転職、結婚、子育て、マイホームの購入…これからやりたいことや思い描いている計画はあるものの、具体的な時期や予算まで落とし込めていない人は多いのではないでしょうか。そんな方におすすめしたいのがライフプランを立てることです。

ライフプランを立てると、20年後、30年後の未来を具体的に計画でき、それを具体化するために今何をすべきかが見えてきます。この記事では、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、4ステップでできるライフプランの立て方・使い方を教えてもらいます。

※この記事は2022年11月30日に更新しています。

この記事の監修者

氏家 祥美(うじいえ よしみ)

ハートマネー代表。ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。子育て世帯、共働き夫婦の家計相談に豊富な実績を持ち、「幸福度の高い家計づくり」を総合的にサポートしている。オンラインでの家計相談やマネー研修も実施中。

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「ライフプラン」を立てるってどういうこと?

そもそも「ライフプラン」を立てるとはどういうことなのでしょうか。まずは、基本的な部分から解説していきましょう。

ライフプランとは、自分や家族の「予定」と「夢」を書き出し、計画を立てていくこと

画像1: 画像:iStock.com/monzenmachi

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どのような人にも「3年後に子どもが小学校入学」「30年後に自宅のローン完済」などの既に決まっている予定や、「年1回は旅行したい」「20代のうちに転職したい」といった夢や目標が何かしらあるでしょう。

ライフプランとは、そういった予定や夢を書き出して一覧にまとめ、それを計画に落とし込んでいくことです。計画に落とし込むことで、現在の生活を見直したり、目標を達成するための行動を起こしたりしやすくなります。

ライフプランが必要な理由は人によって異なる

画像2: 画像:iStock.com/monzenmachi

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ライフプランがなぜ必要なのかは、人によって異なります。

「キャリアアップもしたいし、結婚や住宅購入、移住もしてみたい」というようにやりたいことがいくつもある人は、これから先の人生を俯瞰して、お金や時間のことを総合的に考える必要があります。一方、「フリーランスになりたい」というような明確な目標が1つ決まっている人なら、その目標に向けた資格取得の時期や独立資金の準備、独立後の生活について計画する必要が出てきます。

ライフプランというとお金のことばかり考えてしまいがちですが、お金だけに囚われず、自分や家族の価値観に合う生き方を総合的に考えていく方法として捉えるといいでしょう。

また、ライフプランを立てたからといって、そのとおりに生きなければいけないわけではありません。あくまでも書き出したプランの1つなので、何度書き直してもいいですし、ライフプランにない予定が生じたら改めて立て直せばいいのです。

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ライフプランを立てるメリットは?

ライフプランを立てることで得られるメリットは、大きく2つ。それぞれについて詳しく見てみましょう。

メリット①将来を俯瞰し、お金の流れを把握できる
メリット②「今」何をするべきか判断し、漠然としたお金の不安を軽減できる

メリット①将来を俯瞰し、お金の流れを把握できる

画像: 画像:iStock.com/chee gin tan

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将来の予定や夢について「7年に1回は車を買い替えたいな」「3年後には息子も小学生か」など、個々に考えることはあっても、それぞれの起こりうる時期を含めて総合的に考えることは少ないものです。上記の場合なら、車の買い替えと子どもの入学の時期が重なったら、その年の出費が大きくなってしまいますよね。

ライフプランを立てておくと、そういった将来の予定や夢をまとめて把握することができます。車の買い替えや子どもの進学、退職などのイベントを書き出して年表の形でまとめることで、イベントが重なり忙しくなる時期や、お金がかかる時期、貯めやすい時期などが見えてきます

どのタイミングでお金が不足しそうか、赤字のリスクがあるか、将来のお金の流れを把握することで、資金不足となりそうな時期までの資金計画を立てられることは、大きなメリットです。

また、反対に金銭的に余裕ができるタイミングが把握できれば、思い切ったチャレンジをしやすくなるでしょう。たとえば、今の仕事を辞めて新しい仕事を始めてみたり、住んでみたいと思っていた土地に移住したりなども考えられます。

