20代のうちから将来のことを考えている人ならば、貯金や突然の病気・入院に備えた保険についても気にし始めていることでしょう。そんな時、貯蓄と保険を実質的に両立できる「貯蓄型保険」は、将来を見据えたマネープランの選択肢になります。

「貯蓄型保険は、掛け捨て型と何が違うの?」「貯蓄ということは、積み立てた保険料が返金されるの? デメリットは?」

そんな20代女性のために、ファイナンシャルプランナーでライターの田中あさみがおすすめの貯蓄型保険を解説します。本記事を読めば、自身にぴったりの保険を選ぶことができるでしょう。

なお、貯蓄型保険のしくみや保険の種類など、より詳しい情報が欲しい場合は以下の記事も併せてお読みください。

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この記事の著者

田中あさみ(たなかあさみ)

ファイナンシャルプランナー・ライター。2019年よりライターとして活動を開始し、これまでに500本以上の記事を執筆。「情報密度の濃い文章をわかりやすく」をモットーに、金融・不動産・相続・法律などについて実体験を交えてわかりやすく発信している。

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20代女性に貯蓄型保険がおすすめの理由。どんな人に向いているの?

画像: 画像:iStock.com/ maruco

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保険には「貯蓄型」と「掛け捨て型」がありますが、貯蓄型保険には支払った保険料を資産として残せるというメリットがあります。

契約が満期を迎えれば「満期保険金」が、契約を途中で解約した場合も、「解約返戻金(読み方:かいやくへんれいきん)」をもらうことができるためです。また、商品によっては、契約期間中に条件を満たすと「生存給付金」や「祝い金」を受け取れるものもあります。

一方で、掛け捨て型は基本的に支払った保険料が戻ってこない商品が多く、戻ってくる場合でもごく少額です。

20代女性に貯蓄型保険がおすすめの理由とは?

画像: 画像:iStock.com/ Sushiman

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貯蓄型保険には、一生涯保障が続く「終身保険」、老後に備える「養老保険」、子どもの教育費をサポートする「学資保険」、年金として準備する「個人年金保険」などがあり、将来設計にあわせて様々な選択肢があるのも魅力です。

また、契約した時点で、「支払う保険料の総額や将来受け取れるお金が確定している」という点もポイントです。つまり、将来のマネープランを作るにあたって、具体的な見通しがつきやすくなります。簡単にお金を引き出すことができないため、日々の生活に余裕があり、「手元にお金があると使ってしまう」という方に適しています。

「だったら、定期預金でよいのでは?」と考える方も多いかもしれません。しかしながら、定期預金は低金利の状態が続いて、日本銀行が発表した2022年3月9日時点での定期預金の年平均利回りは0.002~0.003% 1)、たとえば1,000万円を3年預けた場合でも利息はわずか900円です。

貯蓄型保険は入院・通院などいざという時に備えながら、預金より高いリターンを得られる可能性があるのが魅力です。

貯蓄型保険には、定期預金と違い「利息」の考え方はありませんが、「返戻率」の高い商品を選べば支払った保険料よりも多くの金額が戻ってくる場合があるのです。詳しくは「解約返戻金」の項で後述します。

さらに20代女性は30代以上の女性と比べ病気・死亡リスクが低いため、保険料は低めの傾向にあります。

たとえば契約時の年齢が25歳の場合、保険料が月額2万2,000円程度の貯蓄型の終身医療保険は、45歳で加入した場合だと保険料が月額5万3,000円程度となり、約2.5倍の差があります。

20代のうちに保険に加入すれば、30代以上の女性と比べて安い保険料で契約できます。加えて、後述する返戻率の上昇においても有利になります。

一方でデメリットとしては、月々の保険料が割高になること、そして途中解約した場合、時期によっては将来受け取る金額が支払った保険料の総額を下回る可能性があることの2点が存在します。

