マネコミ!をご覧の皆様、こんにちは。映画ライターのSYOと申します。コロナ禍のなかで、個々人の仕事観や金銭感覚にも変化が起きている今日この頃。自宅で過ごす時間が多くなり、映画を観る機会も増えたのではないでしょうか?

そこで短期連載「M&B Movie Collection」では、“お金(Money)と仕事(Business)に効く映画”をコンセプトにオススメ作品をご紹介していきます。第1回目の今回は、「仕事」にまつわるシチュエーションや気分別に、4本の映画+αをセレクトしました。

1日の3分の1が働いている時間だという方も少なくないはず。成果を出したいと、日々ガムシャラに頑張っている方も多いことでしょう。「仕事」は、それぞれの人生において、とても重要なものです。だからこそ、安定してパフォーマンスを出せるように、自分自身のケアを行っていきたいですよね。今回は、仕事で落ち込んだ時や困った時などに寄り添ってくれる作品、あるいは引っ張り上げてくれる作品など、メンタルをサポートしてくれる作品を選びました!

この記事の著者

画像1: M&B Movie Collection #1 ビジネス・職場の悩みを解消する映画4選

SYO

1987年福井県生。東京学芸大学にて映像・演劇表現について学ぶ。大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説や漫画、音楽などエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。映画作品の推薦コメント・劇場パンフレットの寄稿や、トークイベント・映画情報番組への出演も行う。カフェ巡りと猫をこよなく愛する。
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[Chapter1]仕事のモチベーションを上げてくれる映画は?

画像: [Chapter1]仕事のモチベーションを上げてくれる映画は?

「やる気スイッチ」とはよく言われますが、何をやっても仕事のエンジンがかからないことってありますよね。しかも場合によっては、長引いてしまうこともある。「時間が解決する」といっても、目の前に仕事はあるわけで、チャチャッと解決したい――。ならば映画で2時間のリフレッシュはいかがでしょう。

働く喜びや、使命感を描いた作品は、直接的に意欲を高めてくれます。たとえば、『シン・ゴジラ』(2016)だって、様々な職業の人たちが粉骨砕身頑張る姿に、勇気づけられますよね。女性が冷遇された業界で立ち向かう『ビリーブ 未来への大逆転』(2018)や『ドリーム』(2016)といった素晴らしい作品もあります。

そんな中で今回は、『パッドマン 5億人の女性を救った男』をご紹介します。

自分の仕事が誰かの幸せに繋がると気付かせてくれる『パッドマン』

あらすじ

インドの小村で暮らす男性ラクシュミ(アクシャイ・クマール)は、妻と結婚したばかり。ある日彼は、妻が生理中に不衛生な布を使っていることを知り、衝撃を受ける。当時、生理用ナプキンは高価で、簡単に購入できるものではなかったのだ。そのため彼は、安価で安全なナプキンを制作しようと独学で勉強をはじめる。しかし周囲から奇異の目で見られ、ついには村を追われてしまう。

本作は、インドで女性の生理用ナプキンの開発に奔走した、ある男性を描く実話です。こう聞くとなかなかつらい話のように思えるかもしれませんが、ここからが本作の大きな見せ場。ラクシュミは、どれだけ困難な状況に陥っても、決して諦めません。

画像1: 自分の仕事が誰かの幸せに繋がると気付かせてくれる『パッドマン』

差別されたり、資金が底をついたり、開発の失敗が続いたりしてもモチベーションを失わず、努力し続けるのです。そのうち、彼の熱意に心を動かされた“仲間”が現れ、彼の研究は軌道に乗っていきます。そうしてラクシュミは、「5億人の女性を救う」存在になっていくのでした。

画像2: 自分の仕事が誰かの幸せに繋がると気付かせてくれる『パッドマン』

ただただ、誰かのために――。ひたむきな彼の姿を観ているうち、自分も「仕事を頑張ろう」と思える、そして「自分の努力が、誰かの笑顔につながっている」と仕事におけるやりがいや目標を思い出させてくれる。そんな素敵な映画です。

パッドマン 5億人の女性を救った男
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
© 2018 CAPE OF GOOD FILMS LLP. All Rights Reserved.

