度私たちに相談してみませんか? ご興味があれば、以下よりお問い合わせください。
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