貯蓄型保険と掛け捨て型保険、それぞれのメリットとデメリットをまとめたのが下の表です。

〈表〉貯蓄型保険と掛け捨て型保険のメリット・デメリット比較一覧

貯蓄型保険掛け捨て型保険
メリット・保険と貯蓄を両立できる
・条件を満たすと、支払った保険料が満期保険金や解約返戻金として返ってくる
・長く加入することで受け取れる金額が多くなる商品が多い
・契約期間中に祝い金や生存給付金などの名目で一時金がもらえる商品もある
・貯蓄型と比べて保険料は割安
・商品がシンプルでわかりやすいものが多い
デメリット・掛け捨て型に比べて保険料は割高
・解約返戻金が累積の支払保険料を下回ることがある
・商品の設定が複雑でわかりづらいものが多い
・ほとんどの商品で、支払った保険料は戻ってこない
その他の特徴・解約返戻金が引き出しづらい・いつ解約しても解約返戻金はほぼないため、貯蓄型よりも解約のハードルが低い
※商品によって条件・金額などは異なります

保険料については、家計の状況によっては大きな負担になる場合もあります。そのため無理のない範囲での金額設定が大切です。

月々の保険料の平均や適性額については、年代や独身・既婚などの家族構成別にまとめた下記記事をご参照ください。

【関連記事】20代に保険は必要? メリット・デメリットと選び方を解説した記事はコチラ

【関連記事】20代の保険料平均額と「ちょうどいい保険料」を家族構成やライフステージ別にまとめた記事はコチラ

20代女性の貯蓄型保険の選び方。向いている人はどんな人?

画像: 画像:iStock.com/ twinsterphoto

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前述のとおり保険には貯蓄型と掛け捨て型があり、個人のマネープランやライフスタイルによってどちらかのタイプを選ぶことになります。

20代女性で、下記にひとつでも当てはまる方は、貯蓄型保険が特におすすめです。

□お金が口座にあるとつい使ってしまい、なかなか貯められない
□将来、出費が多くなる時にお金を確保しておきたい
□貯金も保険も両立して、いざという時に備えたい

貯蓄型保険は、保険料が自動的に口座から引き落とされるため、「預金があるとつい使ってしまう」という方にとっては、使いすぎを防ぐことができます。

また、条件を満たせば満期保険金や解約返戻金のほか、生存給付金などの一時金がもらえるため、将来まとまったお金が必要な時、大きなサポートとなります。

コラム:女性特約は付けるべき? 20代こそ知っておきたいその必要性

保険商品を見ていると、「女性保険」「女性特約」という言葉を目にすることも多いでしょう。

女性保険とは、女性がかかりやすい疾患に対する保障が、通常の医療保険と比べて手厚い保険を指します。また女性特約とは、同様の保障を基本となる医療保険にオプションで追加する契約です。たとえば乳がん・子宮がんといった婦人科系疾患、女性が発症しやすい貧血・関節リウマチなどの疾患に加え、出産時のアクシデント(帝王切開・早産分娩など)に関する保障を受けられるものもあります。乳がんや子宮がんの発症は年々増加している上、20代後半から罹患率が増加しはじめ、40代には急激に増加します。

〈図〉全国における乳がん・子宮がんの年齢階級別がん罹患率推移 2)

画像2: 20代女性におすすめの貯蓄型保険は?掛け捨て型と比較して紹介!

加えて、20~30代で出産を経験する方は多く、今後のライフプランによっては、保険料の安い20代のうちから女性特約を活用し、「女性ならでは」のリスクに備えることをおすすめします。

「解約返戻金」に注目。20代女性におすすめの貯蓄型保険の種類

画像: 画像:iStock.com/marchmeena29

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貯蓄型保険には終身保険・学資保険など、様々な種類の商品があります。