[Chapter2]明日はプレゼン!大勝負の前に観たい映画は?

画像: [Chapter2]明日はプレゼン!大勝負の前に観たい映画は?

プレゼンは晴れ舞台でもありますが、失敗したら大やけどのシビアな場。これまで必死に努力して資料を作っていても、当日の伝え方がよくなければ、成功は掴めません。天国か、地獄か――。勝敗がはっきり出てしまう一発勝負です。翌日に大一番が控えている日には、緊張してしまうことでしょう。

そんなシチュエーションでの気付けの1本には、『サンキュー・スモーキング』をどうぞ。

場を掌握する姿を自分に重ねて観たい『サンキュー・スモーキング』

写真:Everett Collection/アフロ

あらすじ

「嫌煙」の言葉がある通り、各方面から敬遠・避難されるタバコ業界に勤める主人公・ニック(アーロン・エッカート)が、得意の話術(とあの手この手)で逆境を打ち崩していく物語。順調に仕事をこなしていくニックだが、とあるミスからピンチに陥ってしまう…。

「情報操作の王」と呼ばれる本作の主人公ニックは、賄賂も嘘も何でもありのアンチ・ヒーロー。しかし、仕事人としての彼の姿から学べるところはたくさんあります。プレゼンをする時の堂々とした態度、聞く人を飽きさせない適度なユーモア、一発で耳に入ってくるキャッチーなワード。プレゼンは「場を掌握する」ことが重要だとよく言われますが、『サンキュー・スモーキング』を観ていると、成功のイメージが具体的に見えてくるのではないでしょうか。

画像2: 写真:Everett Collection/アフロ

写真:Everett Collection/アフロ

作品としても抜群に面白く、圧倒的に不利なニックと反対派とのハラハラする舌戦が繰り広げられる展開に、のめり込んで観てしまうことでしょう。

こんな映画もオススメ!:『バトル・オブ・シリコンバレー』

ビル・ゲイツとスティーブ・ジョブズの若き日を劇映画化した『バトル・オブ・シリコンバレー』もオススメ。彼らがどんな言葉で周囲を魅了し、革命を起こしていったのか。時にはハッタリもかます勝負師な一面に、刺激を受ける部分がたくさんあるはずです。

[Chapter3]優れた先輩の在り方を教えてくれる映画とは?

画像: [Chapter3]優れた先輩の在り方を教えてくれる映画とは?

会社でキャリアを積んでいくと、自分のことだけではなく周りにも気を配る必要が出てきます。新入社員が入るとなれば、先輩として、あるいはメンターとして責任感もおぼえるでしょう。気合が入ると同時に、「どんな先輩が良いのだろう?」と悩んでしまうかもしれません。

そんな時にオススメなのは、ずばり『アベンジャーズ』シリーズです。

ヒーロー達から多様なマネジメント手法を学べる『アベンジャーズ』シリーズ

あらすじ

軍需企業の社長であるトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)は、テロリストに拉致監禁されたことで正義の心に目覚め、自ら制作したパワードスーツをまとった「アイアンマン」としてヒーロー活動を始める。その後、強化兵士のキャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)や、雷神ソー(クリス・ヘムズワース)らと出会い、ヒーロー集団「アベンジャーズ」を結成。平和を脅かす強大な敵に立ち向かっていく。

なぜオススメしたいかというと、このシリーズには、多様なタイプのヒーローが登場するから。ちょっとワンマンタイプだけれど、仲間を大切にしようとするアイアンマン、規律を重んじる真面目なリーダー、キャプテン・アメリカ、豪放磊落なカリスマ性を持つソー、アクシデントが起こっても冷静沈着なホークアイ等々……。自分がどんなヒーローに憧れるか、そして自分はどの属性かを図るには、良い“教材”になるのではないでしょうか。

彼らが、スパイダーマンやワンダといった“新人”、あるいは後輩や仲間に対してどんな言葉をかけ、どう接するのか。時にはなだめ、時には発破をかけてやる気を引き出したり、落ち着かせたりする。