メリット②「今」何をするべきか判断し、漠然としたお金の不安を軽減できる

画像: 画像:iStock.com/AzmanJaka

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予定や目標を整理し、将来を俯瞰することで、今何をするべきなのかを判断できるようになります。

たとえば、「15年後は子どもが大学生になるタイミング。学費がかかるけれど住宅ローンも残っていて、親の介護もあるかもしれない…」という将来が見えたら、「今は支出が少ないから余裕があるように感じても、無駄遣いしないで貯めておいたほうがいい」と考えられます。

将来の状況を想定することで、そこから逆算してこれからの行動を決めやすくなります。将来設計は、月々の貯蓄額の目標やキャリアアップのための資格取得、転職を検討する材料になるでしょう。

今するべきことがわかると、漠然と抱えていたお金の不安を軽減できることにもつながります。お金の不安を持つのは、将来必要となるであろう金額が具体的にわかっていないことが原因の1つとして挙げられるためです。ライフプランを立てれば、将来のお金の流れをイメージしやすくなり、具体的な目標を見つけていくことができるでしょう。

ライフプランの立て方と使い方を4ステップで解説

画像: 画像:iStock.com/kazuma seki

画像:iStock.com/kazuma seki

では、実際にライフプランを立ててみましょう。

前述したように何度書き直してもいいので、肩ひじを張らずに、4つのステップで進めてみてください。

ステップ①ライフデザインを設計する
ステップ②ライフプラン表を作成する
ステップ③収支を書き加えてキャッシュフロー表を作成する
ステップ④完成したライフプラン表を振り返る

ステップ①ライフデザインを設計する

ライフデザインとは、将来の生き方の構想です。ライフデザインについて考える時には、以下の3つの観点で考えましょう。

  • 人生の夢・目標
  • キャリア
  • 家庭

人生の夢・目標とは、自分の価値観といい換えることができ、ライフデザインを考える上で欠かせない視点です。キャリアとはどんな働き方をしていきたいのか、家庭とは結婚や子どもの有無などどのような家庭を築きたいかを指します。

ステップ②ライフプラン表を作成する

ライフプラン表を作る時は、起こり得るイベントを時系列で書いていきます。ライフイベントとは、自分や家族に将来起こるであろうイベントのことです。具体的には、以下のようなイベントを記載するといいでしょう。

  • 就職・転職・独立
  • 結婚
  • 出産
  • 子どもの進学関連
  • マイホームや車の購入

ライフプラン表を作る時は、実現可能かどうかを気にせずに、希望があれば書き出すことが大切です。頭の中にあることをとにかく書き出すことで、具体的に想像していくことがこの表を書く目的だからです。

また、イベントにかかるおおよその金額もわかる範囲で記載しておきましょう。金額を書いておけば、いつまでにどれだけのお金を用意すればいいか、ある程度の目安をつけられます。

〈表〉ライフプラン表の例

画像1: ステップ②ライフプラン表を作成する

ライフプラン表は紙に書いても、エクセルなどで作成してもOKです。

横軸には、西暦を記入します。記入時点から順番に年数を振りましょう。縦軸には自分や家族の名前を書き、横軸に振った年の12月31日時点の年齢を書き込んでいきます。12月31日時点に統一することで、子どもの学年や自分の定年のタイミングなどがわかりやすくなります。

また、縦軸には自分や家族それぞれの夢や予定、家族全員共通の予定を書き込む欄を設けておきましょう。

年表の長さとしては、最低でも「30年分」以上を用意しましょう。遠く感じる未来のことまで書き込むことで、人生をトータルで考えることができます。前半15年、後半15年などに分けて2段で書くと、見やすくなります。

〈表〉ライフイベント表の例(記入後)

画像2: ステップ②ライフプラン表を作成する

ライフイベント表の作り方は以下の記事で紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】ライフプラン表の作り方について詳しくはコチラ