「万が一の時に備えたい」「子どもの教育費のサポートにしたい」など、まずは自身のマネープランに沿った商品を選びましょう。

商品を選ぶ際に、さらにポイントになるのは「解約返戻金」のタイプです。

解約返戻金とは

解約返戻金は満期や解約時に受け取ることができるお金のことです。支払った保険料に対し、戻ってくるお金の割合を「返戻率」として示し、返戻率が高い商品は将来的に多くのお金を受け取ることができます。たとえば、支払った保険料の全額が解約返戻金となる商品は「返戻率100%」、支払った保険料に10%の金額が上乗せされる商品は「返戻率110%」という具合です。

●返戻率の計算式
返戻率(%)=受け取った保険金総額÷支払った保険料総額×100

預金の利率は、預けた年数ごとに計算されるのに対し、返戻率はあくまで支払った保険料の金額だけで計算されるのが特徴です。

貯蓄型保険の解約返戻金は、一般的な解約返戻金タイプと低解約返戻金タイプの2タイプに分けられます。

まずは2タイプの解約返戻金を具体的に見ていきましょう。

一般的な解約返戻金タイプ

一般的な解約返戻金タイプの保険は、支払った保険料の金額に従って解約返戻金が増えていき、払込期間(保険料を支払う期間)満了時に返戻率が100%程度となります。

その後は返戻率が上昇していきますので、払い込み期間終了後の契約期間を長くすることで得られるリターンが多くなります。

〈図〉一般的な解約返戻金タイプのリターンイメージ(終身保険の場合)

画像1: 一般的な解約返戻金タイプ

たとえば28歳の女性が終身型(払込期間20年)に加入した場合、48歳で払込期間満了となり、以降は亡くなるまで返戻率が上がります。仮に平均寿命の87歳 3)まで生きた場合には、39年間上昇し続けます。

〈図〉年齢ごとの保険加入期間のイメージ

画像2: 一般的な解約返戻金タイプ

同じ保険に38歳で加入したケースでは返戻率の上昇期間は29年、48歳で加入すれば19年と短くなっていきますので20代女性がいかに一般的な解約返戻金タイプにおいて有利であるかがわかります。

「早いうちに将来に備えて、できるだけ大きなリターンが欲しい」「保険料が高めでも、解約時に十分な返戻金が欲しい」いう方に適しているでしょう。

低解約返戻金タイプ

低解約返戻金タイプは、加入してから一定の期間は返戻率が低く(70%程度)設定されており、一般的な解約返戻金タイプよりも保険料が安いという特徴があります。

多くの場合、払込期間中は解約返戻金が低めですが、払込期間満了を機に解約返戻金が一気に増える商品です。

「解約返戻金は欲しいけど、保険料は安く抑えたい」「払込期間満了時までは確実に保険料を払い続ける予定」という方におすすめです。

〈図〉低解約返戻金タイプのリターンイメージ(終身保険の場合)

画像: 低解約返戻金タイプ

パターン別、20代女性が貯蓄型保険を選ぶ時のポイント

ひと口に20代女性といっても、独身・既婚、子どもの有無、実家暮らし・一人暮らし……とそのライフスタイルは様々です。なかには収入に不安があるという方もいるでしょう。

保険選びは現在のライフステージや家計に応じた商品を見極めることが重要となります。ここでは、ライフスタイル別のポイントをご紹介していきます。

独身で一人暮らしの場合

画像: 画像:iStock.com/byryo

画像:iStock.com/byryo

20代はこれから結婚するという方も多いでしょう。一方で、近年はライフスタイルの変化から生涯未婚女性の割合が増えています。

下記は2020年のまでの国勢調査 4)をもとに算出した生涯未婚率の推移です。女性の生涯未婚率は1990年以降毎年上昇し、2020年には16.4%となっています。

〈図〉生涯未婚率の推移

画像: ※45〜49歳と50〜54歳の未婚率の平均値 ※総務省統計局「国勢調査」の結果をもとに作成

※45〜49歳と50〜54歳の未婚率の平均値

※総務省統計局「国勢調査」の結果をもとに作成

このように1人で暮らす未来もありえますし、結婚した場合でも夫婦それぞれが働いて資産を築いていくケースも考えられます。そうした視点で、将来の備えが充実した貯蓄型保険に加入することを検討してみましょう。