十人十色のヒーローたちのコミュニケーション方法から、チームマネジメント力を培うことができるでしょう。映画としてももちろん面白く、ヒーローたちの大活躍に胸を躍らせつつ、「こうなりたい!」というビジョンも明確になっていく……という「楽しみながら学べる」映画かと思います。

さらに、このシリーズ、ひいてはMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)は世界的に有名なので、きっちり押さえておくと後輩との会話も弾むかも? 共通の話題としても機能する、一石二鳥の作品といえるでしょう。

アベンジャーズ
Blu-ray販売価格:3,800円(税抜き)・3枚組
発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
TM & ©2012Marvel & Subs.

こんな映画もオススメ!:『鬼滅の刃』

国内の作品であれば、『鬼滅の刃』もありかもしれません。主人公の竈門炭治郎は、寡黙だけれど実は情に厚い冨岡義勇、人のモチベーションを上げるすべに長けた胡蝶しのぶ、まっすぐ熱く、心を燃やしてくれる煉獄杏寿郎といった先輩たちと出会い、大きく成長していきます。

彼自身もリーダーシップがあり、我妻善逸や嘴平伊之助といった同期を引っ張る存在になるため、「こういうタイプの人にはこういう言葉をわたすと良い」というシミュレーションとしても参考になりそうです。

[Chapter4]上司の説教から立ち直るきっかけをくれる映画は?

画像: [Chapter4]上司の説教から立ち直るきっかけをくれる映画は?

「上司に怒られる」という行為は、仕事におけるストレスで最も多く、最も大変なものかもしれません。お金も人も動く「仕事」である以上、ミスができない場面もありますが、そういった時に限ってうまくいかないこともあるものです。その結果、上司からお叱りを受けることも。「そんなに言わなくてもいいのに…」と憤りつつ、やっぱり落ち込みますよね。

そんな時にオススメなのが、米アカデミー賞で3部門に輝いた『セッション』です。

打倒上司!向上心に火をつけてくれる『セッション』

あらすじ

音楽界を舞台に、鬼教師と教え子の壮絶なバトルを描いた物語。名門音楽大学に入学したニーマン(マイルズ・テラー)は、教師フレッチャー(J・K・シモンズ)のバンドにスカウトされる。しかしこの男、とんでもないスパルタで……。

本作は、鬼教師にしごかれた生徒が、下克上を果たしていく物語。興味深いのは、そこに師弟の絆や敬意、恩情がにじむのではなく、表現者同士の真っ黒な敵意が満ちていることです。ステージでニーマンが勝手なソロ演奏を始め、指揮者のフレッチャーからお株を奪うシーンなど、両者の狂気が入り乱れる対決シーンが見ものです。

画像: 打倒上司!向上心に火をつけてくれる『セッション』

ある種の“対決映画”でもある本作ですが、観ているうちに不思議とテンションが上がっていき、スポーツの試合を観戦しているような気持ちにさせてくれる側面も。観終えた後は、凹んだことも忘れて「なんぼのもんじゃい! 実力で圧倒してやるわ!」とやる気が満タンになっていることでしょう。『セッション』は、そんな向上心に火をつけてくれる作品でもあります。

セッション
Blu-ray販売価格:2,800円(税抜き)
発売元:カルチュア・パブリッシャーズ/販売元:ギャガ
©2013 WHIPLASH,LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

悩んだ時に助けてくれる‟お仕事映画“に勇気をもらいましょう

シチュエーション別に4本の映画+αをご紹介してきましたが、いかがでしょうか。映画というのは、人を描くもの。私たちがどんな状況に陥ったとしても、自分の気分に沿うもの、悩んだ時に助けとなるものが必ずあります。

今回取り上げた作品以外にも、様々な職業の人たちを描く、俗に言う「お仕事映画」の傑作は多々ありますし、コロナに負けず、これからも多くの胸を打つ作品が作られていくことでしょう。そんな映画たちに勇気をもらいつつ、日々のお仕事を頑張っていきましょう!

イラスト/石井あかね

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