ステップ③収支を書き加えてキャッシュフロー表を作成する

ライフイベント表に家計の収入や支出、貯蓄残高の推移などを書き加えたものが、キャッシュフロー表です。長期的な収支を俯瞰してみることで、今後の暮らしの方向性を確認できます。

最初に収入を記入します。額面金額ではなく、税金や社会保険料などを差し引いた手取り年収を記入しましょう。続いて、支出を記入します。基本的な生活費に加えて、暮らしの変化が見えやすいように住居費や教育費の欄を分けるといいでしょう。収入から支出を差し引いた年間収支、金融資産残高も併せて記入します。残高の推移を可視化できることが、キャッシュフロー表のポイントです。

キャッシュフロー表を上手く使えば、ライフイベントが金銭的に実現できるかを予測できます。金銭的な問題で実現が難しい時は、それを事前に把握することもできます。

〈表〉キャッシュフロー表の例(金額単位:万円)

画像: ステップ③収支を書き加えてキャッシュフロー表を作成する

ステップ④完成したライフプラン表を振り返る

最も大事な工程です。年表を作成したあとは、必ず振り返りの時間を設けましょう。

「夢を全部叶えようと思うと、これだけお金がかかるのか」「年1回の旅行は厳しいから、3年に1回にしよう」「この年は支出が少ないから、ちょっと贅沢できそう」など、気づきがあるはずです。

家族みんなで見返すことで、それぞれがどの夢や予定に重きを置いているかが見え、一家全体での優先順位を考える材料にもなります。

〈図〉将来設計の振り返り

画像: ステップ④完成したライフプラン表を振り返る

なお、ライフプランの具体例は、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある人は、併せてご覧ください。

【関連記事】ライフプランの具体例について詳しくはコチラ

シミュレーションツールを活用して「お金」の動きを見る

インターネット上には、家族の年齢やまとまった出費があるタイミングを入力することで生涯のお金の動きをシミュレーションしてくれるツールもあります。

たとえば、金融庁は「ライフプランシミュレーション」というツールを公開しています。年収や退職金、日々の生活費、住宅ローンの返済額などが細かく記入できるので、現実的な数字を出すことが可能です。

結果が出たら、注目すべきは「金融資産残高」の項目です。ここがマイナスになっていたら家計が赤字ということなので、支出を見直す必要があります。また、「収入-支出」がマイナスの場合、その年は赤字ということ。マイナスの年が続くと金融資産残高が減っていきます。まとまった出費が続く期間には注意が必要です。

そのほか、自分の手でライフプランを作成することが難しいと感じたら、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することもおすすめです。以下の記事では、ライフプランを相談する際のポイントを解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連記事】ライフプラン相談時の流れやポイント、無料相談と有料相談の違いについて詳しくはコチラ

ライフプランは、定期的に見直すことで効果を発揮する

画像: 画像:iStock.com/JGalione

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現在の状況や将来の予定は、収入や支出の変化の影響も受けて、時が経てば変わっていくものです。「子どもが進路を大学から専門学校に変えた」ということもあれば、「家族でキャンプをする機会が増え、より荷物が積める車に買い替えた」ということもあるでしょう。

そのため、年1回くらいの頻度で将来設計を見直し、修正していくことをおすすめします。変化を反映することで、違った未来が見えてくるでしょう。

なお、「独身」「新婚夫婦」「子どもがいる家庭」それぞれのライフプランについて、具体的な例を以下の記事で紹介しています。併せてご覧ください。

【関連記事】独身や新婚夫婦の場合など、ライフプランの具体例について詳しくはコチラ

気づきをプラスに変えて「理想の将来」へ

画像: 画像:iStock.com/west

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ライフプランを立てることで、大きな出費や定年後の生活への不安など、つらい現実に気づく人もいると思います。ただ、その不安の原因は20年、30年先のことであることが多いはず。今のうちから不安を取り除くための行動に取り組めばいいのです。

ライフプランを立てないで直前になって焦ることに比べたら、はるかに余裕があります。その気づきをプラスの行動に変えて、理想の将来にしていきましょう。

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