現時点で家計に余裕のある方は、終身型で払込期間が一定、そして一般的な解約返戻金タイプがおすすめです。

将来に備えることは大事ですが、保険料が負担となり現在の生活が苦しくなっては本末転倒です。家計とのバランスを考えた保険料を設定できるとよいでしょう。

保険料の目安は、家族構成別に下記の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。

【関連記事】保険料の平均を家族構成別にまとめた記事はコチラ

家計に余裕がない場合は、まずは掛け捨て型の保険に負担が少ない範囲の保険料で加入し、収入が上がった時に貯蓄型に切り替えるという方法もあります。

また、一人暮らしの方は病気などで働けなくなった場合に、家賃などの固定費のために生活が苦しくなるというリスクがあります。一方で家庭を持っている方と違い、死亡時に遺された家族の生活について悩む可能性は低いでしょう。

そのため、死亡時よりも病気になった時のリスクを重視した、入院・通院給付金が多いタイプの保険がおすすめです。

独身で実家暮らしの場合

画像: 画像:iStock.com/kumikomini

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現在実家暮らしで働いている方は、家庭事情や収入にもよりますが「今が貯め時」と言えるでしょう。

終身型の貯蓄型保険に加入することで、十分な備えが期待できます。一人暮らしや結婚などで実家を出るタイミングが「○年後」と決まっている場合、そのタイミングで生存給付金のようなまとまったお金を受け取れる保険がおすすめです。

生存給付金とは、保険期間中の生存を条件に給付されるお金です。「期間中3~5年ごと」「一定期間中に入院や手術がない場合」など商品によって条件は変わりますが、ライフプランに合わせて計画的に活用できるとよいでしょう。

既婚者の場合

画像: 画像:iStock.com/ west

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既婚者で子どもがいない女性が保険を選ぶ時のポイントは、「死亡・疾病時の保障」です。

自身が亡くなったあとに遺された家族の生活の保障を考えると、葬祭費や遺された配偶者が生活を立て直すための一定期間の生活費の目安として、300万円程度は欲しいところ。死亡保険金が300万円以上のものを選ぶとよいでしょう。

現在の貯金額が300万円以上あるという場合は、一定期間の備えができていますので、その分医療保障や貯蓄型保険を手厚くするのもおすすめです。

子どもがいる場合

画像: 画像:iStock.com/Yagi-Studio

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子どもがいる女性は子どもの年齢やライフプラン、家計をポイントに保険を選びましょう。

20代ではまだ子どもも幼く「今は教育費が多くかからない」という家庭が多いでしょう。しかし、将来大学まで卒業するとなると、最低でも719万円以上の学費がかかると言われています。将来子どもにかかる教育費に備えて、学資保険のような貯蓄型保険に加入することが望ましいです。

教育費の内訳や詳細については、下記リンクで詳しく説明しています。

【関連記事】私立? 公立? 進路別に子どもの教育費をまとめた記事はコチラ

たとえば現在3歳の子どもがいる場合、子どもが大学に進学すると想定される15年後に解約返戻金や祝い金が受け取れる学資保険に加入することで、計画的に教育費を貯められます。

【まとめ】20代は貯蓄のチャンス! 貯蓄型保険で将来への備えを

20代女性は病気にかかる確率が低く、保険は必要ないと考える方も多いかもしれませんが、上の世代よりも保険料が安いという大きなメリットがあります。

保険料が割高である貯蓄型保険でも、比較的安い保険料で加入できますので、長い加入期間で時間を味方につけながらお金を貯めるチャンスの時期と言えるでしょう。

また、確率が低いとはいえ病気にかかる可能性はゼロではありません。

著者の知人にも、20代で思わぬ持病を抱えることになり「病気がある人向けの保険にしか入れないけど、保険料が高くて……」というケースが存在します。

家計の状況や将来のライフプランを踏まえながら、この記事を参考に20代で貯蓄型保険への加入を検討していただければ幸いです。

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